あらすじ
家事がまるきりダメな茉莉のたった一つの例外が料理。父森鴎外が留学先で覚えたドイツの下宿屋料理と生まれ育った東京の家庭料理を出自に、ブリア・サヴァランばりに食べ続ける。オムレット、ボルドオ風茸料理、白魚、独活、柱の清汁……。得意料理をとくとくと語る食いしん坊エッセイにして、精神の貴族の貴重さを述べ贅沢を愛する心を説いてやまぬ芸術談義という自在さ。江戸っ子らしい口とパリジェンヌの舌に奏でられ、どのページからも芳醇な香りがたちのぼるマリア流『美味礼賛』。
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好きすぎて冷静に評価できない
再読しすぎてボロボロになってしまった
己の審美眼を揺るぎない言葉で言い切ってくれる
森茉莉の中の乙女と食通の部分が芳醇な香りを醸し出しマリアージュしている、陳腐な例えになっちゃったけど。
本の中のレシピでうちの定番になっているのは枝豆とハムのお寿司 夏によくやります
私の人生の友達
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森茉莉の世界から抜けられない。抜けたくない。貧乏な、ブリア・サヴァラン。一行目からひきこまれてしまう。食べ物の描写は独特のカタカナ使いもあって、食べたくなること間違いなし。明治大正の日本を体験してみたいと思う。森鴎外が飲んでいたチョコレエト。ロシア・サラダ。トマトをバタアを入れて煮て、ご飯にかけて食べる。トマト好きなので、試してみたい。ご飯にかけず、そのままを白葡萄酒でいただきたい。そう、ワインも葡萄酒と言われた方が、幸せなのでは?と思ってしまう。バラも薔薇の方が素敵。独りよがりな世界と言われればそれまでだけど、どんどん独りよがりになりたいと思う。年表まで作り、森茉莉のいた時代を感じたい今日この頃。
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家事はまるきり駄目だった茉莉の、ただ一つの例外は料理だった。オムレット、ボルドオ風茸料理、白魚、独活、柱などの清汁・・・江戸っ子の舌とパリジェンヌの舌を持ち贅沢をこよなく愛した茉莉ならではの得意料理。「百円のイングランド製のチョコレートを一日一個買いに行くのを日課」に、食いしん坊茉莉は夢の食卓を思い描く。垂涎の食エッセイ。
こないだEテレでお金が欲しい時に読む本で森茉莉が紹介されていて、若い人にも茉莉さんの素敵な文章が広まればいいなと思ったばかりです。何度読んでも、やっぱりいいな。空腹のときには決して読んではダメですが(笑)彼女の過激だけれど愛にあふれた言葉の数々が私にとってはまぶしくて、豊かな精神性を目標にしたいと思いながら生きてます。
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すぐに森茉莉さんの大ファンになった。こういう熱量が高くて無駄な動きが多い人って大好き。
彼女のように、みんなで自分の気持ちよさをとことんまで追求すれば、一周回って世界は平和になるかもしれない。
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森茉莉さんの著作は初めて読んだのだけどすっかりファンになってしまった。贅沢とは高価なものを持っているということではなくて贅沢な精神を持っていることであるという筆者は食いしん坊\(^o^)/親近感湧くのー。私は卵料理あまり得意じゃないのだけど、本書を読んで研究したくなってしまった(笑)サーディンと胡瓜のサンドイッチも美味しそう♡ブリア・サヴァランの美味礼賛も読みたいのだが、住んでるところで見つからず、、、
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とても好き。オモロイ。
日常のどうって事のない出来事が、ひたすら美しく書き尽くされている。自称マリア。生業は文筆業。美味しいものと美しいものに目がない世間知らずの痛い女。自分の行いにチョコチョコ突っ込みを入れている所が可愛いです。殆どコメディ。読んでいる間ずーっとニヤニヤしてしまった。全然貧乏ではない現代の手塚治虫、森鷗外の娘である。マリアごっこしたい。だがしかし、悲しい哉、語彙が無さ過ぎて出来ないわ。流石マリア様ね。
三谷幸喜のしょーもないエッセイを最後まで読める方。若しくは、嶽本野ばらの怒涛の一人称お耽美作品が好きな方にはお勧めします。繁忙期に読むとイライラすること間違いなし!元気な時にだけ会いたい友達ですね。居る居る、こういう子。私は嫌いではないです。毎日は疲れますが。ハイ。
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友達に借りた。食べ物の描写があまりに上手で寝間に置けない。外来語の綴りや江戸っ子とパリ文化のこと、息子のジャックのこと、鴎外のこと…大変な目にも遭っているのに本当のこととは思えないロマンチックな表現。優れた随筆家は育ち方がユニークで料理がうまくて、その土地の生粋が多い気がする。向田邦子然り、田辺聖子然り…「江戸っ子が断たれた」のはたしかに残念だ。鴎外が茉莉氏を膝に乗せ、軽く背中を叩きながら「お茉莉は上等、お茉莉は上等」と言って育てた、というエピソードが好きだ。
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老女お茉莉さんの偏屈ガーリーエッセイ。父の森鴎外が亡くなって夫とも離婚してジリ貧でも、なんか楽しそうな生活してます。衣食住において自分の美意識を追及する執念に感心してしまう。乙女かくあるべし。あと卵料理食べたくなる。
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森鴎外の娘の森茉莉さんの食エッセイ。
食べることが本当に大好きなんだなと。なかなか毒のある方のようだけど、魅了されてしまう。
ちょこちょこそれは何??となってしまうのは現代にない食べ物なのか、呼び方が変わっているのか??
じっくり調べながら読み直していきたい。
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食いしん坊による食のエッセイ。
どこか子供のような無邪気さのあるユーモア抜群の著者の語り口。
ランチの合間に読み進め、食べることの楽しさと幸せ、違う文化圏の食の食べ飲み比べの面白さを、明治〜大正〜昭和の時代の流れとともに楽しめる。
森鴎外の長女である彼女の生い立ち、生活、親の育て方が、彼女の小説家としての面白味を作り上げたのだろう。
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長らく気にはなっていたのに、読む機会がなかった作家。
このほど、ようやく、はじめて読む。
サヴァランというと、洋菓子を思い浮かべる。
あのお菓子の由来となったフランスの政治家にして美食家のブリア・サヴァランという人がいるらしい。
「グルメ」の謂いかと思われる。
自由な形式。
一つ一つの文も、長かったり短かったり。
最初読みにくいなあ、と思ったが、あっという間にハマる。
ただ好きな食べ物について語っているだけなのに、人となりが伝わってくる。
食いしん坊で、好き嫌いがはっきりしている。
少し前に流行った「丁寧な生活」なぞとは大きく違う。
こんなふうに、好きなように生きて行っていいんだ。
勝手に、そんなふうにも思えてくる。
フランス料理は大好きなのに、ビスケットだけはイギリス流がよく、「ビスキュイ」は認められなかったらしい。
氷屋さんで買うダイヤ氷。
婚家で覚えた「八杯豆腐」とは一体なんぞや?
薔薇や菫の砂糖菓子。
記述から、今の世にはない生活が彩をもって目の前に現れてくる気がする。
家族からの評価も高かったという彼女の料理の特徴は、日本酒をたくさん振りかけることと、上等のバターが使われること。
母のしげと自分は世間から「悪妻」認定された、と書く。
けれど、どこかおおらか。
別れた夫、山田珠樹との生活も、それなりに楽しかった、と思っているようだ。
父鴎外から、「上等、上等」と言われて育てられたため、実際より幾分上等に育った、とご本人はいうけれど、そうした人柄のよさが見える気がする。
思いついたことを散漫に書いてしまうけれど、白雪姫のことが気になる。
彼女が子供の頃(明治の終わりごろ)には、まだ子供用のおとぎ話の本には入っていなかった由。
両親はそれを「ゆきしろひめ」と呼んでいたという。
たしかに英訳では「Snow White」。
「しらゆき」という言葉がなんとなく嫌い、という茉莉の感性が、わたしにもなんとなくわかる。
それから、文化人の仲間、先輩とのつきあいも割と多い人という印象も受けた。
三島由紀夫、室生犀星、三好達治、吉行淳之介・理恵きょうだい。
白石かずこ、矢川澄子、富岡多恵子、三宅菊子。
人間関係も豊かだった人のようだ。
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酒好きの甘い物好きなので、サヴァランに目がない。ほんの、それだけの理由で電車の乗り継ぎの僅かな時間に手に取ったのがこの本だった。以来、たびたび読み返している。
とにかく徒然と美味しそうな記述が続く。バタ、パン、トマト………瑞々しく脳裏に浮かぶのは、たぶん、本人が好きで好きでたまらない気持ちが文章に溢れているからだろう。食べ物の他に「贅沢」という概念についてもたびたび言及されており、食いしん坊の隙間から独特な人生哲学がちらっと顔をのぞかせるのも面白い。
「森茉莉の食」に焦点をあてた一冊だが、本人のキャラクターにぐんぐん惹き込まれる。気持ちを贅沢に大好きな食卓にのぞむ。こういう感覚を失わずに、豊かに歳を重ねていきたいと密かに思うのだった。
Posted by ブクログ
森茉莉の著作のなかから、料理にかんする文章をえらんで収録した本です。
わたくし自身は残念な舌の持ち主で、どんなものでもたいていは美味しいといって食べてしまう質なのですが、料理について書かれた文章を読むのが好きで、辻静雄や有元葉子といった料理研究家の本をしばしば手にとります。
「マリアは貧乏な、ブリア・サヴァランである」という文ではじまるエッセイ「貧乏サヴァラン」は、戦後に「贅沢貧乏」をやってみたことで「贅沢貧乏」が好きになったといいます。そんな著者が「お菜を拵らえるのが道楽のようなものである」と述べることからはじまる「私の道楽」というエッセイは、わずか1ページに収まる文章ですが、文章を読むことの「贅沢」をあじわえます。そんな文章の締めくくりに、「白石かずこ、矢川澄子、鍈子ちゃんなぞが長く記憶している美味なものである。精神をこめないと駄目である。料理番組のしち面倒臭い料理はすべてばかげている」とあって、料理のうまみに輪郭がつけられるかのように、森茉莉という書き手の個性を読者に印象づけるものになっています。
好きな嗜好品に「チョコレエト」「洋酒」「煙草」の三つをあげる著者は、洋酒と煙草は少量しかたしなむことができず、「いくらでもたべられるのはチョコレエトだけである」といい、チョコレエトは大人の食べ物だと断固として主張しつつも、「もしすきな洋酒がチョコレエトなみにいくらでも飲めるのだったら、私という人間は、ヴェルモットを飲んではホームズを読み、ボルドオの紅を飲んでは小説を書き、また小説は今よりもうまく書けて、いつも酔い果て、朦朧として編集者にあい、どんな好きな映画がかかっても、腰が持ち上がらないかも知れない」と、次々に語り出されるところなど、思わず頬がゆるんできてしまいます。
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面白かったです。本物のお嬢様で、食いしん坊な茉莉さん、自分の好きなものがはっきりしていて、すぐぐらぐらしてしまうわたしは彼女がとても羨ましいです。料理は得意だという茉莉さんの食べ物の描写が美味しそうで…白身魚と野菜のサラダは他のエッセイでも度々でてくるのですが、一番気になる料理です。贅沢って気持ちの持ち様なのですね。料理も、お菓子も、お酒もうっとりでした。茉莉さんはいつまでも少女のような人だな。
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品を備えた人が書く文章というのは、いじけてもサマになる。好奇心旺盛な人も、どんな状況に置かれてもそれを楽しんでしまうところがある。そんな感じの人。
どくとるマンボウの北さんもそういう感じがあってなんか似てるかも。共に偉大な医者作家の子だし。
最後のほうで、友人知人に宛てた書簡もあるけど、必ず食べ物の話になるほどの食いしん坊さん。
サヴァランも、作家の名前というだけじゃなくてお菓子のサヴァランの意味と響きのよさで、貧乏サヴァランと自称しているのかと思います。
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実際に会ったら相当大変な人だろうな、と思われる森茉莉。
その価値観には深く共感してしまう。食べ物への執着やこだわりや、毒舌が他人事と思えない。
森茉莉が現在も生きていたら、30過ぎて自分のことを女子とのたまう人々をばっさり一刀両断であろうな、とにやりとした。
自分のことを森茉莉とかいう変なばあさん、と自称するあたりに美意識を感じる。
作中に、父である鴎外や、室生犀星やその他交流のあった文豪の素顔が描かれていて読み物としてとても面白いのはもちろん、食べ物の描写が素晴らしい。
森鴎外の著作権がきれて、食うのに困って文筆家業を始めたというが、DNAというか才能なんだろうなあ。
食べ物の描写になるとひときわみずみずしく、鮮烈な印象を残す。すごい。
Posted by ブクログ
森茉莉の食べ物エッセイからよりすぐりのものを集めた本。森茉莉の贅沢貧乏の心意気、父親や欧州に関する様々なうっとりするようなエピソード、そして読んでいるだけで食べたくなる料理の描写。でれをとっても素敵。
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貧乏ちゃうんちゃう、と思うが、お金をかけない贅沢ということかな。
そこが食べ物のええところかしら。
安くて美味しいものがたくさんある。
舌が痩せてるだけか?
大概は腹が膨れればよいのだ。
「贅沢貧乏」も読みたいです。
Posted by ブクログ
森茉莉さんの本、実は初めて読みました。読んでいて趣味が友人と合いそうだなあと思いながら読みました。
惣領の甚六と言うか…まあ長女の甚六、とでも言うのか。おっとりはしてなさそうですが(笑)。こう、世間ずれしていて我が強そうな人は家族は大変そうだなあと思いました。それにしても素直な人だな。言いたい事ややりたいことをきっちり出来る人と言うのは潔くて良いな、と思ったりその我の強さが鼻についたり難しいものです。面白かったのでまた違う本でも読んでみようかと思います。
Posted by ブクログ
森鴎外の娘だよーとだけ説明をうけて譲り受けた本
率直な感想は食べることが好きな方なんだな〜と思った
面白かった けど、どうしてもエッセイを普段読まないから読みにくさは感じてしまったこれは私が悪い
Posted by ブクログ
森鴎外の娘。ということはかろうじて知っていた。ただ、どんな文章を書いて、どんなことを思っていたかは恥ずかしながら知らずにいた。エッセイ一冊でわかることには限りがあるが、どんな時代でも食いしん坊で、食べることが大好きな人はいる。自分の好みのためなら労を惜しまず、ちょっと抜けているようで、しっかりしているような女性の姿がそこにある。ラジオを聴きながら文章をしたため、めんどくさがりながらも食には貪欲。今の私たちと変わらぬ人となり。「私は貧乏でもブリア・サヴァランであるし、精神は貴族なのである。」は冴えてる。
Posted by ブクログ
西洋的なメニューや食べ方が
洒落てて美味しそうだけど
現代では謎?な組み合わせや
なんの食材かピンと来ないものが
あったり...時の流れを感じた...
やっぱり日本の旬の食物の描写が
美味しいく思えたな〜
食べ物のエッセイに鴎外や家族
著名人とのエピソードが
挟み込まれているところが
興味深く面白いかった
コケティッシュな感じが彼女の魅力
Posted by ブクログ
以前この著者の『贅沢貧乏』を読んだが、内容は非常に似ている。向こうは洋服やインテリアなどのお洒落についても述べているが、本書は食に特化している。
こういうのが粋で、ああいうのは粋じゃない‥‥なんて事が書かれていて、いわば昭和版枕草子。言ってみたら大きなお世話なんだけど、この人自体が何処かずっこけた所があるので、なんとなく許せてしまう。
Posted by ブクログ
自己陶酔型文章、または言いたいことがいっぱいありすぎるからかとても読みにくい文章。しかし、読み進むうちに作者の文章のリズムに慣れた。美食家ブリア・サヴァランを知らない私は、題名にあるサヴァランはてっきりケーキのサヴァランだと思っていたが、読んでこの題名にやっと納得した。かなり独特な食へのこだわりを持っていると思われるが、各人それぞれだから、そう思うとおもしろい。食べ物の見方、接し方が変わりそう。