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貧富を問わず患者の看病にあたる鎮水のもとで医師修業を積む庄十郎。一方で兄の甚八は大庄屋を継いでいた。あの一揆騒動から二十六年、身を挺して増税を撤回した稲次家老は病に倒れた。度重なる不作、飢饉、人別銀。再び百姓に困難が降りかかるとき、怒りの矛先は甚八のいる大庄屋へ向けられた。時代のうねりの中で懸命に慈愛の心を貫こうとする青年医師の目を通して市井の人々を見た歴史大作。
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Posted by ブクログ
最高です。全編にわたり優しさに満ち溢れています。まさに慈愛です。 庄十郎少年を優しく見守る父と母、鎮水先生とつる婆さん。そして立派な医師に成長した凌水先生の患者や子供達へのまなざし。九州訛りがより優しく感じられます。本当によかです。 電車の中で読むと、涙で目が霞んで困ります。蓬生先生、素晴らしい小説...続きを読むをありがとうございました。凌山先生を主人公にした続編をぜひお願いします。
享保十九(1734)年~天明三(1783)年 医師としての技術とそれ以上の心持ち、思想を学び続ける庄十郎。独立を許され開業する。 そして新たな増税。8歳以上一人につき払えという。裕福な者には大したことは無い。子だくさんの貧しい百姓には‥‥ 起こるべくして一揆は起きる。増税を言い出した藩は首謀者と庄屋...続きを読む、大庄屋を罰して事を治める。 凌水と名乗りを変え医師として働く庄十郎は、家族の軋轢や百姓の窮状の中で自分の出来ることを少しずつでもしていく。 彼の言葉で気に入ったのが「人生に大事なものは、はとははとははは」 歯、母、はははと笑うこと。ホントだ、父が無いのが侘しいけどね (笑)
幕府に翻弄される庄屋、圧政に苦しむ百姓、身命を賭して民を守る名君…。医師を志す大庄屋の次男・庄十郎が成長していく姿を通して、筑後平野に息づく、さまざまな人生の哀歓を描く。
人は何のために生きるのか。死なないために、食べるだけに生きるのか。享保年間の九州の過酷な藩政に対する農民の抵抗を通して、人への慈愛と幸せを淡々と説く。著者の初期のサスペンス作品とは趣きが異なるが、本書や少し時を遡り農民が力を合わせて筑後川に堰を築いて農地を開拓するという「水神」は、同じような語り口で...続きを読む安心して内容に溶け込める。外せない小説である。2019.4.21
時は1700年前半、久留米の大庄屋の次男として生まれた主人公。各地の庄屋を取りまとめる大庄屋は兄が継ぐことは決まっているなかで、自分の道を決められずにいた。 ある日領主の理不尽な要求に反発した百姓たちが城下を火の海にしようと集まり手に鋤や鍬を持って続々と城下へ向かう場面に遭遇する。結果的には領主と百...続きを読む姓の間に入った家老が事を収めるのだが、その光景は主人公の心に焼きつき、さらにその家老の立派な処置に感銘を受ける。 そうこうしているうちに疱瘡にかかり生死をさまようが腕利きの医師に命を救われるが、彼がうつしてしまった母と女中が死んでしまう。それを機に兄との確執が生まれ、そして主人公は命を救ってくれた医師に弟子入りすることを決心する。 20年ほど師匠の元で修業した後、故郷近くで開業。平穏な日々が続くが、代替わりした領主によりまたもや理不尽な要求が課され、本格的な一揆になっていく。 百姓ではない立場で当時の百姓の暮らしぶりや苦労ぶり、領主の横暴さなどで領民が振り回される様をリアルに描いている。 当時はこんな感じだったんですよというのと、医師とは本来こうあるべきというのを主人公を通して伝えている感じ。全体的に淡々としていて、一揆などは起こるものの物語として盛り上がるわけでもないので、退屈と言えば退屈。ただ当時の様子がリアルでよく調べているなぁという感じ。
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