あらすじ
機能不全の政治、過去の遺産にとらわれた経済、前途多難な外交、矛盾を許容する社会――。歴史への省察をもとに、こうした日本の今をしばる「呪縛の構図」が、丹念な分析によってあぶり出されてゆく。
下巻では、高度成長期から現在に至る政治と経済のしくみ、社会と文化の変遷、そして日本と世界との関係を徹底解説。池田勇人、田中角栄、小沢一郎など、キーパーソンを通して浮き彫りになる戦後政治の実態、トヨタ自動車からキーエンスまで、さまざまな業界の浮沈から見える経済の内実、「オヤジギャル」や「草食系男子」の胸の内、近隣諸国との外交関係がこじれた真の理由、そして現代日本の最大の課題と求められるリーダー像とは?
中国の台頭、東日本大震災、少子高齢化などの近年の変化を冷静に見据え、「アジアの世紀」におけるこの国の進路を大胆に提言する。巻末に「日本語版へのあとがき」を収録。
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Posted by ブクログ
<目次>
第2部 日本を支配する「歴史の呪縛」
第7章 経済と金融
第8章 ビジネス
第9章 社会的・文化的変容
第10章 政治
第11章 日本と世界
<内容>
筑波大のマーフィー教授の日本論下巻。現在の日本は、第二次世界大戦前に戻りつつあるという。それはあほな首相の妄想のためではなく、官僚が主導する「アメリカ従属国家」をさらに推し進めるため、だという。アメリカは日本を「お友達」としてそれを認めるのではなく、対中国の捨て鉢として、役に立つから利用しているに過ぎない、という。日本は明治政府を作った政治家たちが死んだ後、残念ながらきちんとした政治家が生まれず(田中角栄はやや評価が高いが)、官僚が自分たちに都合よく動く政治家を利用し、裏から国民を動かして、あほな陸軍も動かして行った結果が、アジア太平洋戦争なのだという。訳者の言うとおり、著者の分析は結構なところで腑に落ちる。やや陰謀論的な書き方もあるが(というか、そんなこと知らない、というのが私の正直な気持ち)、瑕疵にしかならない気がする。日本の将来は暗いが、東アジア諸国を敵にして、大立ち回りをしないように、何とか頑張っていきたいものだ。