永井荷風のレビュー一覧

  • ぼく東綺譚

    Posted by ブクログ

    『つゆのあとさき』が予想外に良かったので、永井荷風の代表作といわれるこちらを。
    1937年(昭和12年)の作品。

    初老の作家が玉の井の私娼窟で若い女と出会い、彼女に過去の幻影を見る、という「男の妄想」みたいな物語。

    銀座のカフェーの女給と比較して、お雪はまだ純朴であると言っているあたり、さんざんカフェーで遊んできたお前が言うなという感じですね。
    芸者を見受けしたこともある荷風が、それを彼女たちのせいにして「失敗だった」というのもまた。

    (126ページ)
     わたくしは若い時から脂粉の巷に入り込み、今にその非を悟らない。或時は事情に捉われて、彼女たちの望むがまま家に納れて箕帚を把らせたことも

    0
    2025年09月10日
  • 日和下駄 一名 東京散策記

    Posted by ブクログ

    いま大阪に単身赴任だが、大阪で古い東京の街並みを散策した永井荷風の手記を読むと、強い郷愁を感じる。
    あぁ、あそこはそんな感じだったのか、と思うと、また行きたくなってしまう。
    ただ、基本的に随筆はあまり読まないので、そういう意味での評価。
    あの街並みの今昔に興味があれば、ぜひ。

    0
    2025年06月08日
  • ぼく東綺譚

    Posted by ブクログ

    昭和初期を舞台にした、老いた小説家の男性と娼婦として生きる女性の淡い恋愛物語

    そう、恋愛物語、、の筈ですが、ただ一時すれ違っただけと言っても良い間柄で、別れ方についても、いくら何でも、もう少しましなやり方があったのでは、、と考えてしまいます。

    当時の路地裏の雑沓の描写が、その匂いまで伝わってくる気がするほど鮮やかでした。また明治、大正、昭和の激動の時代と共に移り変わる価値観についても多く触れられており、「自分の祖父母世代が若い時は年配からこう思われてたのか」などと考えながら興味深く読んでいました。

    0
    2024年09月15日
  • 裸体談義

    匿名

    購入済み

    戦後浅草の劇場に荷風は足しげく通った時期があったという。この作にはそんな経験が相互作用しているように思われる。

    0
    2024年09月05日
  • 葛飾土産

    Posted by ブクログ

    晩年に暮らした千葉を背景とした作品。ほとんどが昭和21年ころに書かれたものだ。戦後の荒れた東京に比べて、江戸川を越えただけで長閑な風景が描かれる。荷風は、そこで暮らす人たちの穏やかでいて逞しく、飢えも貧乏もしたたかに乗り越える姿に惹かれたのだろう。慎ましやかな庶民の何でもない日常が描かれる。
    市川、船橋、江戸川、本八幡など、私にとっても聞きなれた身近な地名がでて来るたびに町の風景も感じながら読んだ。
    荷風作の戯曲が載っていたのは意外だったし、浅草で上演されていたことに、当時にタイムスリップして一度観てみたいと思った。

    0
    2023年01月31日
  • 畦道

    購入済み

    エッセイ風

    田舎、競馬、女性との出会い、思い出。
    歴史的仮名遣いで書かれています。

    0
    2022年05月16日
  • 小説集 吉原の面影

    Posted by ブクログ

    単純に4名の文豪の吉原をテーマの作品を揃えただけかと思いきや、これはこの文庫を企画編集された人のアイディアが面白い。
    まず最初に荷風の「里の今昔」という随筆を持ってきて、その中で江戸の情緒が残る明治期の吉原の思い出を語らせます。
    そしてその随筆内で荷風が推す「当時の吉原が上手く作品に描かれている」として、樋口一葉の「たけくらべ」、広津柳浪「今戸心中」、泉鏡花「註文帳」の3作品を挙げており、それを続けて掲載した一冊という体裁になっています。
    ですので、読み方によっては「永井荷風セレクト吉原アンソロジー」って感じで楽しめる仕上がりです。
    巻末解説(川本さん)に詳しく述べられていますが、3作品それぞ

    0
    2021年07月05日
  • ぼく東綺譚

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    向島を舞台にした小説の中で、向島を舞台にしようと取材している老小説家が、やはり若い女性と交流する筋の小説を書いているという、作中作のような構造を持っている。というより、登場するあらゆる人物はやはり作者荷風自身の像なのであって、正直なところ小説というより、随筆に近いといっていいのではないかと思う。「小説」とする必要性はよくわからないようにも思ったが、それはともかくとして、品格があってすらすらと余裕のある文体は、やはり当時の一流の作家の力量のなせるものだと感じた。恥ずかしいことに荷風先生の作品は他に読んでいないが、おそらく、私が内田百けん先生に対して抱いている感想と同様、この方に関しては小説よりも

    0
    2020年03月10日
  • 日和下駄 一名 東京散策記

    Posted by ブクログ

    これを書いた当時永井荷風は35歳だったわけですが、文章読むと、もう60越えた老成した人が書いてるような貫禄が漂っててビックリしましたね。
    記載されてる内容についても、今の東京に当時と同じように残っている風景、消えてしまった風景とそれぞれあり、当時の荷風と同じ感慨に私もひたれる、面白い読書でした。

    0
    2017年11月02日
  • ぼく東綺譚

    Posted by ブクログ

    東京の下町を夜歩きする話。
    表紙のあらすじだと、私娼のお雪との話が主題にように見えるが、どちらかというとそういった印象を持った。
    第二次世界大戦が起こる三年前に書かれた話で、当時の町の様子がよくわかる。話の最後の方に書いてある、世の中に対する批評があまり今と変わらなくておかしい。
    永井荷風はよく町の中を彷徨っていたらしい。解説に紹介されていた、永井荷風の日記「断腸亭日乗」も読んでみようと思った。

    0
    2016年11月09日
  • ぼく東綺譚

    Posted by ブクログ

    川端康成の「雪国」に似ている。
    今に生きる私の感覚からすると、昭和初期の匂いのする場末の私娼と初老の私の話。

    初老の私は作家、取材に行った先で私娼のお雪と知り合う。その彼が平凡な人生を生きてきた初老の男性が退職金を持って、かつての女中の元に出奔する話を書く。そして、さらに著者の永井荷風がいる三重構造で不思議感はある。

    職業柄男性が訪れ立ち去る女性なのに、自分との馴れ初めを覚えていることから自分を好きではないかと勘繰るところなど男性はいつの時代も変わらないと思った。それに対して女性側も最終的には結婚を匂わせるところも変わらない。男女とは、いつになっても進化しないものなのかもしれない。

    印象

    0
    2016年07月26日
  • ぼく東綺譚

    Posted by ブクログ

    社会人としてはダメなボンボンだった匂いしかしないけど、じっくりと洗練された趣味人だったのだなとは思う。
    あまり同調できなかったが、ある種の深い美しさは感じた。

    0
    2014年11月22日
  • ぼく東綺譚

    Posted by ブクログ

    この作品に描かれる東京は関東大震災後の風情であるから、もう江戸はほとんど残っていない。ここには、日中戦争勃発前の息苦しい世相が見られると同時に、主人公と私娼お雪との交情には心温まるものを感じる。現在はこの息苦しさだけが台頭しつつあるようだ。

    0
    2014年02月06日
  • 日和下駄 一名 東京散策記

    Posted by ブクログ

    荷風ぶらぶら散歩譚。まずは30代で執筆されたとは思えない、頑なに古き東京の景色を愛そうとするその頑固で老成した姿に驚かさせられる。大戦景気が正に始まらんとする大正初期、誰もが色めき立って駆け足になる時代に荷風は独り散策を続け、見落とされた風景、見捨てられた路地に偏愛を注いでいた。『濹東綺譚』の時と同様、声に出す事で趣がより高まる日本語の流れが素晴しい。速読が流行し効率性が重視される現代において、のんびりと景色を眺めながら散歩する歩幅の如くゆっくりと音読を楽しむ行為は、それだけで一つの態度表明たり得るのだ。

    0
    2013年08月15日