少年アヤのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレすごくよかった。びっくりした。
本屋メガホンさんの『透明人間さよなら』をきっかけにこの本のことを知った。
日々透明にされること、その事への怒り、悲しさが記録されていた。
自分の大事なアイデンティティから目を逸らして見なかったフリを続ける、それでも別の角度からは愛情を注いでいる距離感の掴めない、それでもこれまでずっと一緒にいた、著者的には大切な存在の家族。自分を傷つけている存在を、それでもその温かい側面を無視せず捉えてまっすぐにもがいている姿に痺れた。(私は全て切り捨ててしまうタイプなので…)。
本来ならいい人、根はいい人、大事な人。そんな人たちに悪意なく自分のアインデンティを否定されたり無視さ -
Posted by ブクログ
「少年アヤ」というのが作者の名前だったり、馬じゃなくて人間のお話だったりして、最初ちょっと驚いた。でも、最後まで読んだらおもしろかった。
クラスでいじめられていた周りとちょっと違う子と、女子がばかにされるのはおかしいって思った女の子たちがおんな国を作って、学校を出て行っちゃった。
勝手に出て行って、先生は怒るかと思ったけど、泣いていて、びっくりした。こうなるまで放っておいたのがいけないとわかったからかな。
誰が何を好きでもいいから、好きなものを言えなかったりばかにされたりするのはちょっと不思議な気がしたし、かわいそうだと思った。ぼくが何を好きでもお父さんとお母さんは、「いいね」って言ってくれる -
Posted by ブクログ
少年アヤさんのことは、Instagramで知った。
いつも、可愛いレトロな雑貨やおもちゃの写真をUPしている、文章を書く人。という認識で、一年くらい前からフォローしていたけれど、著作を読んだのはこれが初めてだ。
読み始めたら、通勤電車内でも(7分くらいしか乗らないから自転車で行く日が多いのに、これが読みたいから敢えて地下鉄に乗った)、乗り換えで歩く間も、隙を見ては一行でも読みたくて、三日ほどで読み終えた。(丸一日休みがあれば多分一日で読んでしまっていたと思う)。
そういう本は、スティーブン・ミルハウザーの「エドウィン・マルハウス」以来。つまり、めちゃくちゃ面白かったのだ。
日記のような、サ -
Posted by ブクログ
自傷行為を見ているような痛ましい気持ちになったり、他人事とは思えないほど共感してしまったり、かと思えば大声でゲラゲラ笑ったりしました。他人から傷つけられ、自分で自分を傷つけ、傷つきぬいた半生が、哀しくも美しい文章で綴られています。少年アヤちゃん、すごいなあ。
劣等感にがんじがらめになって身動き取れなくなって、正しくて美しい人を憎まなければならなかった、憎まずにはいられなかった気持ちは、私にも少しわかる気がする。特に初めて新宿2丁目に行くときの「恋愛市場で品定めされる恐怖」を巧みに表現していたくだりは、共感で胸が痛くなった。
私はアイドルではなくアニメオタクですが、自分の中に湧き上がってくる衝動 -
Posted by ブクログ
誰なのか全然わからないで読み始めましたが、その独特な文体と剽軽な雰囲気。それでいて切ないやりきれなさがとてもよかった。知らずに読んだのは正解だったかもしれません。
アヤちゃんはゲイで、繊細なのでいろいろな事が苦手。人が嫌いなわけではないのだろうけれど兎に角人に何かを聞いたり判断したりすることが本当に苦手。普通の人が一瞬で出来ることを、崖から飛び降りるような気持ちでようやっと遂行します。または遂行できない。
普通に労働することも苦手で、お金がなくてとても貧乏。持っている昔のおもちゃを少しずつネットで売って生計を立てています。バイトをしようと思ってもバイト募集の紙を毎日眺めながら行ったり来たりして -
Posted by ブクログ
少年アヤのブログが元の本。
アヤちゃんは、ゲイの男の子だけど、いわゆるオネエでもなく、普通に男の子が好きな男の子。
その日常が描きだされる。
私小説のような内容。例えば、働けくことをやめて、とにかく貧乏。というのも、本人がオリジナリティが高くアーティスティックだから、世の中と折り合いがつかないからこそ、の部分がある。
無頼派とは違うけど、世の中へのずれの感覚は文学の様。
描かれる気持ちは徹底して「繊細」。
若い女子がファンになるのがうなづける。こんな繊細な気持ちがわかる男は少ないと思う。
社会についての恐れ、集団についての恐れ、自分が居ることの違和感が根底にあると思う。
描かれる世界 -
Posted by ブクログ
痛々しいけど言葉選びが可愛い。キラキラしてる。まさに、くたびれちゃった女児用の玩具みたいだ。「きみの美しさには傷つくよ」とか、いちいちぐっとくる言葉が多くて、やっぱり言葉の人だなあと思う。でも本のこととか一切ふれてなくて、この人いったいなにで書くことを覚えたんだろうかと思う。
読んでてどこまで事実なんだろうか?と思うことがたまにある。作者の友達はなんだか底抜けに明るい人が多くて、読んでてちょっと疲れる。笑。古道具屋のオーナーとの出会いの話がいちばん好きだった。ほんとうに慈しんで大事にしているんだな。自分はものにあまり思い入れがないけど、ものを大切にするっていいなあと思えた。