松本創のレビュー一覧

  • ふたつの震災 [1・17]の神戸から[3・11]の東北へ

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    ネタバレ

    阪神大震災と東日本大震災の被災地取材。今思い返しても想像を絶する大災害でした。特に東日本大震災はまだまだ完全な復興には至っておらず、2019年10月の台風による河川氾濫によってまたも大被害。そして首都や西日本からの東北へ対する偏見はいまだにあるという悲しい事実。国会議員などさえ東北を卑下する言葉が時々発せられとても悲しく思います。東北学についても学んでみたいと感じました。

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    2019年10月25日
  • 軌道 福知山線脱線事故 JR西日本を変えた闘い

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    2005年4月発生したJR西日本福知山線の車両脱線事故。107名の犠牲者を出す戦後最悪クラスの列車事故の原因は、JR西日本の組織風土にあるのではないか。

    その検証のために、一個人として巨大なJR西日本に立ち向かい、気が遠くなるような対話を経て、徐々にJR西日本に自らの組織の問題を直視させた遺族がいた。妻と妹を亡くし娘が負傷した都市計画コンサルタントの淺野氏という男性がその人である。本書は彼に長年寄り添ったライターが、彼の10年あまりに及ぶ長い闘いを描いたノンフィクションである。

    本書では、JR西日本が組織風土が問題の一因であるということを直視するまで、あくまで運転手という一個人の適性やヒュ

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    2019年09月01日
  • 軌道 福知山線脱線事故 JR西日本を変えた闘い

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    福知山線脱線事故の被害者の目線から事故を追ったルポ。

    事故で、妻と娘を失った淺野さんは、JR西日本を感情的に弾劾するのではなく、二度とこのような事が起こらないように、事故が何故起こったのか、二度と起こさない為にどうすべきか、というスタンスで西日本に接する。

    民営化による利益追求。阪急など強い私鉄との熾烈な競争。過激なサービスの向上は結果として、安全面を犠牲にする事になる。

    資本主義、利益追求のなか、人の命を預かる基幹業務との安全性をいかに意識しなければならないか。

    官僚的な大規模な組織は硬直し、現場でも責任の所在は曖昧に。失敗すると個人が責められる。

    最近はヒューマンエラーを責めない

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    2019年07月15日
  • 軌道 福知山線脱線事故 JR西日本を変えた闘い

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    ニュース映像を見て絶句した福知山線脱線事故。事故のその後と、その要因を被害者家族の一人を起点に書き上げたノンフィクション。
    こういった大企業が起こした事故についてのルポは犯人が誰かということに終始することが多い気がするけれど、本作では趣が異なる。
    もちろんJR西日本が当事者として一番の責任があるのは間違いないけれど、被害者遺族にもこの事故を社会化させ、二度とこのような惨事を引き起こさないようするために会社と一丸になって問題の抽出と事故の教訓を引き出すのが責務があるとしている。
    妻と妹を失いながら、そのような冷静な判断と行動ができる本作の遺族に畏敬の念を感じる。
    ニュースでは懲罰的な日勤教育ばか

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    2019年04月09日
  • 軌道 福知山線脱線事故 JR西日本を変えた闘い

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    死亡者数107人、負傷者数562人を出した福知山線脱線事故を題材にしたノンフィクション。
    著者は、元神戸新聞記者で現在はフリーランスのライター。
    この事故で最愛の妻と妹を失い、娘が重傷を負うという悲痛な体験をした都市計画コンサルタントの淺野弥三一氏の「肩越し」に、淺野氏ら遺族会とJR西との闘いを追った書です。
    この種の本は、加害者(ここで言うJR西)を断罪して終わることが多い。
    だが、本書はそうではありません。
    JR西を真に安全を最優先する組織に変えようという淺野氏に共感し、そこからブレずに文字通り1つの軌道を走ります。
    はじめは通り一遍の謝罪でその場をやり過ごし、事故の責任を運転士1人に負わ

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    2019年01月22日
  • 軌道 福知山線脱線事故 JR西日本を変えた闘い

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    あの日のことは、覚えているが、事故の原因追求を被害者が中心となってやっていたとは知らなかった。時々利用する乗客としても色々と考えさせられた。

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    2019年01月06日
  • 軌道 福知山線脱線事故 JR西日本を変えた闘い

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    遺族を少し変わった視点から描いたドキュメント。
    妻と妹を亡くし、娘は重症。
    考えただけで気が遠くなります。
    読み応えが重すぎて読むのが辛くなるほどです。

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    2018年11月19日
  • 日本人のひたむきな生き方

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    「ふつうの人の人生にこそドラマがあるんやぞ」

    24時間保育の保育園長、長浜まちづくり、ジンバブエと日本を繋ぐ音楽、イルカと話す、百姓にとって土は命、素人主婦が社長になる、佐賀鹿島の蔵元。
    この本で紹介された7人は、皆一生懸命に生きてきた「ふつう」の人だ。それぞれが、共に歩むパートナーや仲間とその時の自分にできること、好きなこと、信じることをこつこつと積み上げてきて、今がある。尊敬すべき人々。私はどう生きているのか?を問われたようで、背筋が伸びる思いがした。

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    2016年01月23日
  • ふたつの震災 [1・17]の神戸から[3・11]の東北へ

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    また3・11が来るという最中、最後の「実は「11日」という日を意識しているのは、もう私たちのような当事者とマスコミだけじゃないのかなって」とい言葉に後ろめたささえ覚えた。その言葉に続いて書かれた「あの日から何も変わらない悲しみを抱えたまま、佇み続ける人たちがいる。「復興」の掛け声からこぼれ落ちていく想いがある」。
    阪神大震災を経験した元神戸新聞記者のライター2人が「想い」に寄り添った本。上段から震災とは、復興とは、と語ることなく、端緒は常に被災者から。語られる生の言葉の一つ一つが深く印象に残った。

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    2013年03月09日
  • ふたつの震災 [1・17]の神戸から[3・11]の東北へ

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    目を覆いたくなる惨状や悲痛なエピソードよりも、ここに登場する人たちの人間的な魅力を強く感じて、思わず会いに行きたくなる人たちが数多く登場する。

    妻を失っても愛する気仙沼のために、と市議選に出馬したカンコちゃんや、新宿ゴールデン街伝説のおかまキンコさんなど、愛すべきキャラクターと出会える一冊。

    第4章の「東北の怒りと向き合う」での、ケセン語の研究者・山浦氏による日本の都市と地方に関する歴史的な考察はとても興味深い。

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    2012年05月21日
  • 大阪・関西万博 「失敗」の本質

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    ネタバレ

    大阪の今日と、今回の万博へのうねり、は切っても切れない関係にありそうだ。

    電通の章、経済効果の章、建設は少し専門的だったけれど、
    いろいろと知れて興味深かったです。あと1か月、無事まずは終わるといいですね。

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    2025年09月08日
  • 大阪・関西万博 「失敗」の本質

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    万博は、まだ「失敗」とは言えず、予想より人が入っている印象だが。だが、当初予算を大幅に超える建設費や、維持費の高騰。メタンガスによる事故などの影響による不安、広告塔である吉本のゴシップなどで、どうも「失敗」の印象が根強い。最近も、虫がわいている、海外パビリオンの工事が遅れている、トイレが使いにくいなど色々あるようだ。

    間接的には私も他人事ではない関係もあり、超遠目には見ていたが、パビリオンの予約が取れなかったり、ウェブ手続きが高齢者には難しい、行列解消の課題など多々課題はあるようだ。個人的には、イベントの成否を特定政党の利害と結びつけ、政党支持者以外が、反対意見に与し易い構図も良くないと感じ

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    2025年06月08日
  • 大阪・関西万博 「失敗」の本質

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    万博開催中だからこそ、読みたかった1冊。
    なぜここまで、批判を受け、国民の関心を得られていないのか。

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    2025年05月03日
  • 大阪・関西万博 「失敗」の本質

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    万博の大成功を願っているし、行った人の楽しかったTweetに羨ましいしかない。
    同時に始まったカジノ・IRの建設工事。
    個人的には夢洲のカジノ計画には大賛成。

    ギャンブル依存症で困るのは、その人らが市井に溢れることであって、むしろ夢洲に集中させて、駅前のパチンコなどなくなれば良い。
    日本の誇る文化なのに、外国人に溢れ、日本人が行きたくないところになってしまった、京都、東京、大阪ミナミ、博多。
    文化に理解を示してくれる外国人にはどんどん日本を知ってもらいたいが、大半は変な国で安くてメシウマな日本に行って騒ぎたいだけ。なら、夢洲に、エセ日本テーマパークとカジノとリゾートと吉本エンタメ作って、そん

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    2025年04月15日
  • 地方メディアの逆襲

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    序盤から紹介されるエピソードが立て続けにイデオロギー強め。著者のスタンスなのか、対権力・対中央ってやってるとメディア自身のスタンスがそうなるのか興味深い。反対に右傾化する在阪メディアは自主規制の緩さと対権力ではなく対首都圏メディアへの意識の強さが原因かも。
    長期間地域密着で取材することにより掴めるネタはあるだろうし地方メディアは必要だと感じた。
    あと一番地方メディアが必要な地域は東京。雪降ったとかナントカ線の人身事故とか麻布グルメとかローカルな話題は地域内で収めて外には漏らさないでほしい。

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    2023年08月15日
  • 地方メディアの逆襲

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     大手というか巨大メディアが、今までと同じように操業することが不可能になっている。むしろ、この本で紹介された地方のメディアが、新しい事業を作り出してゆく希望を示してくれる。読者のほうも、良心的や創造性のあるメディアを選ぶ努力が求められるようだ。

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    2022年07月27日
  • 地方メディアの逆襲

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    基本的に、地方紙頑張れ!という報道側の意見ではあるけれど、内側の人だからこその言葉たちに響くものがいくつもあって、全く期待せず読んだのに途中からたくさん線を引いてしまった。
    事実を知ることからしか始まらないということを今一度実感した。
    感情先行型の社会の中で、事実を伝え続けてほしい。そうしないと議論することできないから。

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    2022年04月18日
  • 軌道 福知山線脱線事故 JR西日本を変えた闘い

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    最悪の大事故の原因は、企業風土・膠着的な組織がもたらした?

    【感想】
     なぜ、福知山脱線事故は起こってしまったのか。それには、JR西日本の膠着的な企業風土が起因していた。短期的な賞罰教育と、常に内向きの理論で意思決定を行ってしまう大企業。そのために、過去にあった事故から、再発防止の仕組み・育成方式を作り上げることができていなかった。自社の責任から目を背け、外部や特定の個人に問題を擦り付けようとした。作中に筆者も取り上げているが、まさに「失敗の本質」で語られているような、旧日本軍的な空気による支配・意思決定が横行する組織となってしまっていたのである。107人もの死者をもたらした未曽有の大事故は

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    2021年03月06日
  • 軌道 福知山線脱線事故 JR西日本を変えた闘い

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    仕事のために読んだ本ですが、一つの大企業のノンフィクションとして非常に読み応えがある。

    遺族の苦しみと企業の論理が対峙する、それは企業にとって支援者であったはずの利用者が被害者となることで裏切りとなって強烈に跳ね返る。

    いくら原因を追求しても癒されないことは分かっているけど、追い求めずにはいられない被害者。それが企業人にも一個の個人として正面から向き直る愚直さが突きつけられる。

    サラリーマンという不思議な生態に疑問を感じさせる一冊。

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    2020年11月03日
  • 軌道 福知山線脱線事故 JR西日本を変えた闘い

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    ある日突然自分の肉親を失わなければならないような事故に遭遇した際、どのようにその事実と向き合い、その事実をどう自分の中で咀嚼して行けばいいのかということは、実際にそのような事実を目の前にした者に突きつけられる大きな難題であろう。
    ましてや、その事故を起こした加害側がひときわ大きな組織体である場合は、どのようにそんな組織と向き合っていけばいいのか、肉親を失った悲しみも手伝って感情的になりがちな状況で、正常な判断などなかなかできるものではないということは想像に難くない。
    それでも、「何が鎮魂になるのか」ということをひたすら自身に問い続けることによって、巨大な組織とどう向き合ってきたのかという事実、

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    2020年03月13日