フランシスの作品の中でもお気に入りの一冊。
フランシスには珍しく、大家族の中の殺人という古典的ミステリを思わせる設定になっていて、円熟した味わい。
父のマルカムは大金持ちで5回も結婚したいう、エネルギッシュで人を惹きつけるオーラのある男性。
主人公のイアンはアマチュア騎手で、気楽な独身生活を楽しむ物
...続きを読む静かな32歳。
5回目の結婚に反対したために、父と疎遠に。
3年後、5番目の妻が何者かに殺され、父も命を狙われて、唯一信頼出来ると感じたイアンに護衛を依頼してきます。
父親と大人になった息子が改めて向き合うという物語にもなっています。
財産を狙う容疑者は、別れた3人の妻、9人もの子供とその配偶者…
警察の捜査は実効が上がらず、度重なる危機にイアンがついに自分だからこそ出来ると家族の性格と心境を調べていくことを決意。
家族の窮境や妄執も鮮やかに描かれていますが、その後にだんだんとそれぞれの心境が変化していくところがとても良くて、何度読んでも心地良いのです。
命を狙われるぐらいなら金を使ってしまおうと考えた父マルカムと凱旋門賞をはじめとする世界の競馬場を回る旅行も、思いっ切り景気が良くて楽しいですよ。