柴田翔のレビュー一覧

  • 親和力

    mac

    ネタバレ 購入済み

    愛情と情熱

    一部ご紹介します。
    ・男の本来の資質は、行為し、働きかけることにある。女は、もっと生活全体の中にあるつながりに目を向ける。
    ・親しく結びつけられた二人の間に少しでも均衡の狂いがあれば、そもそも第三者なるものはほとんど役に立たない。
    ・シャルロッテ「私たちの行く手に待っていることは、もうかなりはっきりしていますわ。あなたはオッティリーエを愛していらっしゃる。あなたはオッティリーエなしでは居られなくなっていらっしゃる。愛情と情熱は、あの子の側からも芽生え育ってきています。刻一刻、目の前ではっきりと起きている事実を言葉にして言ってしまって何故悪いのでしょう。この先どうなるのか、自分たちの心に聞

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    2022年09月30日
  • ファウスト(下)

    mac

    ネタバレ 購入済み

    情熱の果てに

    一部ご紹介します。
    ・運命の女神たち「踊り愉楽に身を任せ、陶酔に我を忘れるその時は、この糸にも限りがあることを思いだし、用心するこそ大事です。切れることもあるのです。」「どうにも無駄な糸を引き出し、それに長々光、大気を恵む一方、未来に輝く希望の糸をぷっつり切って墓の穴へと繋ぐのです。」「糸が伸びてくる。糸が車に巻き付いてくる。どの筋も廻る車に合わせねばならぬ。私の心がお留守になったら世界はいったいどうなるのだろう。」
    ・メフィスト「先人がまだ考えていないほど馬鹿げたこと、賢明なことが、いったい誰に思いつけるものかね?」
    ・ネレウス「助言が人間に役立ったことがあるかね?賢明な言葉も、聞く気

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    2022年09月30日
  • ファウスト(上)

    mac

    ネタバレ 購入済み

    欲望の果てに

    一部ご紹介します。
    ・神「求め続けている限り、人間は踏み迷うものだ。」
    ・ファウスト「胸に感じるものがなければ、人の心を得ることはできぬ。本当に胸の底から涌き出たものでなければ、胸から胸へと伝えることはできない。」
    ・ファウスト「祖先から遺されたものは、自らの手で獲得し直してこそお前のものとなる。」
    ・ファウスト「俺に欠けているものが、こんなところで見つかるとでもいうのか?この上幾千もの本を読み散らせというのか?いつの世もどこの国でも人間はわれとわが身を苦しめてきたことを知り、時としては幸福者もいたことを知るためだけに」
    ・ファウスト「俺が仮にも将来ある瞬間に向い、留まれ!お前はあま

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    2022年09月30日
  • ファウスト(上)

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    人間という不可思議な生き物について、悪魔が世界を交えて物語っていく。
    なんて興味深い作品なんでしょう。

    人は、命を維持し学び生殖していく欲望の陰に、衰退堕落し死へ向かう願望を持つ。なぜこんな矛盾を抱えて生きるのか。

    メフィストはただ、動く世界と生きる人間を物語るだけであって、不思議なのは生命それ自体なのではないだろうか。

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    2013年03月12日
  • ノンちゃんの冒険

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    ネタバレ

    大好きな本で、再読。

    誰もが、あらゆる形で生きることと戦っている。フーテンも企業マンも哲学者も若き遁世者も。色々あるけれど生きている。
    人生は「喜びも悩みも、素敵なことも大変なことも、みんな互いに入れ子になってい」て、「喜びや素敵なことだけを味わって、食い逃げしようとすれば」「ゼロになる」というフレーズが今回は心に残りました。
    いつも、心地良い絶望と希望を与えてくれる本です。

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    2012年04月17日
  • ファウスト(上)

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    現代語訳の決定版とも言える。
    森鴎外訳が一番情緒があって好きだけど、読みやすさで言えば、この柴田翔訳は絶品。
    この世に存在する唯一の世界文学とも言える本書、読んだことがない人は、是非この柴田翔訳でどうぞ。

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    2011年09月11日
  • ファウスト(下)

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    2011.03.25-
    ゲーテはすべての信仰も文化も、矛盾無く存在できることを知っていたのかな。

    第四幕でマルガレータを思いだしたみたい。

    「まるで邪に思い上がった心が 欲情の赴くままに 血をたぎらせ 自由な心で すべての権利を擁護せんとする精神を圧迫して 感情の惑乱へと追いやってしまうのと同じじゃないか」
    これはファウストがマルガレータにしたことだよね。
    波を征服したいというのは、過去の過ちを征服したいからか。

    ドイツは本当にイタリアが大好きだな!

    気高さと所有欲は同居しない。所有欲が連れてくるのは憂いばかり。

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    2013年03月19日
  • ファウスト(上)

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    2011.03.20-
    訳が私に合ってたのか、二度目だからか分からないけど、初めて読んだ時より親しんで読めた。

    人間は意志薄弱で迷いが多く、他人の過ちを裁きながら同じ過ちを犯したりする。そうでなきゃ、自分で自分を限定することで少しは賢くなったとうぬぼれている。それでもどうにか生きようとしている。

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    2013年03月19日
  • 親和力

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    ゲーテによる本格小説。未だかつてない衝撃を受けた。この小説の主題は法、倫理、自然の関係であろう。内なる自然を抑えきれずに破滅していくエードゥアルトとオッティーリエの姿は、単純に道徳を遵守すべきとの考えから非難するにはあまりに美しい。

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    2011年02月12日
  • ファウスト(下)

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    人造人間ホムンクルス、スフィンクスにギリシア神話の神々、半神、ニンフ、イリアスに詠われた絶世の美女ヘレネが入り乱れる幻想世界に夢心地。
    キリスト教とギリシア・ローマ世界が融合しルネッサンスを感じさせる。
    ファウストが最後に辿り着き、果たせなかったことはネーデルランド独立のことだろうか。

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    2011年02月05日
  • されど われらが日々──

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    1970年代は老い易い時代だった やぁ!21世紀の子供たち 君たちの時代はどうだい? いつの時代も困難から抜け出すのは、さぞかし大儀なことだろう

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    2009年10月04日
  • されど われらが日々──

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    回りを変えたくて、自分も変わりたくて、何かをしたくて、何もできなくて、10代の自分は読んだとき苦しかったです。

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    2009年10月04日
  • 親和力

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    自分の情欲に素直な方が幸せになるのかも知れない。しかし、欲は留まるところを知らぬゆえ、身を滅ぼすまで止まらない。足るを知る者が平穏を享受する事ができるが、足るを知るためには不幸を知る必要があった。4人の中で、大尉が特異なのは過去の水辺の不幸を経験したからなのかもしれない。

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    2021年02月11日
  • 贈る言葉

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    【本の内容】
    あの時、あの場所で、ぼくの想いはどこまで君に伝わっただろう。

    そして君の願いを、ぼくはどれだけ受け止められただろう。

    時を経てなお、ぼくは繰り返し問いかける。

    あんなにも濃密な時を共有しながら、今はもうそばにいない君に-。

    学生運動に席巻された熱く激しい時代、理想を求めるほどに傷ついていった若者たち。

    その無垢さ未熟さ痛ましさに捧げられた、永遠のレクイエム。

    [ 目次 ]


    [ POP ]
    柴田翔。

    1960年代、70年代に青春を過ごした人たちにとって、この名前は、ある特別な輝きがあるだろう。

    圧倒的な反響を呼んだ64年の芥川賞作品『されど われらが日々――』(

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    2014年08月24日
  • 立ち盡す明日

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     青春時代から引き摺る虚無感なんてなるだけ捨てちまわないと残りの人生をより複雑で感傷的なものにするということですな。

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    2014年02月16日
  • 鳥の影

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    幸せは自分の心が決める。」

    相田みつをさんの声には素直に耳を傾けた方が良い。


    同じ型を使えば、プリンはすべて同じ形に仕上がってしまう…(なんて、あたりまえな事!)


    あ~、なんでなんで『幸せ』という型がこの世に出来てしまったのだろう??

    そして、一番やっかいなのは

    『他人と比べてしまうこと』


    綺麗な配偶者。可愛い子供に人より、ちょっといいお仕事♪

    その優越感を『幸福』だとカン違いする主人公。

    人生を終えるまでカン違いしたままなら良かったのに

    ほんの少し感じていた不具合感に落とされた影は濃く、

    一気にその虚像を剥がしてしまうともう、おしまい。


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    2011年12月28日
  • 贈る言葉

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    異性とつき合うのも学生運動をするのもなにか意味付けを求めようとする不器用な青春時代。懐かしさがこみ上げてきた。10.5.1

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    2010年05月02日
  • 親和力

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    初めてのゲーテ。僕が重視する世界観や描写というよりは会話-人物像中心の小説。だが会話そのものから見えてくる人物像のズレがいい軋轢を産んでると思う。読みやすいと言う点で、お薦め。

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    2009年10月04日
  • されど われらが日々──

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    学生運動の時代の大学生を描いた小説。学生運動への興味から読んでみた。芥川賞受賞作だったし。登場人物たちになーんとなくシンパシーを感じたりして。私やっぱ感覚古いのかな。

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    2009年10月04日
  • されど われらが日々──

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    青春という言葉が堂々とまかり通って、そこを通る以上は自己にも他者にも闘わなければならなかった時代。私はその時代になかったけれども、ではそこにいて闘うことができたのだろうか。闘えた彼等と、ただ時間ばかりが無尽蔵にあって空虚な今の時代と果たしてどちらが幸せなのだろう。私がこれを読んだのは高校時代だっただろうか。その時もう私は挫折感を覚えた。あまりにも弱い自分を感じた。

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    2009年10月04日