木皿泉の作品一覧
「木皿泉」の「さざなみのよる」「すいか」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「木皿泉」の「さざなみのよる」「すいか」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
和泉務と妻鹿年季子夫妻の共同ペンネーム。『すいか』、『野ブタ。をプロデュース』など多数のテレビドラマの脚本を手がける。小説『昨夜のカレー、明日のパン』や『すいか シナリオBOOK』、『野ブタ。をプロデュース シナリオBOOK』、など自身がドラマ脚本を書いた作品も本として手がける。
小説・文芸
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少年・青年マンガ
Posted by ブクログ
本書を読んで一番強く感じたのは、人は「過去を乗り越えて」前に進むのではなく、過去を抱えたままそれでも日々を生きていくのだということだった。
この作品には、大きな事件や劇的な展開があるわけではない。誰かと話したり、ご飯を食べたり、仕事をしたり、誰かを好きになったりする。そんな一見すると何気ない日常の積み重ねによって、登場人物たちは少しずつ前へ進んでいく。
興味深いのが、タイトルの「昨夜のカレー、明日のパン」という言葉。昨夜のカレーは過去で、明日のパンは未来。その間にある「今日」を、人は生きているのだと思う。過去にどれだけ大きな喪失があっても、それを消してから未来へ進む必要はない。昨日のカレーを抱えたまま、明日のパンを楽しみにしてもいい。
また、テツコとギフの関係を見ていると、家族というものは必ずしも血のつながりだけで決まるものではないのだとも感じた。一樹は亡くなってしまったけれど、一樹がいたことで生まれた人と人とのつながりは残り続ける。人は亡くなっても、その人と過ごした時間や、その人によって生まれた関係まで消えてしまうわけではないのだと思う。
この作品を読んで、「ちゃんと前を向かなければ」と考えすぎなくていいのかもしれないと思った。過去を引きずることも、立ち止まることも、決して前に進めていないということではない。それでも今日を過ごし、明日になればまた何かを食べて、誰かと話して、一日を始めればいい。
人生には、どうしても取り戻せないものがある。でも、取り戻せないものがあることと、これから大切なものに出会えないことは別なのだと思う。
「忘れること」ではなく、「忘れられないものを抱えたまま生きていくこと」。それも一つの前向きさなのだと、この作品から教えてもらった気がする。