永福一成のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
これは、すごい!と思わず唸らされました。絵のタッチ、そして対決のシーン、場面が切り替わる、主人公が持つ暗黒な部分が浮き出てくる感触…全てが漫画という範疇を超えた作品。帯に「松本大洋大団円を描く」と書かれているように清々しい幕が下りました。対照するのは「バガボンド」と思います。活殺の真実に迫ったのが「バガボンド」なら(武道家や武術家の共感を得られるという意味で)竹光侍はその身体的な感覚をしっかりと表現しているように思います。時に日本画が流れていくようであり、怪談を聴いているようであり、墨絵を目の前に翳されたよう、そして流れる風や雲が本当に流れるよう。
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Posted by ブクログ
巧いんだか、ヘタなんだか解らないような絵だと感じがちだが…
漫画と認識するより、絵画、またはアートっと認識した方が正解かもしれん。
古い漫画を知っている人には「劇画タッチ」っと言った方が解り易いと思う。
なにせ絵が動くように感じる。
原作者は別な人だが、実に見事なほど松本大洋は自分らしさを出している。
主人公の「瀬能宗一郎」は、浮世離れした侍
同じ長屋に住む大工の息子「勘吉」など、子供等に好かれている。
ってことは、悪い人だとは思えんのだが…
だがフっと見せる一面には、何か人知の及ばざる物にとり憑かれている様も見受けられる
それに彼は滅法剣の腕が立つ、それに伴い心も強い。
人は自分の弱さ -
Posted by ブクログ
圧巻。漫画は絵に引っ張られ、吹き出しもあまり目を通さず読んでしまう事がありますが、「竹光侍」は、最後まで、ヒトコマヒトコマじっくり目で読んで、文字も読んで、読みました。そうしないと、作品に失礼な気がしてました。大団円の8巻、刀を振るって人の命を奪う殺生に対して、相反する精神性で在る二人の対峙は、音の無い、静寂の世界でした。漫画は沢山読みますが、この漫画を読んで良かった、なんか、お話の内容云々ではなく、幸せな気分になった、大切な一冊になりました。
二人の死闘の間に、木久地の顔がどくろのように見えてくるのは、彼が死へ向かっている暗示なのか…凄いの一言しかない。 -
Posted by ブクログ
待ってましたの4巻。
初めてこのコミックをみつけた時は、なんで松本大洋が?
と思ったものでしたが、読み始めてから、
きっとずっとこういうのが書きたかったんだなーと感じました。
浦沢直樹が「モンスター」のような作品を描きたかったけれど
その前に「YAWARA!」と「HAPPY!」を描かざるを得なかったように
作家というのは自分が描きたい作品を作るまで
カンタンにはいかない部分があるように思います。
特に巷でよくいわれるように漫画家は編集者の意見が大きいらしいですしね。
オットはいつも「松本大洋絵がめちゃうま!」っていうんですけど
これまでとは絵柄もかなり違い、江戸の雰囲気にとてもあっています -
購入済み
鈴木貫太郎 登場
踊り場にたとえられたレビュアーがいらっしゃいますが、いい得て妙です。
静かな巻ではあるものの、鈴木貫太郎、永田鉄山といった、キーピープルが登場。
鈴木貫太郎といえば、ポツダム宣言受諾の際、阿吽の呼吸で絶妙なタイミングで昭和天皇に、強硬派の目の前で戦争を終わらせる決定的な一言を口にさせた、戦中最後にして最後の江戸時代生まれの総理大臣です。
おくさんは、本編最初から登場した昭和天皇の養育係タカであり、その縁もあって、昭和天皇直々に侍従長就任を頼まれてその座につき、酸いも甘いもともに昭和天皇と分けて、2.26事件では九死に一生を得(そのときのタカの機転がすごい!残念ながら本編ではちゃんと描写されない -
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統帥権干犯問題!
この巻で、例の「統帥権干犯問題」が出てきます。歴史にIFはありませんが、結果論的にいうと、この時に天皇ご自身が「それは統帥権干犯問題ではない、むしろ近代国家として(この時代にはシビリアンコントロールなんて言葉、あるはずないとは思いますが)健全な姿だ」と一言言っていれば、軍部の暴走はある程度抑えられたと、よく歴史論では議論されます(まあそれでも、ルーズベルトが日本を窮状に追い込んで起こさせた、大東亜戦争は止められなかったでしょうが)。注目すべきは、犬養毅と、そして鳩山一郎が、議員であるにもかかわらず、この問題で浜口内閣を吊し上げている点です。犬飼は皮肉にも擁護した海軍将校に銃殺され、鳩山一郎も、
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皇太子と妃の微笑ましい恋愛
物語の途中の挿話として、当時摂政にして皇太子だった昭和天皇と、香淳皇后(当時はまだ良子様)が、宮殿のなかで所構わず手を繋いで歩くのが顰蹙を買った・・・という微笑ましい話が出てきます。この部分は、おそらく実話かと思います。皇太子でいらした令和天皇が、雅子さまをみそめられて、最初雅子さまの方がバリバリのキャリアウーマンらしく、乗る気でない様子でいらしたのに、途中からちゃんと恋愛が始まった感じが報道され始め、めでたく婚約まで漕ぎ着けられたことが思い起こされました。その時に、まだご存命の、昭和天皇を直接ご存じの関係者がいらっしゃる中で、天皇という、いろいろな意味で不可侵な領域に漫画で踏み込むには、相当