高峰秀子の作品一覧
「高峰秀子」の「わたしの渡世日記」「おいしい人間」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「高峰秀子」の「わたしの渡世日記」「おいしい人間」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
ビジネス・実用
小説・文芸
Posted by ブクログ
朝日新聞社、1976年
文春文庫、1998年3月
新潮文庫、2012年1月
文春文庫で読んだ。
以前から高峰秀子の養母との確執については、ウェブでぼんやり知っていたが、本人の筆でここまで書かれると、これは凄いものを読んでしまった……。
壮絶、凄絶、修羅道……。
最初のほうに、中上健次もかくやと思われるほど込み入った家系図が記されている、が、戦前ってそんなものだったのかもしれん。
そして、平山志げは、若いころに名乗っていた高峰秀子という芸名の、下の名前をつけた、姪を引き取って、子役にする。働かせる。稼がせる。吸い上げる。
所謂ステージママという呼び方もあるが、高峰秀子の養母の場合はもっと強烈。
最終章に、「私という人間のドラマの主人公は、私ではなく実は私の母その人であった」とあるくらい、本の最初から最後まで常に母の個性が「悪魔爆発」している。
この本、読む人によっては自身の毒親体験がフラッシュバックする劇薬なのでは。
その上、養母だけでなく、親族、悪い大人たちに囲まれて、巨大な金が消えていく。その軌跡も強烈。
が、ペシミズムに浸された本では決してなく、よい人間関係に恵まれ、所謂有名人の人名録でもある。
以下、目次に●で追記してみた。
でも、高峰秀子にとって救いになった人だって、各々の家族に対しては修羅だったりするので、うーん人って……。
と、数分くらい遥かな気持ちになってしまう。
にしても1976年刊行で、この数年後に養母亡くなり(デブ死す)、女優からエッセイストに転身するわけだが、その後のエッセイ群の先駆けでもありネタ元でもある、最重要のゴツい本だと思った。
しかも戦前戦中戦後の歴史でもあり映画史でもあるので、個人史にしてメディア史にもなっている、まあ凄い本。
@
上巻
文庫版まえがき ●朝日新聞社の扇谷正造
1 雪ふる町 ●養母平山志げなど家族、
2 旅のはじまり
3 猿まわしの猿 ●川田芳子
4 土びんのふた ●岡田嘉子
5 つながったタクワン ●林長二郎、坂東好太郎
6 父・東海林太郎 ●東海林太郎、藤田まさと、五所平之助
7 母三人・父三人 ●東海林夫人
8 ふたつの別れ ●実兄の実
9 お尻がやぶれた ●初潮
10 鎌倉山の女王 ●田中絹代
11 一匹の虫 ●水谷八重子、川口松太郎
12 八十三歳の光源氏 ●藤本真澄、広辞苑の新村出
13 神サマのいたずら ●谷崎潤一郎
14 紺のセーラー服 ●山本嘉次郎、原節子
15 血染めのブロマイド
16 鬼千匹 ●綴方教室原作の豊田正子、田中絹代
17 ビエロの素顔 ●榎本健一、古川緑波、宮城道雄
18 兄は馬賊だった
19 にくい奴 ●大河内伝次郎、灰田勝彦、杉村春子
20 ふたりの私
21 馬 ●黒澤明、三船敏郎、山本嘉次郎
22 青年・黒澤明
23 恋ごころ
24 鶴の化身 ●入江たか子
25 神風特別攻撃隊
26 同期の桜
下
1 黄色いアメリカ人
2 赤いスタジオ
3 十人の旗 ●太宰治、笠置シヅ子、服部良一
4 ハワイの花 ●昭和天皇、灰田勝彦
5 お荷物
6 キッチリ山の吉五郎 ●小津安二郎、笠智衆
7 鯛の目玉 ●志賀直哉、谷崎潤一郎、松子夫人、梅原龍三郎
8 「空・寂」
9 ウソ泣き ●芥川比呂志
10 ダイヤモンド ●藤山愛一郎、宮田重雄
11 色と欲 ●金指英一、平尾プロデューサー、青柳プロデューサー、木下惠介
12 木下恵介との出会い
13 カルメン故郷に帰る
14 遁送曲
15 勲章 ●床山の小林重雄
16 続・勲章 ●松山善三、梅原龍三郎
17 愛の人
18 パリへ ●木暮実千代、渡辺一夫
19 ZOO
20 夕日のパリへ
21 再び戦場へ
22 二十四の瞳 ●壺井栄、松山善三
23 ラスト・ダンス ●川口松太郎、木下惠介
24 イジワルジイサン ●成瀬巳喜男、森雅之、林芙美子
25 バズーカお佐和 ●有吉佐和子
26 骨と皮 ●松山善三
解説 沢木耕太郎
Posted by ブクログ
朝日新聞社、1976年
文春文庫、1998年3月
新潮文庫、2012年1月
文春文庫で読んだ。
以前から高峰秀子の養母との確執については、ウェブでぼんやり知っていたが、本人の筆でここまで書かれると、これは凄いものを読んでしまった……。
壮絶、凄絶、修羅道……。
最初のほうに、中上健次もかくやと思われるほど込み入った家系図が記されている、が、戦前ってそんなものだったのかもしれん。
そして、平山志げは、若いころに名乗っていた高峰秀子という芸名の、下の名前をつけた、姪を引き取って、子役にする。働かせる。稼がせる。吸い上げる。
所謂ステージママという呼び方もあるが、高峰秀子の養母の場合はもっと強烈。
最終章に、「私という人間のドラマの主人公は、私ではなく実は私の母その人であった」とあるくらい、本の最初から最後まで常に母の個性が「悪魔爆発」している。
この本、読む人によっては自身の毒親体験がフラッシュバックする劇薬なのでは。
その上、養母だけでなく、親族、悪い大人たちに囲まれて、巨大な金が消えていく。その軌跡も強烈。
が、ペシミズムに浸された本では決してなく、よい人間関係に恵まれ、所謂有名人の人名録でもある。
以下、目次に●で追記してみた。
でも、高峰秀子にとって救いになった人だって、各々の家族に対しては修羅だったりするので、うーん人って……。
と、数分くらい遥かな気持ちになってしまう。
にしても1976年刊行で、この数年後に養母亡くなり(デブ死す)、女優からエッセイストに転身するわけだが、その後のエッセイ群の先駆けでもありネタ元でもある、最重要のゴツい本だと思った。
しかも戦前戦中戦後の歴史でもあり映画史でもあるので、個人史にしてメディア史にもなっている、まあ凄い本。
@
上巻
文庫版まえがき ●朝日新聞社の扇谷正造
1 雪ふる町 ●養母平山志げなど家族、
2 旅のはじまり
3 猿まわしの猿 ●川田芳子
4 土びんのふた ●岡田嘉子
5 つながったタクワン ●林長二郎、坂東好太郎
6 父・東海林太郎 ●東海林太郎、藤田まさと、五所平之助
7 母三人・父三人 ●東海林夫人
8 ふたつの別れ ●実兄の実
9 お尻がやぶれた ●初潮
10 鎌倉山の女王 ●田中絹代
11 一匹の虫 ●水谷八重子、川口松太郎
12 八十三歳の光源氏 ●藤本真澄、広辞苑の新村出
13 神サマのいたずら ●谷崎潤一郎
14 紺のセーラー服 ●山本嘉次郎、原節子
15 血染めのブロマイド
16 鬼千匹 ●綴方教室原作の豊田正子、田中絹代
17 ビエロの素顔 ●榎本健一、古川緑波、宮城道雄
18 兄は馬賊だった
19 にくい奴 ●大河内伝次郎、灰田勝彦、杉村春子
20 ふたりの私
21 馬 ●黒澤明、三船敏郎、山本嘉次郎
22 青年・黒澤明
23 恋ごころ
24 鶴の化身 ●入江たか子
25 神風特別攻撃隊
26 同期の桜
下
1 黄色いアメリカ人
2 赤いスタジオ
3 十人の旗 ●太宰治、笠置シヅ子、服部良一
4 ハワイの花 ●昭和天皇、灰田勝彦
5 お荷物
6 キッチリ山の吉五郎 ●小津安二郎、笠智衆
7 鯛の目玉 ●志賀直哉、谷崎潤一郎、松子夫人、梅原龍三郎
8 「空・寂」
9 ウソ泣き ●芥川比呂志
10 ダイヤモンド ●藤山愛一郎、宮田重雄
11 色と欲 ●金指英一、平尾プロデューサー、青柳プロデューサー、木下惠介
12 木下恵介との出会い
13 カルメン故郷に帰る
14 遁送曲
15 勲章 ●床山の小林重雄
16 続・勲章 ●松山善三、梅原龍三郎
17 愛の人
18 パリへ ●木暮実千代、渡辺一夫
19 ZOO
20 夕日のパリへ
21 再び戦場へ
22 二十四の瞳 ●壺井栄、松山善三
23 ラスト・ダンス ●川口松太郎、木下惠介
24 イジワルジイサン ●成瀬巳喜男、森雅之、林芙美子
25 バズーカお佐和 ●有吉佐和子
26 骨と皮 ●松山善三
解説 沢木耕太郎
Posted by ブクログ
子役から始めて、戦前・戦中・戦後の映画界を駆け抜けた女優・高峰秀子。その彼女が休業宣言、1951年の6月から7カ間、映画を離れて、パリで過ごした。その日々のエッセイ。見るもの・聞くもの・触れるものなにもかもが新鮮だった。27歳の高峰秀子、その初々しさがいい。
下宿した先はリュクサンブール公園近くのアパルトマンの5階、バルコンが付いていた。「すぐ目の前には聾啞学校の庭が見下ろせる。金髪の女の子たちが『ジョニイ・ベリンダ』のような手真似で話しているのが見える。教会の鐘がまた聞こえる」。臨場感あふれる文章。この部屋は仏文学者の渡辺一夫がまえに住んでいた部屋だった。
写真&高峰の描くイラストが興を添える。(なお、中公文庫と角川文庫でも出ているが、これらは割愛されている。)
巻末には、徳川夢声との対談が22ページ。これもおもしろい。
Posted by ブクログ
大女優 高峰秀子本人がその半生を描いたエッセイ集の後編。大戦終了後の昭和20年以降の出来事が書かれているが、当時の様子がよくわかる。谷崎潤一郎や梅原龍三郎など著名人との交流も詳しく描かれており、ビジネス抜きで暖かく支えてくれる人たちが数多くいることが理解できる。よくわからず連れて行かれたシーンがいろいろと登場するが、その場面の描写や自分が感じたことは詳しく書かれており、その能力の高さに驚かされた。勉強になる本であった。
「キャバレーで見た、アメリカの士官たちに、すっかり感服してしまったのである。とにかく、女性に対して、実に礼儀正しいということ。ダンサーの控え室に行って、うやうやしくこれを迎えてくる。それがまったく身についた礼儀作法なのである。席にくると、必ず女の方から先に腰をかけさせる。征服者の士官が、被征服者のダンサーに対して、甚だインギンをきわめる」p10
「ステージから楽屋に入ると、米兵たちが「ハロウ!ミス、タカミネ!」と言いながら、手に手に贈り物を抱えてなだれ込んで来る。キャンデー、チョコレート、チューインガム、クッキー、ピーナツ...。ステージが1回終わるごとに、私の周りには贈り物が山と積まれて身動きも出来ない。ラストショーが終わると、劇場の楽屋口には真新しいキャデラックが横づけにされていて、私は成城の家まで送り届けられた」p10
「「昨日までの自分」と「今日の自分」のつじつまは絶対に合わないはずなのに、私はそれに目をつぶり、過去という頁をふせて見ようともしないのである。なんという現金さ、なんという変わり身の早さ。人気商売とはいいながら、こんなことが許されていいのだろうか。人には言えない、妙なうしろめたさが、私の背後に忍び寄って、夜となく昼となく、とがった爪の先で、チョイ、チョイと私をつつくのだ」p11
「男女平等の総選挙がおこなわれ、日本国憲法が公布された。憲法は国の進路や私たちが生きてゆく社会に秩序を与えるために無くてはならぬ大切なものだけれど、腹をすかした私たちにとっては、憲法よりも、今日の米、味噌、醤油こそ問題だった」p12
「昨日にこだわっていては生きてゆけない状況が、そこにはあったけれど、人間はどこまで慣れやすい動物なのか、われながら呆れるばかりであった」p17
「運命というものは、こちらがボンヤリ居座っていて、あちらさんから一方的にやって来るものではなく、こちらさんが積極的に切り開いていくものだと、私は思う。しかし私の場合はいつも、私が苦境に立つたびに、あちらさんからチャンスというお土産をひっさげて、私の目の前に出現した」p186
「当時のパンアメリカン機はもちろんプロペラ機で、それも南回りのパリ行きだけだったから、沖縄、香港、バンコク、カルカッタ、カラチ、ベイルート、ブリュッセル、そしてパリと、うんざりするほどの各駅停車だった。降りては飛び、飛んでは降りのくり返しででおよそ30時間ほどの時間がかかったことになる」p258
「(解説 沢木耕太郎)日本では、とりわけ映画女優による優れた自伝は皆無に等しい。そこには自分をさらけ出すことははしたないと考える国民性も与っているのかもしれないが、もしかしたらさらけ出すべき自己が希薄なのかもしれなかった。しかし『わたしの渡世日記』の高峰秀子は、日本の女優では例を見ない率直さで、自ら辿ってきた道筋を述べていた」p385