永井荷風のレビュー一覧
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戦後東京の見世物や演劇について
戦後日本の娯楽や風俗の変遷について批判まじりに淡々と書かれています。
面白いと感じるかは人によると思いますが、こんな時代があったのかと興味深く読みました。
短いのですぐに読めます。
扇情的な内容はありませんでした。 -
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1937年刊行。
永井荷風58歳の作品にして、氏の最高傑作と称される作品です。
この頃は既に作家として文壇上成功し、『あめりか物語』、『ふらんす物語』を代表する名著を生み出した後です。
旺盛な創作活動と、ストイックな江戸期の文人の研究を重ねた後、往年、荷風は、銀座のカフェーに興味を持ち始めます。
このころ流行だった"カフェー"は、現在でいういわゆるカフェではなく、接客サービスを行う女性がいるお酒を提供するお店、つまりは風俗店でした。
夜の街を鮮やかにテラスカフェーは、この頃の荷風の作品に度々登場します。
カフェーに出入りした経験を元にした作品により収入を得た荷風は、東京・向 -
Posted by ブクログ
ネタバレ目次
・にぎり飯
・心づくし
・秋の女
・買出し
・人妻
・羊羹
・腕時計
・或夜
・噂ばなし
・靴
・畦道
・停電の夜の出来事
・春情鳩の街
・葛飾土産
・細雪妄評
・木犀の花
・東京風俗ばなし
・裸体談義
・宮城環景
・葛飾土産 久保田万太郎
・敗荷落日 石川淳
戦後の作品を集めた作品集。
東京大空襲の後、離れ離れになった家族を探すシーンが、東日本大震災の津波と重なってしまう。
呆然と立ち尽くし、行方の知れない家族を探し、あきらめがつくということもなく、だけど日々を生きていかなければならない。
誰を怨むことの出来ない自然災害でも気持ちの持って行き場がないのに、戦争という人災で家族を喪うっ -
購入済み
昔の街が見える
今まで読んだことのない、永井荷風。
墨東綺譚を読んでから、昔の言葉使い、漢字が何とも新鮮な‼️嬉しくなる街の描写。
この頃の地図が有れば、いいのですけど。取り敢えず、現代の地図を開きながら読んでいます。
益々、街歩きが愉しくなりますね🎵
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Posted by ブクログ
『つゆのあとさき』が予想外に良かったので、永井荷風の代表作といわれるこちらを。
1937年(昭和12年)の作品。
初老の作家が玉の井の私娼窟で若い女と出会い、彼女に過去の幻影を見る、という「男の妄想」みたいな物語。
銀座のカフェーの女給と比較して、お雪はまだ純朴であると言っているあたり、さんざんカフェーで遊んできたお前が言うなという感じですね。
芸者を見受けしたこともある荷風が、それを彼女たちのせいにして「失敗だった」というのもまた。
(126ページ)
わたくしは若い時から脂粉の巷に入り込み、今にその非を悟らない。或時は事情に捉われて、彼女たちの望むがまま家に納れて箕帚を把らせたことも