菊池光のレビュー一覧

  • 密輸
     馬を運送する会社の社長が主人公。といっても大きな会社ではなく、10人くらいの従業員を抱え、必要があれば自分でも運転をする男だ。彼は、元騎手で引退してこの会社を興した。業務は順調であるが、主人公自身の胸にはまた騎手である若い自分への「未練」が残っていて、そこがちょっと泣かせるところである。本当はもう...続きを読む
  • 大穴
    異色のヒロインが印象深い。...くっついて欲しかったな。にしても、あいかわらず登場人物がみんなカッコ良くて渋いねぇ!
  • 標的
     以前読んだ時にはあまり印象に残らなかった作品。読み返してみるとなかなかの傑作でびっくりした。初読時を思い出してみると,サバイバルの専門家である作家が主人公ということなので,バグリイの「原生林の追撃」とか,フランシスなら「本命」のような,マンハントから逃げ回るような派手な設定を期待していたから,肩す...続きを読む
  • 直線
     ずいぶん久し振りに読んだけれど、思った以上に充実した傑作で実は驚いてしまった。初読の時にあまり印象に残らなかったのはなぜだろう。

     急死した兄の事業の整理(それだけではないのだけれど)を心ならずもすることになった騎手の物語である。騎手自身は仕事上の事故で足を骨折していて、それが物語としても大きな...続きを読む
  • 大穴
    とにかく痛い!と叫びたくなるくらい主人公は受難の日々。落馬事故で騎手生命を断たれた主人公、シッド・ハレー。ずっしりと重いけど不思議と軽やかな読後感で、競馬好きの方も、競馬を知らない人も楽しめる競馬ミステリの金字塔。
  • 罰金
    名作揃いのフランシス作品の中で、ベストとは思わないけれどもかなり気に入っている作品であった。今回本当に久しぶりに読み直してみて、頭の中にあったイメージよりもずっとずっと「異色作」であったことに驚いた。

    事件としては、そう珍しいものではない。主人公は清廉潔白とは言い難い新聞記者である。彼の友人が自殺...続きを読む
  • 反射
    久しぶりに読んで驚いたのだけど、なかなかの名作である。前作「利腕」があまりにも有名なので、その影に隠れていたきらいがある。

    主人公のフィリップ・ノアはプロの騎手であり、アマチュアのカメラマンである。友人の父親でプロのカメラマンが車で立木に激突して命を落とし、そのことに関わり合う中で、奇妙な出来事に...続きを読む
  • 侵入
    互いに何世紀もにわたって対立し、時には殺し合ったふたつの家が背景にある。まるで「ロミオとジュリエット」そのままに、両家の男女が憎しみを超えて愛し合うようになり、やがて結婚する。主人公は、「ロミオ」でも「ジュリエット」でもなく、ジュリエットの兄で騎手である。

    かなり成功した騎手だ。名誉も名声も手に入...続きを読む
  • 興奮
    障害レースで大穴が続くという波乱には、隠された意図と不正があるのではないか…
    一連の不正について証拠すら出てこない疑惑の解明を、障害レースの理事より依頼されたのは、牧場経営者のダニエル・ローク。

    ストイックに依頼を遂行するロークの所作と決して弱音を吐かずに困難に立ち向かう姿に、ハードボイルドな男の...続きを読む
  • 反射
    この本も「読み返す本」「捨てられない1冊」。心から打ち解ける関係を必要とせず、求めもしなかったノアが、自分に妹がいると知らされ 天涯孤独だと思っていたのに 急遽親族の存在が出てくる。Dフランシスの小説は、裏表紙の説明や 紹介文を読んでも良さは伝わってきません。文と文の隙間にあふれる言葉のやり取りや ...続きを読む
  • 興奮
    個人的には久々の推理もの。
    前出の児玉清氏の対談本で名前がよく挙がってた、ディック・フランシスの本です。
    最初、競馬ものと聞いてあまり気が進まなかったのですが、
    読み始めたら、これが進む進む!
    競馬が全然わからなくても、普通の推理小説としてバッチリ楽しめます。

    最初の展開は、ありえねぇ!と思っちゃ...続きを読む
  • 興奮
    最近イギリスの障害レースでは思いがけない大穴が十回以上も続出した。番狂わせを演じた馬には興奮剤投与の形跡が明白であったが、証拠が発見されなかった。そこにはどんなからくりがあるのか? 事件の解明を依頼された牧場経営者ロークは、厩務員に身をやつして、黒い霧の調査に乗り出した!


    薦められて読んだ本です...続きを読む
  • 煙幕
     主人公が映画俳優というのにはかなり意表をつかれた。相当売れっ子の俳優だけど、実に人間的で友達になりたいタイプの男である。スキャンダルを求めたり、広告塔として振る舞うことを求めたりする業界の人たちや、登場人物のキャラクターと俳優の人柄を混同する人たちのおかげで、主人公の魅力が引き立っている。わずかな...続きを読む
  • 大穴
    今作を最初に読んだのは大学生の頃。この「大穴」と「利腕」に登場する主人公、シッド・ハレーの生き様に痺れたものだった。

    20年近くディック・フランシス作品から離れていたが、気づくとシッド・ハレーは2008年までに4作品に登場しているとの事。これはイカンと読み返す。

    やはり面白い。何というか、隙の無...続きを読む
  • 血統
     かなりファンの間では評価は高いのだけど、個人的にはもうひとつ気に入らなかった作品である。

     強い自殺願望(鬱?)を持つ秘密調査員が、上司の個人的な依頼を受けて、休暇を使って名馬盗難事件を捜査する話である。もちろん、事件は解決するし、その過程で主人公は生きる意欲を取り戻す。暗い話だなあという印象を...続きを読む
  • 横断
     数あるフランシスの作品の中でも、もっとも設定に凝った作品ではないかと思う。

     カナダを横断する鉄道の中で進行する、「オリエント急行殺人事件」を思わせるような、ある意味クラシックな舞台であること。

     犯人は誰か、を操作するのではなく、犯人がなにをやろうとしているのかを探り、それを未然に防ぐことが...続きを読む
  • 混戦
     再読シリーズである。

     今ひとつ印象が強くないのは、フランシスにはまったばかりで1日1冊ペースで既刊本を読んでいた頃に読んだからだろう。飛行機の話、というくらいの印象しかなかった。

     再読して、思いがけないほど派手な話であることにびっくりした。最初の爆破事件、中盤の山場である迷子の飛行機を探す...続きを読む
  • 度胸
    最初は、この訳文に慣れなかったけど、今じゃ病みつき。
    一般的には、シッド・ハレーが主人公の話がお勧めですが。
  • 利腕
    調査員になった元ジョッキー、義手のシド・ハーレーの元に依頼がよせられる。本命馬が続々と敗れていく。彼の元妻が罪を被せられ詐欺で訴えられそうだ。レースで不正が行われているのではと考える馬主。調べていく内に彼と相棒のチコは脅迫と暴力の中に巻き込まれていく。

    おもしろいんだけど重いんだよね。このシリーズ...続きを読む
  • 大穴
    競馬シリーズ。落馬事故で騎手生命を断たれたシッドが探偵となり、乗っ取りされかけている競馬場を救う。

    痛快、軽妙、おもしろい。以前からディック・フランシスの競馬シリーズを読んでみたかったから、丁度借りられて良かった。このシリーズ読み始めよっと。