角野栄子の作品一覧
「角野栄子」の「魔女の宅急便」「『魔女の宅急便』が生まれた魔法のくらし 角野栄子の毎日 いろいろ【無料試し読み特別版】」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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早稲田大学教育学部英語英文学科卒。1970年に『ルイジンニョ少年、ブラジルをたずねて』で作家としてデビュー。作品に『魔女の宅急便』、『アッチ コッチ ソッチのちいさなおばけ』シリーズなどがある。『おおどろぼうブラブラ氏』でサンケイ児童出版文化賞、『魔女の宅急便』で第23回野間児童文芸賞などを受賞。その他2000年紫綬褒章、2014年旭日小綬章を受章。『魔女の宅急便』はのちにアニメ・実写の両方で映画化された。
小説・文芸
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Posted by ブクログ
泣きながら読み終わりました…。胸がいっぱいです。
角野栄子さんの「トンネルの森1945」の続編です。「トンネルの森」は戦時中に、小学生くらいの主人公イコが、東京から千葉(だったっけ?)に疎開し、たくさんの辛い経験をしながら成長する物語…だったけど、こちらは戦後です。
さぁ、戦後…!新しい社会がつくられていく時代に、感受性豊かで芯が強く、好奇心旺盛な…でもある意味、ごく普通の女の子のイコが、どんな風に成長するのか…って考えただけでもドキドキする。
イコは、勉強は特に得意ではない。数学はてんでダメで、戦後、進駐軍のお金持ちの家の中をのぞいてみたい(っていうか実際にのぞく)、英語で話してみたい、外国の映画を観てみたい…などの好奇心から、英語の勉強だけは頑張ろうとする。
この小説の魅力的なところは、それでイコが勉強を頑張って劇的に英語を話せるようになるとか、そういう感じではなく、いつまでたってもイコの才能が開花するなんてことはなく、ずっと迷い続け、やろうやろうと思いながらも、心に決めた1冊の原書をちゃんと読み終えることすらせず、人間の弱さがそのまま描かれているところだ。
ただ、タイトルに「イコ・トラベリング」とあるように、あるときイコは学校の英語の授業で「現在進行形、ing」を習った時に、「現在進行形って、なんかいいな!私も進行形でいこう!」みたいなことを心にとどめて、ずっとそういう感じで、興味があるものに対して前のめりに進んでいくのだ。
そしてまた、特に自立心がある女性、という描き方でもないのだが、何かに興味をもって、やってみたい!行ってみたい!と思うとき、それは「一人で」やったり、行ったりしたいのだ。
戦後すぐのその時代、庶民が外国に行くことはできなかった。それでも「外国に行きたい」と思い続けている彼女に、ちょっと恋仲になりかけた男性から「僕が連れて行ってあげる」みたいなことを言われるんだけど、そのセリフにイコは「ふくらんでいた風船が急にしぼむような感じ」を覚える。
彼女ははっきりと、自覚するのだ。「行くなら、一人で行きたい」と。
このシーンはとても印象的だった。
物語の終盤、無事に大学を卒業し、魅力的な人たちに出会い、就職して生き生きと働くイコ。でも、外国に行きたいという気持ちを押さえられない。
残りページ数が少なくなるとともに、頻繁にお父さんがまた登場し始める。子どものころのお父さんとの思い出の回想。帰りが遅くなっていくイコを無言で心配するお父さん。読者は、イコに世界に羽ばたいて欲しいと思うが、お父さんの気持ちを考えたら切なくなる。
1948~のこの時代、娘に「好きなように生きろ!外国にでもどこへでも行ってこい!」と言える庶民の親はなかなかいないと思われる。
2人の気持ちを考えながら読み進めていて、最後の方は涙が止まりませんでした…。また読み返したいです。
Posted by ブクログ
息子が中学生になったので、「中学生の子どもに」というカテゴリを増やしました。
さて、息子が「永遠の0」を読みたいから買って、と言われ、すぐに買ってあげたのですが、まだ少し難しいかも?戦争を題材にした物語を読みたいなら、もう少し読みやすいのもセレクトしておこう…と思って、児童文学で定評のある作家さんを調べ、本書を購入しました。
そしてまず自分が読みました。
息子はまだ「永遠の0」に食らいついているので、次、これを勧めたいと思います。
さて、本書の感想↓
戦時中に、東京の下町で、父親と、祖母と暮らしていた少女、イコの物語。
お母さんが病気で亡くなり、お父さんは再婚する。戦局が悪化していく中、お父さんは出征し、祖母と継母、そして生まれてきた異母弟との暮らしが始まる。
小中学生が読んで、戦時中の社会の雰囲気が想像しやすく、とても良いと思う。社会科の教科書で、「ぜいたくは敵だ」「パーマネント禁止」などと言われ始めたことや、家族が出征するときに悲しい顔をしてはならず、うっかり悲しんでいるところを人に見られたら「非国民」と言われた、ということが書いてあるが、そういう時代の雰囲気が、小学生のイコの目線で書かれているので、子どもにとってわかりやすい。
もちろん大人の私が読んでも、胸が締め付けられるような思いがする。
徐々に情勢は厳しくなり、食べるものもなく、東京も空襲されるようになって、イコは疎開する。
当時、東京からちょっと離れただけで、子どもたちの方言や文化もだいぶ異なり、お父さんもおらず、祖母とも離れ離れになってしまい、イコがどんなに心細かったか…
しかし、当時の小学生にとって、「学校に行かない」とか、「わがままを言って継母に迷惑をかける」という選択肢はなく、どんなに辛くても歯を食いしばってガマンし、学校でいじめられてもなんとかして自分の居場所を見つけ、他の子どもたちになじもうとするしかなかった。
今の子は「無理して学校に行かなくてもいいんだよ…」って言われるし、私もまぁ、それも悪くないとは思うけど、やっぱり読書を通して、昔の子どもの暮らしぶりを知ることで、現代の生活のありがたさがわかるっていう側面はあるよね。それってとても大事なことじゃないかな。
大人は、「昔は・・・だった、今はこんなにモノがあふれて、ごはんも食べられて、感謝しなきゃいけない」なんてことを言うけど、子どもたちは昔の暮らしを知らないんだから、感謝のしようがないよね。だけど、読書習慣がある子どもなら、読書を通して昔の子どもの暮らしぶりを想像できる子どもなら、感謝することができる。だから読書って大事だと思う。
イコの継母との暮らし、貧しさ、異母弟をおぶって学校にいく姿…、父親を心配する気持ち…、我が子にも想像してほしい。
お父さんは、大けがを負って帰って来る。
それまで、疎開先で踏ん張っていたイコは、だんだんと強くなる。怖かったトンネルも、そこに潜んでいるように感じられる「兵隊さん」も、怖くなくなってくる。
イコの成長や、祈るような気持ちに共感できる、良い作品だと思いました。