渡瀬草一郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
これまで様々な作品を読んできたけど、その中で私が一番好きな作品は渡瀬さんの「空ノ鐘の響く惑星で」です。
そしてこの作品に手を出したのは作者の前作「パラサイトムーン」が面白かったから。
「パラサイトムーン」は6巻で区切りを見せているけど、あくまで区切りがついているだけで何も終わっておらず、彼らの物語の続きを待望していたところであった。
あれから10年余。
そのパラサイトムーンの続編が読めることが、素直に嬉しい。
“希崎弓”とか、もう、ね!
前二作がそれぞれどちらかというと様子見な感じの第1巻であったのに対し、今回はいきなりど派手に物語が動いています。
学園ラブコメっぽい序盤から一転、いきなり非日常に巻き込まれる主人公の玲音たち。
友達だと思っていたやつらがキャラバンとかいう異能力者の組織に所属していて、さらに別の友達は石に取り付かれて(?)皇帝ブロスペクトとかいう人物のもとキャラバンに喧嘩を売って・・・
玲音も石の影響を受けたものの操られるようなことは無く、キャラバンとブロスペクト派とどっちについていっていいか分からず…どちらについても友達と敵対することになるし。
更に幼馴染や義妹も絡んできてどうしたものやら。
この1冊だけ見ると明らかにブロスペクト派が悪役だけど、キャラバンも決して正義の味方というわけではないからね。
キャラバンはキャラバンで内部の派閥争いがひどいし、さらに最後に登場した皇帝の存在によってますます今後どうなるのか目が離せない。
こういう思想の違いからくる派閥対派閥や集団対集団を書かせたらほんと渡瀬さんはうまい。
輪環のときも魔族の主張には一理あったし、空鐘もレージクやメビウスたちの考えには説得力があった。
たまたま誰の視点で書かれているかというので結果が決まってきたけど、それ以外の勢力の視点からでも充分に物語が成り立つ。
そういう意味でも、まだ玲音の立ち位置が決まっていないこの物語の終着点が気になる。
まさかブロスペクト派につくことは無いと思うけど、皇帝や女王のことを考えたら…。
幼馴染のクレアや義妹の香恋がブロスペクト派に捕らわれ、それを助けに行くっていう展開かな。
そこに昔の自分を重ねた真砂なんかが絡んできたらテンションあがるわー。
続編と書いたものの、続編であることは間違いないものの、この作品から読んでも問題ないような作りなっているので興味があったら是非とも臆せず手にとってほしいです。
最近のラノベっぽい幼馴染と義妹との三角関係や、最近のラノベっぽくない派閥争いの群像劇の世界が待っています。
そして興味をもったら「パラサイトムーン」も読んでみるとより一層楽しめるでしょう!
お勧めです。
余談だけど、空鐘のパンプキン、輪環のアルカインに続く今回の萌えキャラは“くろとらくん”。
あのやっつけ感すてきだわーw
中の人は誰なんだろう。パラサイトムーンに出てきたキャラかな。
桂とかだったら笑うw -
Posted by ブクログ
平安の時代、紫式部とその周辺の人々の心模様を、歌とあやかしに映して、織りなされる物語。
タイトルと同作者の「陰陽ノ京」シリーズのイメージのせいで、動きがある怖い話なのかと思いきや、意外にしっとりと静かな内容と文で、「妖怪=退治」のような図式が出来上がっていた脳内に良い刺激になりました。
紫式部を巻き込んで四季ごとに起きる事件は、人の世の儚さや憂い、生きていることの意味…みたいなことを、大それたことを言っているわけじゃないのに感じさせずにはいられなかったです。
最初の「春」の物語の主役・伊勢大輔が健気でかわいかったです。
「陰陽ノ京」の人々も名前だけだけど出ていて、ファンとしては、こっそりにやついてしまいました。 -
Posted by ブクログ
渡瀬さんには『空鐘』で惚れたので、異世界ファンタジックな世界から『平安ノ京』を手に取った時は違和感がありました(もちろん平安から読まれている方は、逆の違和感を覚えたと思いますが)。ただこの平安ものが空鐘ぐらいおもしろくて、渡瀬さんの書く陰陽の世界にずいずい引きずり込まれてしまいました。そんな平安の外伝が刊行されてしばらく、単発でぽんと出されたのは、紫式部を主役とする物語。またしても時は平安ながら、京とはまた時代が少しずれています。
タイトル通り物の怪、あやかしの話でまた男性陣の陰陽師が跋扈しそうではありますが、今回はむしろ逆、女房たちを主軸に陰陽師は影の影。この時代では政界に首を突っ込めない女性たちの、女性らしい悩みを女性が解決します。あれこれ口を出せないながらに、女性が果たす政治的役割の比重は半端ないものだと感じました。
少し最後はあっさりし過ぎた感がありますが、単発らしい、後を引きずらない読後感がありました。