飯島周のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレチェコ人の、この方はどう称していいかわかりづらいタイプの多彩な方のようだが、ジャーナリストであり劇作家であり多くの旅行記を綴っているチャペックによる北欧の旅行記である。
当時新聞連載されたものであり、彼にとって最後の旅行記になっているようだが、鉄道と船での移動でデンマーク、スウェーデン、ノルウェーをめぐる旅行記となっている。彼の直筆によるイラストが多数含まれているのも特徴的だろう。
とはいえ、この旅行記における翻訳は、正直言って意味を受け取るのに難しい部分が少なくない。
直訳なのか、悪文なのかは不明だが、そこに込められた皮肉なニュアンスに首をかしげること暫しであった。
そうした点を -
Posted by ブクログ
「ロボット」という語を作った(らしい。この点は後から知りましたが)、カレル・チャペックの長編。
莫大なエネルギーをわずかな資源で生み出すことのできる機械「カルブラートル」が発明されたところから物語は始まります。その機械が生み出すエネルギーの副作用として、資源の中に囚われている神(この作品の中では「絶対」と呼ばれているもの)も引き出されてしまう世界を想定したSF作品です。
序盤は「絶対」が生み出されたおかげで、みんなが信心深くなったり隣人愛を実現したり預言を与えられるようになったりと、比較的好ましい変化が描かれてますが、後半ではお互いが進行する真理がぶつかり合う結果、対立や戦争が引き起こされ -
Posted by ブクログ
カルブラートル(原子炉)から発生する副産物ー絶対(神、真理)ーのために翻弄される人間の性を喜劇風に描いた作品。
原子力とそこから発生する副産物と聞いて平常な心持ちではいられないが、この作品においてこの科学と文明の問題は伏線にすぎない。
大きなテーマは誰もがそれぞれの真理を持ち、そして他人が自らの真理を信じたりはしてくれないという事実に対して私たちは寛容にならなければならない、ということだ。
確かにこのテーマをまとめるには、構想が十分でなく、展開もめまぐるしいという感じは否めなかったが、チャペックの心は十分に伝わってきた。
この作品が上梓されてから1世紀弱もの月日が経とうとしているが、私たち