あらすじ
1951年、27歳、高峰秀子は突然パリに旅立った。女優から解放され、パリでひとり暮らし、自己を見つめる、エッセイスト誕生を告げる第一作。
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Posted by ブクログ
子役から始めて、戦前・戦中・戦後の映画界を駆け抜けた女優・高峰秀子。その彼女が休業宣言、1951年の6月から7カ間、映画を離れて、パリで過ごした。その日々のエッセイ。見るもの・聞くもの・触れるものなにもかもが新鮮だった。27歳の高峰秀子、その初々しさがいい。
下宿した先はリュクサンブール公園近くのアパルトマンの5階、バルコンが付いていた。「すぐ目の前には聾啞学校の庭が見下ろせる。金髪の女の子たちが『ジョニイ・ベリンダ』のような手真似で話しているのが見える。教会の鐘がまた聞こえる」。臨場感あふれる文章。この部屋は仏文学者の渡辺一夫がまえに住んでいた部屋だった。
写真&高峰の描くイラストが興を添える。(なお、中公文庫と角川文庫でも出ているが、これらは割愛されている。)
巻末には、徳川夢声との対談が22ページ。これもおもしろい。
Posted by ブクログ
2024.3
たまたまフランスらしい有名なクレープ屋さんで
読み終えたのがとても良かった
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私にはまだまだ知らないことがたくさんあるようだ。逃げてしまえばそれまでだが、私はにげずに知りたい、何でも、どんな小さいことでも。
<この淋しさを無駄にしてはならない。いつかこの淋しさを、楽しかった思い出として懐かしむようになりたい…いや、なるんだ。>
ーで、なりましたか?
-なりました。
Posted by ブクログ
「27年生きてきて、思い出がひとつもない。誰も何も思ってくれなくても、自分ひとりが思い出して楽しめるようなものがほしかった。」
「普通の人間同士が普通に付き合うとき、どれくらい親切にしてくれるものなのかわかんなかった。私はそれを知りたかった。」
普通の人生ってありがたいな。