羽生飛鳥の作品一覧
「羽生飛鳥」の「『吾妻鏡』にみる ここがヘンだよ! 鎌倉武士」「〈歌人探偵定家〉シリーズ」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
羽生飛鳥『女人太平記』
『竹むきが記』の作者・日野名子を主人公に、鎌倉幕府滅亡から建武の新政、観応の擾乱に至る南北朝の混沌を、公家女性の視点から描き出した傑作歴史小説
日野名子は光厳天皇の典侍を務め、名家の身分のも関わらず西園寺公宗の正室となり関東申次の家の北の方として、政争と戦乱に翻弄されながら足利尊氏に対する思い(=心の闇)と胸に秘めて生きていく
武士中心の『太平記』世界を、女人の立場から婚姻・血縁・後宮の機微を通して大きく変わる社会を相対化する手法が鮮やか
赤橋姉妹を介した尊氏と正親町家のつながりに着眼した、花園院(光厳の叔父)の秘策といった歴史の裏を覗かせる作者の手練が憎い(その時代の「縁戚政治」の実相がある)考証の丁寧さも光り、単なる事件の羅列ではなく「人と血がどう絡み合って時代を動かすか」を丁寧に追っている点が、歴史好きにはたまらぬ読み応えを満たしてくれる・・・秀逸なのはミステリー的な趣向(尊氏と直義の関係をめぐる謎⇦ネタバレだからね)と歴史の愛妾の良さも織り込まれている
戦乱に人生を壊されながらも、恨みを超えて人間の機微を見抜いていく姿が、感動的ですね
Posted by ブクログ
平清盛が太政大臣に任じられて二年が経ち、平家が栄耀栄華を極める一一六九年の初秋、病葉ノ辻にて、野犬に囲まれた死体が見つかった。それは平家一門の誹謗中傷をする者を取り締まるために、清盛が放った赤い衣の少年たち『禿髪』の内のひとりの死体だった。平清盛の異母弟であり、朝廷への復帰を狙う平頼盛はこの出来事が野犬の仕業ではなく殺人だと判断し、犯人を突き止めようとする――「禿髪殺し」
ということで本書は平安の終わりを舞台に、死と隣り合わせにある緊迫感のある状況の中で、自分と周囲の人間を守るために様々な謎と向き合わなければいけなくなった男の物語です。平清盛、木曾義仲、源頼朝など物語に大きく関わってくるのは多くのひとが知っている有名な偉人たちで、それらの人物と頼盛のやり取りも楽しい一冊で、個人的に好きだったのが、木曾義仲と頼盛のやり取りでした。くるりと見えていた世界が反転する「禿髪殺し」、五つの死体からあるひとつの死体を特定する「屍実盛」など切れ味の鋭いミステリ短編が好き、という方にはぜひともおすすめしたい作品集です。
Posted by ブクログ
時は平安時代末期。
平清盛の異母弟でありながら、清盛と折り合いが悪く冷遇される分家(池殿流平家)の棟梁・平頼盛が、家の子郎党を守るため、持ち前の推理力を武器に、平清盛・木曾義仲・源頼朝といった時の権力者たちと対峙し、激動の時代を生き抜いていく様を描いた連作時代ミステリー短編集。
ミステリーとしての完成度はもちろんのこと、平頼盛という人物の生き様・矜持が見事に描かれていて、歴史小説としても一級品の面白さ。
主人公・頼盛のキャラクターがとても良い。
童顔・眉目秀麗で、当時としては高齢の50代を迎えてもそうは見られない若々しさ。屍体検分の能力・推理力・洞察力。時の権力者を前にしても堂々と振る舞う気概・胆力。たとえ天皇に対してでも、心の中でツッコミを入れる人間臭さ。解官(クビ)3回、破産2回、自宅全焼1回という憂き目にも挫けない精神力。そして、何より家族や郎党のことを第一に考え、個人の名誉や富には全く興味を示さない高潔さ。
物語が進むにつれて、頼盛の人間的な厚みや貫禄が増していく様も感じられる。
続編もあるようなので、これは絶対に読まねば…!