あらすじ
寛政三年弥生。預かった鶯を美声に育てて生計を立てる、小禄旗本の次男坊・林只次郎は、その鶯たちの師匠役となる鶯・ルリオの後継のことで頭を悩ませていた。そんなある日、只次郎は、満開の桜の下で得意客である大店の主人たちと、一方的に憧れている居酒屋「ぜんや」の別嬪女将・お妙が作った花見弁当を囲み、至福のときを堪能する。しかし、あちこちからお妙に忍びよる男の影が心配で……。桜色の鯛茶漬け、鴨と葱の椀物、精進料理と、彩り豊かな料理が数々登場する傑作人情小説第二巻。
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Posted by ブクログ
亡き夫・善助と営んでいた居酒屋「ぜんや」を一人で切り盛りする美人女将・お妙。
その妙にひそかに思いを寄せる、武家の次男坊・林只次郎。
林家の飯のタネ、鶯のルリオ。
そしてもちろん、美味しいごはん。
居酒屋なのは分かっているが、どうも、「つまみ」というより、「おいしいごはん」と言いたくなるような、家庭的な雰囲気なのである。
妙は後家さんだが、湿ったところや隠微なイメージはどこにもない。
清潔で、ふんわり温かい…洗いたての白い手のひらのようなのである。
しかし、そこに不審な事件の影もちらつく。
読み終わってすぐに続きが読みたくなった。
すいません、次、いつ出ますか?
『花の宴』
花見に集まる男たち。
只次郎の兄嫁と、その父の、ちょっと温まるエピソード。
鯛茶漬け、桜餅。
『鮎売り』
騒動に巻き込まれ、転んで売り物のアユを落として傷めてしまった少女。
定価で売り切って帰らないと、兄嫁から叱られるというが、無論魚河岸の者たちは相手にしない。
鮎粥、花梨糖。
『立葵』
只次郎の長兄の娘…つまり姪のお栄はたいそう賢い。
学問をしたくてたまらないようでもある。
女に知恵が付くのを嫌う父や長兄には内緒で、只次郎は栄に勉強を教える決心をする。
武士の世の中も変わりつつあるのだ。
鴨丸ごと一羽使い切り料理。
捌くお妙さんがたくましい!
『翡翠蛸』
升川屋の妻・志乃の騒動再び。
しかし、まことに気持ちのいい(女性にとって)幕切れ。
上方では、土用は鰻ではなく蛸で決まり。
善助の姉・お勝から優しい言葉。
『送り火』
精進落としの穴子天。
只次郎の兄嫁・お葉の父、柳井。
まことにいい男であり、北町奉行所の吟味方与力としても有能だ。
この先も頼りにしたいものである。
…というのも不穏な影が…
Posted by ブクログ
2021/12/10
会社帰りに読んだらどんだけお腹減るか。
おいしい小説は数あれど、これはトップレベルに料理描写が多い。
本気で食わせろ!それ!!ってなる。
林家の人はもっと只次郎に感謝するといいよ。
只次郎が姪っ子に学問を教えようと思ったところが熱くなって泣けた。