永井荷風のレビュー一覧
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**永井荷風(ながい かふう)**は、日本の小説家・随筆家・詩人で、近代日本文学を代表する作家の一人です。彼の作品は、東京を舞台にした情緒豊かな描写や、失われゆく江戸文化への愛惜を特徴としています。文学だけでなく、その生き方や思想も注目される人物です。
1. 生涯
•生誕: 1879年(明治12年)12月3日、東京・麹町に生まれる。本名は永井壯吉(そうきち)。
父は高級官僚で裕福な家庭に育ちましたが、早くから西洋文化や芸術に興味を持つようになります。
•留学と海外生活:
1903年、フランスやアメリカに留学し、西洋文学や芸術に触れる生活を送ります。この経験が彼の作風や価値観に大 -
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1913~14年に連載された東京散策記。つまり、関東大震災前の東京の光景が記録されている。
本書を通読して目を惹くのは、荷風の都市景観論である。たとえば…、
・東京に都市美があるとすれば、山の手の樹木と下町の水流である。
・駅や官庁といった近代建築は、古社寺の風致と歴史とを傷つけないように、慎重に注意すべきだった。
・渡し舟には近代生活では味わえない慰安を覚える
などなど。これらは、現代の都市景観論でも言われている(だけど、あんまり実現されない)ことだろう。徹底的な個人主義者と言われる荷風が、景観という公共性について踏み込んだ発言をしていることに、興味を惹かれる。
もっとも、川本三郎氏 -
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自分も東京の下町を一緒に歩いているような錯覚に陥った。挿絵も濹東綺譚の世界へ誘ってくれるような、あの時代の情景が目に浮かび生活の音が聞こえてくるような心地の良い気持ちになった。
わたくしとお雪とは、互いにその本名も住所も知らずにしまった。ただ濹東の裏町で、一たび別れてしまえば生涯相逢うべき機会も手段もない間柄であるー
今の時代、SNSを見れば個人情報はダダ漏れ。どんな人となりなのかあっという間にわかってしまう。
そんなものを持ち合わせていない時代、
相手の事をほとんど知らぬまま、でも思いだけは残り別離する。そのせつなさがとても上質なものに感じた。
そして、個人めいめいに他人よりも自分 -
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あなた、私の心が見えましょう
鏡花目的で購入したけれど、この編集考えた人天才。永井荷風の随筆と、そこで紹介された3作品を収録している。
でもやっぱり鏡花が最高。
同じテーマでも圧倒的に美しく、優しく、悲しくて幻想的。
江戸っ子言葉も読んでいてたのしい。
たけくらべは川上未映子の新訳がでているからそちらで読む予定。昔一回読んだけどあんまり記憶にない。
あと、雅文が読めないのです。
広津柳浪は会話が軽快でとても読みやすかった。
この辺りは田んぼだったとか、今は残っていないお稲荷様とか、昔の浅草を想像して読むのがとても楽しかった。今はもうほとんど面影はないけど、土地勘ある人にはぜひ、みんなにす -
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彩りが気に入った。
読書の傾向について、他人の影響を受けて食わず嫌いになってる分野というのは得てしてあり、私の場合は永井荷風は親が今一ついい顔をしてなかったからか、手をつけないまま忘れた作家のひとりになっていた。今では不明を恥じるばかりだが。
それでも、ひょんなことから代表作である本作を今さら手に取る。ああ、でもこれは若い頃に読んでも判らなかっただろうなあ。この年になって読むから、荷風が歩いた世界がカラーで甦る気がするのだ。二・二六事件が起きた昭和11年頃の向島・玉の井を、中の人になれない目線で描いているのだが、実に良い彩りなのだ。なんというか。もっとも、エリートの家に生まれた荷風のこの世捨 -
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永井荷風の代表作にして、文学史上に残る有名作。この作家の作品は、今回がはじめてである。読んでみてまず思ったのは、「これは小説なのだろうか?」ということ。これはべつに批判ではなく、主人公・大江匡(=荷風?)が向島や玉の井の界隈を散策するさまが軽快な筆致で描かれており、まるで日記や随筆を読んでいるような感覚に陥る。お雪との逢瀬など、それなりに起伏はあるものの、それだけといえばそれだけで、話らしい話はあまりないともいえ、そういう意味でも「小説」感は薄い。ただ、さすがにこれだけ名が知れ渡っているのにはやはり理由があり、だからといってつまらないなどということはまったくなく、ありのままを噓偽りなく描き出し
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荷風の日記である。第4巻。昭和8年から10年。日中戦争は泥沼に嵌りつつあり、街頭では右翼壮士が戦局拡大をあじり、庶民自ら戦争に突き進んでいる。其の中で荷風は、世捨て人として過ごしている。
⸺これは「断腸亭日乗」読書日記である。気に入った箇所を書写し感想を添える。備忘録として記していた為に文字数は約一万一千字となってしまった。これよりのちはスルーしても良し、適当に摘み食いしても良し。お任せ致します。
R08/03/18春寒く雨降る
今日、川本「荷風の昭和」レビュー上梓。やっと日乗4巻目に手をつける。読み終えるはいつの日か。
昭和八年
・正月2日。曇りてさむし。
元旦は墓掃除・参りで終わる。い -
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太平洋戦争開戦の少し前ぐらいだろうか。その頃の東京・玉の井(今の墨田区の一部)の私娼窟を舞台にした小説。
永井荷風本人と、本作の主人公大江匡、そして大江が書く小説の主人公が重なっている。
大江は、自宅では近所のラジオがうるさいし、外にもいられないとかなんやかやこじつけて玉の井を徘徊し、一人の女と交流する。不自然にならないように身をやつして、非日常を楽しんでいるようでもあり、一時的と理解していながらも本来の居場所のように感じているようでもある。
当時の東京の地理、交通、風俗がいきいきと残っている。
文体が良くてじんわりと読める。ときどき漢文調になるのもこの時代らしい。