菊池光のレビュー一覧

  • 大穴
    嚇かしでなく本気だと気が付いた時は既に手遅れだった。
    相手は慣れない手つきで上着のポケットから拳銃を引き出すと、おっかなびっくり両手を使って引き金を引いた。彼・・・元チャンピオンジョッキーで今はラドナー探偵社の 競馬課の調査員シッド・ハレーは、夜の夜中、探偵社に忍び込んで餌をかじりに来たのがチンピラ...続きを読む
  • 追込
    ミステリーというよりも冒険小説。まさにその通りだと思う。主人公が犯罪者と戦う理由が、理不尽に妻を殺された従兄の精神を守るためというのも象徴的である。あるいは、冒険小説というよりもマンハントの物語と言いたくなるけど、敵の反撃に傷つきながらも決してあきらめない主人公の意志の力は、やはり冒険小説と呼ぶべき...続きを読む
  • 名門
     ミステリーではあるのだけど、どちらかというと普通小説的な要素が強い作品であると言われている。実際に読んでみると、確かにフランシスの作品の中では異色であると言っていい。

     事件らしい事件が起きるまでが長い。じっくりと主人公やその周辺の人間模様を描いてから、事件というより主人公の職業上のトラブルとい...続きを読む
  • 試走
    競馬シリーズ第17作。モスクワ・オリンピック直前の作品。謎の言葉を残して急死した騎手。彼は、オリンピック優勝をめざす英国の王子の義弟と同性愛の噂があった。スキャンダルを恐れた王室は、元騎手ドルーに密かにモスクワでの調査を依頼した。しかし・・・。別に諜報部員でもなく、視力の低下や気管支の既往症をもつ元...続きを読む
  • 敵手
    「大穴」「利腕」に続き、シッド・ハレーが何と3度目の登場。今作ではデジタル携帯電話やコンピュータ通信なども扱い、時代の流れを感じさせる。
    もっとも、作品内では「利腕」の1年後ということになっており、老いさらばえた主人公に幻滅する恐れはない。

    ハードボイルド・ミステリに区分されるディック・フランシス...続きを読む
  • 反射
    競馬シリーズ第19作。競馬写真家のジョージが交通事故で世を去った。騎手にとって屈辱的なシーンばかりを撮り続けた彼の死を悼む者は、少ない…そのジョージの家に2日連続で正体不明の男たちが押し入り、室内を物色していく。果して彼らの目的は?ひょんな事からジョージの隠し持っていた一見失敗作に見える大量のフィル...続きを読む
  • 配当
    ディック・フランシスの競馬シリーズ。先日、亡くなられた俳優の児玉清氏が、初めて原書で読んだ作品だと知り、追悼の意をこめて読んでみました。三回に一回は当たるという確率の勝ち馬予想システムをめぐる戦い。それはそれで面白いのだが、主役(多分息子のフェリックスがモデル)の視点が途中で変わる。その間十数年経過...続きを読む
  • 暴走
    競馬シリーズ第13作。招待された騎手の売上金横領事件を調査するためにノルウェイにやってきたジョッキィ・クラブの調査員デイヴィッド・クリーヴランド。物語の冒頭、乗っていたボートが謎の快速艇に襲われ、フィヨルドに投げ出される。あくまでもストイックな主人公に二重丸。あまり長くないのがよいですね。すぐに読み...続きを読む
  • 騎乗
     例によって再読。

     フランシスの小説としてきわめて異色なのは、主人公が17歳の少年であるということだけではない。政治を取り扱った作品も初めてだし、ある意味で主人公が二人いる物語も珍しい。

     17歳の少年が主人公といっても、視点となるのは後の「私」なので、それほど主人公が子供っぽいわけではない。...続きを読む
  • 骨折
     以前読んだ時には、スペンサーシリーズの「初秋」に匹敵する、「育成もの」の傑作だと思っていたのだが、今読むとちょっと物足りなさが感じられた。

     主人公は、会社の建て直しを専門としている30代男性。たたき上げではあるが、金持ちである。彼が、事故で入院している父親の厩舎にいるところを拉致され、ある少年...続きを読む
  • 転倒
     強い男をとことん描くのがこの時期のフランシスの方向である。この作品の主人公も強い。強いから敵が現れ、強いから戦いがエスカレートし、結局強さで敵をねじ伏せてしまう。とても魅力的な主人公なのだけど、ちょっと息苦しくなってしまう。

     強いと言っても、肉体的なことではない。逆に肩にハンディを持っていて、...続きを読む
  • 度胸
    パドックの目の前で同僚の騎手の自殺を見たフィン。それから続々と騎手たちが干され、落ちぶれていく。そして自分も・・・。何か裏の力が働いているのではと考えたフィンは自らその内幕を探り出していく。

    イギリスの競馬界ってやっぱり歴史があるから、こういう事が起こるんだろうと思う。さらっと読めるんだけど内容的...続きを読む
  • 転倒
    主人公はジョウナだった…
    とすぐ思い出せるのは初期の作品に属するといえるかな。
    やや暗いトーンなので、最初の数冊にはすすめませんが。
    10冊も読むとこれぐらいの変調はあってもいいのよね。
  • 証拠
    気の利いた酒屋を営むビーチが主人公。
    ワインをめぐる大規模な不正と闘うことに。
    最初の数冊に読むには進めませんけど。
    もちろん、水準は行っているのです。
  • 煙幕
    ハンサムな人気俳優が主人公。
    子供が多く、家庭を大事にしている中年男が主人公というのは数少ない。
    金鉱の話や苛酷な撮影の話がスリリング。
  • 暴走
    冒険物として十分まとまっているんですけど、ちょっと後味がいつもほど爽快でない。
    このへんまで初期にはいるのかな…
  • 飛越
    飛行機物としては非常に面白いです。
    身分が高いが故に偏見を持たれる主人公の試練が大変。
    でも恋愛度は高い!
  • 追込
    競馬シリーズ。
    もう、パターンだものなーと思っていても面白い。
    ただ、どれを読んだのか読んでないのか、店頭では分りにくい。
    一度、総チェックをしたい。

    この本の主人公は画家。シッド・ハレーほどではなくても、カッコイイのだった。
  • 本命
     あらすじ: 濃霧のなかで蹄鉄がぶつかりあう鋭い音が響く。騎手のビル・ディヴィットソンが、最後の障害を跳ぶべく馬の態勢を立て直していた。アドミラルは本命馬にふさわしくその力強い後半体の筋肉を盛りあげ、緊張し、跳んだ。完璧な跳躍。鳥のごとく宙に浮き、、、次の瞬間落ちた。そしてビルは死んだ。信じられない...続きを読む
  • 骨折
    10−11
    調教師の父親が入院し、素人の息子ニールが、一時的にあとを継がなければならなくなる。マフィアのボスの息子アレサンドロは騎手になりたがるが技量が不足。父親はどんな手を用いても息子の望みをかなえようとする。
    アレサンドロは自立の道を選ぶが…
    父と息子の葛藤二組。

    「「父は、私に、すべてを与え...続きを読む