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3.7「なぜもっと早くいらっしゃらない?」 廃墟に響いた幽霊の声―― 100年前、「田園の憂鬱」で一躍文壇に躍り出ながら、極度の神経衰弱に陥った佐藤春夫は台湾へと旅立つ。そこで目にしたもの、感じたものは、作家の創造力を大いに刺激した。台湾でブームを呼ぶ表題作など、台湾旅行に想を得た、今こそ新しい9篇。ミステリーあり、童話あり。異国情緒のなかに植民地への公平なまなざしと罪の意識がにじむ。文豪・佐藤春夫評価に一石を投じる文庫オリジナル企画。 収録作 「女誡扇綺譚」 「鷹爪花」 「蝗の大旅行」 「旅びと」 「霧社」 「殖民地の旅」 「魔鳥」 「奇談」 「かの一夏の記」
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3.0僕の門下生からこんな面白いものをかく人が出るかと思うと先生は顔色なし。――新刊の感想から、門下生の作品添削、雑誌への売り込みまで。漱石の書簡に現れる同時代文学評を、佐藤春夫が編年でまとめ、解説を付し、「書簡中に見る諸家作品選集」を編集する。 〈巻末付録〉エッセイ=内田百閒/漱石宛て書簡=芥川龍之介・久米正雄
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3.0「田園の憂鬱」とならんで作者の青春記ともいうべき作品である.「田園」における主人公・妻・2匹の犬は東京の日の当たらない崖下の家に無為の生活を送る.自己の文学的才能への疑惑,無名の新劇女優である妻との確執など――.作者はこの作品を書くことによって,「田園」に含まれていたモティーフを完成し,真の自己の領土を発見した. (※本書は1983/1/1に発売し、2022/3/10に電子化をいたしました)
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3.0「あまり日本語で話をしない方がいい。皆、日本人を嫌っているから」―――中華民国初期の内戦最前線を行く「南方紀行」、名作「星」など運命のすれ違いを描く9篇。 佐藤春夫は戦前の二十数年間に中国を五度訪れた。一九二〇年、台湾から対岸の福建省へ。七年後には杭州・南京へ。しかし時代は田漢・郁達夫との友情に暗い影を落とす……。 「南方紀行」では東アジア初の社会主義実験都市・漳州を訪れているほか、「曾遊南京」で明らかになる蒋介石とのすれ違いなども興味深い。 また、「わが支那游記」は長らく行方不明であったが近年発見された。 文庫オリジナル。〈編集・解説〉河野龍也〉 目次 ・星 ・南方紀行 厦門採訪冊 厦門の印象/章美雪女士の墓/集美学校/ 鷺江の月明/漳州/朱雨亭の事、その他 ・市井の人々-大陸逸聞- 老青年 南京雨花台の女 ・ 交遊の思い出-郁達夫・田漢- 西湖の遊を憶う 秦淮画舫納涼記 曾遊南京 ・わが支那游記 ・旧友に呼びかける
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3.0猫は、そこにいるだけで「物語」を生む。 なぜ作家は猫を描くのか。天邪鬼でわがまま、時に甘えん坊。 飄々としたこのいきものに心惹かれ、物語を仕立てようとする作家は多い。 人間より上位の動物として地球に君臨する猫を表現したSF「ネコ」(星新一)や、 飼い猫から見た作家の生態を描く「黒猫ジュリエットの話」(森茉莉)など、9人の作家による個性あふれる猫小説集。 【収録作品】 森茉莉 『黒猫ジュリエットの話』 吉行理恵 『雲とトンガ』 室生犀星 『猫のうた』『愛猫』 佐藤春夫 『猫と婆さん』 小松左京 『猫の首』 梅崎春生 『大王猫の病気』 宮沢賢治 『どんぐりと山猫』 金井美恵子 『暗殺者』 星新一 『ネコ』
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-与謝野寛・晶子夫妻の生涯の詩と真実を、明星派の歌人山川登美子の哀しい死にからめて描く読売文学賞受賞作。若き日、晶子らに師事して文学の道に歩んだ佐藤春夫が、晶子・寛・登美子三者三様の秘めた愛の絶唱の心の裡を無限の共感をこめて語りつくす名篇。『晶子曼陀羅』完結後、あらためて三者の愛を寛の長詩をもとに深く洞察して執筆した「ふたなさけ」を併録。(※本書は1993/11/1に発売し、2022/5/17に電子化をいたしました)
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-台南を舞台にした表題作等、珠玉の短編5編。 明治、大正、昭和の3つの時代にわたって、詩歌や小説、文芸評論など幅広い分野で足跡を残した佐藤春夫の、珠玉の小説アンソロジー。 表題の『女誡扇綺譚』は、日本時代の台南を舞台に、鄙びた町の姿や、没落豪族の娘の霊との出会いを描いた作品で、作者自ら「五指に入るであろう」と評した幻想的な傑作。 改稿を重ねた渾身の一作『田園の憂鬱』は、田舎に移り住んだものの周囲と溶け込めず、次第に病んでいく文学志望の青年を描く。 他に処女作品『西班牙犬の家』のほか、『のんしゃらん記録』『美しき町』を収録。 『大正幻影』で佐藤春夫を掘り下げた評論家の川本三郎氏が解説。