菊池光のレビュー一覧
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ディック・フランシス、3冊目。
こちら1965年発行のシリーズ4作目で、3冊目にしてシッド・ハレーが登場する物語。
障害レースのチャンピオンジョッキーであったシッドだがレース中に負った怪我が原因で引退し、誘われた探偵社で名前ばかりの探偵として日々を過ごす境遇。
自分が銃撃された事件をきっかけに、素晴らしいコースを持つが老朽化した競馬場の株を買い占め売り飛ばそうとする企みを知るところとなり、そこから持ち前の不屈の精神に火が点く。
このシッド、騎手上がりの小柄な体格に何より事故で常にポケットの中に隠さなければならなくなった左手のハンデのある身の上だが、無聊を託っている間に探偵としての素養を身に着 -
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競馬シリーズの中の、シッド・ハレーを主人公とする連作の3作目。
冒険小説としてのフランシス作品の大きな特色であり魅力である部分は、ヒーローの心の弱点に注目し、心の弱さを乗り越えるドラマが大きな比重を占めるところにある。そういったフランシス作品の特色を最も大きく具体化しているのが、このハレーを主人公とする作品群である。
前作の流れを汲んで、ハレーの内心の葛藤がこれでもかと言うほど描かれる。そういうと読むのがつらくなりそうなんだけど、登場人物がみな魅力的で生き生きとしており、そういった人物の交流の中に、何か心が温まるようなものがたくさん含まれていて、読んでいてなんだかしあわせな気持ちになってく -
Posted by ブクログ
作品毎に設定は変えつつも、ディック・フランシスの描くヒーロー像は共通している。己の信条に忠実で、誇り高く、不屈である。それは「偉大なるマンネリズム」ともいえる程で、何らかの形で競馬に関わるプロットに趣向を凝らしてはいるのだが、逆境に立たされた只中で主人公がとる思考と行動は、ほぼパターン化されているといっていい。それこそが、安定した人気を保持し続けた大きな要因であり、読者が求めたものなのだろう。
本作は、主人公をサディスティックなまでに追い詰め、逆境を如何にして乗り越えていくのかに主眼を置いた「競馬シリーズ」の中でも、最も過酷な状況へと追い込まれていく男、元騎手で調査員のシッド・ハレー登場の第 -
Posted by ブクログ
勝って当たり前。圧倒して当然。
こういうのは難しいですね。
ディック・フランシス。邦題は漢字二文字。競馬業界がらみの、大人の男性向け極上ミステリー。
更にその中の、引退した騎手が探偵として難事件に挑む、シッド・ハーレー主人公モノ。
更に、その中の「大穴」(1965年)。
定番中の定番の、名作中の名作。
読んだことなかったんです。
こういうのは難しいですね。却って。自分の中でも妙にハードルが上がってしまって。
と、読み始めてしばらくは思ったのですが…。
いやあ、さすが。面白かったです。
無論こと、まあ、犯罪ミステリーという以上のものではないような小説ですけど、でも面白かった。馬鹿にしたもんじ