松本創のレビュー一覧

  • 軌道 福知山線脱線事故 JR西日本を変えた闘い

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    ネタバレ

    最近、脱線事故現場の近くにたまたま行ったことで、祈りの杜にも伺った(本来は、目的を持って伺うべきだったと反省している。)
    資料館の情報を見て、自分の前情報をも元に、日勤教育を良しとしていたこと、大組織の怖さみたいなものを再認識していた。その後もいろいろネットで事故のニュースを読んでいたりしたが、少し体系的に事故のことを知りたいと思って読んだのがこの書である。

    事故というものを、これまでは、日勤教育とそんな文化を良しとしていた組織が悪いと思っていたが、全く違う視点を持てた。

    淺野氏という方の被害者意識を置いて、事故を社会化するという視点。大企業相手に対話の糸口を、自分の言葉で話せる人を探して

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    2025年10月25日
  • 大阪・関西万博 「失敗」の本質

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    松本創編著. 2024. 大阪・関西万博「失敗」の本質. 筑摩書房 / ちくま新書 (1808).

    - 結果的には万博行った後に読み切ったことになる。行った直後に交通機能麻痺の事件が起きて(2025-08-13)、不謹慎ながら維新および万博協会が無策すぎて笑ってしまった。

    - 色々な問題点が語られているが、特に
    (1) CFOが2024年まで割り当てられておらず、割り当てられたときにはもう予算の大半が肥大仕切った後だった
    (2) 電通の非協力は東京五輪汚職事件が直接のきっかけではあるものの、電通が自民党以外の政党および大阪府・大阪市に対して相対的に冷淡であり、謹慎期間が

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    2025年08月23日
  • 軌道 福知山線脱線事故 JR西日本を変えた闘い

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    2025.06.09
    ノンフィクションの要諦は抑えた筆致にあるというのがわたしなりの評価基準。
    その意味でも本作は凄まじい、痛ましい、切ないこの事故を抑えた筆致で丁寧に描いていることに好感が持てる。
    また抑えた筆致で魅力が伝わる人をその対象に選んだところにも巧みさがみえる。
    自分も大組織に属するから非難できないが、組織人はどうしても組織防衛をまず考えてしまう。その性から逃れられない、

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    2025年06月09日
  • 大阪・関西万博 「失敗」の本質

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    夢洲という場所がそもそも悪いという章が最高に面白い。杭打ちしなくちゃいけないとか、各国のパビリオン建設が極めて困難な現場であったり。
    地下建設が難しい理由。読んでてワクワクしてくるぐらい最悪なことばっかり。

    東京オリンピックが何となく終わったように関西万博も何となく始まって終わるのかと思ったけど…どーなんのかな。

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    2025年04月03日
  • 大阪・関西万博 「失敗」の本質

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    大阪・関西万博関連の法律が次々と(異例とも言える強引なやり方で)衆参様々な委員会で決まっていく様子をインターネット中継のこちら側で目撃してきたひとりとして、何度も何度も、「だから言ったのに!」と机ドンドンしたくなる。ほんの数日前には、これ以上は無かったはずの“追加予算”が計上された。それもやっぱり“誰か”が強引に夢洲に決めたからなのでは?でもこれは大阪・関西だけのことじゃない。目を背けず日本社会全体で見届けなければならないのだろうな。つらい。

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    2024年09月15日
  • 大阪・関西万博 「失敗」の本質

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    万博が別の意味で楽しみになってくる裏ガイドブックだった。ま、それは冗談としても、大阪という地の背景から維新との関連から建築の観点からと様々な視点から深掘りできる。

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    2024年09月01日
  • 大阪・関西万博 「失敗」の本質

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    これまでの経緯と開催地や世論が盛り上がらない理由がよくわかりました。ハピリオン建設時の2つの条件のうちのひとつは夢洲ならではです。

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    2024年08月27日
  • 地方メディアの逆襲

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     ネットニュースを見てがっかりすることが多い。見出しの印象と内容とに齟齬があるような、それも意図的にしているのが透けて見える。「誰のためにニュースがあるのか」(110頁)。

     被害者報道については(第5章)、知る自由・表現の自由・取材の自由と、被害者・遺族のプライバシーが衝突し、それらの対抗する利益をどのように調整するのかと問題が整理される。しかし、取材の場で起きていることは、衝突などではなく完全なすれ違いである(188頁参照)。自らを公共の利益に「奉仕する」者として正当化しておいて、自社の経済的利益を優先させ、記者の昇進を優先させることは背理である。そのような矢印の方向のずれがジャーナリズ

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    2023年10月06日
  • 軌道 福知山線脱線事故 JR西日本を変えた闘い

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    2005年に起きた福知山線脱線事故。
    脱線してマンションに列車が突っ込み、見るも無惨な様子で横たわる様子を今でも覚えている人は多いと思う。
    この事故で100名以上の命が失われたわけだが、そのある遺族が遺族という枠を超えて、JR西日本と一緒になって本気の組織改革を成し遂げる様子が描かれている本である。
    この事故はたただのヒューマンエラーではない…以下の4つの要因が複雑に絡まり合って起こってしまった、偶然ではなく必然的に起こった事故だと訴えている。
    ① 高速化を追求しすぎたが故の無理なダイヤ編成
    ② 非常ブレーキ蔵置(ATS-P)の設置遅れ
    ③ 安全管理体制
    ④ 日勤教育(過度な罰を与える不適切な

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    2023年07月23日
  • 地方メディアの逆襲

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    新聞やテレビ、大手メディアがネットに押される今こそ地方メディアの時代なのかもしれない。今後のジャーナリズムのあり方を示した良著。

    こたつ記事や記者クラブでない、長期間にわたり丹念に取材を重ねる調査報道。地方紙、地方テレビ局だからこそ行える報道が実際にある。

    すっかりサラリーマン、官僚化した感のある大手メディアに比べ気骨のある人物がまだまだ地方には多く存在する。

    筆者の言う地方メディアの強み。
    1.現場があること
    2.時間軸が長い
    3.当事者性を帯びている

    イージスアショア計画をつぶした秋田魁新報、ネットの中傷やフェイクに対するファクトチェック報道の琉球新報、ドキュメンタリー番組の制作を

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    2022年02月27日
  • 軌道 福知山線脱線事故 JR西日本を変えた闘い

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    事故で大切な人を失った遺族について生々しい現実を教えてくれた。読んでいて本当に胸がつまる思いだった。同時に当時のJR西日本という企業に対しての不信感も込み上げてくる。

    不幸にも遺族となった浅野氏の懸命な行動が凝り固まった官僚主義の企業に変化をもたらした。自身も辛い中にあっても「遺族の責務」といい、ここまでの事をやってのけた。

    安全と利益追求のバランス。鉄道会社には強く求められること。安全なしでは鉄道を走らせる資格はないが、安全に投資するためには稼がなくてはならない。そのバランスを崩すと事故が起こる。安全が最も重要なことは当たり前なのだが経営者にとってこの両立は難しい事なのだろうと思う。

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    2021年10月21日
  • 軌道 福知山線脱線事故 JR西日本を変えた闘い

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    組織論として読んでいて引き込まれる。
    失敗学、リスクマネジメントなどとよく言われるが、これをすればよいという対策はなく、時代ごとに変わる対策を常に取り続けていかなくてはならない。
    また、やらなかったからと言って悪さが顕在化することは小さい。そのため、効率化の名のもとに考えることが許されず、重要性も理解されない。
    最後の章まで読み応えがあり、そして憂鬱な感覚が残った。予防的な処置をすることは、人の直感とは相容れない部分なんだろうな。

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    2021年07月25日
  • 軌道 福知山線脱線事故 JR西日本を変えた闘い

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    2005年JR西日本福知山線脱線事故で、妻と妹を失った浅野さんをモデルに、事故を起こした運転士よりもその会社体質正すことに費やした10年間。重大事故の対応として江戸の大火の昔から変わらずの個人責任追及主義、無関係者からの誹謗中傷を読んで憂鬱になった。

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    2020年07月19日
  • 軌道 福知山線脱線事故 JR西日本を変えた闘い

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    2005年4月25日に発生した、あの福知山線の事故。
    あれはやはりJR西日本という企業が生み出した事故
    なのでしょう。

    通常、事故といえば個人の過失やシステムの故障、
    車両などの整備の欠陥に行き着きますが、あの事故
    に関しては違いました。

    間違いなく組織が起こした事故であることがこの本
    から理解できます。

    その責任をJR西日本に認めさせ、改善させるまでの
    闘いがこの本に記されています。

    誰もが当事者になりうる事故です。背筋を伸ばして
    読むべき一冊です。

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    2020年01月23日
  • 軌道 福知山線脱線事故 JR西日本を変えた闘い

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    電車の中で若い人が、「昔関西で大きい自己があったらしいよ」という話しをしているときにふと、これはそんな前だったかと思い、思い返して書物を手に取った。当時、一歩違えば乗り合わせていた偶然に震撼した記憶がある。その実態の一つ一つを社会問題として、自分の心に刻める本。

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    2019年12月14日
  • 軌道 福知山線脱線事故 JR西日本を変えた闘い

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    ネタバレ

    この事故の遺族の働きにより大企業が大変革を遂げた。
    人の犠牲が無ければ安全度が上がっていかないのはとても悲しいが。
    ヒューマンエラーはつきもの。それをどのようにしたら減らしていけるのか、
    自動運転等の技術開発もされている現代社会の大きな課題だとも感じた。
    TV東京系の番組で会社社長が取り上げているのをよく見るが、どこまで本当なのだろうかとも考えさせられた。

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    2019年10月15日
  • 軌道 福知山線脱線事故 JR西日本を変えた闘い

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    ネタバレ

    2018年「「Yahoo!ニュース | 本屋大賞 ノンフィクション本大賞」ノミネート作品今年を含め今までのベストに入るルポタージュの傑作組織論、危機管理、社会学等いろいろな視点で読み取れる「軌道」の複数の意味が感慨深い旧国鉄の労使問題については管理者の立場としては井手の視点に立ってしまう

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    2019年12月03日
  • 軌道 福知山線脱線事故 JR西日本を変えた闘い

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    大変不勉強なんですが、福知山線脱線事故というと「日勤教育」と井出天皇のイメージしかなく、その後に遺族とJR西にこんな事実があったことを全く知りませんでした。
    本書は遺族の一人、浅野弥三一にスポットを当て、彼の視点での事故顛末を追っている。科学技術の使命、遺族の責務、問題の社会化視点、確率論の異議(ファクトを読み解く視点)、安全と経営の両立、という凡そ遺族とは思えない冷静な立場で巨大組織に挑む姿は神々しささえ感じました。特にそんなもの無いだろうと思われる「遺族の責務」に固執し続ける姿勢には心打たれるものがあります。
    主人公に負けず劣らず、筆者の展開力・構成力・筆力も感嘆ものです。ノンフィクション

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    2019年09月06日
  • 軌道 福知山線脱線事故 JR西日本を変えた闘い

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    ネタバレ

    タイトルの通り、福知山線の脱線事故後のルポルタージュです。特筆する点は、一つに遺族の一人、淺野弥三一氏の側からの視点で書かれていること、その淺野氏がJR西日本に対する責任追及よりも、JR西日本と一緒に今回の事故を検証して再発防止に繋げていけないかを模索した点です。紆余曲折ありながらも、最終的には、JR西日本、遺族側、第三者機関が同じテーブルについて、話し合いが行われることになりました。可能な限り冷静に客観的なデータに基づいて議論していく姿勢に感銘を受けました。また同時に「遺族の責務」という言葉が重くのしかかってきました。

    リスクアセスメントの考え方によれば、ヒューマンエラー、今回の件で言

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    2019年01月25日
  • 軌道 福知山線脱線事故 JR西日本を変えた闘い

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     事故後13年以上もたって、初めてこの事故についての詳細な事実を確認することとなった。とにかく安全システム、安全設計について多くを考えさせられる本。リスクアセスメントの学習を始めたところで本書を知ったのは良かった。まずは浅野氏の凄さにひれ伏すのみ。せめてその足元でもがける程度にはなりたい。
     本書に示されるJR西日本安全フォローアップの資料をJR西日本のサイトから入手した。こちらもじっくりと読んで学習し、今後の糧としたい。

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    2019年01月21日