菊池光のレビュー一覧

  • 鷲は舞い降りた〔完全版〕

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    登場人物全員のキャラ立ちが凄い。
    一人1冊分の背景が見えるから恐れ入る。
    これが現実にあった話かどうかは、
    最早どうでもいい。
    だって、鷲は舞い降りたのよ?
    で、このあと飛び立つのよ。
    これでときめかない人は冒険小説読むのやめなさい。
    ライトノベルでニャンゴロしとけ。

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    2021年07月04日
  • 興奮

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    検査に一切引っかからない方法で不正が行われている。

    それを突き止めるべく、面の割れていないオーストリアの牧場主が、厩務員として潜入捜査をする話。

    中盤からは巧妙な不正の核心へと迫っていく。
    パズルのピースが繋がる瞬間、息も止まるような緊張の場面。不穏な展開。

    原題はFor kicks
    「スリルを求めて」

    これを心に留めて読み進めてほしい。

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    2021年01月26日
  • 鷲は舞い降りた〔完全版〕

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    やはり泣ける。内藤陳氏が紹介していた当時に以前の版を読んでいて、この完全版が出たことを知って、久しぶりに読んだ。今回は、登場人物等を丁寧にノートに取りながら読んでいった。久しく眠らせていた冒険小説愛が再燃し始めてしまった。

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    2020年05月18日
  • 興奮

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    オーストラリアで種馬牧場を経営していたダニエル・ロークは、イギリスの障害レース理事会のオクトーバー卿に依頼され、レースで行われているらしき不正の調査を引き受ける。障害レースで勝った馬が異常な興奮状態を呈していたため、なんらかの薬物の使用が疑われたものの、検査結果が陰性となったケースが何度も発生した。 手口を突き止めるため、ダニエルは厩務員として潜入捜査を開始する。

    ミステリとしてのプロットもさることながら、イギリスに戦後も根強く残る階級社会の実情や競走馬育成の内情が、期待以上に面白かった。

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    2020年01月04日
  • 大穴

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    読んだことはなかったが、二文字の競馬ミステリの背文字は本屋さんでもお馴染みだった。本好き仲間が言うことには「へぇぇ、あれを一度も読んでないの? 一冊も?」

    作者は2010年に亡くなってしまったけど息子さんが書き継ぐそうで。
    もうそんなになるのか訃報は新聞で読んだが。

    まぁ元気を出して!!ミステリは競馬だけでないし、最近は自転車も、宇宙船も、あれもこれも何処もかしこも殺人や詐欺や、誘拐で大騒ぎなのに。と言いながらも、元気づけのために読んでみた。

    う~~ん、これはやはり初期作品のハードボイルド。でも読んでいって、いつの間にかフランシスさんの手の内に取り込まれた。

    歴史と階級の英国、競馬界も礼儀正しい。でも裏には裏があって、賭け屋が群がるギャンブルの世界も見える。

    面白かった。主人公シッド・ハレーに初めてお目にかかった。この元騎手は競馬シリーズに珍しく2作品に登場する愛すべき人物らしい。
    彼はチャンピオンジョッキーで名の知れた障碍競馬の騎手だったが、落馬して左手が不自由になった。妻とはうまく行かないが義父とはお互いに心を許す仲、どうも義父が裏で糸を引いたらしく、探偵社に入る。やる気もなかったが、漏れ聞くと気に入った競馬場がどうもおかしい。人気が衰えたところに不動産屋が目をつけたようだ。
    馬には走りやすい絶好のターフを持つ競馬場だ。彼はやる気が出た。
    闇からピストル、裏にはきな臭い陰謀。怒りと競馬愛は彼を生き返らせた。

    読後そんな煽り文句が出るくらい、当時の読者は沸いたのだろう。作者フランシスの略歴では華やかな騎手生活を送り、内情に最も詳しい、背景もいい。
    競馬も馬も遠くからしか見たことのない世界だったが、騎手や厩舎の調教師、上流社会に住む馬主たちの息遣いが伝わってきた。
    時代の波は少しずつこの偉大な、当時で言う「競馬スリラー」にも寄せてきているようにも思える。それでもただ一人主人公として二作目に登場するのシッド・ハラーに敬意を評して、「利腕」も読んでみよう。

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    2019年12月30日
  • 鷲は舞い降りた〔完全版〕

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    もう何十年前になるのでしょうかその位前からお気に入りの一作です。

    舞台は第二次世界大戦のドイツとイギリスです。戦局が思わしくない事から英国首相チャーチル氏の誘拐もしくは殺害を企てます。しかし、それはヒトラーからの指示ではなく親衛隊長官による秘密の作戦となります。
    国防軍情報部に務める隻腕・隻眼のベテラン士官ラードル中佐は親衛隊ヒムラー長官によってこの突拍子もない作戦を実施するよう強要されます。
    計画を遂行する為には優秀な指揮官が必要ということで白羽の矢が立てられたのはクルトシュタイナ中佐です。彼も開戦から戦って来たベテランです。本国へ帰国する際に立ち寄ったポーランドにてユダヤ人少女を助けた事から軍法会議に掛けられてしまって懲罰部隊に配属させられます。
    国防軍の士官であるシュタイナを親衛隊が好き勝手に出来るのは実は物語的な演出です。実際には軍は親衛隊の告発から身内を守って引き渡さない事が多々ありました。主人公となるシュタイナの悲劇性の演出というべき箇所となります。
    懲罰部隊にいるシュタイナをチャーチル誘拐作戦の指揮官とすべくラードル中佐が勧誘に動き生き残りと共に捕獲した輸送機を使ってイギリスへ潜入します。
    何もしらないイギリスの田舎町。首相が週末をゆっくりと過したいという事からごく少数の関係者だけが首相の来訪をしっています。
    果たして作戦は成功するのでしょうか?

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    2019年05月03日
  • 鷲は舞い降りた〔完全版〕

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    冒険小説の世界では、間違いなく5本の指に入るであろう名作。

    敗戦濃厚なナチス・ドイツ軍が放った作戦は、イギリスの首相チャーチルの誘拐。
    イギリス上空から英国の片田舎に侵入し、静かな週末を過ごしに来たチャーチルをかっさらう。
    実行部隊の侵入成功を告げる連絡、それこそまさに「鷲は舞い降りた」

    戦時中でいつ死ぬかもわからないからこそ、どこまでもクールに、そしてアツい登場人物たちに惹かれない読者なぞ果たしているのだろうか。
    冒険小説が好きなら絶対に読むべき。公開することは絶対にない。

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    2019年01月12日
  • 鷲は舞い降りた〔完全版〕

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    文句なしに面白い!とはこの小説のことだろう。
    第二次世界大戦中のドイツ軍落下傘部隊による英国本土でのチャーチル誘拐、という暴挙とも言える作戦に、
    作戦を指揮するドイツ軍将校も落下傘部隊の歴戦の勇士も諦観の域で死に場所を求めるかのように、士気高く遂行していく。
    抗いきれない立場であろうとも、自分の意思に信念を持って行動することこそが人間の最も優れた価値であることを極上に面白い娯楽小説の形で明朗に伝える。
    なんといっても魅力あふれる登場人物の面々。男も女も皆とにかくヒロイックで、自分の思っていることを闊達にシニカルに語る。そして例え獄中であっても決して信念を曲げない。
    また航空機、船艇、小火器などの武装から服装や酒、タバコの銘柄までディテールにこだわることでリアリティを演出することに一役買っているが、描写がくどくどしくないのでスピード感に影響させない(もはや馴染みのない機種名や銘柄が登場しても、Google画像検索が楽しみを後押ししてくれる)。
    なかでもカバーアートにも描かれているダグラスDC-3がなんといっても印象的。
    夢中で読んで「あ!面白かった!」と声に出るほど感嘆した。

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    2017年12月12日
  • 鷲は舞い降りた〔完全版〕

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    ハードボイルドの古典的名作。
    多分、だいぶ昔に読んだような気がしたんですが、現在は家の本棚になく、改めて読みたくなって購入。
    さすが「古典的名作」、めちゃめちゃおもしろいです。
    また何年か後に再読します。

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    2017年08月19日
  • 飛越

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    最後、あそこで終わりなのかー!ガブリエラは?ヤードマンは?気になりすぎる・・・でも多くを語らず飛行機を着地させて終わる・・・さすがディックフランシス。

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    2017年01月14日
  • 度胸

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    主人公のフィンもカッコいいし、ヒロインも文句無しにカッコいい。訳してる人の文章も本当にうまい。個人的にフィン家族の音楽の描写も洒落てて好き。
    唯一の欠点は後書。余韻ぶち壊し。お前はディックフランシスを読むな、と突っ込んでしまった。

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    2016年09月28日
  • 鷲は舞い降りた〔完全版〕

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    冒険小説を読みたくなって、とりあえず傑作といわれる本書を読んでみた。第二次世界大戦中にドイツ軍が英国のチャーチル首相を誘拐(または殺害)を企てて実行するまでの物語。登場人物が実在の人なのでとてもリアリティーに満ちた展開となっている。一方で、史実ではチャーチル首相が誘拐されたり殺害されたりしたことはないので、作戦が失敗することも分かっている状態で読み進めることになる。普通は結末が分かっていたら楽しく読めないものだが、本書は登場人物の内面を含めて丁寧に描写することで、その結末に至った過程をドキドキさせながら読ませてくれる。ドイツ軍と英国の人びとをどちらが敵かという観点で描いていないのがいい。純粋に冒険小説としてフェアに書かれている。戦争なんて悪も正義もないと訴えているようにも感じた。本作品に登場するドイツ軍は当時の論理的な正義で作品を実行したにすぎないのだから。とにかく読みやすくて面白い。傑作といわれる理由は分かる気がする。

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    2016年06月22日
  • 鷲は舞い降りた〔完全版〕

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    ネタバレ

    第二次世界大戦の最中、ドイツ軍は落下傘部隊を英国本土に降下させ、時の首相チャーチルを誘拐する作戦を立案します。
    この荒唐無稽で無謀な作戦に参加することになったのが、シュタイナ中佐率いる部隊。
    歴戦で活躍した英雄ながら、ある事件でユダヤ人少女を庇った格好になり、部隊ごと危険任務につかされ冷遇されていたシュタイナは、「自分は冒険家だ」の言葉とともに、この空前絶後の任務に挑みます。

    作戦決行のその日まで、厳しい訓練を繰り返し結束を固めるシュタイナと部下、作戦に関わる他のメンバーの姿に、手に汗握り胸を熱くしながら「がんばれ、がんばれ」とエールを送っている自分がいました。

    「鷲は舞い降りた」
    部隊が予定どおり、本土への上陸を成功させたという暗号が打電された場面では、思わずガッツポーズを取ったほどです。

    ただ、フレデリック・フォーサイスの「ジャッカルの日」で描かれた、フランスのドゴール大統領の暗殺計画同様、チャーチルがドイツ軍に誘拐も暗殺もされなかったのは歴史的事実です。
    つまるところ、身も蓋もない言い方をするなら、ここからは「いかに計画が失敗していくのか」という物語なのです。

    それでも、彼らの作戦を最後まで読み終えて、どこか清々しい気分で拍手を送りたい気持ちになること請け合いです。

    スリルあり、ロマンスあり、人間ドラマありの彼らの冒険を、ぜひとも、多くの方々共有してほしいと思います。

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    2016年01月16日
  • 鷲は舞い降りた〔完全版〕

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    冒険小説。ナチスが完全なる悪者として描かれていない。個々の信条や正義のもと、未来に希望が無くとも任務を遂行する格好良さがある。戦闘描写や死に様が鮮やかだった。

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    2015年10月08日
  • 敵手

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    ディック・フランシス競馬シリーズ34作目(全44作)の主人公は、唯一3度目登場のシッド・ハレー。
    馬の脚が切断される残忍な事件が相次ぎ、容疑者として浮かび上がったのは、なんと騎手時代の好敵手で親友でもあるエリス・クイントだった…。

    冒頭というかカバー背表紙で既に読者には犯人が判明しているのだが、それでも事件発生から真相に迫るまでの過程が面白く、全然飽きない。
    今作でもやはりハレーはどん底に突き落とされるのだが、これまでの作品とはまた異なる地獄である。

    犯人に気付いたハレーは苦悩と葛藤の末エリスを告発するのだが、エリスは今や国民的タレントであるので、逆に世間から執拗になじられるのだった。親しかった知人までもがエリスの擁護に回り、気付けば味方は義父チャールズのみ。
    最低週一回は新聞で誹謗中傷されるのだが、この連日のハレーいじめが本当にひどい。
    貧しかった両親のこと、スラム生まれであること、義手である左手のこと、ジェニイとの離婚、その他諸々悪意のままにあることないこと書き立てられ、挙句には、かつて自分がいた国民的スターの地位を得たエリスに嫉妬し破滅させようとしている小男だと罵られるのである。
    ある意味、肉体的な攻撃より耐え難いかもしれない。

    シッド・ハレーシリーズを読んでいて印象的なのは、「恐れ知らずで強情不屈のタングステン」だと思われている寡黙な男の弱さを作中人物たちは知らないが、読者だけは著者フランシスの筆を通してはっきりと知っている点である。
    それゆえ、読者はハレーと秘密を共有しているような錯覚を覚え、ますます彼に惹かれてゆくのだろうと思う。

    そうして、かつてレースでの真剣勝負を通して骨の髄まで理解し合った二人の哀しい対決の行方は、意外な結末へ向かう。
    ネタバレになるので内容は控えるが、終盤二人が相対する場面では心が震えた。

    一つ面白かったのが、ハレー自身は登場作「大穴」から数年しか経ていない設定だが、1965年発表の「大穴」ではタイプライターや電話交換手が出てくるのに対して1995年発表の本作では携帯電話・インターネットやDNA鑑定を用いて捜査を進めている点である。時代はドアの錠破りからハッキングへ。
    当時75歳だったフランシスの最新技術探究心と若々しい筆致には、ただ驚嘆するばかりだ。

    また、作中で世界有数の競馬場やレースと並んで"府中" "ジャパンカップ"の名が出てきて嬉しくなった。
    日本の競馬がまだまだ弱かった「大穴」の頃では考えられなかったことだろう。

    個人的には、陽気な相棒チコが出てこなかったのが寂しいが、元妻ジェニイとの確執がやっとなくなり、ほろ苦さは残るもののお互い素直になれて良かった。この辺りの微妙な感情を、フランシスは直接的にではなく間接的に描写するのが本当に巧いと思う。

    ということで、本作も素晴らしい読書体験であった。

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    2014年08月09日
  • 利腕

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    今作の主人公は、ディック・フランシス競馬シリーズの中では珍しく2回目登場のシッド・ハレー。
    前作で生ける屍だった彼は絶望の中から自分を取り戻し、今作ではフリーの敏腕調査員となっている。とはいえ、やはり輝かしい騎手時代への未練は捨てきれないようだ。

    次々とレース生命を絶たれていく競走馬&競走馬のシンジケートに関する不正を追う中で、凶暴な悪党から壮絶な脅迫を受けるハレー。本作はそんなハレーの恐怖を軸にストーリーが展開していく。
    なぜタイトルが「利腕」なのかを理解できた時、ページを読み進める手が進まなくなるほど恐ろしかった。

    なんと、本作では不屈のヒーロー・ハレーが恐怖におののき悪党から一度は尻尾を巻いて逃亡してしまうのだ。
    屈辱、自己憐憫、罪悪感、精神的基盤の崩壊…。前作よりも深い奈落の底からいかにしてハレーが這い上がってくるのかが、本作の見どころである。
    「自分が永遠に対応できない、耐えられないこと…ようやく、鮮明、確実に理解できた…それは自己蔑視である。」
    この決意とともにハレーが完全復活する瞬間は、まさに鳥肌もの。

    他の登場人物も細やかに描写されており、陽気で頼りになる相棒チコがいい味を出しているのは勿論、これまでハレーに辛く当たってきた元妻ジェニイの知られざる本音や、ジェニイの父チャールズとの変わらない友情など実に味わい深い。

    ちなみに、結末はあのジェフリー・ディーヴァーも真っ青のどんでん返し!!
    この発想はなかった。改めてフランシスの技量に脱帽。ラスト1ページまで気を抜けず、手に汗握る素晴らしい作品であった。

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    2014年08月04日
  • 大穴

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    私が初めてディック・フランシスの作品に触れた記念すべき一冊。
    冒頭、腹を撃たれている主人公が目を覚ます場面からぐいぐい話に引き込まれ、寝る間も惜しんで最後まで貪り読んだ。

    とにかく、主人公シッド・ハレーの内面の描写が秀逸なのである。
    ストイックな不屈のヒーローではあるのだが、後ろ向きな感情の生々しい描写によって生身の人間以上の人間臭さを与えられている。
    例えば、
    競馬レース中の事故で失った左手の機能とチャンピオン騎手人生に対する執着や、人生への絶望・無気力。五体満足でない自分自身に対する恥辱の念。執拗に自分へ危害を加えようとする黒幕への恐怖…など。
    周囲の人々との関わりの中で少しずつ魂の苦しみから解放され、深淵から這い上がり敵に立ち向かっていくハレーの姿に胸が熱くなった。

    著者ディック・フランシス自身がハレーと同じく元障害競馬のチャンピオン騎手だったのだが、元々ミステリー作家が本業だったのではと思うほどの巧みな筆致とプロットに驚かされる。
    後に米英の2大ミステリー賞を獲得することになる才能の片鱗をこの作品でも存分に味わえるので、競馬シリーズと聞いて敬遠している人にもぜひおすすめしたい。

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    2014年08月03日
  • 鷲は舞い降りた〔完全版〕

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    私は冒険小説は嫌いだと信じ込んでいた。
    そんな思い込みを覆してくれたのが、同じくドイツ在住で私のミステリファン仲間のY子ちゃんなのであります。
    今回、手術後、家で療養すると聞いたY子ちゃん。「いいから何も言わず読みなさい!」と送ってくれたのであります。(感謝してるよん、Y子ちゃん)
    それにナチが出てくるし、著者はイギリス人でしょ~っていうことはどうせドイツ人が悪者で・・・と思いながら読み始めると~メチャ面白いのよ!
    ナチかぶれの非人道的なドイツ人ばかりじゃないということを書いてくれて、私はとってもうれしかったのであります。
    極秘で遂行されたチャーチル誘拐作戦。
    念には念を入れて計画されたことだったんだけど、ホンの些細なことから計画に狂いが生じてきます。
    登場するドイツ兵たちがいい人ばっかりで・・・泣けますよん。
    言うまでもありませんが、ヒギンズ作品は初挑戦であります。
    続編「鷲は飛び立った」を読まなきゃ~!

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    2014年03月30日
  • 鷲は舞い降りた〔完全版〕

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    1975年に発表されたベストセラー小説。
    1943年ナチスドイツ下落下傘兵精鋭部隊がイギリス首相チャーチルを誘拐する作戦を実行しようとする話。
    「イーグルハズランデッド」という言葉だけでもうすでにかっこよすぎる。
    登場人物それぞれのキャラクターも無駄なく表現され、シュタイナ中佐もケーニヒもすばらしくかっこよい。残虐なドイツ兵という印象を忘れさせる。
    戦争は無意味なことの積み重ねだと思うが、無駄なことだとわかっていながらやらねばならないことを貫くところに、胸をつく話がうまれるのだとあらためて思わせる作品である。

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    2014年01月08日
  • 鷲は舞い降りた〔完全版〕

    Posted by ブクログ

    これは本当におすすめです!
    いわゆる冒険小説。チャーチルを誘拐するため、ドイツ軍の落下傘部隊がイギリスの田舎町に降り立つ。無慈悲に描かれることが多いナチスのドイツ兵、そのひとりひとりがなんともいえない味を出す。さらにIRA闘士もそこに絡んで。このジャンルを代表する1冊であることは間違いない。ストーリーで読ませる。登場人物の魅力で引き込む。
    タイトルを知りながら、今日まで読んでいなかったことを後悔。
    海外小説は翻訳がいまいちだから、とかなんとか言ってる人は本当におもしろい小説がどんどん流れ落ちていくのでしょうね。

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    2013年12月29日