森茉莉のレビュー一覧
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森鴎外の娘、森茉莉のエッセイ。
鴎外は自分の子供を洋風に名付けた。長男は於菟(おと Otto)でちょっと残念な感じだが、長女の茉莉(Marrie)は良い。深窓の令嬢感が溢れている。
約350ページの中に約120個のエッセイが詰められている。それぞれ2~3ページ程度でさらりと纏められてあり、電車の一駅分の区間でも読めてしまう。
エッセイのテーマとしては、タイトルにある通り、森茉莉の回想録が中心となり、それこそ自身の最も古い記憶から辿り、尋常学校、高等女学校、嫁入り、洋行、父鴎外との死別、帰国、そして離婚を以て締めくくられている。
前半は身辺雑記的なエッセイも多いのだが、嫁入り以降はひたすらに -
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ネタバレ実際に会ったら相当大変な人だろうな、と思われる森茉莉。
その価値観には深く共感してしまう。食べ物への執着やこだわりや、毒舌が他人事と思えない。
森茉莉が現在も生きていたら、30過ぎて自分のことを女子とのたまう人々をばっさり一刀両断であろうな、とにやりとした。
自分のことを森茉莉とかいう変なばあさん、と自称するあたりに美意識を感じる。
作中に、父である鴎外や、室生犀星やその他交流のあった文豪の素顔が描かれていて読み物としてとても面白いのはもちろん、食べ物の描写が素晴らしい。
森鴎外の著作権がきれて、食うのに困って文筆家業を始めたというが、DNAというか才能なんだろうなあ。
食べ物の描写になるとひ -
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Posted by ブクログ
森茉莉さんというと、森鴎外の長女で、若くして結婚してパリに在住し、その文章が三島由紀夫に高く評価され、という華やかな一面がすぐに思い浮かぶ。一方では、(料理を除き)家事全般が苦手で、一人住まいの部屋はゴミ屋敷と化し、親族も手を焼いていたという面も思い出される。
このエッセイでは、森茉莉さんが持っているその両面が顔を出していて興味深く、美しかったパッパ(鴎外)との団子坂での暮らしから、夫とのパリでの生活、そして友達に借金を繰り返す暮らしまでが綴られている。
とくに、このエッセイに収められた「陸軍省の木陰道」は、職場の父親を訪れた記憶を美しく描いています。また、パリの生活なども興味深く読みまし