永井荷風のレビュー一覧

  • つゆのあとさき・カッフェー一夕話(新潮文庫)

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    後記で谷崎の言っている「書き方に愛想がない」「いまだかつて東京の地方色を意識的に描いたものを見たことがない」という指摘がまさにこの小説の新鮮で面白い要素を現していると思う。三人称で語られるから登場人物に共感する間もなくストーリーに集中出来て読みやすい。

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    2025年06月08日
  • ぼく東綺譚

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    192P

    **永井荷風(ながい かふう)**は、日本の小説家・随筆家・詩人で、近代日本文学を代表する作家の一人です。彼の作品は、東京を舞台にした情緒豊かな描写や、失われゆく江戸文化への愛惜を特徴としています。文学だけでなく、その生き方や思想も注目される人物です。

    1. 生涯

    •生誕: 1879年(明治12年)12月3日、東京・麹町に生まれる。本名は永井壯吉(そうきち)。
    父は高級官僚で裕福な家庭に育ちましたが、早くから西洋文化や芸術に興味を持つようになります。
    •留学と海外生活:
    1903年、フランスやアメリカに留学し、西洋文学や芸術に触れる生活を送ります。この経験が彼の作風や価値観に大

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    2024年12月19日
  • 永井荷風 電子全集1

    匿名

    購入済み

    よい

    三島由紀夫の本で名前が出ていたのを聞いたくらいの、イメージしかないのですが楽しく読めそうです。作品集は素晴らしい

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    2023年01月12日
  • ぼく東綺譚

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    玉の井の私娼窟を舞台とした、永井荷風58歳の作品。荷風が玉の井を実地調査した話は彼の『断腸亭日乗』で読んだが、それがこのような静かな作品として結晶したことに感じ入る。ただ、当時の東京の地誌を知っていれば、もっと深く読めたかな、という感じもする。なので、脚注がないのは少々残念。

    とはいえ、岩波文庫版には木村荘八の挿絵が添えられていて、これは素晴らしかった。文と絵とがセットで、一つの作品なのだと思う。

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    2022年10月01日
  • 日和下駄 一名 東京散策記

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    1913~14年に連載された東京散策記。つまり、関東大震災前の東京の光景が記録されている。

    本書を通読して目を惹くのは、荷風の都市景観論である。たとえば…、

    ・東京に都市美があるとすれば、山の手の樹木と下町の水流である。
    ・駅や官庁といった近代建築は、古社寺の風致と歴史とを傷つけないように、慎重に注意すべきだった。
    ・渡し舟には近代生活では味わえない慰安を覚える

    などなど。これらは、現代の都市景観論でも言われている(だけど、あんまり実現されない)ことだろう。徹底的な個人主義者と言われる荷風が、景観という公共性について踏み込んだ発言をしていることに、興味を惹かれる。

    もっとも、川本三郎氏

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    2022年09月20日
  • ぼく東綺譚

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    自分も東京の下町を一緒に歩いているような錯覚に陥った。挿絵も濹東綺譚の世界へ誘ってくれるような、あの時代の情景が目に浮かび生活の音が聞こえてくるような心地の良い気持ちになった。

    わたくしとお雪とは、互いにその本名も住所も知らずにしまった。ただ濹東の裏町で、一たび別れてしまえば生涯相逢うべき機会も手段もない間柄であるー

    今の時代、SNSを見れば個人情報はダダ漏れ。どんな人となりなのかあっという間にわかってしまう。

    そんなものを持ち合わせていない時代、
    相手の事をほとんど知らぬまま、でも思いだけは残り別離する。そのせつなさがとても上質なものに感じた。


    そして、個人めいめいに他人よりも自分

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    2022年09月19日
  • 小説集 吉原の面影

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    あなた、私の心が見えましょう

    鏡花目的で購入したけれど、この編集考えた人天才。永井荷風の随筆と、そこで紹介された3作品を収録している。
    でもやっぱり鏡花が最高。
    同じテーマでも圧倒的に美しく、優しく、悲しくて幻想的。
    江戸っ子言葉も読んでいてたのしい。

    たけくらべは川上未映子の新訳がでているからそちらで読む予定。昔一回読んだけどあんまり記憶にない。
    あと、雅文が読めないのです。
    広津柳浪は会話が軽快でとても読みやすかった。

    この辺りは田んぼだったとか、今は残っていないお稲荷様とか、昔の浅草を想像して読むのがとても楽しかった。今はもうほとんど面影はないけど、土地勘ある人にはぜひ、みんなにす

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    2021年07月13日
  • ぼく東綺譚

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    散策中の雨が偶然出逢わせた、歳の離れた男女。暖かく心を通わせだす。

    通う男の洒脱な言い訳は、小説の取材。作品と現実が微かに重なる、夕暮れの季節。

    昭和初期の景色や匂いを感じさせる克明な描写が、心をタイムスリップさせてくれる。

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    2020年03月28日
  • ぼく東綺譚

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    彩りが気に入った。

    読書の傾向について、他人の影響を受けて食わず嫌いになってる分野というのは得てしてあり、私の場合は永井荷風は親が今一ついい顔をしてなかったからか、手をつけないまま忘れた作家のひとりになっていた。今では不明を恥じるばかりだが。
    それでも、ひょんなことから代表作である本作を今さら手に取る。ああ、でもこれは若い頃に読んでも判らなかっただろうなあ。この年になって読むから、荷風が歩いた世界がカラーで甦る気がするのだ。二・二六事件が起きた昭和11年頃の向島・玉の井を、中の人になれない目線で描いているのだが、実に良い彩りなのだ。なんというか。もっとも、エリートの家に生まれた荷風のこの世捨

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    2019年09月26日
  • ぼく東綺譚

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    永井荷風の代表作にして、文学史上に残る有名作。この作家の作品は、今回がはじめてである。読んでみてまず思ったのは、「これは小説なのだろうか?」ということ。これはべつに批判ではなく、主人公・大江匡(=荷風?)が向島や玉の井の界隈を散策するさまが軽快な筆致で描かれており、まるで日記や随筆を読んでいるような感覚に陥る。お雪との逢瀬など、それなりに起伏はあるものの、それだけといえばそれだけで、話らしい話はあまりないともいえ、そういう意味でも「小説」感は薄い。ただ、さすがにこれだけ名が知れ渡っているのにはやはり理由があり、だからといってつまらないなどということはまったくなく、ありのままを噓偽りなく描き出し

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    2017年09月20日
  • ぼく東綺譚

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    今から74年前、スカイツリーのお膝元が舞台のお話。

    定期的だが、約束もなくふらっとやってくる客。やがてその客はさよならもいわずに来なくなる。来なくなる理由がある。去るものは追わず。

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    2019年01月16日
  • 日和下駄 一名 東京散策記

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    永井 荷風氏と一緒に東京を歩いているような気になれる。
    当時としては「あたりまえ」の風景が、
    目の前にうかぶようで、なんだか心地よい。

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    2009年10月04日
  • つゆのあとさき・カッフェー一夕話(新潮文庫)

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    ネタバレ

    銀座の有名カッフェー「ドンフワン」でトップをはる女給・君江はうぶで素人のような雰囲気ながら二股三股も平気な女。そんな彼女の周囲でストーカーのような出来事が…。しかし君江は相も変わらず天性のあざとさで男たちを翻弄していく。「つゆのあとさき」。

    永井荷風が女給・お蔦の身の上話を聞き取った小品。「カッフェー一夕話」。

    永井荷風ははじめて読んだ。『つゆのあとさき』って題名のイメージとは違う作品。とても面白かった。男たちを翻弄する君江が良い。昭和6年にこんな作品があった事もビックリ。

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    2025年09月30日
  • ぼく東綺譚

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    ネタバレ

    取材の為に訪れた私娼窟で小説家の大江匡はお雪という女に出会い、やがて足繁く通うようになる。

    新潮文庫で最初に読んで、ちょっと分かりにくい感じだったので、すぐに岩波文庫で再読。雰囲気がなんとなく良い感じで好み。当時の東京の様子やちょっとした皮肉のような感じも良いな。また読みたくなるような本でした。

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    2025年09月29日
  • 断腸亭日乗 三 昭和四―七年

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    以下は、「断腸亭日乗(三)」の読書日記である。気に入った箇所を書写し、感想を添える。
    昭和の初めの頃の東京を、此処迄色濃く遺した文学は他にはない。永井荷風。親の遺産を運用して、気侭に帝都を闊歩する作家であり自由人であり放蕩人であり、50うん歳にして自らを晩年と称す心配性の知識人である。
    7500字超のレビューと相なった。読者の時間を奪うことは私の本意ではない。薄目で日記を眺め、興味ある項目のみを読むこと奨励す。

    R07/08/29 「残暑厳し‥‥とはいつ迄言わなくちゃいけないのでしょうね」「彼岸まで、じゃないですか」「甘いと思うわ」という会話が交わされた日

    昭和四年
    正月初九 晴れて好き

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    2025年09月24日
  • 断腸亭日乗 三 昭和四―七年

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     女性を見下しつつ、女性との性的な関わりを楽しみ、いかがわしい場所への出入りを繰り返しつつ、こんないかがわしい女性の生き方が横行する現代は嘆かわしい、と、しきりに嘆く。なら、女遊びするな! このスケベジジイが! と読んでて苛々するのだが、まあとっくの昔に死んでる爺さんに苛々してもしょうがないので、この日記に描かれた昭和四年から七年にかけての東京の姿を楽しむ読み方で、一ヶ月以上かけてなんとか読み終わった。昭和七年になると荷風の日記の方針が大きく変わり、イラストを多用するようになる。なかなか絵心あるイラストで楽しい。

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    2025年06月27日
  • つゆのあとさき・カッフェー一夕話(新潮文庫)

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    「つゆのあとさき」というと
    さだまさしの歌を思い出す
    それだけに惹かれて手にしてみた
    永井荷風という作家には今まで触れたこともなく
    はっきりいって知らなかった
    お恥ずかしい限り

    昭和初期の女給のお話し
    お金のためではなく、
    そもそもが女給である彼女
    モテるのは良いが、
    なかなかのトラブルも抱えてしまう
    いつの世も同じようなことが繰り返されているのかもしれないと思える
    なんだか昭和初期の方の小説のような気がしない
    かえって新しい

    そして、あとがきを読んで“ほ〜“とおもう
    川端康成と、谷崎潤一郎が書いている!
    そしてそして、なんだか厳しいご意見を‥
    こっちの方が興味深い

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    2025年05月29日
  • 断腸亭日乗 二 大正十五―昭和三年

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     今年(二〇二五年)の初めから第二巻を読み始め、読み終わったのは三月の終わり。赤の他人の日記、しかも百年近く前のものを読むのは、面白いんだけど、途切れ途切れに数ヶ月かけて読むくらいでちょうどいいのかも。さてこの第二巻は大正十五年から昭和三年まで。荷風四十八歳から五十歳にかけての日記。約百年前と考えれば、まあそうか、とも思うけれども、荷風はやたら死を意識している。そのくせ、自分でも認めているように、これといった症状は特になく、せいぜいタンパク尿を指摘されているくらいだ。そして、やたら死ぬ死ぬといい、自分の若い頃の原稿を川にわざとらしく放り投げてみたりするくせに、自分よりもはるかに若い女の子たち(

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    2025年03月31日
  • ぼく東綺譚

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    老境にさしかかった男が、芸者と仲良くなる話。

    特別、筋に目をみはる所はなく、男の心境小説とでもいう所か。

    端正な文章に魅力があるので読めた。

    あとがきがやたら長い。

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    2025年01月20日
  • 断腸亭日乗(一) 大正六―十四年

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    以下は「断腸亭日乗」マイ読書日記なり。

    R06/07/26、炎天。車中温度37度を超える。
    荷風の断腸亭日記を紐解く。全9巻の岩波文庫化は初めての由。1巻目は大正6(1917)年39歳より、大正14(1925)年迄。手許にあることに意義を感じ買い求めしが、ざっと読むことを自らに課す。校注は豊富な人名紹介あり。疑問に答えて秀逸。
    難漢字多し。努力したが、書き写さなかったのは◯とせし。
    大正7年日記については、既にレビュー済み。8月の米騒動勃発から、友人来りて3日間「時事を談じて世間を痛罵」している。何を語ったのか。

    R06/07/27、酷暑。朝、室温31度より下がらず。
    大正7年11月21日

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    2024年08月04日