海外小説 - 新潮社作品一覧

  • 田舎司祭の日記
    -
    モーリヤックが、真の信仰を失ってその形骸だけを守る人々の生活を綴ったのに対し、同じくフランス二十世紀前半の作家、ジョルジュ・ベルナノスは、信仰に真に生きようと努力する人々を真正面から描き出す。本篇は一田舎司祭の日記の形式を借りて、従来の小説に全く捕捉されなかった神の姿を司祭の中に見出し得たのである。神と悪魔の闘いに迫った作者の代表作。1936年作。
  • ピエールとジャン
    -
    医者のピエールと弁護士のジャンは、性格はまるで違うが、いたって仲のよい兄弟である。ある日、ジャンにだけ思いがけない方面から遺産が送られてき、兄ピエールは、弟は果して誰の子なのか、愛する母には何か秘密があったのではないかと、深い疑惑をいだきはじめる……。典型的な心理研究の文学で、漱石もこの作品を讃嘆している。1888年作。ほかに「小説について」を併録する。
  • フロイト自伝
    -
    一八五六年、現在はチェコの東部、当時オーストリア領だったモラヴィアの田舎町フライベルクに生れたジークムント・フロイトは、長くウィーン大学で教鞭をとり、一九三八年にロンドンへ亡命した翌年、八十三年の生涯を閉じた。亡命を除けば、彼の生涯に外的な波瀾はないが、ユダヤ人の血のために苦悩した、その経験は、あの独創的な学説、人生観に、少なからぬ影響を及ぼしている。
  • タイタス・アンドロニカス
    -
    ローマの帝位継承権を争う前皇帝の息子兄弟。そこにゴート人との戦いに勝利したタイタス・アンドロニカスが凱旋帰国し、市民の圧倒的支持により皇帝に推薦されるが…。男たちの野望に、愛情・復讐心・親子愛が入り乱れたとき、残虐のかぎりが尽くされる…。シェイクスピアの作品では異色の惨劇。
  • 息子と恋人(上)
    -
    中産階級の出身で教養のあるガアトルウドは、性的に魅力のある炭鉱夫モレルと結婚した。いつしか夫への愛もさめたモレル夫人にとって、美しい息子たちが彼女の恋人的存在となっていた。長男ウィリアムの突然の死に打ちのめされた母親を慰めるのは、絵の上手な16歳の次男ポオルだった。
  • 大尉の娘
    -
    暴徒のため父母を惨殺されたマリーは、相思の将校グリニョーフに危難を救われるが、のちに嫌疑をかけられシベリア流刑に処せられた愛人の赦免を求め、ペテルブルクに行き女王に決死の嘆願をする。エカテリーナ二世の治世に起ったプガチョーフの反乱を背景とし、歴史小説と家庭小説が巧みに融合した、19世紀ロシア・リアリズム文学の先駆的作品であり、プーシキン芸術の最高峰と言われる。
  • 燃え上る青春
    -
    パリの裕福な実業家の家に育った主人公アンドレ・モオヴァル。彼と若く美しいド・ナンセル夫人との情事と、彼の将来に期待をかけるモオヴァル家の人々の姿を、詩人でもあるレニエが、流麗かつ詩的に描きあげた、作者円熟期の傑作。本作品発表当時(1909年)の仏文壇では詩人が小説をかくことが流行し、それらの作品では物語に、作者の夢想や感情がもりこまれ、きわめて美術的な小説となっていた。本作品はその代表作であり、堀口大學の名訳で味わうことができる。
  • わが思い出と冒険―コナン・ドイル自伝
    -
    シャーロック・ホームズ物語の作者、サー・アーサー・コナン・ドイルの自伝。エディンバラ大学を卒業して眼科医となったドイルは、27歳のとき「緋色の研究」を書き、以後、長編4、短編56のホームズもののほか、歴史小説、スポーツ小説なども執筆。その生い立ち、家庭、交友から、ボーア戦争への参加や晩年の心霊研究まで、本書はホームズ・ファンの興味をそそらずにはおかない。
  • ドイル傑作集 失なわれた世界
    -
    ガゼット新聞記者マローンは愛人の理想の男性たらんとして、奇人チャレンジャ教授一行の南米探検隊に加わってアマゾン河上流の秘境に分け入る。同勢四人、未踏の森林地帯に入ればそこはダンテの地獄篇さながら、有史以前の怪獣奇獣たちが風を巻き起して人間どもに襲いかかってくる――ドイルの科学小説中の傑作である。
  • リチャード二世
    -
    わずか10歳で王位を継承したリチャード二世は、物心つくとほぼ同時に一大王族の長となり、我儘放題に甘やかされて育った。栄華を誇ったリチャード二世が従弟(のちのヘンリー四世)との政争に敗れて国王の座を追われ、暗殺者の手にかかって倒れるまでの転変の運命。シェイクスピアの性格描写の手腕が冴えわたる名作。
  • 風流滑稽譚(一)
    -
    「人間喜劇」の作者バルザックとしての名声があまりにも偉大なため、彼の戯作は余技のように見られがちだが、これはバルザックの百以上にものぼる作品のうち、いわゆる好色文学のレッテルを付されながら、天衣無縫の芸術作品と真に称しうるものの一つである。1832~1837年刊。「美姫インペリア」「仮初の咎」「王の愛妾」「悪魔の後嗣」「路易十一世瓢逸記」「大元帥夫人」「箱入娘」「金鉄の友」「衣手の風流」「当意即妙」の10篇収録。
  • 十二夜
    -
    オリヴィアに片想い中のイリリア公爵オーシーノーは、サゼーリオーという小姓を雇ったが、実は彼はヴィオラという女性が男装した姿。ヴィオラは、公爵の想いを伝えるためにオリヴィアのもとへ遣わされたが、オリヴィアはヴィオラに一目ぼれしたからさあ大変。おまけにヴィオラは密かに公爵に想いを寄せ……シェイクスピアお得意の、ヒネリの利いた、恋にまつわる喜劇。
  • コリオレイナス
    -
    ヴォルサイ人との戦いでローマを勝利に導いたコリオレイナスは市民に英雄と讃えられ、執政官に推薦される。しかし執政官になるために避けては通れない慣習を受け入れられず、市民を敵に回してしまう。愛国心と自尊心の強さゆえ、コリオレイナスがたどる運命とは…シェイクスピアの名悲劇の一作。
  • ヘンリー四世 第一部
    -
    十五世紀初頭のヘンリー四世統治下、パーシー一族らによる反乱に対し、放埓な生活を送っていた王子ハルは、シュルーズベリーの戦いで王の危機を救い、反乱軍の主ホットスパーを倒す。この主筋に対して脇役でありながら、この作品の人気を支えてきたのが騎士ジョン・フォールスタフである。臆病、卑劣、狡猾、見え坊、破廉恥、好色、貪欲といったありとあらゆる悪徳を身に付けた不思議な人間像は、作品の枠を超えて観客を魅了してきた。
  • 風と共に去りぬ(第1巻~第5巻) 合本版
    -
    アメリカ南部の大農園〈タラ〉に生まれたスカーレット・オハラは16歳。輝くような若さと美しさを満喫し、激しい気性だが言い寄る男には事欠かなかった。しかし、想いを寄せるアシュリがメラニーと結婚すると聞いて自棄になり、別の男と結婚したのも束の間、南北戦争が勃発。スカーレットの怒濤の人生が幕を開ける――。小説・映画で世界を席巻した永遠のベストセラーが新訳で蘇る! ※当電子版は『風と共に去りぬ』(第1巻)~(第5巻)の全五巻をまとめた合本版です。

最近チェックした本