プロフィール

  • 作者名:川越宗一(カワゴエソウイチ)

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作品一覧

  • 福音列車
    3.4
    1巻2,035円 (税込)
    「福音の列車が、やっと日本にも来る。このやかましく、血なまぐさい戦闘の騒音とともに」 国と国の歴史が激突するその瞬間、その時代を活写した5つの物語。 明治維新の後、アメリカの海軍兵学校に留学した佐土原藩主の三男・島津啓次郎。彼はスピリチュアル(黒人霊歌)と出会い、これにぞっこんに。しかし、歌うにはソウルとガッツが必要だと言われる。「ゴスペル・トレイン」 上野戦争で死に損ない、妻と二人で「虹の国」ハワイへ移住して再起を図ろうとした伊奈弥二郎。待っていたのはサトウキビ農場での重労働だった。威圧的な白人農場主たちに、弥二郎とハワイ人労働者のエオノはストライク(労働争議)を決行する。「虹の国の侍」 第一次大戦後、日本が委任を受けて統治していた南洋のパラオにて。海軍大尉・宮里要は諜報目的で潜入した米軍将校・エリスの死体を検分したが、旅券からは肝心の顔写真が剥ぎ取られていた。「南洋の桜」 シベリア出兵にて、どうしても従えない命令を忌避して脱走兵になった、騎兵一等卒・鹿野三蔵。彼はモンゴルで、黒旗団(ハラ・スルデ・ブルク)という馬賊団に参加。生まれや人種を越えて、自らの国(ウルス)を探そうとする。「黒い旗のもとに」 神戸で生まれ育ち、祖国のためにインド国民軍婦人部隊、ラーニー・オブ・ジャンシー聯隊に志願した、少女・ヴィーナ。元サラリーマンの陸軍少尉で、インド独立指導者のチャンドラ・ボースに心酔する青年・蓮見孝太郎。インパール作戦で、近くて遠い二人の人生が交錯する。「進めデリーへ」
  • 見果てぬ王道
    3.8
    1巻2,000円 (税込)
    孫文を支え続けた日本人実業家の、スケール感溢れる一代記 映画事業で大成功をおさめ、その資金で革命家・孫文を支援し続けた梅屋庄吉。その情熱と葛藤、国境を越えた友情を直木賞作家が描く。 長崎の貿易商・梅屋商店の跡継ぎとして育った庄吉は、香港で写真館を経営する。そこで出会ったのが、清朝を打倒し、西洋の武力支配からの自立を目指す若き孫文だった。西洋列強による東洋の侵略に理不尽を感じていた庄吉は、孫文の情熱を知り、革命を支援することを約束する。庄吉はやがて、日活の前身となるMパテー商会を創立。黎明期の映画事業は大成功を収め、その資金で革命を支援し続ける。 実業家・梅屋庄吉の熱き生涯!
  • 大日の使徒
    3.3
    1巻1,999円 (税込)
    キリスト教伝来時の最初にして最大の過ち――。異文化の軋轢を描き続けてきた直木賞作家が、ザビエルを日本へ導いた“ヤジロウ”を軸に、「宗教のあり方」に迫った力作長編。「過ちとは何か」との織田信長の問いにルイス・フロイスは、ザビエルがキリスト教を日本へもたらした当初、デウスを「ダイニチ(大日如来)」としていたため、仏教の一派と思われていた、と答える。その大日の訳語を提案したのがヤジロウ、ザビエルを日本へ連れて来た男だという。ヤジロウとは、何者だったのか。そして、16世紀半ば、島津貴久が治める薩摩で始まった、キリスト教の布教は――?
  • パシヨン
    4.5
    1巻1,999円 (税込)
    受難(パシヨン)を越えて、求めよ、自由を――。『熱源』で直木賞を受賞した著者による、新たな到達点! 禁教下における“最後の日本人司祭”となった小西マンショの人生を軸に、異文化同士の出会いと摩擦、争いの中での“希望”を描いた圧巻の歴史小説。キリシタン大名・小西行長の孫で、対馬藩主・宗義智の子として生まれた彦七(のちの小西マンショ)の運命は、関ヶ原の戦さによって大きく変わった。離縁された母・マリヤとともに彦七は長崎へ。キリシタンへの迫害から逃れてきた、小西家の遺臣らの世話になりながら成長していく彦七だったが、彼には小西家再興の重圧がのしかかっていく。キリスト教が禁じられ、信徒たちの不安が高まるなか、彦七はある重大な決断を下すのだが……。“受難の時代”を生きる者たちの魂の叫びが刻まれた、著者渾身の長編小説。 〈目次〉●序章 主の孫 ●第一章 天国の門 ●第二章 出日本 ●第三章 求めよ ●第四章 走る群雲 ●第五章 受難(パシヨン) ●終章 世の終わりまで
  • 灯台を読む
    4.3
    1巻1,700円 (税込)
    灯台をゆけば日本の〈歴史〉と〈文化〉が浮かび上がる! 海と共に日本人の心に残る原風景の一つ灯台。現在、日本に約3,300基ある灯台は、船の安全を守るための航路標識としての役割を果たすのみならず、明治以降の日本の近代化を見守り続けてきた象徴的な存在でもありました。 建築技術、歴史、そして人との関わりはまさに文化遺産と言えるもの。灯台が今なお美しく残る場所には、その土地ならではの歴史と文化が息づいています。そんな知的発見に満ちた灯台を現代日本文学を代表する作家たちが訪ね、歴史的・文化的・地域的な価値を文学的な視点で綴った紀行集です。 「オール讀物」「クレアWEB」での好評連載中の企画をふんだんに撮りおろし写真を使って書籍化。
  • 足利の血脈 書き下ろし歴史アンソロジー
    3.7
    1巻1,600円 (税込)
    新書『応仁の乱』がベストセラーになって以降、関心が集まっている「足利氏」は、NHK大河ドラマ『麒麟がくる』でも注目された。本書は、戦国を語る上で欠かせない「足利氏」をテーマに、7名の歴史時代作家が書き下ろした短篇小説を収録したアンソロジー。著者は、2020年上半期の直木賞を受賞した川越宗一をはじめ、大人気シリーズ「口入屋用心棒」の著者の鈴木英治、2020年の中山義秀文学賞を受賞した木下昌輝など、ベテランから新進気鋭まで、実力派ばかり。これまで戦国史を語る上で、メインで書かれることがなかった「足利氏」を軸に、この時代の画期となる出来事を時系列で描いていくことによって、“もう一つの戦国史”が浮かび上がる。 ■目次 ●第一話 早見俊 ◎嘉吉(かきつ)の狐――古河(こが)公方家誕生 ●第二話 川越宗一 ◎清き流れの源へ――堀越(ほりごえ)公方滅亡 ●第三話 鈴木英治 ◎天の定め――国府台(こうのだい)合戦 ●第四話 荒山徹 ◎宿縁――河越夜合戦 ●第五話 木下昌輝 ◎螺旋(らせん)の龍――足利義輝弑逆(しいぎゃく) ●第六話 秋山香乃 ◎大禍時(おおまがとき)――織田信長謀殺 ●第七話 谷津矢車 ◎凪(なぎ)の世――喜連川(きつれがわ)藩誕生 ●コラム 喜連川足利氏を訪ねて――栃木県さくら市歴史散歩 収録作品は、いずれも書き下ろし!
  • 海神の子
    4.3
    1巻1,001円 (税込)
    明の海賊と日本人の間に生まれた少年は海へ――。 「国性爺合戦(こくせいやかっせん)」のモデル・鄭成功を描く 闘いと冒険の物語。 鎖国時代の平戸。孤独な少年・福松を迎えに来た母は、 台湾を根城にする大海賊の頭だった―― 明に渡った福松はやがて鄭成功となり、清と闘う道を選ぶ。 日本と中国の血を持つ男が台湾の民族的英雄に、 後に「国性爺合戦」主人公として江戸の人々を熱狂させる。 生きる場所を求め闘う魂を描く大スペクタクル長編! 解説=仲野徹 ※この電子書籍は2021年6月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 熱源
    4.1
    1巻880円 (税込)
    樺太(サハリン)で生まれたアイヌ、ヤヨマネクフ。開拓使たちに故郷を奪われ、集団移住を強いられたのち、天然痘やコレラの流行で妻や多くの友人たちを亡くした彼は、やがて山辺安之助と名前を変え、ふたたび樺太に戻ることを志す。 一方、ブロニスワフ・ピウスツキは、リトアニアに生まれた。ロシアの強烈な同化政策により母語であるポーランド語を話すことも許されなかった彼は、皇帝の暗殺計画に巻き込まれ、苦役囚として樺太に送られる。 日本人にされそうになったアイヌと、ロシア人にされそうになったポーランド人。 文明を押し付けられ、それによってアイデンティティを揺るがされた経験を持つ二人が、樺太で出会い、自らが守り継ぎたいものの正体に辿り着く。 樺太の厳しい風土やアイヌの風俗が鮮やかに描き出され、 国家や民族、思想を超え、人と人が共に生きる姿が示される。 金田一京助がその半生を「あいぬ物語」としてまとめた山辺安之助の生涯を軸に描かれた、 読者の心に「熱」を残さずにはおかない書き下ろし歴史大作。 ※この電子書籍は2019年8月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 天地に燦たり
    4.0
    1巻790円 (税込)
    新直木賞作家、驚異のデビュー作 選考委員も絶賛した松本清張賞受賞作。 戦を厭いながらも、戦でしか生きられない島津の侍大将。 被差別民ながら、儒学を修めたいと願う朝鮮国の青年。 自国を愛し「誠を尽くす」ことを信条に任務につく琉球の官人。 秀吉の朝鮮出兵により侵略に揺れる東アジアを、日本、朝鮮、琉球の三つの視点から描く。 松本清張賞選考委員会でも絶賛された歴史エンターテインメント。 解説・川田未穂 ※この電子書籍は2018年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。

ユーザーレビュー

  • パシヨン

    Posted by ブクログ

    「パシヨン」(川越宗一)を読んだ。

    こんなにも胸が苦しくて目を閉じてしまいたいほどに悲しいのにページを繰る手が止まらない。
    そうして最後にじんわりとした暖かさが身体の中に灯るのだよ。

    これはね、もう、誰も彼も読みなよ!

    「熱源」よりもさらに熱い力作だった。

    0
    2025年07月10日
  • パシヨン

    Posted by ブクログ

    小西マンショの生涯をたどりながら、天草の乱をはじめとする、キリシタンの弾圧を描いている。キリシタン側、幕府側からの正義を描いており、どちらにも感情移入してしまい揺さぶられてしまった。平和とは、権力とは、信仰とは、自由とは、多様性とは、様々な場面で考えさせられる。
    登場人物も魅力的で、主人公の飄々とした感じや、友人の岐部渇水の豪楽な人物像もかっこよく、幕府側の井上政重が残忍(に見える)なキリシタン奉行になるまでの心の動きの描写もよかった。
    悪魔をてんぐ、愛をごたいせつ、といった和訳のルビやクレドの和訳なども心地よく、当時のキリシタンの信仰風景もしっかり考証されている印象を持った。

    0
    2025年04月07日
  • 熱源

    Posted by ブクログ

    樺太アイヌのヤヨマネクフ(山辺安之助)と、ポーランド人ブロニスワフ・ピウスツキを軸に、民族の文化とアイデンティティを守ろうとする姿を描いた歴史小説です。ヤヨマネクフが「私たちの土地は、私たちが守り続けてきた」と語る場面では、民族の誇りと土地への深い愛情が伝わり感動しました。一方、ブロニスワフはアイヌ文化を記録する使命に燃えながらも、「記録しても守りきれないかもしれない」という苦悩を抱えています。この二人が文化を未来へと継承しようとする姿勢に心を打たれました。

    「人は誰もが、自分の熱源を持っている」という言葉が特に印象に残りました。自分にとっての「熱源」とは何かを考えさせられる作品です。文化や

    0
    2025年02月09日
  • 熱源

    Posted by ブクログ

    とても壮大な歴史小説でした。フィクション?ノンフィクション?
    わかりませんが。。。
    時代と国家に翻弄されたマイノリティ。
    日本に同化を迫られるアイヌの人たち。その中でもいろんな生き方があり。ロシアの同化政策で囚人にされたリトアニア生まれのポーランド人。
    故郷ってなんだろ国籍ってなんだろ。
    考えさせられることが多い小説でした。
    かなりオススメです!

    0
    2025年01月04日
  • 灯台を読む

    Posted by ブクログ

    日本財団「海と灯台プロジェクト」から生まれた紀行。近年の流行作家門井慶喜、澤田瞳子、阿部智里、川越宗一、永井紗耶子、安部龍太郎。それぞれある地域の灯台を3カ所訪れ時空を超えて想いに馳せる。
    映画「喜びも悲しみも幾歳月」の世界は遠い過去。無人化さらにGPSの普及により灯台は役目を終えつつある。
    とはいえ灯台の立つ場所は古代からの交通の要衝。異国との貿易の出発点、文化が交わる場所でもあった。

    地域の海の記憶を辿り、新たな海洋体験を 灯台とともに

    0
    2024年12月05日

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