松浦晋也のレビュー一覧
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スペースXはなぜあれだけ急成長できたのか、その裏で日本は何をしていたのか、これからの日本の発展の鍵になるのは何か、詳細に記されている。特にスペースXについては1章まるまるを割いており、同社が「狂気」と「合理性」によって急成長してきたことがよくわかる。一方で、日本の宇宙計画の中でも大規模な「みちびき」と「情報収集衛星」についてその成立と現在についても解説されている。情報収集衛星については、春原 剛著「誕生国産スパイ衛星」にも詳しいが、「みちびき」について筆者の推測もありながらもここまで日本の闇を詳細に記したものはないのではないだろうか。本書では、宇宙戦略基金についても触れられており、日本の宇宙開
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自身の介護経験をもとに「介護をしない子=悪」的な考え方が変わる。かなり読みやすくて面白かった。表面だけを見ると、家族を切り捨てるように見えるけど、家族だからこそ「甘え」からくる衝突が起こるのは当然であって、心に余裕がないと優しく接することも出来ない。共倒れ状態になって、最悪の結果、虐待や殺人もあり得る。餅は餅屋というように、これだけ高齢社会の市場は大きく成長してるのだから介護の効率性を考えて、介護をする側・される側がより良い人生を全う出来る方法を考えることが1番。
外部の人間を頼ることは、甘えでも言い訳でも何でもない。権利なんだと思い知りました。
介護をしてきた間に相当勉強してきたのが読んで -
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介護について全く知らなかった1人の男性の
リアルな介護の日々が綴られています。
どんどん壊れていく母親
日々の生活と自分の仕事
積み重なるストレスとモヤモヤした気持ち
そしてついに母親に手を挙げてしまった自責の思い
ものすごく正直に綴っているだけに
リアルに筆者の思いが伝わって胸が苦しくなります
自分の母親だから大切にしたい
でもどうしようもなく壊れてしまう
病気とわかっていても
元々の優しい母親を知っているからこその葛藤
私も自分が介護する立場になったら…
と思うと著者の気持ちが痛いほどわかります
人は必ず老いて死にます
その時、自分なら…
あたらめて考えてしまいました。
読ん -
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理系ライターの筆者が実母の介護をしたノンフィクション。今の介護の現実が、何も飾らない言葉で語られている。ウェブ連載の書籍化だが、私と同世代の人にとっては必読である。本書で強調されていることが、公的サービスを使いこなすことだ。費用のこともあるが、肉親がやるとうまくいかず第三者のヘルパーがやるとうまく行くことも多い。素人のリソースを介護に費やすことによるトータル生産力の低下という問題も生じる。そこから分析される「予防医学のパラドックス」(予防医学は確率的で明確な因果関係を示さないので、結果を持つヒトを責めないで社会全体に働きかける)と(そのために)社会の分断を防ぐ(老人対若者という対立ではなく協力
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サイエンスライターの著者が、お母さんの認知症の発症からグループホームへの入所までの日々を振り返った記録。
介護保険制度が一般の人にはまだやはりあまり浸透していないのだなと言うことがわかった。本のタイトルは「母さん、ごめん」だが、著者は1人で本当によく努力されたと思う。
実際こういうケースでは最期までメインとなる介護者が、職を維持しながら自宅でケアをすると言うことは無理がある。行政は、家族形態ごと、代表的な疾病ごとに、医療・介護サービスを活用した看取りまでのロードマップ、ロールモデルを示すべきであると思う。著者の様に、当事者になってから当事者それぞれがもがきながら体制を模索するのは非効率である。 -
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いつまでもこの生活が続くと思っていた、という作者の言葉は 親子関係において誰もがもっている、もっていたい思いだろう。ある日から 突然その生活が一変し翻弄される様が率直につづられ共感する。他人であれば、知らぬふりもできるが、なんといっても親、今まで世話になった親への愛情とストレスに葛藤しながらも、現実は止まってくれない。
行政のサービスを利用する事はわかっていても、それにも逡巡する気持ちはよくわかる。どこまでできるのか、どこまでやれば良しとしてくれくのか(誰が?)自分に課してしまう中年の子供(笑) まさに直面している自分・・・
昔と違い単世帯が当たり前となった今、介護する側、される側の両方になり -
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とりわけ技術的な説明が詳しい本で、内容に唸らせるものがある。日本の宇宙開発の政治的要因を意識した筆致がさらに重みを与えている。はやぶさ、はやぶさ2に限らず、今後の宇宙開発を考えるにあたっての必読書。
・イオンエンジン、太陽電池パドル、各種のアンテナ、スイングバイ。パラボラアンテナを使った高速通信は、イトカワの観測データを送信するときだけ使用するから、太陽電池パドルは同じ向きでよい。
・探査機の目的は「小惑星からサンプルを持ち帰る」ではなく、「小惑星からサンプルを持ち帰るために必要な様々な技術を実地で実証する」と設定されていたこと。
・『サイエンス』の2回の特集の内容紹介も嬉しい。「イトカ -
購入済み
難しいけどおもしろい
「はやぶさ奇跡の生還」と言われていましたが、この本ではじめて詳しくその奇跡っぷりを知り、とても驚きました。まさに奇跡の連続で、こんな対処の仕方が可能なんだと自分の理解の範疇を超えたやりかたに震えました。あと、政治に振り回されながらも結果を出していて、これまた奇跡としか言いようがなく、はやぶさに関わった人たちを心から尊敬するにいたりました。すごいなぁ人間って。
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理学と工学,そして組織と政治。二代のはやぶさを取り巻く日本の宇宙開発事情を扱った,非常に中身の濃い良本。
「はやぶさ2ってこんなにスゴい」みたいな単純な豆知識を集めたものとは一線を画した真面目な本。開発者・研究者の人となりに焦点を当てて一般受けを狙うようなものでもない。ペンシルロケットから現在までの経緯を踏まえ,今後日本が宇宙探査をどうやっていくかという大きな話に繋げていく内容。力点は科学技術そのものではなく,日本の宇宙開発が国内政治や海外の事情にいかに翻弄されてきたかに置かれている。
もちろん,軌道力学の初歩や宇宙機の基本など,太陽系の科学や探査機の技術についてもしっかり触れていて,そこだけ