飯島周のレビュー一覧

  • 園芸家の一年

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    園芸家は土にこだわっている。

    最終章の一節、わたしたち園芸家は、未来に対して生きている。
    これはこの本の真髄のように思う。

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    2022年04月16日
  • 北欧の旅 ──カレル・チャペック旅行記コレクション

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    デンマークからノルウェー最北の旅行記。旅ガイドというよりはエッセイだが、自然の描写の語彙力や、ノルウェーが世界の果てだと欧州人は言うがここが世界の出発点だ、などという言葉にはっとさせられる。そういうところは小説だなと感じる。グーグルイメージ検索を併用するととても楽しい。

    著者は字書きとのことだが、イラストがかわいい。一筆ですっと描いていく風景、家、自然など非常に味がある。どの牛も草を食んでるのは思わず笑ってしまったが、こんなに少ない線でそれを表現できるのはただモノじゃないぞ、と本文の内容以外のところで食いついてしまった。

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    2018年09月24日
  • 北欧の旅 ──カレル・チャペック旅行記コレクション

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    ネタバレ

     チェコ人の、この方はどう称していいかわかりづらいタイプの多彩な方のようだが、ジャーナリストであり劇作家であり多くの旅行記を綴っているチャペックによる北欧の旅行記である。
     当時新聞連載されたものであり、彼にとって最後の旅行記になっているようだが、鉄道と船での移動でデンマーク、スウェーデン、ノルウェーをめぐる旅行記となっている。彼の直筆によるイラストが多数含まれているのも特徴的だろう。

     とはいえ、この旅行記における翻訳は、正直言って意味を受け取るのに難しい部分が少なくない。
     直訳なのか、悪文なのかは不明だが、そこに込められた皮肉なニュアンスに首をかしげること暫しであった。
     そうした点を

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    2018年08月07日
  • 園芸家の一年

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    少しずつチャペックさんを読み漁ろうと思って、まずはこちらから。
    自身も園芸大好きだったチャペックさんが、園芸家の各月の過ごし方を軽やかにつづってくれます。園芸というものの楽しみや、中毒性(そしてまわりがみえなくなる)みたいなのをジョークを交えて楽しく感じることができました。

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    2016年09月11日
  • 園芸家の一年

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    以前、「園芸家12カ月」を読んでいるので、目新しいことはほとんどなく、懐かしさ半分確認半分で読みました。
    園芸家が春を恋う様子が懐かしく、カタログを読んでとらぬタヌキを数える様子には鏡を見る思いでした。
    新たな発見は11月の章にあり、名文で、明朗な真理が著されていました。
    総じて園芸家は土を見て草を見ず、花すらろくに見ていないという話。
    自らを笑うユーモアに、チェコの作家の地力を見た気がします。

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    2015年03月20日
  • 絶対製造工場

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    『山椒魚戦争』は特定の人物に視点を絞ったから長篇小説として成立してるけど、この作品は多様な視点が浮遊してる感じがする(歴史の記述とも重なる?)最後やや説教臭いのもあまり好みではなかった。
    ただそれをおいても、この作者一流のユーモラスな調子は他に替え難いもの。新聞や論文、また「年代記作者」としての作者など多様なスタイルを取り込んだ構造。また兄ヨゼフによる挿絵もとても洗練されている。

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    2013年02月12日
  • 絶対製造工場

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    「ロボット」という語を作った(らしい。この点は後から知りましたが)、カレル・チャペックの長編。

    莫大なエネルギーをわずかな資源で生み出すことのできる機械「カルブラートル」が発明されたところから物語は始まります。その機械が生み出すエネルギーの副作用として、資源の中に囚われている神(この作品の中では「絶対」と呼ばれているもの)も引き出されてしまう世界を想定したSF作品です。

    序盤は「絶対」が生み出されたおかげで、みんなが信心深くなったり隣人愛を実現したり預言を与えられるようになったりと、比較的好ましい変化が描かれてますが、後半ではお互いが進行する真理がぶつかり合う結果、対立や戦争が引き起こされ

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    2012年11月01日
  • 絶対製造工場

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    カルブラートル(原子炉)から発生する副産物ー絶対(神、真理)ーのために翻弄される人間の性を喜劇風に描いた作品。

    原子力とそこから発生する副産物と聞いて平常な心持ちではいられないが、この作品においてこの科学と文明の問題は伏線にすぎない。
    大きなテーマは誰もがそれぞれの真理を持ち、そして他人が自らの真理を信じたりはしてくれないという事実に対して私たちは寛容にならなければならない、ということだ。

    確かにこのテーマをまとめるには、構想が十分でなく、展開もめまぐるしいという感じは否めなかったが、チャペックの心は十分に伝わってきた。
    この作品が上梓されてから1世紀弱もの月日が経とうとしているが、私たち

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    2012年04月07日
  • オランダ絵図 ──カレル・チャペック旅行記コレクション

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    80年程前に書かれたエッセイらしいですが、今のオランダにも通ずるところがあって楽しく読めました。

    カレルさんの本を初めて読みましたが視点がおもしろい!他の本も読んでみようっと。

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    2011年09月05日
  • 北欧の旅 ──カレル・チャペック旅行記コレクション

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    デンマーク・スウェーデン・ノルウェー・そしてまたスウェーデンへと移動する旅行記。
    スウェーデンがものすごく良い国のように書いてある。
    自然の描写が細かい。

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    2009年10月07日
  • 北欧の旅 ──カレル・チャペック旅行記コレクション

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    カレル・チャペック氏の北欧旅行の記録。個人的に好きなノルウェー(オスロ→ベルゲン→ノールカップ)への旅が中心なので即購入してしまいました。
    20世紀前半の北欧の描写なのだけど、都市部以外はたぶん今も変わらない自然です。
    大量に挿入されている線画が素晴らしい。コミカルでいてすごく細かい。

    ただ文章は翻訳のせいか、時代のせいか、本人の癖なのか、詩と散文の間のような感じで少々読みにくい。

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    2009年10月04日