永井荷風のレビュー一覧

  • ぼく東綺譚
    短編で読みやすく、素敵な終わり方。挿絵も 小説のイメージを 壊さず、自分のなかで 映像化しやすかった


    再読する時は 江藤淳「荷風散策」を読んでからにする

  • 深川の散歩

    昔の街が見える

    今まで読んだことのない、永井荷風。
    墨東綺譚を読んでから、昔の言葉使い、漢字が何とも新鮮な‼️嬉しくなる街の描写。
    この頃の地図が有れば、いいのですけど。取り敢えず、現代の地図を開きながら読んでいます。
    益々、街歩きが愉しくなりますね🎵
  • ぼく東綺譚
     日記を除けば、もしかしたら初荷風だったかもしれない。読み始めのころは、うっかり日ごろ愛読している鏡花と比較してしまい(ばかなことを!)、「あまり好きではないな」などと不遜にも鼻を鳴らしたものである。だがページを繰っていけば、シニカルであると同時に、捨て置かれない愛すべき愚直さともいうべきレンズの存...続きを読む
  • ぼく東綺譚
    1936年(昭和11年)頃の濹東(造語。墨田堤の東北)。中年作家と私娼との出会いと別れの物語。
    淡く儚い、まるで桜のような作品で、一文一文がそよそよと舞い散る花びらのようだった。
    挿絵がまた何とも!
  • ぼく東綺譚
    私娼との出会いと別れと書くとエログロドロドロなストーリーを連想するが真逆。サラッとしたほのかな風情が感じられる。
  • ぼく東綺譚
    恥ずかしながら、永井荷風の作品を初めて読んだ。天気や場所を写す文章が秀逸。
    主人公とお雪の儚い交わりを、恋愛と呼んでいいのか。二人の心情や、歯がゆい結末、全てが、大人の小説といった感じ。
    (2015.1)
  • ぼく東綺譚
    小説家・大江が隅田川の東岸界隈(濹東)で偶然出会った「売笑婦」に惚れ込んで、自らの身分を隠して通い詰める。

    主人公に対する女の心情の細やかな変化とか、それを感じて切ない疚しさを覚えはじめる主人公の心理描写とかが珠玉。

    永井荷風は本当に女が好きだったんだろうと思う。谷崎といい、本当の女好きが書...続きを読む
  • あめりか物語
    煌びやかなアメリカへの憧憬と突きつけられた現実。
    人間の生が息づいている。 観察眼に優れていて内面は深く豊かな考察をしながら、その表現は鮮やかで鋭い。
  • ぼく東綺譚
    永井荷風による昭和11年に執筆された小説。私にはこれは玉ノ井についての最も叙情的な叙事詩のように思われた。

    この小説の特徴は、東京・玉ノ井の叙情的な描写と私小説が入れ子になったような物語構造にある。
    だが私には主人公大江とお雪の慕情がどうしても重要なものと思えなかった。

    小説家大江匡と玉ノ井の娼...続きを読む
  • ぼく東綺譚
    買わずに青空文庫のをiPadで。
    なんか波長がぴったりで、しっくりくる感じ。
    たぶん、読み返すでしょう。
  • 葛飾土産
    晩年に暮らした千葉を背景とした作品。ほとんどが昭和21年ころに書かれたものだ。戦後の荒れた東京に比べて、江戸川を越えただけで長閑な風景が描かれる。荷風は、そこで暮らす人たちの穏やかでいて逞しく、飢えも貧乏もしたたかに乗り越える姿に惹かれたのだろう。慎ましやかな庶民の何でもない日常が描かれる。
    市川、...続きを読む
  • 畦道

    エッセイ風

    田舎、競馬、女性との出会い、思い出。
    歴史的仮名遣いで書かれています。
  • 小説集 吉原の面影
    単純に4名の文豪の吉原をテーマの作品を揃えただけかと思いきや、これはこの文庫を企画編集された人のアイディアが面白い。
    まず最初に荷風の「里の今昔」という随筆を持ってきて、その中で江戸の情緒が残る明治期の吉原の思い出を語らせます。
    そしてその随筆内で荷風が推す「当時の吉原が上手く作品に描かれている」と...続きを読む
  • ぼく東綺譚
    向島を舞台にした小説の中で、向島を舞台にしようと取材している老小説家が、やはり若い女性と交流する筋の小説を書いているという、作中作のような構造を持っている。というより、登場するあらゆる人物はやはり作者荷風自身の像なのであって、正直なところ小説というより、随筆に近いといっていいのではないかと思う。「小...続きを読む
  • 日和下駄 一名 東京散策記
    これを書いた当時永井荷風は35歳だったわけですが、文章読むと、もう60越えた老成した人が書いてるような貫禄が漂っててビックリしましたね。
    記載されてる内容についても、今の東京に当時と同じように残っている風景、消えてしまった風景とそれぞれあり、当時の荷風と同じ感慨に私もひたれる、面白い読書でした。
  • ぼく東綺譚
    東京の下町を夜歩きする話。
    表紙のあらすじだと、私娼のお雪との話が主題にように見えるが、どちらかというとそういった印象を持った。
    第二次世界大戦が起こる三年前に書かれた話で、当時の町の様子がよくわかる。話の最後の方に書いてある、世の中に対する批評があまり今と変わらなくておかしい。
    永井荷風はよく町の...続きを読む
  • ぼく東綺譚
    川端康成の「雪国」に似ている。
    今に生きる私の感覚からすると、昭和初期の匂いのする場末の私娼と初老の私の話。

    初老の私は作家、取材に行った先で私娼のお雪と知り合う。その彼が平凡な人生を生きてきた初老の男性が退職金を持って、かつての女中の元に出奔する話を書く。そして、さらに著者の永井荷風がいる三重構...続きを読む
  • ぼく東綺譚
    社会人としてはダメなボンボンだった匂いしかしないけど、じっくりと洗練された趣味人だったのだなとは思う。
    あまり同調できなかったが、ある種の深い美しさは感じた。
  • ぼく東綺譚
    この作品に描かれる東京は関東大震災後の風情であるから、もう江戸はほとんど残っていない。ここには、日中戦争勃発前の息苦しい世相が見られると同時に、主人公と私娼お雪との交情には心温まるものを感じる。現在はこの息苦しさだけが台頭しつつあるようだ。
  • ぼく東綺譚
    濡れ場が全く描かれていなくても、行間から湿っぽいエロスが立ち上る。爺さんが若い女にモテてドヤァっていう顔もついでに立ち上る。背徳的なヨロコンデルっていう感情を、如何に婉曲に表現するかに腐心しているように見えた。小難しく書くなエロ親父と言いたくもなる。