菊池光のレビュー一覧

  • 暴走

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    競馬シリーズ12作目。

    今回も危機的なオープニング。
    ジョッキークラブの調査員ディヴィットは、
    ノルウェーにイギリス人騎手が起こした売上金盗難事件を調査に行く。
    盗聴を避けるために、現地の調査員とボートで話し合っていると、
    船にぶつかられ極寒の海にほりだされてしまう。
    なんとか、二人とも助かるが、
    騎手の死体が見つかった後に、乗っていた車が爆発する。

    皆が騎手が金をもって逃走したと思っているところに、
    死体を探すべきだと爆弾発言をするところや、
    現地調査員を罠にはめるところ、
    子供の目撃者から犯人の情報を聞き出すところと、
    かなり探偵っぽい。

    でも、かなり命を狙われていることにビビっていたので、
    危険を覚悟で事件の目撃者であり、犯人の息子である青年を助けに行く
    展開になるとは思ってなかった。
    たんたんとした感じではあったが、面白かったかな。

    0
    2023年03月26日
  • 骨折

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    競馬シリーズ10作目。

    二組の父と息子の話。
    息子をコントロールしようとする父親たちと、
    父のもとから逃れた息子とその影響下にあることもよくわかっていない息子。

    車の事故で骨折をした父の代わりに、
    厩舎を管理することになったニールは、突然誘拐される。
    経験のない若者を騎手として優勝馬に乗せてダービーに出せ、と脅される。
    厩舎を守るために受け入れたニールだったが、
    若者は生意気で鼻持ちならず馬丁頭や馬丁たちともめる。
    もちろん、そう簡単に実績のない騎手を優勝場に乗せるわけにはいかず…。

    ミステリーというよりは、
    若者の父との葛藤、そして成長物語だろう。
    父親たちが二人とも死んでしまう、という最後は少し残念だが、
    若者が騎手として、自分の足で歩いて行けるようで良かった。

    他の小説に出て来たポストオフィスタワーの回転レストランのことが、
    ちらっと出て来たのがチャームポイント。

    0
    2023年03月06日
  • 査問

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    競馬シリーズ8作目。

    騎手のケリイは調教師と共に査問委員会に呼ばれ、
    八百長レースをしたとして、免許をはく奪される。
    調教師の娘が、意気消沈している父親を助けてほしいと言いにきて、
    身に覚えのないケリイは、
    査問委員や召喚された証人たちを調べ始める。

    イギリスの競馬は上流階級からはじまったため、
    階級社会を色濃く映し出している。
    馬主や調教師にとって、騎手や馬丁はまともに相手にする人間ではない。
    それゆえ、ケリイが馬主や調教師に嫌われないように、
    自分が大学を卒業したことは秘密にしていた。
    興味深い。

    女性が狂人になってしまったり、
    鞭打ちクラブが脅迫のネタだったりと、
    ちょっとミステリーとしてはいまひとつ。
    鞭を入れると足をとめてしまう馬がいるとは、知らなかった。

    0
    2023年02月07日
  • 鷲は舞い降りた〔完全版〕

    Posted by ブクログ

    イギリスの作家「ジャック・ヒギンズ」の冒険小説『鷲は舞い降りた(原題:The Eagle Has Landed)〔完全版〕』を読みました。

    「ディック・フランシス」、「コリン・デクスター」、「ボブ・ラングレー」に続き、イギリス作家の作品です。

    -----story-------------
    鷲は舞い降りた!
    「ヒトラー」の密命を帯びて、イギリスの東部、ノーフォークの一寒村に降り立ったドイツ落下傘部隊の精鋭たち。
    歴戦の勇士「シュタイナ中佐」率いる部隊員たちの使命とは、ここで週末を過ごす予定の「チャーチル首相」の誘拐だった!
    イギリス兵になりすました部隊員たちは着々と計画を進行させていく…使命達成に命を賭ける男たちを描く傑作冒険小説―その初版時に削除されていたエピソードを補完した決定版。
    -----------------------

    『東西ミステリーベスト100』で海外篇の19位として紹介されていた作品です、、、

    「チャーチル首相」を誘拐せよ!という奇想天外な作戦、使命達成に命を賭ける「シュタイナ中佐」率いるドイツ落下傘部隊の精鋭たち、男たちの勇気と闘志を謳いあげた傑作でしたね… 愉しく読めました。


    イギリスのノーフォーク北部にある田舎町スタドリ・コンスタブル、この地を取材で訪れた「ジャック・ヒギンズ」は、教会の墓地の片隅に隠匿されていた墓石を発見する… そこには「1943年11月6日に戦死せる「クルト・シュタイナ中佐」とドイツ降下猟兵13名、ここに眠る」と刻まれていた、、、

    奇妙な墓碑銘の真実を探す旅を始めた「ヒギンズ」はやがて、かつてドイツ軍が実行したある作戦を知る… 時代は第二次世界大戦まで溯ることに。

    1943年、ナチス・ドイツの敗色が濃厚となる中、幽閉されていた「ムッソリーニ」を「オットー・スコルツェニー」が指揮する空軍降下猟兵部隊と親衛隊特殊部隊が救出した一件は「ヒトラー」を狂喜させ、宿敵「チャーチル」の誘拐を口にさせる… 軍情報局長官の「ヴィルヘルム・カナリス提督」は、所詮は総統の思いつきに過ぎない、到底実行不可能なこの考えを、部下の「ラードル中佐」に形だけの検討をさせることにしてうやむやにしようとした、、、

    しかしその一週間後、スタドリ・コンスタブルに暮らすボーア人スパイ「ジョウアナ・グレイ」が、「「チャーチル」が村から近いスタドリ・グレインジで休暇を過ごす予定がある」ということを、具体的な日時・宿泊場所と共に連絡してくる… この情報はゲシュタポ長官の「ヒムラー」にも伝わり、「ヒムラー」は反ヒトラー派の「カナリス」には隠密にして、「ラードル」に直接、「チャーチル」の誘拐を実行させることを強要する。

    「ラードル」は実行部隊を落下傘降下で潜入・潜伏させ、「チャーチル」確保後に高速艇で回収する計画を立てるが、敵国での潜伏のためには現地の「グレイ」と協力できる工作員が不可欠だった… そこで「ラードル」は、現在はベルリンで保護・監視されている元アイルランド共和軍(IRA)の歴戦の工作員「リーアム・デヴリン」に白羽の矢を立てる、、、

    「デヴリン」はいつか来る死を予感しながら、祖国アイルランドの独立を夢見る闘士でもあった… 続いて「ラードル」は、作戦を指揮する落下傘部隊の隊長として「クルト・シュタイナ中佐」を指名する。

    「非常に頭が良くて、勇気があって、冷静で、卓越した軍人……そして、ロマンテックな愚か者だ」名も知らぬユダヤ人の少女を助けたがために部隊ごとチャンネル諸島へ追いやられ、人間魚雷を操っている伝説の落下傘部隊長「クルト・シュタイナ中佐」、「ラードル」と「デヴリン」は直接に彼の元を訪れ、彼らを呼び戻す… 英国へ潜入した「デヴリン」に惹かれる少女「モリィ・プライア」を始めとするコンスタブルの人々、、、

    闇商人の「ガーヴァルド兄弟」とロンドン警視庁の「ロウガン警部」、降下部隊の輸送役として選ばれたパイロットの「ゲーリケ大尉」… 「ヒムラー」が作戦の監視役として送り込んだイギリス義勇軍の「プレストン少尉」、そして僻地コンスタブルに左遷されたアメリカ軍レインジャー部隊の「シャフトゥ大佐」。

    様々な人間の思惑が交錯する中、「ラードル」達は遂に作戦開始日の11月4日を迎える… 悪天候の中ノーフォークへ降下する「シュタイナ」達、、、

    降下成功の報を受けた「ラードル」は「ヒムラー」に暗号文を発信する… <鷲は舞い降りた>。

    作戦の成就に向け、登場人物たちはそれぞれの思惑に従って己の任務を果たそうとするが、「シュタイナ」の部下が溺れそうになった兄妹を助け、自らは水車に巻き込まれて死んでしまったこと等をきっかけにして計画には綻びが生じていく… 任務を果たすため、強硬手段に出る「シュタイナ」たちだったが、次第に追い詰められていく、、、

    全体で600ページ強のボリュームなのですが… <鷲は舞い降りる>のは400ページを過ぎたあたりで、作戦行動までのエピソードが長く、序盤から中盤はやや冗長な感じはしましたが終盤の作戦行動後の展開が盛り上がるのは、中盤までの伏線がしっかりしているからなんですよねぇ。

    ホント、愉しく読めました… それにしても「シュタイナ中佐」を始めとする、第一線の将校・兵士達のカッコ良さはハンパないですね、男気あふれる好人物で、不器用な優しさやひたむきさをあわせ持っているんですよね、、、

    そして、男としての生き様(死に様)をしっかりと見せてくれます… 史実から、「チャーチル首相」誘拐作戦は失敗に終わることはわかっているんですが、それでも、最後の最後まで「シュタイナ」なら成功してくれるんじゃないか、いや、是非、成功させてほしい と感情移入しちゃうほどの魅力的に描かれていました。

    面白かったです♪


    以下、主な登場人物です。

    「クルト・シュタイナ中佐」
     ドイツ落下傘部隊隊長

    「リッター・ノイマン中尉」
     ドイツ落下傘部隊副隊長

    「ヴァルター・シュトルム軍曹」
     ドイツ落下傘部隊隊員

    「ハーヴィ・プレストン少尉」
     元イギリス自由軍兵士

    「カール・シュタイナ少将」
     クルトの父

    「ペイター・ゲーリケ大尉」
     ドイツ軍パイロット

    「マックス・ラードル中佐」
     ドイツ軍情報局(アプヴェール)Z部隊第3課課長

    「カール・ホーファ軍曹」
     ラードルの助手

    「ジョウアナ・グレイ」
     ドイツ軍情報局(アプヴェール)の女スパイ

    「リーアム・デヴリン」
     IRAの兵士

    「フィリップ・ヴェリカ」
     神父

    「パミラ・ヴェリカ」
     フィリップの妹

    「ジョージ・H・ワイルド」
     スタドリ・アームズの主人

    「アーサー・シーマー」
     木こり

    「モリイ・プライア」
     ホッブズ・エンドの娘

    「サー・ヘンリイ・ウィロビイ」
     退役イギリス海軍中佐

    「ベン・ガーヴァルド」
     闇商人

    「リーベン・ガーヴァルド」
     闇商人

    「ジャック・ロウガン」
     ロンドン警視庁警部

    「ファーガス・グラント」
     ロンドン警視庁警部補

    「ロバート・E・シャフトゥ大佐」
     アメリカ軍レインジャー部隊隊長

    「ハリイ・ケイン少佐」
     アメリカ軍レインジャー部隊隊員

    0
    2023年01月28日
  • 興奮

    Posted by ブクログ

    イギリスの作家「ディック・フランシス」の長篇ミステリ作品『興奮(原題:For Kicks)』を読みました。

    「ディック・フランシス」作品は今年4月に読んだ『勝利』以来ですね。

    -----story-------------
    〔競馬シリーズ〕
    最近イギリスの障害レースでは思いがけない大穴が十回以上も続出した。
    番狂わせを演じた馬には興奮剤投与の形跡が明白であったが、証拠が発見されなかった。そこにはどんなからくりがあるのか? 
    事件の解明を依頼された牧場経営者「ローク」は、厩務員に身をやつして、黒い霧の調査に乗り出した!
    -----------------------

    競馬シリーズの第3作目で1965年(昭和40年)に発表され、同年に英国推理作家協会賞(CWA賞)を受賞した作品… 『東西ミステリーベスト100』で海外篇の35位として紹介されていた作品です、、、

    初期の作品は初めて読みましたね… 作品自体は現代にも通じる面白さでしたが、「オーストラリヤ」、「シドニイ」、「バア」、「ウイスキイ」、「ランド・ロウヴァー」、「スエター」等々、外来語の表記方法が時代を感じさせましたね。


    本作の主人公はオーストラリアで種馬牧場を経営する「ダニエル・ローク」… 「ダニエル」は、両親を早くを亡くし弟や妹たちの親代わりとして、経営の苦しい牧場で休む間もなく働き続けていた、、、

    そんな彼の牧場を、イギリスの障害レース理事会メンバー「オクトーバー卿」が訪ねてきて、障害レースの不正を調査するための潜入捜査を依頼する。

    イギリスでは障害レースで思いがけない大穴が続いており、番狂わせを演じた馬は、その時の状況から推して、明らかに興奮剤を与えられていたが、いくら検査をしても興奮剤を投与した証拠がでないという… 「ダニエル」は、迷った末に協力することを決断し、渡英する、、、

    複数の牧場で厩務員を装い調査を行ううちに、大穴をだした馬の多くが、短期間ではあるがハンパー牧場に在籍していたことが判明したことから、「ダニエル」はハンパー牧場に厩務員として潜り込む… ハンパー牧場の厳しい労働条件に耐えながら、「ダニエル」は牧場主の「ヘドレイ・ハンバー」と馬主の「ポール・ジェイムズ・アダムズ」が組んで、人間にはほとんど聞こえない犬笛を使って、馬に恐怖体験をすり込んでいる事実を突き止めた… 大穴を出したレースは全て最後の直線が長いコースで、最後の直線にかかった瞬間に犬笛を吹くと、馬は恐怖心にあおられ、一気にゴールにむかって突っ走るという仕掛けだった。

    「ダニエル」は、「ハンバー」と「アダムズ」が、犬笛と火炎放射器を使って馬に恐怖体験すり込む現場を確認… 悪だくみの証拠を掴むが、そこに「オクトーバー卿」の娘「エリナー・タレン」が現われ、事態は思わぬ方向へ、、、

    「ハンバー」と「アダムズ」に潜入捜査をしていたことを暴かれた「ダニエル」は悪党どもとの争いとなる… そして、クルマで去った「エリナー」は、「アダムズ」から渡されたジン・アンド・カンパリの中に入れられた毒(可溶性フェノバービドン)を飲んでおり、二人は生命の危険に晒される。

    終盤の展開はスリリングかつスピーディーで愉しめましたね… そして、正義感が強く、汚名・屈辱・暴力に耐えながら謎を探る「ダニエル」の真摯な姿勢には共感できたし、懲悪勧善のハッピーエンドも良かったな、、、

    古書店に程度の良いモノがなかなかないのですが… 機会があれば、他の競馬シリーズも読んでみたいです。


    以下、主な登場人物です。

    「ダニエル・ローク」
     種馬牧場の経営者

    「オクトーバー卿」
     障害レースの理事会のメンバー

    「ロデリック・ベケット大佐」
     障害レースの理事会のメンバー

    「スチュアート・マクレスフィールド」
     障害レースの理事会のメンバー

    「ヘドレイ・ハンパー」
     調教師

    「ポール・ジェイムズ・アダムズ」
     馬主

    「エリナー・タレン」
     オクトーバー卿の娘

    「パトリシア・タレン」
     オクトーバー卿の娘

    「ウォリィ」
     厩務長

    「ジャッド・ウィルソン」
     厩務長

    「スーピィ・ターレトン」
     厩務員

    「バディ」
     厩務員

    「チャーリイ」
     厩務員

    「セシル」
     厩務員

    「グリッツ」
     厩務員

    「ジェリィ」
     厩務員

    0
    2023年01月27日
  • 飛越

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    競馬シリーズ5作目。

    ヘンリィは伯爵の跡継ぎでありながら、
    金持ちの娘と結婚させようとする家族への反骨心からか、
    馬と飛行機を愛する気持ちからか、
    周りの反対を振り切って競走馬の空輸に同乗し馬を引き渡す仕事につく。

    貴族階級を敵視し、暴力をふるってくる同僚とやりあいながら、
    仕事を続けているうちに、
    ミラノで恋に落ち、また、友人の不正に気が付く。

    ハッピーエンド好きでバッドエンドが好きではないが、
    この話は「エンド」すらない。
    ヘンリィはどうにか大型飛行機を操縦して無事着陸したが、
    銃で撃たれた恋人の生死もわからぬまま、話が終わってしまった。
    ひどすぎる。

    競走馬をヨーロッパへ、南米へ、アメリカへ飛行機で運ぶとは、
    おそるべし競馬業界。

    0
    2023年01月11日
  • 興奮

    Posted by ブクログ

    競馬ミステリー小説と言えば…
    この方…………!元競馬騎手でもある!

    巨匠ディッッック・フランシス!!

    はいよ〜!シルバぁぁぁぁ〜!!


    あらすじ


    最近イギリスの障害レースでは思いがけない大穴が十回以上も続出した。番狂わせを演じた馬には興奮剤投与の形跡が明白であったが、証拠が発見されなかった。そこにはどんなからくりがあるのか? 事件の解明を依頼された牧場経営者ロークは、厩務員に身をやつして、黒い霧の調査に乗り出した!

    ………読み終えてひと言!
    面白い!!男心をくすぐる!ハードボイルド臭!
    題名どおり興奮したじゃあ〜ないか!!

    内容は競馬の話になっているのですが!
    しかも!レースがメインではなく
    あくまでも裏側でストーリーが進んでいくのですが!
    私〜競馬なんて知らな〜いもんって思っている
    あなた!大丈夫!
    私だって最初…競馬か……知らん!
    賭けた事もなければ!見た事ない!
    唯一の知識としては『みどりのマキバオー!』
    ぐらいしか知らない〜もはや知識ゼロ!!笑
    そんな自分でも……
    読み始めはそう思っていました。
    けれど……
    全然大丈夫!知識ゼロでも全然楽しめたぁ〜

    ストーリーも潜入捜査もので
    かなりハラハラドキドキするシーンが多々
    そんな中で主人公のロークが作中で
    ほんっとに色々嫌な思いをするシーンがあり
    もう〜辞めて帰れって何度思った事か……
    それでも!!
    決して折れない不屈の闘志ローク
    う〜ん!めちゃかっこいい〜
    その他に出てくる登場人物も
    いい味出して物語を盛り上げてくれた事もあり
    後半からはイッキ読みしてしまいました!
    そしてラストのロークのひと言に
    思わず!!
    「くぅ〜〜〜っ」と唸ってしまいました!笑笑
    とても面白かったです!



    0
    2022年12月26日
  • 勝利

    Posted by ブクログ

    イギリスの作家「ディック・フランシス」の長篇ミステリ作品『勝利(原題:Shattered)』を読みました。

    「ディック・フランシス」と「フェリックス・フランシス」の父子共著の作品『祝宴』に続き、競馬シリーズの作品です。

    -----story-------------
    真冬の寒い日、レース場で起きた惨劇に観客たちは凍りついた。
    目の前で騎手が落馬し、馬に押しつぶされて死亡したのだ。
    友の突然の死に、哀しみにくれるガラス職人の「ローガン」だったが、まもなく彼のもとに一本のビデオテープが届く。
    それは友が命を賭して彼に遺したものだった。
    が、中身をたしかめる間もなく、押し入った何者かにより、テープが強奪されてしまう。
    謎を秘めたテープをめぐり、熾烈な争奪戦が今はじまる。
    -----------------------

    競馬シリーズの第39作目で2000年(平成12年)に発表された作品… 2007年(平成19年)に発表された第41作目の『祝宴』以降は次男の「フェリックス・フランシス」との父子共著ですし、本作の6年後の2006年(平成18年)に発表された第40作目の『再起』は「ディック・フランシス」単独名義とはなっているものの「フェリックス・フランシス」の協力を得て執筆されたことになっているので、「ディック・フランシス」単独の作品としては、『勝利』が最後の作品になるようですね、、、

    本作の主人公はガラス工芸作家の「ジェラード・ローガン」、彼の親友で騎手の「マーティン・ステュークリイ」から託されたビデオテープが原因で、ある事件に巻き込まれてしまいますが、ビデオテープを入手しようとする「ローズ・ロビンズ」の一味等から生命を狙われながらも、刑事の「キャザリン・ドット」や、「マーティン」の義母「マリゴールド」の運転手「ワージングトン」、ガラス工房の隣人「トム・ビジョン」と彼の愛犬3匹(ドーベルマン・ピンシャー)、運転手の「ジム」の協力を得ながら、難局を乗り越えて事件を解決する… というスリルたっぷりの作品で、感情移入しながら愉しめました。

    1999年(平成11年)の大晦日に騎手の「マーティン・ステュークリイ」が大障害レースの事故で死亡… ガラス工芸作家の「ジェラード・ローガン」は、「マーティン」の介添人「エディ・ペイン」から、「誰かが、あんたに渡してくれ、と言ってこれを「マーティン」に渡したんだ」と、一本のビデオテープを託される、、、

    新年を迎えた、その夜、「ローガン」の工房に賊が押し入り、訪問中の馬主「ロイド・バクスター」がてんかんで倒れるという事件が発生し、大晦日の売り上げである大金の入ったバッグとビデオテープが盗まれていた… 「マーティン」が「百万ポンドの価値がある」と語っていたビデオテープには何が写っていたのか?その内容も行方もわからないまま、「ローガン」は、ビデオテープを狙う競馬場の賭け屋「ノーマン・オスプレイ」と「ローズ・ロビンズ」等の一味からの襲撃に晒される。

    ビデオテープの謎を追い、真相を探る「ローガン」だったが、調査を進めるうちに、医師の「アダム・フォース」や、呼吸器科教授の「ジョージ・ローソン・ヤング」もビデオテープを探していることを知り、調査は混迷を極める… 古代のネックレスの制作過程を記録したビデオテープとガンの研究成果を記録したビデオテープの二つのビデオテープが存在していたことや、ビデオテープの内容を誤解していた人物のせいで、読者の方も「ローガン」と同じように混乱させられちゃいますが、最後はパズルのピースが嵌るようにスッキリと整理できて納得できました、、、

    クライマックスのガラス工房での悪党一味と入り乱れた対決は、なかなかの迫力でした… でも、ガラス加工のことを知り尽くした「ローガン」の方が一枚も二枚も上手でしたね。

    巻き込まれ型のスリラーで、ハッピーエンドは、本シリーズのパターンなのかな… 面白いですよねぇ、、、

    古書店になかなか置いてないのですが… 機会があれば、他の競馬シリーズも読んでみたいです。


    以下、主な登場人物です。

    「ジェラード・ローガン」
     ガラス工芸作家

    「ヒッコリイ」
     ローガンの助手

    「アイリッシュ」
     ローガンの助手

    「パメラ・ジェイン」
     ローガンの助手

    「マーティン・ステュークリイ」
     騎手

    「ボン・ボン」
     マーティンの妻

    「マリゴールド」
     ボン・ボンの母親

    「ワージングトン」
     マリゴールドの運転手

    「エディ・ペイン」
     マーティンの介添人

    「ローズ・ロビンズ」
     エディの娘

    「ヴィクター・ヴェリティ」
     ローズの甥

    「ジナ」
     ヴィクターの母親、ローズの姉

    「アダム・フォース」
     医師

    「ノーマン・オスプレイ」
     賭け屋

    「ブライアム・ジョーンズ」
     調教師

    「ロイド・バクスター」
     馬主

    「ケネス・トラブショウ」
     チェルトナム競馬場のトロフィ委員

    「ジョージ・ローソン・ヤング」
     呼吸器科教授

    「トム・ビジョン」
     ローガンの隣人

    「ジム」
     運転手

    「キャザリン・ドット」
     刑事

    0
    2022年12月26日
  • 興奮

    Posted by ブクログ

    大穴が続出する障害レース。
    興奮剤投与の疑いが!
    はたしてその方法とは?!

    ディック・フランシスの『競馬シリーズ』初読みですヽ(´▽`)ノ

    ーーーーー

    こちらの作品、なぜ手に取ったかと申しますと、フレンドのお兄様一推しの本。

    フレンド本人は読まないとの事なので、私と別のフレンドが読んで感想文を書くという事に。

    なんだか面白い展開になっております( -᷄֊-᷅ )

    著者のディック・フランシスはかなり有名な方のようです。
    初めて読みました(*´˘`*)

    『競馬』と聞くと、少し抵抗がありまして「ギャンブルやん」「競馬知らないと意味分からないのでは?」と懸念するも、全く問題ありませんでした。

    ハヤカワミステリ文庫ですが、ミステリと言うよりもサスペンスかなという印象。

    犯人云々よりむしろ「興奮剤投与の方法」を推理する流れ。

    主人公ダニエル・ロークは馬丁となり潜入捜査をします。
    潜入先の厩舎で過酷な労働を強いられ、華やかな競馬の世界の裏側を垣間見た感じがしました…(›´-`‹ )
    じ…実際は違うよね?

    話が盛り上がる中盤までは、登場人物の多さと競馬の世界観について行くのにメモしましたが、半分を過ぎると面白くって一気読み!

    この『興奮』というタイトルは興奮剤という意味だけではなく、ロークの意思・希望・性格のようなものも含まれているのかなぁという印象がありました。
    あと、読者が興奮するよ( ≖ᴗ≖​)ニヤッという意味。

    ダニエル・ロークシリーズがあるのかと思いましたが、彼は『興奮』にしか出てこないようです。

    競馬が分からなくても楽しめる作品でした。

    もちろんお馬さん好きならもっと興奮する作品だと思いますヽ(´▽`)/♡

    0
    2022年12月26日
  • 興奮

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    競馬シリーズ3作目。

    いわゆる潜入捜査は好きではない。
    ただでさえハラハラするのに、
    正体がばれそうになり、
    命の危険にさらされるのがお約束なので、
    心臓がもたない。

    それが、かなりの部分楽しく読めたのは、
    主人公の設定というか、人物像だと思う。
    父母を亡くし兄弟たちのために牧場経営をするオーストラリア牧場主が、
    イギリス貴族に見込まれて、競馬界をゆさぶる不正を暴くべく、
    イギリスで厩務員として働きはじめる。

    服装や髪形で「危ないやつ」に変わっていくところや、
    オーストラリアなまりの英語を直すところ、
    雇い主の娘に陥れられたが、それを隠れ蓑として良しとするところと、
    嫌がらせや暴力に誇りを失いそうになりながらも、
    自分を見失わない強さが印象的だった。
    不正のトリックも面白かったし。

    お屋敷の家令を相手に、
    どれぐらい服装をくずせば、
    信用ならない、しかし雇う気になる男になるかを
    検討している場面は面白かった。

    残念なのは、
    陥れた貴族の娘の姉を連れて、オーストラリアに帰るのかと思っていたのに、
    真実をみつけ、敵を倒す達成感と充実感を知ってしまい、
    工作員となると決心したところかな。

    0
    2022年12月14日
  • 度胸

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    そうか、だから「競馬シリーズ」なのか。

    障害競馬のお話だが、主人公は全く別人。
    歳は行っているが駆け出しの騎手で、
    家族はプロの音楽一家のため、いわゆる黒い羊。

    いきなり、同僚の騎手が拳銃自殺する。
    親切にしてくれた別の同僚は、
    持ち主のいない車に道路をふさがれていて、レースに間に合わず、
    使ってもらえなくなる。
    主人公は、けがをしたトップ騎手の代わりに、
    常勤の騎手になるチャンスをつかむが、
    急にどの馬に乗っても調子が悪くなる。

    思いっきりネタバレだが、
    売れっ子のテレビ司会者が犯人とは思い切った設定だった。
    しかも、この時代に女装はないだろう、と思っていたのに、
    犯人は車を置き去りにするために女装していたし、
    直接的暴力には出ないだろう、と思っていたのに、
    主人公を拉致して馬具室に吊るしていた。
    そういう意味で、予想外のミステリーだった。

    幼いころから愛し続けていたが、
    恋愛関係を拒否されていた従妹とは、
    うまくいきかけていたが、
    結局結婚できたのだろうか。

    0
    2022年12月04日
  • 利腕

    Posted by ブクログ

    40年くらい前の作品ですよ
    すごっ

    ぜんぜん今読んでも面白いんだけど
    やっぱりノスタルジックな想いが少し乗っかっている気もします
    冷静に考えるとやっぱり今の時代には合ってないのかなと思ったりもして

    というのは、かっこいい男の基準がやっぱりちょっと違うような気がします
    石のような精神力で何ものにも屈しないヒーロー
    本編の主人公シッド・ハレーも一度は敵の脅しに屈しそうになりますが、自分の心と会話を交わすうちに精神的な復活を遂げます

    今ならきっと自分の弱さを認めつつ、ときには仲間を頼ったりもしながら強さを身に着けていくみたいなヒーロー像のほうが受け入れやすいのかなって思います

    それにしても我が本棚ながら、凄いバラエティにとんだ本棚になってきたなー

    0
    2022年09月19日
  • 鷲は舞い降りた〔完全版〕

    Posted by ブクログ

    第二次世界大戦時、チャーチル首相を誘拐する特殊任務を受けたドイツ軍部隊が主役。

    主役であることもそうだし、ドイツ軍がかなり真っ当な兵士として描かれているのが珍しい。

    主人公であるシュタイナ中佐と、アイルランド人のデヴリンがとても魅力的。

    歴史から見れば成功しないことが決まっている任務なんて面白いのかと思ったけど、読んで納得。

    準備期間も面白いし、失敗が確定してからのシュタイナ中佐の行動がめちゃくちゃカッコイイ。

    0
    2022年06月02日
  • 本命

    Posted by ブクログ

    友人の薦め。
    こんな厚い本、まだ読めるかなと思ったけど、読めてしまった(--;)
    ストーリーはスピード感があって、面白い。
    状況や風景の描写が多いが、私の想像力が追いついていないかもしれない。

    0
    2021年09月13日
  • 大穴

    Posted by ブクログ

    主人公がとても有能で魅力的!
    読むのに時間はかかったが、軽快な会話シーンが面白くて退屈しなかった。


    終始競馬の話ではあるが、競馬要素はちょっと薄め。
    推理小説というよりは探偵小説という感じ。犯人やトリックを当てる小説ではない。

    0
    2021年02月24日
  • 大穴

    Posted by ブクログ

    ディック・フランシス、3冊目。
    こちら1965年発行のシリーズ4作目で、3冊目にしてシッド・ハレーが登場する物語。

    障害レースのチャンピオンジョッキーであったシッドだがレース中に負った怪我が原因で引退し、誘われた探偵社で名前ばかりの探偵として日々を過ごす境遇。
    自分が銃撃された事件をきっかけに、素晴らしいコースを持つが老朽化した競馬場の株を買い占め売り飛ばそうとする企みを知るところとなり、そこから持ち前の不屈の精神に火が点く。
    このシッド、騎手上がりの小柄な体格に何より事故で常にポケットの中に隠さなければならなくなった左手のハンデのある身の上だが、無聊を託っている間に探偵としての素養を身に着けていたようで、いざ事件となると最初からポイントを突いた動きに目を瞠る。
    しかし、調査を重ねても傍証は得られるものの確証がない中、競馬場の評判を貶める妨害工作は続き、自宅や職場が爆破されるなど危機一髪。競馬場内での追いかけっこの末、捕らえられては万事休すか!?と、今回もまたなかなかにサスペンスフル。
    どんな解決を見るのだろうと思っていたが、最悪の状況でも諦めることがなかった不屈の主人公に今回もまた恐れ入る。
    流石に『私はごく幼少の頃から同情を示されるのを避けた。… 同情をうけると人間が甘くなってしまう。… 貧困も嘲笑も、… 肩をすぼめてやりすごし、本心は人には見えない胸の中にしまっておかねばならないのだ』と語るだけのことはある。

    寂びれいく競馬場の運営を思いどおりにやれるとしたら、どういうことをするかと問われたシッドが『ビートルズのような連中に来てもらって、トロフィを授与してもらいます』などと延々と語るところや、競馬場を見張っている時にかつての重賞優勝馬を駆って障害を飛ぶ様などに、当時の競馬場の雰囲気がよく表れていて、こういうところもまたこのシリーズの良いところ。
    (ビートルズとは驚いたが、確かに書かれたのは彼らの全盛時代だもんな。いい時代だったわ)

    0
    2021年02月02日
  • 鷲は舞い降りた〔完全版〕

    Posted by ブクログ

    冒険小説の古典中の古典。
    30年ほど前、大学生時代に読んだ。一気読みだった。今回はジャック・ヒギンズのオリジナル原稿による完全版。
    第二次大戦末期、ナチス・ドイツは劣勢な戦況を挽回するために、あっと驚く秘密作戦を計画する。イギリスの田舎町スタドリ・コンスタブルにお忍びでやってくるチャーチル首相を誘拐しようという計画だ。
    IRAのリーアム・デブリンとクルト・シュタイナー 中佐が率いるスターリングラードの死闘を生き延びた落下傘部隊の面々は密かにスタドリ・コンスタブルに潜入する。果たして誘拐作戦は成功するのか。

    0
    2020年11月22日
  • 決着

    Posted by ブクログ

    ロクデナシの貴族。誠実で信頼できる人脈をもつ主人公。緻密な設定。何度か訪れる危機と、なかなか想像どおりとはいかないラスト。いつもながら上質な小説だと思います。

    0
    2020年08月02日
  • 本命

    Posted by ブクログ

    競馬の障害レースで、親友のビル・デイビットソンが、障害を飛び越える際に落馬して死んだ。すぐ後ろを走っていたアラン・ヨークは、何者かが針金をさし渡すところを目撃したが、警察が調べる前に証拠の針金は回収されていた。ヨークは、ビルを死に至らしめた犯人を探すべく、調査を開始した。

    0
    2020年07月26日
  • 敵手

    Posted by ブクログ

    競馬シリーズの中の、シッド・ハレーを主人公とする連作の3作目。

    冒険小説としてのフランシス作品の大きな特色であり魅力である部分は、ヒーローの心の弱点に注目し、心の弱さを乗り越えるドラマが大きな比重を占めるところにある。そういったフランシス作品の特色を最も大きく具体化しているのが、このハレーを主人公とする作品群である。

    前作の流れを汲んで、ハレーの内心の葛藤がこれでもかと言うほど描かれる。そういうと読むのがつらくなりそうなんだけど、登場人物がみな魅力的で生き生きとしており、そういった人物の交流の中に、何か心が温まるようなものがたくさん含まれていて、読んでいてなんだかしあわせな気持ちになってくるのが不思議だ。犯人でさえ同様であるところがすばらしい。

    これも前作と同じなのだが、教養小説としての一面もあり、馬の話はもちろんなのだが、布地の織り方の話など、うまく物語の中に組み込まれていて興味深い。また、今となっては随分時代遅れの話だけど、当時は先端だった携帯電話やネットなども組み込まれているのも面白く、登場人物に流れる時間と、執筆時期とのギャップがちょっと楽しい。

    ミステリとしてのストーリー展開はどちらかと言えば単純なんだけど、小さな手がかりを元に犯人を追い詰めていく不屈な行動力には説得力があり、前述した心の中の敵と、犯人という敵との組み合わせがあるだけに、感情移入しながら、一気に最後まで読んでしまう。

    フランシスらしい傑作。ただし、シッド・ハレーものの前2作を先に読んだ方が10倍楽しめる。

    0
    2019年08月15日