あらすじ
彼女が消えた。一冊の本とともに。
小学校の教師をしている25歳の研介。ある日、恋人の品子に一冊の本が届くと、彼女は失踪した。本の贈り主は品子が以前話していた「忘れられない初恋相手」なのか? 場面は変わり、中学2年生のしなこは敬愛する小説家、日向の家に通っていた。日向には、海人という不登校の孫がいる。彼は本をばらばらにする謎の行動をしており、その取っつきにくい性格に初めは馴染めなかったしなこだが、徐々に交流を深めていく。
舞台は夏、物語は、大人のパートと中学生のパートが交互に進んでいく。品子はなぜ失踪したのか? ふたつの物語は終盤で見事に絡み合い、“目をつむって走り抜けると10年後の自分が見える”という伝説のある「未来坂」でのエピソードにつながっていく……。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
本の帯と表紙だけ見て、購入した本。
1冊の本と共に消えた恋人と、その彼女との関係を改めて考え直す彼氏の話とその間に挟まる少年と少女の話。
すごく面白い!ってほどではないけど、すっきりさっぱりしてて読んでよかったと思える作品だと思う。2つの話がどこでどう交わっていくのかも気になったし、こういう複数の物語が交互に語られて絡み合ってくのって好きだな(笑)
Posted by ブクログ
爽やかでなかなかいいミステリ。というより恋愛?青春?
恋愛要素が大きくて可愛くて未来は明るくてもう~~~!!ミステリ読んで嫉妬するってどういうことー!
たまに読む分にはこういうのもいいな。ほんわかする。
トリックがせこいので★4。話は可愛くて女子中高生にも受けそう。
Posted by ブクログ
「本の物語」大賞と名前が変わって第一回の大賞受賞作ということで手にとってみた。
こういう、爽やかで甘酸っぱい印象の物語を無性に読みたくなるときがあるのだ。
内容は、予想に違わず、爽やかで甘酸っぱかった。夏休み、田舎のおばあちゃんちの縁側で飲むカルピスのように。
物語の仕掛けが面白かった。最初はすっかり騙されていたので、後半で仕掛けがわかるところで思わず「あ!」と前を読みなおしてしまった。ミステリでよくあるトリックなんだけど、こういうのはやっぱり嬉しい。
中学生のパートを読みながら、「これってまんまあのアニメ映画だよな」と思っていたら、ちゃんと自分でつっこんでた。ちょっと解釈が違うぞと思ったけども。
私も、小説を書くということに関しては複雑な思いを持っているので、彼女たちの気持ちが自分のことのように思えてしまった。
登場人物の造形が、とても今風だなあと思う。
通っているシナリオ教室でこういうキャラのこういう話を書くと、たいてい「年齢のわりに幼いんじゃないかな」と言われるのだが、いやいや、やっぱりほんとにこういう感覚の人はいるじゃないの、と心強く思った。作者は男性のようだし、かつての「昭和」な人物像は必ずしも当てはまらないぞと思う。
「本の物語」だから、こういう内容なんだろうなあ。
涼風が吹き抜けたような、気持ちの良さが残った。
Posted by ブクログ
本にまつわる物語大賞受賞ということで、ずっと気になってました。本、恋愛、ミステリと色々なものが絡み合って、伏線もすべて回収されていて、最後はなるほどと思いました。主人公と同じ目線で読んでいたら、最後までいい意味でだまされてしまいました。途中で気づくヒントはたくさんあったのに、と、ちょっと悔しい。読後感もとても良かったです。そして、このタイトルも、この作品の登場人物たちの恋を言い表して素敵だなと思いました。