永井荷風のレビュー一覧

  • ぼく東綺譚

    Posted by ブクログ

    太平洋戦争開戦の少し前ぐらいだろうか。その頃の東京・玉の井(今の墨田区の一部)の私娼窟を舞台にした小説。
    永井荷風本人と、本作の主人公大江匡、そして大江が書く小説の主人公が重なっている。
    大江は、自宅では近所のラジオがうるさいし、外にもいられないとかなんやかやこじつけて玉の井を徘徊し、一人の女と交流する。不自然にならないように身をやつして、非日常を楽しんでいるようでもあり、一時的と理解していながらも本来の居場所のように感じているようでもある。
    当時の東京の地理、交通、風俗がいきいきと残っている。
    文体が良くてじんわりと読める。ときどき漢文調になるのもこの時代らしい。

    0
    2026年01月04日
  • ぼく東綺譚

    Posted by ブクログ

    荷風は、白く綺麗な布地に些細な汚れを認めることを良しとせず、薄汚れた布にあでやかさの名残を探すような心づもりで本作を書いたようです。その雰囲気は岩波文庫版の挿絵や私家版の写真によく表れていると思います。

    0
    2026年01月03日
  • つゆのあとさき・カッフェー一夕話(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    銀座の有名カッフェー「ドンフワン」でトップをはる女給・君江はうぶで素人のような雰囲気ながら二股三股も平気な女。そんな彼女の周囲でストーカーのような出来事が…。しかし君江は相も変わらず天性のあざとさで男たちを翻弄していく。「つゆのあとさき」。

    永井荷風が女給・お蔦の身の上話を聞き取った小品。「カッフェー一夕話」。

    永井荷風ははじめて読んだ。『つゆのあとさき』って題名のイメージとは違う作品。とても面白かった。男たちを翻弄する君江が良い。昭和6年にこんな作品があった事もビックリ。

    0
    2025年09月30日
  • ぼく東綺譚

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    取材の為に訪れた私娼窟で小説家の大江匡はお雪という女に出会い、やがて足繁く通うようになる。

    新潮文庫で最初に読んで、ちょっと分かりにくい感じだったので、すぐに岩波文庫で再読。雰囲気がなんとなく良い感じで好み。当時の東京の様子やちょっとした皮肉のような感じも良いな。また読みたくなるような本でした。

    0
    2025年09月29日
  • 断腸亭日乗 三 昭和四―七年

    Posted by ブクログ

    以下は、「断腸亭日乗(三)」の読書日記である。気に入った箇所を書写し、感想を添える。
    昭和の初めの頃の東京を、此処迄色濃く遺した文学は他にはない。永井荷風。親の遺産を運用して、気侭に帝都を闊歩する作家であり自由人であり放蕩人であり、50うん歳にして自らを晩年と称す心配性の知識人である。
    7500字超のレビューと相なった。読者の時間を奪うことは私の本意ではない。薄目で日記を眺め、興味ある項目のみを読むこと奨励す。

    R07/08/29 「残暑厳し‥‥とはいつ迄言わなくちゃいけないのでしょうね」「彼岸まで、じゃないですか」「甘いと思うわ」という会話が交わされた日

    昭和四年
    正月初九 晴れて好き

    0
    2025年09月24日
  • 断腸亭日乗 三 昭和四―七年

    Posted by ブクログ

     女性を見下しつつ、女性との性的な関わりを楽しみ、いかがわしい場所への出入りを繰り返しつつ、こんないかがわしい女性の生き方が横行する現代は嘆かわしい、と、しきりに嘆く。なら、女遊びするな! このスケベジジイが! と読んでて苛々するのだが、まあとっくの昔に死んでる爺さんに苛々してもしょうがないので、この日記に描かれた昭和四年から七年にかけての東京の姿を楽しむ読み方で、一ヶ月以上かけてなんとか読み終わった。昭和七年になると荷風の日記の方針が大きく変わり、イラストを多用するようになる。なかなか絵心あるイラストで楽しい。

    0
    2025年06月27日
  • つゆのあとさき・カッフェー一夕話(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    「つゆのあとさき」というと
    さだまさしの歌を思い出す
    それだけに惹かれて手にしてみた
    永井荷風という作家には今まで触れたこともなく
    はっきりいって知らなかった
    お恥ずかしい限り

    昭和初期の女給のお話し
    お金のためではなく、
    そもそもが女給である彼女
    モテるのは良いが、
    なかなかのトラブルも抱えてしまう
    いつの世も同じようなことが繰り返されているのかもしれないと思える
    なんだか昭和初期の方の小説のような気がしない
    かえって新しい

    そして、あとがきを読んで“ほ〜“とおもう
    川端康成と、谷崎潤一郎が書いている!
    そしてそして、なんだか厳しいご意見を‥
    こっちの方が興味深い

    0
    2025年05月29日
  • 断腸亭日乗 二 大正十五―昭和三年

    Posted by ブクログ

     今年(二〇二五年)の初めから第二巻を読み始め、読み終わったのは三月の終わり。赤の他人の日記、しかも百年近く前のものを読むのは、面白いんだけど、途切れ途切れに数ヶ月かけて読むくらいでちょうどいいのかも。さてこの第二巻は大正十五年から昭和三年まで。荷風四十八歳から五十歳にかけての日記。約百年前と考えれば、まあそうか、とも思うけれども、荷風はやたら死を意識している。そのくせ、自分でも認めているように、これといった症状は特になく、せいぜいタンパク尿を指摘されているくらいだ。そして、やたら死ぬ死ぬといい、自分の若い頃の原稿を川にわざとらしく放り投げてみたりするくせに、自分よりもはるかに若い女の子たち(

    0
    2025年03月31日
  • ぼく東綺譚

    Posted by ブクログ

    老境にさしかかった男が、芸者と仲良くなる話。

    特別、筋に目をみはる所はなく、男の心境小説とでもいう所か。

    端正な文章に魅力があるので読めた。

    あとがきがやたら長い。

    0
    2025年01月20日
  • 断腸亭日乗(一) 大正六―十四年

    Posted by ブクログ

    以下は「断腸亭日乗」マイ読書日記なり。

    R06/07/26、炎天。車中温度37度を超える。
    荷風の断腸亭日記を紐解く。全9巻の岩波文庫化は初めての由。1巻目は大正6(1917)年39歳より、大正14(1925)年迄。手許にあることに意義を感じ買い求めしが、ざっと読むことを自らに課す。校注は豊富な人名紹介あり。疑問に答えて秀逸。
    難漢字多し。努力したが、書き写さなかったのは◯とせし。
    大正7年日記については、既にレビュー済み。8月の米騒動勃発から、友人来りて3日間「時事を談じて世間を痛罵」している。何を語ったのか。

    R06/07/27、酷暑。朝、室温31度より下がらず。
    大正7年11月21日

    0
    2024年08月04日
  • ぼく東綺譚

    Posted by ブクログ

    特に何が面白かった訳でもないし、言葉も言い回しも聞き慣れない日本語でしたが、最後まで読めた。
    なんとも雰囲気のある大人な作品でした。
    また落ち着いてじっくり読もうと思う。

    0
    2023年11月16日
  • ぼく東綺譚

    Posted by ブクログ

    昭和初期の玉乃井(現在の東向島)の私娼窟が舞台で、若い娼婦と壮年の物書き叔父さん(モデル荷風)の小物語。
    祖父の育った場所だが、空襲で風情が残ってないのが残念…。
    ドブの匂いと蚊の羽音と熱帯夜…憧れはしないが懐かしい…。

    0
    2022年09月04日
  • 裸体談義

    購入済み

    戦後東京の見世物や演劇について

    戦後日本の娯楽や風俗の変遷について批判まじりに淡々と書かれています。
    面白いと感じるかは人によると思いますが、こんな時代があったのかと興味深く読みました。
    短いのですぐに読めます。
    扇情的な内容はありませんでした。

    0
    2022年05月16日
  • ぼく東綺譚

    Posted by ブクログ

    オトラジシリーズ。
    何てしっとりとしていてアダルトな物語なんだろう。
    艶っぽいというのはこういうことなんだなと感じる。

    0
    2021年12月03日
  • ぼく東綺譚

    Posted by ブクログ

    1937年刊行。
    永井荷風58歳の作品にして、氏の最高傑作と称される作品です。
    この頃は既に作家として文壇上成功し、『あめりか物語』、『ふらんす物語』を代表する名著を生み出した後です。
    旺盛な創作活動と、ストイックな江戸期の文人の研究を重ねた後、往年、荷風は、銀座のカフェーに興味を持ち始めます。
    このころ流行だった"カフェー"は、現在でいういわゆるカフェではなく、接客サービスを行う女性がいるお酒を提供するお店、つまりは風俗店でした。
    夜の街を鮮やかにテラスカフェーは、この頃の荷風の作品に度々登場します。
    カフェーに出入りした経験を元にした作品により収入を得た荷風は、東京・向

    0
    2021年06月15日
  • 葛飾土産

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    目次
    ・にぎり飯
    ・心づくし
    ・秋の女
    ・買出し
    ・人妻
    ・羊羹
    ・腕時計
    ・或夜
    ・噂ばなし
    ・靴
    ・畦道
    ・停電の夜の出来事
    ・春情鳩の街
    ・葛飾土産
    ・細雪妄評
    ・木犀の花
    ・東京風俗ばなし
    ・裸体談義
    ・宮城環景
    ・葛飾土産 久保田万太郎
    ・敗荷落日 石川淳

    戦後の作品を集めた作品集。
    東京大空襲の後、離れ離れになった家族を探すシーンが、東日本大震災の津波と重なってしまう。
    呆然と立ち尽くし、行方の知れない家族を探し、あきらめがつくということもなく、だけど日々を生きていかなければならない。
    誰を怨むことの出来ない自然災害でも気持ちの持って行き場がないのに、戦争という人災で家族を喪うっ

    0
    2021年03月16日
  • ぼく東綺譚

    Posted by ブクログ

    わたしには、主人公の気持ちが分からなかった…
    読むにつれて、本心じゃないことを、言い訳してるんじゃないかって思った
    わたしがまだ、お雪さんくらいの年齢だから?
    恋愛に年齢は関係ないと言われるようになったのが、最近だから?
    話が進むにつれて、切なかった
    切ないけど、しょうがないんだって、思える終わり方だった
    いい時代?と捉えるかは人それぞれだけど
    行けるんだったら行ってみたい
    戦前の昭和の空気感が伝わる美しい文章だと思った

    0
    2020年10月10日
  • ぼく東綺譚

    Posted by ブクログ

    短編で読みやすく、素敵な終わり方。挿絵も 小説のイメージを 壊さず、自分のなかで 映像化しやすかった


    再読する時は 江藤淳「荷風散策」を読んでからにする

    0
    2019年12月01日
  • ぼく東綺譚

    Posted by ブクログ

    1930年代、戦間期の風俗がよくわかる
    玉の井の生活音や匂い、蚊の喧騒から艶やかな睦言まで聞こえてくるように香り立つ文章である。
    濹東綺譚を読んだ私は、見たこともない玉の井の光景を脳内に再建してはそれに懸想する。

    1992年の映画版『濹東綺譚』もお勧め
    お雪(墨田ユキ)の軽やかな美しさに溜息を禁じえない

    0
    2019年05月24日
  • 麻布襍記 附・自選荷風百句

    Posted by ブクログ

    171ページの「花火」に、「国民が国家に対して「万歳」と呼ぶ言葉を覚えたのも確か此の時から始ったように記憶している」とある。
    国民統合のために国家なる擬制的な組織に対して意図して忠誠を誓わせる儀式として、「万歳」が必要だったのだろう。

    0
    2018年09月30日