東方雅美のレビュー一覧
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一般に非合理的活動とされてきた「家族経営=ファミリービジネス(FB)」ですが、これが経営の合理性とどう交叉し、特有の価値を生むのかということを記した本。FB関連の国産本は「実証的なようでいて脇が甘い」、対するこの本は「ふわっとしているようで視角が良い」という感想を持ちました。
ファミリー/オーナー/経営というスリーサークルモデルは当然として、この本はアーキテクチャ(制度・組織)/ガバナンス/アントレプレナーシップ/スチュワードシップの4項目でも切り分けています。特にスチュワードシップは目から鱗みたいな概念で、そういう家系にいない人間には認識しづらい盲点ではないでしょうか。
FB特有の -
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ネタバレ◯まとめ
①幅広な学び、他領域の経験を重ねることで、優れた結果、成績を残すことができる(スポーツから学術領域まで)
②専門に特化すると、得意な領域に関する知識、経験のみで判断する近視眼的思考に陥りやすくなる。結果、誤った結論が導かれることがある。別領域の観点から物事を俯瞰するアナロジー思考によりたどり着く答えもある
③科学や企業活動におけるブレイクスルーの元となるアイデアは、専門外の別領域との掛け合わせで生まれる(グラフェンや枯れた技術の水平思考の事例)。それらを起こすには、分野同士の接点を増やす機会を増やすことが必要。
◯意識の変化
早期に専門特化をしなかったことによる「遅れをとった」とい -
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はじめに タイガー・ウッズvsロジャー・フェデラー
第1章 早期教育に意味はあるか
2009年に、カーネマンとクラインは通常はあまり見られない手段を取った。それは、論文を共著し、それぞれの見解を述べて、意見が一致する点を探るという方法だった。そして二人は、「経験が専門的な能力につながるかどうかは、それがどんな領域かによる」という点で意見の一致を見た。経験はチェスやポーカーのプレーヤーや消防士の能力向上には効果があるが、金融や政界のトレンドの予測、従業員や患者の能力の予測では効果がなかった。
クラインが研究した領域は、直感的なパターン認識が強力に働く領域で、心理学者のロビン・ホガースが「親 -
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専門性に特化した教育vs多様性の教育
経験が役に立つ分野では
専門性に偏る意味はあるかもしれないが、
世界のほとんどは急速に変化していて
新しいアイデアを結びつけたりする必要がある。
経験が役に立たないから多様性の方が大切。
やり抜く力が強すぎると
多様性は身につかず専門性だけ高くなる。
選択肢を全力で試し、それが自分に合っているか
できるだけ早く知ろうとしないといけない。
ゴッホみたいに何度も職種を変えていくのが例
早く学ぶ方法では、
誰もができることを人より早くできるように
なるかもしれないが
それは遅いか早いかでみんなできる。
大切なことを学ぶには時間がかかる
目の前の問題を解決 -
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「知識の幅が最強の武器になる」というキャッチコピーに惹かれて手にした本。幅広いあらゆる経験が自分の中で消化される、経験値を貯めていくような感覚の裏付けになるような論旨であり、まさに期待していた内容だった。スポーツ選手や芸術家から色んな分野の研究まで、根拠としてあげるエピソードの多種多様さにも驚いた。
できるだけ早期に狭い領域に専門特化すべきという考え方は、過大評価されている。より複雑化した現代社会では、従来のパターンに頼らず新たなパターンを導き出して変化に対応することが求められ、1つの問題や領域の概念的な知識を全く別の問題や領域に適用する、「知識移転」の能力が求められる。多くの文脈で学べば -
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読みやすく主張もわかりやすかったです。著者はスイスのビジネススクールIMDの若手教授として企業のエグゼクティブ向けプログラムにも携わっているとのこと。ハーバード大学でDBA(経営博士号)を取得していることからわかるように、本書もデータ分析というよりは、企業の事例を紹介するハーバード流ケースメソッドになっています。本のタイトルになっているように、ある企業が長期間にわたって競争優位性を保つためには(生存するためには)、LEAP(跳躍)が必要だとのこと。ここでの跳躍とは、高みに飛ぶというよりは別の領域に飛ぶというニュアンスです。
この本を読んでいて思い出したのが神戸大学の三品和広先生が書いた「戦略 -
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今年の上半期に読んだ中でいちばん良い内容だった。
極度に「自分化」された生活、支払いはあとまわしにして欲しいものを今すぐ手に入れる決済手段を得たことでパワーを増した(ように感じられる)消費者、倫理観なくオンラインで転がされる企業の株式、市場化する政治……
近視眼的で他者を顧みないマネー・ゲーム的社会への警鐘を強く鳴らす1冊。
アメリカについて語られた本だが、日本も同じような道筋をたどりつつあるのではないだろうか。
……と、内容はとても良かったのに、初刷りを読んだらくだらない誤植だらけで実にもったいなかった。脚注のまとめかたも雑。大急ぎでそれこそ「衝動的に」翻訳・出版しないで、じっくり腰を据 -
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「衝動」に支配される世界 ということで、アメリカにおいては金融資本主義が消費者を巻き込み、次々と商品・サービスを購入させてしまう「市場」を政府も取り込み創ってしまった。
古き良き時代の市民・消費者が保有していたキャラクターはパーソナリティへと変質してしまった。
行きつくところまで、社会関係資本は破壊されてしまった。
膨大な選挙資金が必要なアメリカの選挙民主主義。ウォール街に席巻されたしまった政党。
如何ともしがたいようだが、第Ⅲ部で「再びつながり合う社会へ」第9章 私たちはどこへ向かうのか
小さな動きだが、古き良き時代のアメリカに戻そうという諸活動を紹介している。
著者は、明確な方向性は述べて -
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実ビジネスやコンサルタントとしての経験も持つ大学教授3名が、成熟企業においてブレークスルーを連続的に生み出すことに成功している「シリアル・イノベーター」に着目・分析し、その特性や行動のメカニズムを「MP5モデル」と名付けてフレームワーク化したビジネス書。
著者によると、シリアル・イノベーターは、これまで誰もが気づかなかった視点から顧客の新たな課題を発見・深堀し、その解決のための技術を様々な要素の組み合わせによって編み出すとともに、製品開発や普及促進といった下流工程に至るまですべてのプロセスに関与する。さらにはその過程で顧客と深い関係を築きながら、一方で社内政治も厭わず、むしろ前向きに取組んで -
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多様な視点、様々な経験、知識の幅(Range)を得ることがこれからの世を生き抜く上で大切になる。
そのための遠回りが実は将来的に人間の強みになると。その点は素晴らしい。ただ、著書は個人プレーヤーの事例が多く、チームプレイの事例がほぼない。さらにまとめがないのでまとまりにかける。
広い視野を持つことで、アイデア同士を結びつけ問題解決へとつながる。これは視野が狭いと出てこない。
どちらが良いのかってのは個人によるんじゃないですか。卵を1つに盛ったほうが良いと感じる人もいれば、卵を1つに盛らず分散させたほうが良いと感じる人もいる。ただ、自分の方向性に近い寄り道や試行錯誤は良い結果を生みそうだけ -
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本書は、これまでの「専門特化が成功への最短ルート」という通説に異を唱え、多様な経験を持つ人材(ゼネラリスト)の強みを明らかにした一冊です。スポーツ界、ビジネス、科学、芸術など幅広い分野の事例を交えながら、なぜ「知識の幅」が重要なのかを論じています。
変化の早い現代において「ゼネラリストの時代」が来たことを実感できる一冊で、専門性に縛られすぎず、幅広い知識を持つことがこれからの時代にどれだけ強みになるかを理解できる内容でした。キャリア形成や学び方に悩んでいる人にとって、新たな視点を与えてくれる本です。
また知識の幅を獲得することは、自分が何をするかわかる時、自分が誰だか分かる、これに通じると