飯島周のレビュー一覧
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80年くらいの前の北欧旅行記。船旅がメインのこの本、今は何となくオシャレで素敵なイメージしかない北欧の国々は、厳しい自然の中で様々な歴史を経てきたのだ、という当たり前のことに気づかせてくれる。とりわけ海からむき出しの岩、時には荒れる広い広い海、とりまくたくさんの木々や森。自然について執拗なほどしつこく、ありったけの比喩で書かれているのでちょっと読みづらいけど、イラストが添えられていてなんともかわいい。
旅であるがゆえの一過性物悲しさの切り取り方が響く。
「何でもない、申し上げるが、何でもないのだ。しかし美しい。描くというよりもむしろ愛撫したいような美しさ。」 -
Posted by ブクログ
チェコの作家カレル・チャペックの
イギリス旅行記。
現在でも多くの外国人が集まるような
観光スポットを訪れているが、
「外国人ジャーナリスト」である
彼独自の目のつけどころがあったり、
ユーモア溢れる文体で(私は偉大なる
作家に向かって失礼かと思うが、
「チャーミングな文体」だなぁと
感じる。)綴るイギリスは
欠点もあるが愛すべき国であると、
約十年以上も前に旅した時のことを
思い出しながら読んだ。
文頭につけられた「あいさつ」と
いう文、「旅に出て、私にとって
心に残るのは有名な観光地ではなく、
そこで生活を営む人々である。」と
いった内容の言葉が私の心に刻まれた。
私達は、
その人の -
Posted by ブクログ
ネタバレ1936年にデンマーク、スウェーデン、ノルウェーを巡った旅行記です。鋭い描写とユーモアラスで温かみのある表現と多数のイラストで、旅行で出会った北欧の自然・民族・文化を描いています。
今夏の旅行中に読んでました。オスロからベルゲンを経由してトロンハイムまでの鉄道と船の旅の風景が、ほとんど変わっていないように見えて驚きました。また、著者は船旅の最中にアメリカの宣教師の布教集団の騒がしさに殺意を感じるほど辟易していますが、ヘルシンキ-オスロで乗った飛行機の2つ後ろの列でアメリカ人女性2人がずっと大声で話し続けているという状況に出くわして苦笑してしまいました。
フィヨルドはこんな↓感じでした。
「 -
Posted by ブクログ
イラストが可愛いカレル・チャペック。
「長い長いお医者さんの話」「園芸家の12ヶ月」「ダーシェンカ」の著者としてしか知りませんでした。
ジャーナリストでもあり、旅行記も6点ほど出版されていて「イギリスだより」は2作目にあたります。
イギリスびいきということですが、独自のユーモアを交えながら行く先々で感じたイギリス(人)の長所・短所を率直に綴っています。
辛口批評のところもしばしばですが、旅の終わりに「イギリスにいたときはいつも、故郷はなんと美しいものかと考えていた。故郷へ帰ったら、たぶん、イギリスには他のどこよりも上等でよいものがあると考えるようになるだう。」と書いています。
日本の根付けにも -
Posted by ブクログ
カレルチャペックは現代からタイムスリップした人なんじゃないかなぁと思ってしまうくらい、先読み能力がすごいですよねぇ。Chat GPTの登場によってにわかに現実味を帯びてきた「AIによって仕事がなくなる」感じ。。まぁそんなのはETCや自動改札の登場、PCの登場の度にあったことなのかもしれませんが。うーんでも、”絶対”の登場を前に神格化したりするのはまだ宗教が大きな力を持っていた時代っぽい。現代においてはもっと自然に”全知全能の存在”が神とは別に、受け入れられてしまうかもしれないですね。農民が絶対の影響を受けずに、生きるすべを持っているという示唆は面白い。