佐野洋作品一覧
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-成田信夫に会社の同僚・盛岡精一が頼んできたのは、ゴルフの雑誌社が主催するゴルフコンペに身替わりとして参加してほしいということだった。腕に少々自信のある成田は、優勝賞品の高級ゴルフクラブに惹かれて頼みを聞き入れることにした。翌日、成田は盛岡の出社を待ったが現れない。いったい盛岡の身に何が起きたのか……(表題作の「皮肉な凶器」)。 「損な役割」では、高校時代からの同級生八重沢から、秘密の頼み事をされた遠野の顛末が描かれている。八重沢は不倫をしていたが、夫にバレてしまう。話し合いの席をもうけることになったが、身替わりとして遠野に出てほしいというものだった。慰謝料として百万を携えていった遠野がそこで見たものとは……。 もっともっと評価されるべき作家・佐野洋の、身替わりを材にとった凝りに凝ったミステリー7編。
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-晴海埠頭で1台の自動車が引き揚げられたが、運転者の死体は出てこなかった……。Mデパートの店員・野上美樹子は、妊娠処置のことを、銀座のクラブに勤める友人に相談した。そのとき、英会話と車の運転ができる美樹子に、ある会社の秘書にならないかとの話がでた。そして美樹子は、大竹通産の専務秘書になった。高価なドレスや和服を着せられ、高級レストランや料亭につれ歩かれた。数か月後のある夜、大竹通産の社運をかけた取引がおこなわれた。相手は、東南アジアのQ国使節団。座には芸者もきて賑やかだったが、代表格の男は、美樹子にしか関心を示さなかった。その数日後……。
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-映画スター・上杉悠子邸の玄関先に倒れていた死体――それは、悠子にそっくりの女であった。熱狂的なファンの「自殺」として片づけられたこの事件に、木島刑事は疑問をもつ。「捜査の邪道かもしれないが……」彼は心に殺人事件を描いてみた。悠子には幼くして別れた双生児の姉・竹村久子がいた。死体は、この久子なのだろうか、あるいは悠子その人なのかもしれぬ。刑事は、付人の西条悌子とマネージャー・藤岡謙にあたった。捜査が、華やかな女優生活の裏にひそむ「影の女」の存在を知った時、事件は意外な終末を迎える。巧妙なトリックを用い、「女の賭」を描く本格推理。
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-失業した久世は、元上司の未亡人・治子が経営する連れ込み旅館に居候している。ひも生活の慰みにと、客室に集音機を仕込んで盗聴しているうちに、ある会社の労組絡みの無理心中事件に不審な点があることを知った。好奇心を覚えた久世は、私立探偵を名乗り、治子とともに関係者を調べ始めるが……。昭和30年代の東京を舞台にした長編ミステリー。
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4.0「わたくし、人を……。人を殺してしまったのです」 新聞社の論説委員をしている私は、愛人の冬子から衝撃の電話を受けた。当惑させられたのは、今朝の二時頃だという。 しかしその時刻、冬子に殺人は不可能だった。冬子とともに、わたしは家族に内密にして、熱海に二泊していたのだ。 冬子はこれから自首するという。わたしの不倫の秘密は守るれられるのか。そして、冬子は殺人犯として逮捕されされてしまうのか――。冬子によってもたらされたわたしの戸惑いが深まる。読めない結末の表題作「幻の殺人」。 この全5作の短篇は、長編の原型となったものばかり。男と女がそれぞれに秘める思惑が、意外な形をつくりだしていく。緻密で精巧なミステリー!
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