【感想・ネタバレ】軌道 福知山線脱線事故 JR西日本を変えた闘いのレビュー

ユーザーレビュー

Posted by ブクログ 2020年07月19日

2005年JR西日本福知山線脱線事故で、妻と妹を失った浅野さんをモデルに、事故を起こした運転士よりもその会社体質正すことに費やした10年間。重大事故の対応として江戸の大火の昔から変わらずの個人責任追及主義、無関係者からの誹謗中傷を読んで憂鬱になった。

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Posted by ブクログ 2020年01月23日

2005年4月25日に発生した、あの福知山線の事故。
あれはやはりJR西日本という企業が生み出した事故
なのでしょう。

通常、事故といえば個人の過失やシステムの故障、
車両などの整備の欠陥に行き着きますが、あの事故
に関しては違いました。

間違いなく組織が起こした事故であることがこの本
から理解...続きを読むできます。

その責任をJR西日本に認めさせ、改善させるまでの
闘いがこの本に記されています。

誰もが当事者になりうる事故です。背筋を伸ばして
読むべき一冊です。

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Posted by ブクログ 2019年12月14日

電車の中で若い人が、「昔関西で大きい自己があったらしいよ」という話しをしているときにふと、これはそんな前だったかと思い、思い返して書物を手に取った。当時、一歩違えば乗り合わせていた偶然に震撼した記憶がある。その実態の一つ一つを社会問題として、自分の心に刻める本。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年10月15日

この事故の遺族の働きにより大企業が大変革を遂げた。
人の犠牲が無ければ安全度が上がっていかないのはとても悲しいが。
ヒューマンエラーはつきもの。それをどのようにしたら減らしていけるのか、
自動運転等の技術開発もされている現代社会の大きな課題だとも感じた。
TV東京系の番組で会社社長が取り上げているの...続きを読むをよく見るが、どこまで本当なのだろうかとも考えさせられた。

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Posted by ブクログ 2019年09月06日

大変不勉強なんですが、福知山線脱線事故というと「日勤教育」と井出天皇のイメージしかなく、その後に遺族とJR西にこんな事実があったことを全く知りませんでした。
本書は遺族の一人、浅野弥三一にスポットを当て、彼の視点での事故顛末を追っている。科学技術の使命、遺族の責務、問題の社会化視点、確率論の異議(フ...続きを読むァクトを読み解く視点)、安全と経営の両立、という凡そ遺族とは思えない冷静な立場で巨大組織に挑む姿は神々しささえ感じました。特にそんなもの無いだろうと思われる「遺族の責務」に固執し続ける姿勢には心打たれるものがあります。
主人公に負けず劣らず、筆者の展開力・構成力・筆力も感嘆ものです。ノンフィクションの素晴らしさを堪能できます。
元神戸新聞記者は素晴らしいノンフィクション作家を誕生させる孵卵器のようですね。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年01月25日

タイトルの通り、福知山線の脱線事故後のルポルタージュです。特筆する点は、一つに遺族の一人、淺野弥三一氏の側からの視点で書かれていること、その淺野氏がJR西日本に対する責任追及よりも、JR西日本と一緒に今回の事故を検証して再発防止に繋げていけないかを模索した点です。紆余曲折ありながらも、最終的には、J...続きを読むR西日本、遺族側、第三者機関が同じテーブルについて、話し合いが行われることになりました。可能な限り冷静に客観的なデータに基づいて議論していく姿勢に感銘を受けました。また同時に「遺族の責務」という言葉が重くのしかかってきました。

リスクアセスメントの考え方によれば、ヒューマンエラー、今回の件で言えば、運転士のスピード超過がカーブを曲がり切れず脱線に至ったわけですが、それは「原因」ではなく「結果」とします。もっと大きな視点に立って組織風土や環境要因など様々なファクターが複雑に絡み合って、今回の「結果」が生じたのだと。日本は昔から個人にその責を負わせる風潮があるようです。もちろんヒューマンエラーが主要因かもしれませんが、現代社会では事件・事故が大きくなればなるほど、その原因は複雑化します。個人に「原因」を集中させることは、ともすれば、複雑化した原因解明を遠ざけてしまう可能性があります。

淺野氏は事故で妻と妹を同時に亡くしました。遺族としての辛い気持ちや葛藤も抱えながら、一方で氏のエンジニアとしてのプライドをもって事故の本質を詳らかにしようと、何度もJR西日本と交渉を重ねます。その姿勢はJR西日本を糾弾するのではなく、問題をオープンにして、一緒に考えていこうという非常に成熟した発想に思えました。

3者で開催された「課題検討会」のオブザーバーであった柳田邦男氏がその報告書に寄せた一文があります。
「私はこの社会に人間性の豊かさを取り戻すには、被害者(1人称の立場)や社会的弱者(同)とその家族(2人称の立場)
に寄り添う視点が必要だと感じる。『これが自分の親、連れ合い、子どもであったら」と考える姿勢である。もちろん、専門家や組織の立場(3人称の立場)に求められる客観性、社会性の視点は失ってはならない。そういう客観的な視点を維持しつつも、被害者・加害者に寄り添う対応を探るのを、私は『2.5人称の視点』と名づけている。課題検討会におけるJR西日本の遺族たちに対する応答の仕方に、私は『2.5人称の視点』に近づこうとしている姿勢を感じた」
柳田邦男氏の『犠牲(サクリファイス)ーわが息子・脳死の11日(文春文庫)』の中では1人称、2人称、3人称の死について述べられていました。相反する発想や価値観、立場を自らのうちに留めて、決して安易な結論に流されないよう、その葛藤に身を置く姿勢と解釈しています。それが、本質に近づける手段のように思えます。

著者は元神戸新聞の記者で、現在はフリーランスです。文書構成もさることながら、非常に読みやすく、その文章力についつい引き込まれていった部分も否定できません。秀逸なルポルタージュには間違いありませんが、史実を元にしたドラマのような感動も覚えました。

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Posted by ブクログ 2019年01月21日

 事故後13年以上もたって、初めてこの事故についての詳細な事実を確認することとなった。とにかく安全システム、安全設計について多くを考えさせられる本。リスクアセスメントの学習を始めたところで本書を知ったのは良かった。まずは浅野氏の凄さにひれ伏すのみ。せめてその足元でもがける程度にはなりたい。
 本書に...続きを読む示されるJR西日本安全フォローアップの資料をJR西日本のサイトから入手した。こちらもじっくりと読んで学習し、今後の糧としたい。

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Posted by ブクログ 2018年12月06日

インフラを扱う一人にとって、吉村昭著の高熱隧道に並ぶ、重要な作品となった。
淺野氏及び事故被害者の方々には心からの追悼の意を表すると共に、淺野氏の行動に、大きく心を揺さぶられた。
JR西はもとより、社会インフラに関与している全ての人が、本書から訴えられる安全に対する意識を持ち、何度も反芻しながら業務...続きを読むに従事することが出来れば、と思う。
この気持ちを拡げて周囲を巻き込む事が、淺野氏や著者への恩返しになるのではないか。
終わりなき旅だが、不断の努力はきっと意味がある。

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Posted by ブクログ 2018年11月12日

【2本のレールが交わるところ】2005年4月25日に発生し、107名の死者と562名の負傷者を出したJR福知山線脱線事故。当初の会社側の無機質な対応に風穴を開け、JR西日本と共に事故の原因究明と安全対策に乗り出した遺族を軸に、事件のその後を描いた作品です。著者は、神戸新聞の記者を経てフリーランスで活...続きを読む躍している松本創。

月並みな表現ですが、組織や社会の根幹はやっぱりどこまで行っても人なんだなと教えてくれる一冊。JR西日本と遺族との話し合いを通じ、読み手の側も、組織論や危機管理論を超えて幅広い教訓を得ることができるかと。

〜「被害者と加害者の立場を超えて同じテーブルで安全について考えよう。責任追及はこの際、横に置く。一緒にやらないか」〜

事前の前評判を裏切らない素晴らしい作品でした☆5つ

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Posted by ブクログ 2018年10月12日

【あらすじ引用】
乗客と運転士107人が死亡、562人が重軽傷を負った2005年4月25日のJR福知山線脱線事故。
妻と実妹を奪われ、娘が重傷を負わされた都市計画コンサルタントの淺野弥三一は、なぜこんな事故が起き、家族が死ななければならなかったのかを繰り返し問うてきた。
事故調報告が結論付けた「運転...続きを読む士のブレーキ遅れ」「日勤教育」「ATS-Pの未設置」等は事故の原因ではなく、結果だ。
国鉄民営化から18年間の経営手法と、それによって形成された組織の欠陥が招いた必然だった。

まだ記憶が十分に新しい福知山線の脱線事故。既に14年も経っていたんですね。
脱線した上にマンションに突っ込み、多くの人命が失われた前代未聞の大事故でありました。
東京でも2000年に営団地下鉄で脱線衝突事故が有り、5人の人命が失われました。人数で比較するものではありませんが、福知山線では107人の命が失われるという未曽有の大事故でした。
当時のニュースを思い返すと、運転手の暴走でカーブを曲がりきれなかった事によるものという印象でした。ともすれば、個人のミスによるものであるという認識が有ったかもしれません。
しかしこの本を読むと、JR西日本の企業としての負の蓄積が噴出した起こるべくして起こった事故であったとわかります。
井出会長が良くも悪くも剛腕で牽引し、赤字を出さない為に叱咤してここまで持って来たという自負、また崇め奉る事により誰も意見を言えなくなり、現場サイドの危険への意識を吸い上げることなく、ひたすらトップダウンでしかない一方通行の経営方針が現場の考える力、判断力を奪った。
ミスに対して懲罰を与える事により、ミスを隠ぺいする体質が根深く出来上がってしまい、小さなトラブルの内に危険の萌芽を摘み取る事が出来なかった。
収益重視の経営方針を推し進めた事によって、車両の増加、高速化を推し進め、それに比して安全対策がなおざりになっていた。

そんな事故に家族が巻き込まれる事になった浅野氏は、都市開発、計画を長年に渡って手がけてきた人物です。事故に遭われたのは非常に気の毒では有るのですが、彼の妻子がこの事故に巻き込まれた事によって、JR西日本という会社の問題点が浮き彫りになり、最終的に同社の今の姿があるのだろうと思います。ある意味JR西日本の大恩人とも言えます。

懲罰ありきで個人に責任を帰する風潮というのは、もしかして日本の根本的な問題なのではないかと思いました。スキャンダルにマスコミだけではなく一般市民まで群がり吊し上げ、責任を取らせるのではなくひたすら追い詰め辞めさせる。そして根本的な原因は置き去りになる。重大な問題がどんどん深い所に隠されていくのではないかと懸念されます。
この本でも書かれていますが、ヒューマンエラーというのは原因ではなく、結果なのでさらに遡った要因を見つけなければ解決しないと思います。

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Posted by ブクログ 2018年08月26日

被害者遺族の代表の一人浅野氏に寄り添う形で,丁寧に聞き取り調査をして,JR西日本の体質歴史に切り込んでいるのは見事.ただ批判するだけではなく,これからどうすれば事故を防げるかにポイントを置いて,身勝手な井手天皇をも冷静に分析している.福知山脱線事故の本は興味があって何冊か読んでいるが,これが一番心に...続きを読むグッときました.

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Posted by ブクログ 2018年07月19日

建物の1階部分にひしゃげた車両がめり込んでいる。脱線事故とは
言え、これはどういう状況なのか。2005年4月25日に発生した
福知山線脱線事故のニュース映像だ。しかも、テレビ画面に映し
出されていた車両は2両目だった。

この事故で妻と妹を失い、次女が重傷を負った都市計画コンサルタント
...続きを読む野弥三一氏が巨大組織JR西日本を相手に組織としての原因追求と
安全対策の改善を求めた記録が本書である。

淺野氏は被害者遺族であり。被害者家族である。その人が被害者感情を
優先するのではなく、組織事故としてJR西日本に真摯な対応を求める。

誰もが出来ることではないと思う。大規模事故に自分が、または身内
が巻き込まれたのなら、私だったら被害者感情が先に立ち安全の確立
を求めることまでには考えが至らないだろうと思う。

国鉄の分割民営化後のJR西日本が優良企業となって行く過程、その
なかで育まれてしまった上に物が言えぬ組織風土。それをJR西日本
自身に見つめ直されるのには、事故後に社長に就任した山崎正夫氏
の登場を待つしかなかった。

残念ながら山崎氏は自身の不祥事と福知山線脱線事故での在宅起訴
で社長の座を去ることになったが、彼がいたことで淺野氏たち被害者
組織との対話の実現への突破口になる。

あの事故を運転士個人の責任として済ませてしまうのは却って簡単なの
だろう。では、何故、ヒューマンエラーが起きるのか。その背景を洗い
出した記録として本書は貴重な作品だと感じた。

一貫してJR西日本の組織的責任を追及し続けた淺野氏は勿論のこと、
JR西日本関係者の多くに取材し、丹念に描かれた良書である。

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Posted by ブクログ 2018年06月23日

運転手も含め107名の犠牲者を出した2005年4月25日に発生した福知山線脱線事故。その事故で奥様を亡くし、娘さんが大けがを負った浅野弥三一氏が、JR西日本に対して事故原因の追究を訴え、被害者と加害者という立場を超えて再発防止に取り組んできた日々を追うノンフィクション。
当初JR西日本経営陣は事故原...続きを読む因を運転手のミスと主張していました。しかし、浅野氏は運転手のミスは原因ではなく、運転ミスを厳しく罰する懲罰主義やミスに対する厳しい日勤教育をはじめとする精神論などの企業体質にこそ原因があると考え、JR西日本の企業体質の変革を目指しました。
当初、専ら組織防衛に徹する経営陣とは議論がかみ合わない中、新たに社長に就任した山崎正夫氏との出会いが事態を動かすきっかけになりました。山崎氏はJR西日本初の技術系出身の社長であり、技術コンサルタントであった浅野氏と技術者同氏として語り合うことができたからです。浅野氏が山崎氏と初対面の時の印象を「彼は技術屋でしょう。彼となら対話ができるかもしれない。事務方の用意した官僚答弁ではなく、自分の言葉で本音を喋る人だ。」と述べ、「責任追及はこの際、横に置く。一緒に安全の再構築に取り組まないか」と語りかけています。
鉄道など公共交通機関は安全が最優先とはわかっていながら、利用者である私たちは「より速く、より快適に」という要求を過度に求め過ぎていないでしょうか。「原発には反対だが、快適な生活は手放したくない」といった要求とよく似た構図がみられる気がします。鉄道の安全を確保するのは確かに鉄道を運行している企業であるのは当然ですが、その企業に過度なプレッシャーを与えていないか、再考させられる1冊でした。

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購入済み

一気に読んだ。

raku 2018年05月12日

国策を成し遂げたプライドが人命より高い人間に、
リスクアセスメントの考え方は届かないのだろうか。

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Posted by ブクログ 2020年07月23日

福知山線事故の遺族、JR西日本との闘いを追ったノンフィクション。

人的責任ではなく、企業本体の闇に光をあて
改善していく長い長い闘い。

ヒューマンエラーで片付けてはいけないという事が、良くわかる。

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Posted by ブクログ 2019年09月01日

2005年4月発生したJR西日本福知山線の車両脱線事故。107名の犠牲者を出す戦後最悪クラスの列車事故の原因は、JR西日本の組織風土にあるのではないか。

その検証のために、一個人として巨大なJR西日本に立ち向かい、気が遠くなるような対話を経て、徐々にJR西日本に自らの組織の問題を直視させた遺族がい...続きを読むた。妻と妹を亡くし娘が負傷した都市計画コンサルタントの淺野氏という男性がその人である。本書は彼に長年寄り添ったライターが、彼の10年あまりに及ぶ長い闘いを描いたノンフィクションである。

本書では、JR西日本が組織風土が問題の一因であるということを直視するまで、あくまで運転手という一個人の適性やヒューマンエラーが原因であるということが示される。そこから、いかにヒューマンエラーを起こさせないような組織風土、起きてもリカバリー可能な鉄道運行システムをどう構築するかという認識の変換が発生するわけで、JR西日本という極めてディフェンシブな大企業を動かした背景に一遺族の行動があるということに驚かされると同時に、淺野氏の「事故に対する怒りと原因究明を切り分ける」という常人にはなかなか真似ができない思想が突破口となったことがよく理解できる。

一つの企業が自らが見たくない現実を直視し、そこから変化を遂げるということはどういうことなのか。グロテスクなまでの組織防衛の生々しさも含めて、本書は大組織で働く人に対して、様々な思いを抱かせてくれると思う。

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Posted by ブクログ 2019年07月15日

福知山線脱線事故の被害者の目線から事故を追ったルポ。

事故で、妻と娘を失った淺野さんは、JR西日本を感情的に弾劾するのではなく、二度とこのような事が起こらないように、事故が何故起こったのか、二度と起こさない為にどうすべきか、というスタンスで西日本に接する。

民営化による利益追求。阪急など強い私鉄...続きを読むとの熾烈な競争。過激なサービスの向上は結果として、安全面を犠牲にする事になる。

資本主義、利益追求のなか、人の命を預かる基幹業務との安全性をいかに意識しなければならないか。

官僚的な大規模な組織は硬直し、現場でも責任の所在は曖昧に。失敗すると個人が責められる。

最近はヒューマンエラーを責めない会社が増えて来ているとの事。
人はミスを犯すものだからこそ組織的な安全の仕組みが必要だ。

何よりも前半の事故の生々しい描写、悲惨な様子に衝撃を受ける。

筆者は長年淺野さんの近くに居たとの事。
だが、そんな筆者も淺野さんのスタンスを図りかねてこの本をどうまとめれば良いかわからない時期があったとの事。

想像もしなかった事に出会い、一瞬で大切なモノを失う。
当事者としても整理がつく事はないのでは、と思う。
その中で今までの活動の延長で事件と向き合う。
社会性の面とプライベートのどうしようもない喪失感が、カオスの様に個人の中でも渦巻いてあるような状況なのではないのだろうか。

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Posted by ブクログ 2019年04月09日

ニュース映像を見て絶句した福知山線脱線事故。事故のその後と、その要因を被害者家族の一人を起点に書き上げたノンフィクション。
こういった大企業が起こした事故についてのルポは犯人が誰かということに終始することが多い気がするけれど、本作では趣が異なる。
もちろんJR西日本が当事者として一番の責任があるのは...続きを読む間違いないけれど、被害者遺族にもこの事故を社会化させ、二度とこのような惨事を引き起こさないようするために会社と一丸になって問題の抽出と事故の教訓を引き出すのが責務があるとしている。
妻と妹を失いながら、そのような冷静な判断と行動ができる本作の遺族に畏敬の念を感じる。
ニュースでは懲罰的な日勤教育ばかりが問題視されていたと思うけれど、ことはそれほど単純ではなく、会社の成り立ちや地域性、国の政策等が絡み合った結果このような事故が引き起こされたのだと気付かされた。

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Posted by ブクログ 2019年01月22日

死亡者数107人、負傷者数562人を出した福知山線脱線事故を題材にしたノンフィクション。
著者は、元神戸新聞記者で現在はフリーランスのライター。
この事故で最愛の妻と妹を失い、娘が重傷を負うという悲痛な体験をした都市計画コンサルタントの淺野弥三一氏の「肩越し」に、淺野氏ら遺族会とJR西との闘いを追っ...続きを読むた書です。
この種の本は、加害者(ここで言うJR西)を断罪して終わることが多い。
だが、本書はそうではありません。
JR西を真に安全を最優先する組織に変えようという淺野氏に共感し、そこからブレずに文字通り1つの軌道を走ります。
はじめは通り一遍の謝罪でその場をやり過ごし、事故の責任を運転士1人に負わせたJR西。
だが、淺野氏ら遺族会の粘り強い交渉で、利益重視偏重や極端なトップダウンなど組織的な問題であることをJR西に認めさせます。
そして、遺族会とJR西が同じテーブルに着き、お互い納得のいく、合理的で実効性のある安全対策を立案するに至るのです。
そこがまずもって本書の大きな読みどころでしょう。
これは、淺野氏ら遺族会の地道な努力によるところが大きい。
ただ、それだけではJR西という巨大な組織を変えることは難しい。
実は、事故後に社長に就任した山崎正夫氏の存在が大きかったと本書は指摘します。
事務屋の指定席だった社長ポストに、技術屋として初めて就いたのが山崎氏。
同じ技術屋として、淺野氏も「話せる相手」として山崎氏に信頼を置きます。
これが先述した安全対策へと結実するのです。
いろいろと考えさせられる逸話です。
懲罰的な日勤教育は、実は事故の抑止にはほとんど効果がないなど、安全について考えるうえでも本書は非常に有用です。
ぜひ多くの方に読んでいただきたい1冊です。

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Posted by ブクログ 2019年01月06日

あの日のことは、覚えているが、事故の原因追求を被害者が中心となってやっていたとは知らなかった。時々利用する乗客としても色々と考えさせられた。

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