仲達志のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレグーグルの設立から成長するまでが非常に細かく書かれており、素晴らしい。
■特に面白かったこと
・グーグルが検索技術を開発した当時、バイドゥも含めて同じことを考えている企業が多かった。
グーグルが生まれたのは歴史的必然であり、グーグルが成功したのはプロダクトへの信念と自由な環境にあった。
・社内への情報は非常にオープンだったが、社外に対しては非常に情報を隠していた
・内製化にこだわり、自分たちでデータセンターを設計・運営してしまう
・ある意味インフラ企業としてどうあるか、という考え方
・非常に選民的で、その基準は大学の偏差値と成績
・コードイエローという非常事態宣言があり、その宣言がなされるとチームのリーダーには黄色のタンクトップが渡され、自由に多プロジェクトから人を抜くことができた
・社員の人事上の等級は明らかにしない。なぜなら明らかにすると意思決定や議論にバイアスがかかるから
・遊び心を非常に重要視しており、エイプリルフールを大切にする
・アンドロイドアプリには異常にオープンにも関わらず、広告に対しては強く検閲を行っている
・グーグルユニバーシティというものがあり、ギリシャ神話や文芸創作、ワインまで教えている
・IPO後は日々の株価の上下で従業員の生産性も上下した
・大企業からはグーグルが生まれなかったし、グーグルからはfacebookは生まれなかった
ー文化の違い、そして新規のものを生まない意思決定の仕組み(機会費用で考えてしまうなど) -
Posted by ブクログ
数多くのグーグラーへのインタビューをもとに、グーグルがどんなことを考えて実行してきたか、どんなことを考えて実行しているのかが詳細にわかる力作だと思う。
はじめに、ブリン氏もペイジ氏も、しっかり経営しているのだなと感じた。
技術面でも、経営方針でも、採用でも。
研究室の延長のようなグーグルですら、採用基準には野心があることを挙げている。私にはこれが足りないと感じてはや数年。
驚いたのはアプリの更新の評価。ユーザーにより更新前か更新後のものを表示し、行動の差を測っている。なるほど、サービス中のことだから、効果の有無を示すのに最も説得力がある。
「グーグルの製品はマシン主導。人間の偏った見方が入る余地はない」。とすると、誰が作ってもほぼ同じ物ができ、何を作るかが違ってくるということかな。
ファイルは必要ないとのこと。一時的なものを除けば、ほとんどそうなっていると思う。ドキュメントはGoogleドキュメント、写真はPicasa、ビデオはYouTube。残るのは音楽ファイルくらいかな。
Googleの中国進出のくだりは、本社と現地の社員の葛藤や苦悩の様子が生々しい。読んでいて熱くなった。また同時に、壁の大きさに胸がふさがった。
データと論理だけで勝利を手にできるとは限らないというくだり、どこでも同じだなと思う。被災家財の広域受け入れに対するヒステリックな反応が、すぐに思い浮かんだ。
最後に、予算獲得のための書類作りをしないですむのが羨ましい。それだけ稼がないといけないが…。 -
Posted by ブクログ
週刊東洋経済でインタビューを読み、興味がわいたので書店で購入しました。結果から言うと満足しています。GDPの限界論については以前から一連の議論がなされていたかと思いますが、ここ数年間の議論熱の高まりを見ると、今度こそ本当に変化が起こるのではないかと感じており、その背景や世界中での議論の広がりなどは本書から包括的に理解できました。著者はフィナンシャル・タイムズの記者ということで、現地での取材を前面に打ち出した記述が多いのですが、特に新興国の統計作成官へのインタビューはなかなか興味深く読みました。統計作成は政治に密接に関係していること、それは特に新興国では顕著だということがにじみ出ている内容でした。つまり現政権に不利になるような統計作成は自分の身(生命さえも)を危うくする、ということです。
他方少し気になった程度ですが、本の端々から「労働者vs資本家」「富裕者vs貧困者」のような二項対立的な記述が多く、これは著者の心理的バイアスがかかっている気はしました。ベストセラーになった本「ファクトフルネス」の用語を使えば分断本能がかかっている気がしました。本書では、労働分配率が下がり資本分配率が上がっている、という記述がありましたが、確か実際は両方の数値が下がっているはずです。その意味で、インタビューなどの現地現物の情報が多い反面、データの裏付けが弱い印象は感じました。ただGDPあるいはGDPの代替指標として世界各国で提案している各種新指標については、現地インタビューを通じてリアリスティックな姿を提示してくれてとても理解が深まりました。 -
Posted by ブクログ
読むのにとっても時間がかかった。理由は、この本は学術書や実用書の類ではなく、「面白いノンフィクション、ルポタージュ」の体裁だから。
いつものようにビジネス書を読んでいる時ならば、マーカーと付箋を片手に「読み返した時に拾うところ」を残していく感覚で読み進めるのだけども、今回は実に時間がかかった。エキサイティングな小説を読んでいるように活字を追ったし、適度に難解なので読み返すこともしばしば。
読書感としては「フラット化する世界」(トーマス・フリードマン)とよく似ている。ジャーナリスト特有の時折ユーモアや皮肉を交えた饒舌な筆致。貨幣価値に交換可能な尺度ばかりに注目すると本来的な幸福観を歪めたり見失ってしまうぞ、というのはマイケル・サンデルを始め、「父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。」(ヤニス・バルファキス)でも語られていることであるが、本書はより統計官のジレンマや苦労に寄り添ったものになっている。そして、全体的に「経済学者」と「金融業」に対する批判が漂っていて。
まとめると、
①GDPの測定対象になっているものも、正確に計れていない。
②GDP測定対象になっていないものも相当ある。
③絶対視されているGDPが映す世界とリアルはかなりの乖離がある。そもそも「経済」という概念がリアルではない。
④より良い代替指標も無いので、様々な指標を用いて補完し合うべき。
という事のよう。
そして、経済成長万歳という手放しな姿勢には疑念をぶつけながらも「FACTFULNESS」(ハンス・ロスリング)にもあるように、低開発国の人々が人間らしい生活を手に入れるための経済成長を否定するべきではないとし、実際にハンス氏のコメントも紹介している。
私が心に残ったのは、指標や統計の設計そのものが恣意的で政治的であるとは言いながらも「測定できないものは管理できない」というドラッカーの言葉を引用しながら、良き統治を目指すのなら良き測定をしなければならないというメッセージだ。まさに政策や意思決定でのdata drivenの重要性と難しさを語っているわけで、正確に測る事も記録に残す事も放棄してしまったように見える我が国は、世界が国民所得3.0に向かおうとしている時に、国民所得1.0の要件を満たしていないのではないかという2週遅れの絶望感を禁じ得ない。
『「より優れた」測定方法ほど、「より優れた」社会を築く力を持っていることを意味する。』(p274) -
Posted by ブクログ
Financial Timesのアジア編集長にして元日本特派員のDavid Pilling氏、日本を巡る渾身の論考、世界的にもかなり売れているらしい。
第1章、津波の章だけでも読む価値があるが、本書のもっとも魅力的な点は、日本という類まれなる秩序と繁栄を手にした国に対する最大限の敬意を表明しつつも、根拠のない「日本特殊論」には一切くみせず、他の多くの国と同じように、多くの悩みを抱えた不完全な存在として描いていることだ。
「・・・日本人は自国がほかに例のない調和の取れた社会であると考えたがる傾向があるが、他国と同様、この国にも階級、地域、性差、年齢などによる対立があるし、主流派の文化に対抗する非主流派(サブカルチャー)が存在し、社会構造の変化によって流動化することもある。だから『日本人はこう考える』というフレーズで始まる発言はまず疑ってかかった方がいい」(上巻、P.47)。
もちろん、日本人から見ればあまり深さのない事実のサマリーと感じる部分もあるし、例えば避けてとおれない戦争や憲法の問題についてこちらの言い分を主張したくなるあれやこれやはある。が、本書はほとんどのトピックで様々な意見を両論併記的にカバーしている。結論としてはどうも「左寄り」の肩を持っている気がする、と思う人は確かにいるかもしれないが、英国のジャーナリズムにとって権力との緊張関係は大前提、といった点も考慮する必要があろう。
ともあれ、杉田玄白の解体新書から小泉政権の郵政改革まで、これほど網羅的にカバーした本は滅多にないし、それを世界のEducated personが関心を持って迎え入れたということに深く思いを致さずにはいられない。そして日本の抱える課題についてこれでもかとあげつらったこの本は、しかし読めば「それでも再起する」日本への最大級の賛辞でもあることがわかるはずだ。
ここに描かれた日本像は、Financial Timesの信用力もあいまって海外から当面の「スタンダード」として受け止められる可能性が高い。そのことを、私としては(100%都合のいい本なんてあるわけない前提で)十分納得できる、と感じた。 -
Posted by ブクログ
著者は、フィナンシャル・タイムズの元東京支局長。東日本大震災の体験をきっかけとして、この本を執筆した。
主なテーマとしては津波と東日本大震災、著者が考える日本の歴史、現在の日本について考察している。震災以降、日本に対する海外の見方は悲観的だが、日本は決して衰退していないと説く。日本はこれまで、何度も厳しい危機的状況に陥っているが、その度に復興する力を示してきた。だから様々な議論はあるが、今後も上手くやっていけると考察している。但し、現代の日本人に対しては手厳しい意見もあり、特に日本の政治家の右傾化には不信感を持っているようだ。
ジャーナリストらしい視点で多くの日本人にインタビューし、現代の日本人とは何かを考察しており、とても面白かった。最近はメディアの日本賛美論が蔓延していて、日本の凄さを世界に誇り喜ぶ風潮がある。良い話を聞くのは確かに気持ち良いが、それを鵜呑みにするのではなく、日本に対する辛口の意見も読んで、自分の考え方が偏っていないかバランスを取ることも必要だろう。この本は、そういう目的で読むといろいろ考えさせられることも多かった。 -
Posted by ブクログ
<目次>
第2部 日本を支配する「歴史の呪縛」
第7章 経済と金融
第8章 ビジネス
第9章 社会的・文化的変容
第10章 政治
第11章 日本と世界
<内容>
筑波大のマーフィー教授の日本論下巻。現在の日本は、第二次世界大戦前に戻りつつあるという。それはあほな首相の妄想のためではなく、官僚が主導する「アメリカ従属国家」をさらに推し進めるため、だという。アメリカは日本を「お友達」としてそれを認めるのではなく、対中国の捨て鉢として、役に立つから利用しているに過ぎない、という。日本は明治政府を作った政治家たちが死んだ後、残念ながらきちんとした政治家が生まれず(田中角栄はやや評価が高いが)、官僚が自分たちに都合よく動く政治家を利用し、裏から国民を動かして、あほな陸軍も動かして行った結果が、アジア太平洋戦争なのだという。訳者の言うとおり、著者の分析は結構なところで腑に落ちる。やや陰謀論的な書き方もあるが(というか、そんなこと知らない、というのが私の正直な気持ち)、瑕疵にしかならない気がする。日本の将来は暗いが、東アジア諸国を敵にして、大立ち回りをしないように、何とか頑張っていきたいものだ。