永井荷風のレビュー一覧

  • 永井荷風 電子全集1

    よい

    三島由紀夫の本で名前が出ていたのを聞いたくらいの、イメージしかないのですが楽しく読めそうです。作品集は素晴らしい
  • ぼく東綺譚
    玉の井の私娼窟を舞台とした、永井荷風58歳の作品。荷風が玉の井を実地調査した話は彼の『断腸亭日乗』で読んだが、それがこのような静かな作品として結晶したことに感じ入る。ただ、当時の東京の地誌を知っていれば、もっと深く読めたかな、という感じもする。なので、脚注がないのは少々残念。

    とはいえ、岩波文庫版...続きを読む
  • 日和下駄 一名 東京散策記
    1913~14年に連載された東京散策記。つまり、関東大震災前の東京の光景が記録されている。

    本書を通読して目を惹くのは、荷風の都市景観論である。たとえば…、

    ・東京に都市美があるとすれば、山の手の樹木と下町の水流である。
    ・駅や官庁といった近代建築は、古社寺の風致と歴史とを傷つけないように、慎重...続きを読む
  • ぼく東綺譚
    自分も東京の下町を一緒に歩いているような錯覚に陥った。挿絵も濹東綺譚の世界へ誘ってくれるような、あの時代の情景が目に浮かび生活の音が聞こえてくるような心地の良い気持ちになった。

    わたくしとお雪とは、互いにその本名も住所も知らずにしまった。ただ濹東の裏町で、一たび別れてしまえば生涯相逢うべき機会も手...続きを読む
  • 小説集 吉原の面影
    あなた、私の心が見えましょう

    鏡花目的で購入したけれど、この編集考えた人天才。永井荷風の随筆と、そこで紹介された3作品を収録している。
    でもやっぱり鏡花が最高。
    同じテーマでも圧倒的に美しく、優しく、悲しくて幻想的。
    江戸っ子言葉も読んでいてたのしい。

    たけくらべは川上未映子の新訳がでているから...続きを読む
  • ぼく東綺譚
    散策中の雨が偶然出逢わせた、歳の離れた男女。暖かく心を通わせだす。

    通う男の洒脱な言い訳は、小説の取材。作品と現実が微かに重なる、夕暮れの季節。

    昭和初期の景色や匂いを感じさせる克明な描写が、心をタイムスリップさせてくれる。
  • ぼく東綺譚
    彩りが気に入った。

    読書の傾向について、他人の影響を受けて食わず嫌いになってる分野というのは得てしてあり、私の場合は永井荷風は親が今一ついい顔をしてなかったからか、手をつけないまま忘れた作家のひとりになっていた。今では不明を恥じるばかりだが。
    それでも、ひょんなことから代表作である本作を今さら手に...続きを読む
  • ぼく東綺譚
    永井荷風の代表作にして、文学史上に残る有名作。この作家の作品は、今回がはじめてである。読んでみてまず思ったのは、「これは小説なのだろうか?」ということ。これはべつに批判ではなく、主人公・大江匡(=荷風?)が向島や玉の井の界隈を散策するさまが軽快な筆致で描かれており、まるで日記や随筆を読んでいるような...続きを読む
  • ぼく東綺譚
    NHKのテレビ番組でJブンガクというものがあります。
    2010年の6月に'東奇譚を紹介していたので読み直しました。

    お雪は片靨(えくぼ)を寄せて笑顔をつくったばかりで,何とも言わなかった。

    というくだりを

    Oyuki flashed a dimpled smile, but kept her ...続きを読む
  • ぼく東綺譚
    今から74年前、スカイツリーのお膝元が舞台のお話。

    定期的だが、約束もなくふらっとやってくる客。やがてその客はさよならもいわずに来なくなる。来なくなる理由がある。去るものは追わず。
  • 日和下駄 一名 東京散策記
    永井 荷風氏と一緒に東京を歩いているような気になれる。
    当時としては「あたりまえ」の風景が、
    目の前にうかぶようで、なんだか心地よい。
  • ぼく東綺譚
    特に何が面白かった訳でもないし、言葉も言い回しも聞き慣れない日本語でしたが、最後まで読めた。
    なんとも雰囲気のある大人な作品でした。
    また落ち着いてじっくり読もうと思う。
  • ぼく東綺譚
    昭和初期の玉乃井(現在の東向島)の私娼窟が舞台で、若い娼婦と壮年の物書き叔父さん(モデル荷風)の小物語。
    祖父の育った場所だが、空襲で風情が残ってないのが残念…。
    ドブの匂いと蚊の羽音と熱帯夜…憧れはしないが懐かしい…。
  • 裸体談義

    戦後東京の見世物や演劇について

    戦後日本の娯楽や風俗の変遷について批判まじりに淡々と書かれています。
    面白いと感じるかは人によると思いますが、こんな時代があったのかと興味深く読みました。
    短いのですぐに読めます。
    扇情的な内容はありませんでした。
  • ぼく東綺譚
    オトラジシリーズ。
    何てしっとりとしていてアダルトな物語なんだろう。
    艶っぽいというのはこういうことなんだなと感じる。
  • ぼく東綺譚
    1937年刊行。
    永井荷風58歳の作品にして、氏の最高傑作と称される作品です。
    この頃は既に作家として文壇上成功し、『あめりか物語』、『ふらんす物語』を代表する名著を生み出した後です。
    旺盛な創作活動と、ストイックな江戸期の文人の研究を重ねた後、往年、荷風は、銀座のカフェーに興味を持ち始めます。
    ...続きを読む
  • 葛飾土産
    目次
    ・にぎり飯
    ・心づくし
    ・秋の女
    ・買出し
    ・人妻
    ・羊羹
    ・腕時計
    ・或夜
    ・噂ばなし
    ・靴
    ・畦道
    ・停電の夜の出来事
    ・春情鳩の街
    ・葛飾土産
    ・細雪妄評
    ・木犀の花
    ・東京風俗ばなし
    ・裸体談義
    ・宮城環景
    ・葛飾土産 久保田万太郎
    ・敗荷落日 石川淳

    戦後の作品を集めた作品集。
    ...続きを読む
  • ぼく東綺譚
    わたしには、主人公の気持ちが分からなかった…
    読むにつれて、本心じゃないことを、言い訳してるんじゃないかって思った
    わたしがまだ、お雪さんくらいの年齢だから?
    恋愛に年齢は関係ないと言われるようになったのが、最近だから?
    話が進むにつれて、切なかった
    切ないけど、しょうがないんだって、思える終わり方...続きを読む
  • ぼく東綺譚
    1930年代、戦間期の風俗がよくわかる
    玉の井の生活音や匂い、蚊の喧騒から艶やかな睦言まで聞こえてくるように香り立つ文章である。
    濹東綺譚を読んだ私は、見たこともない玉の井の光景を脳内に再建してはそれに懸想する。

    1992年の映画版『濹東綺譚』もお勧め
    お雪(墨田ユキ)の軽やかな美しさに溜息を禁じ...続きを読む
  • 麻布襍記 附・自選荷風百句
    171ページの「花火」に、「国民が国家に対して「万歳」と呼ぶ言葉を覚えたのも確か此の時から始ったように記憶している」とある。
    国民統合のために国家なる擬制的な組織に対して意図して忠誠を誓わせる儀式として、「万歳」が必要だったのだろう。