あらすじ
※2020年8月8日より、カバーが変更となりました。内容については変更ございませんので、ご注意くださいませ。
累計130 万部の大ヒット和風ファンタジー
第一部完結!
松本清張賞史上最年少受賞のデビュー作『烏に単は似合わない』から一巻ごとに
読者を魅了して成長してきたシリーズの第一部完結の第6巻。
八咫烏の一族が支配する異世界・山内を舞台に繰り広げられる、お后選び・権力争い・外敵の進入。大地震に襲われた山内で、100年前に閉ざされていた禁門がついに開かれた。
崩壊の予感が満ちる中、一族を統べる日嗣の御子・若宮は、失った記憶を取り戻すことができるのか。そして、人喰い猿との最終決戦に臨む参謀・雪哉のとった作戦とは――。
一巻から周到に張り巡らされてきた伏線がすべて回収され、この世界の大いなる謎が驚愕とともに明かされるクライマックス。
大人気キャラの受難、神秘の謎とどんでん返しに驚愕した後に、
未知の感動が味わえる堂々完結の一冊。
巻末には、先輩の大作家・夢枕漠さんとの熱い対談を収録!
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
ああ、これは前巻の『玉依姫』の
八咫烏側から見たストーリーなのですね…。
1巻目と2巻目もそうだったけど
色んなサイドから考えることができて面白い。
よくできているなぁ。
金烏、大猿、ますほの薄、雪哉それぞれの事情、感情、価値観が交錯する。
『自分には感情が無い』
と、言っていた金烏も人間らしく
クヨクヨしている。笑
そこがいい!
それを母親のように見守り支える
奥方の浜木綿。
本当に憧れの女性です。
大好きな雪哉は厳しい戦いの参謀になり
非情な決断を躊躇わずにする。
ちょっと小賢しいけどかわいかった私の好きな
雪哉なんてもうどこにもいない…泣
今回親友を亡くし荒んでしまったのか?
戦いが終わっても雪哉はもとに戻らない…
でも、最後の最後に涙を流し
ようやく泣くことができた雪哉…。
良かった!と、私も涙してしまいました。
おかえりなさい雪哉…。
ここで物語りは一段落らしい。
この後はどうなるのかな?
Posted by ブクログ
"役"に徹底して"自我"を押し殺した雪哉と、"役"を取り戻せず葛藤するなかで"自我"を認識し始めた奈月彦が対称的。最後の場面は雪哉の本質が化け物ではないことを自他ともに認識した瞬間だと思いたい。
Posted by ブクログ
八咫烏シリーズ、第一部再読完了!
前巻「玉依姫」のお話を山内側から綴った話は、山内の存亡もかけて、とてもシビアなものだった。
大猿の無念さも愚かさも、金烏の欺瞞もどれも残念だけど、それをモノともしない雪哉の厳格さが、とてもおっかない。
雪哉を決定的に壊して、何か突き抜けさせたようなあの事件は、とても痛ましく、誰にとってもいいことない出来事。これが、このシリーズを特徴づけてるようで…
でも、最後は希望が垣間見えて、奈月彦が何か解放されたような様も、少しだけどポジティブ。どうかそのまま安穏としてほしい。
山にいた八百万の神、そこにやってきた強大な神様、その神話がとても気になった。本当にこんな伝承があるのかも?
Posted by ブクログ
前作「玉依姫」の山内側からの話。
玉依姫で亡くなったり怪我した山内衆が誰なのか気になってたけど、ええええええって感じだった。狂ったような雪哉が辛すぎた。それなのにそのあとは恐ろしく冷酷になってしまって。。。雪哉の良心も茂丸とともに焼けてしまったのかと。。最後に姫宮と会って泣けてよかった。やっと雪哉の時間が動き出した。幸せになってほしいけど、どんどん感情がなくなって行く雪哉と、対比するように自我が芽生えて感情が豊かになっていく若宮。
滅んでいくことを悪いことじゃないという浜木綿と、女は子供を産むだけじゃないという真赭の薄の現代的な考えが今後の山内を救ってくれるといいなー。
第二部も早く読もう。
Posted by ブクログ
八咫烏シリーズ第6作目にして、前作『玉依姫』と同時間軸の八咫烏視点の物語。
今回も大天狗が登場しますが、大天狗から得られる山内存続のための認識というものが、前作に引き続きて語られて、2作を読むことで濃く感じます。
なんか、小説やゲームに転生する話とかで、
転生した先の人たちが
「私たちは小説の中の登場人物で、全てはシナリオの通りに動いているのか⁈」
的などうにもならない愕然としたような気持ちになる、
みたいな『山内』『人ならざるもの』の存在ね。
大天狗が認識していること、それを若宮たちが知ることが「私たちは小説の中の登場人物⁈」みたいな雰囲気があります。
そんな転生で小説の中の登場人物だと判明した場合の、登場人物や転生した主人公は
「それでも自分の意思を持って生きているという事実はある」
とするわけですが、“意思”の強さや、“実際にその立場でないと分からない”ことというのは非常に重要な視点である。
『弥栄の烏』では、そんな1人1人の“意思”と、行うべき“役割”が浮き彫りになったように思います。
前作を読んでいて1番気になったのは、
志帆が逃げ出した時に犠牲になった山内衆のこと。
若君のすぐ側に居た山内衆が犠牲になった
から、『空棺の烏』までに親しんだ誰かが犠牲になっただろうとは覚悟していたけれど…誰かが判明して大号泣。
そしてその事件があって、
上記した“意思”からの選択や、自分の“気持ち”と“役割”を考えて行動することというのが、今作の主軸になっていると思います。
登場人物がこれまで以上に、人間的感情を持って行動しているようで、そこもまた登場人物の魅力を増し、物語の魅力を増す部分なのですが、
これまで役目をよくわかって行動していたなぁと感じる「浜木綿」と「真赭の薄」の人間的感情部分が
山神という圧倒的な存在が現れたことで晒されていて、非常に良いのです。
前作の『玉依姫』にてゴクである志帆の世話係になった“ますほ”(真赭の薄)に、「どうして真赭の薄が?」と違和感を覚えたのですが、
今作で世話係になったいきさつが書かれています。
そしてそこには、真赭の薄の“意思”と“選択”が深く関わってきます。
“山内”という世界は、人間の世界の「時代」から取り残されて、今後はその「時代」に沿っていかなければ滅亡してしまうと、前作まででも語られていた通り、
山内は昔の日本(天皇がいて、殿様がいて、身分制度があってというような)の価値観で作られています。
浜木綿や真赭の薄は女性として、女性の役割だけ望まれて生きているわけですが、
今作での“意思”と“選択”において、
人間世界の「時代」に追いつくための第一歩になる、男女平等であったり・女性の立場に関するものも感じられるところです。
さてこの“意思”で厄介なのが若宮。
真の金烏の秘密として、若宮には感情がないと以前の巻で判明しています。
けれど本当に感情がないのかという疑問も同時にあるという含みがありました。
若宮は「(八咫烏を思って)こうしたい」という意思がありながら、「こうするのがベストだ」という理性もありながら、真の金烏としてそれが通せないという葛藤も同時にあります。
意思がありながらも、自ら“選択できない”という苦しさも、描かれます。
↓ネタバレになります↓
若宮は“選択できない”苦しさがありましたが、
今作にて、歴代金烏・宗家・八咫烏たちが“選択した”結果、
猿たちが“選択できない”苦しさに置かれることになり、猿と八咫烏の戦いになったと判明します。
ここでまた苦しいのが、過去の八咫烏のその全ての選択が、真の金烏である若宮の選択だったと語られることです。
これで第一シリーズが完結したのですが、
八咫烏を中心として読んで、想像してきたこととは、全然違う物語りの終着でした。
Posted by ブクログ
「烏に単は似合わない」と「烏は主を選ばない」が対になっているのと同じように、この作品は「玉依姫」の裏側の作品です。
玉依姫の作中、山神によって大怪我をする烏は明留かと思いきや…
今後の山内が非常に気になります。
Posted by ブクログ
第一部、完結。にしては、パンチが足りなかったか……?特にラスト、雪哉の匂わせ?が強すぎて、受け取りづらいところがあったように感じる。
個人的には、重篤の澄尾がますほを見て「手を……」というシーンが刺さった。刺さりまくった。推し。
無意識に、無自覚に、すっとまっすぐな想いを瞳にのせていたので射抜かれました。ずるいですね、アレ。でもすきだな。
Posted by ブクログ
前巻「玉依姫」の対になる内容で、八咫烏側からの視点で物語が進む。前巻では金烏がいつもの金烏らしくないという印象だったが、いろいろ迷い悩んでいたのね。そして気になっていた山神の雷で死んでしまった烏はまさかの・・・。そして重傷者は明留かと思っていたが・・・そして物語は烏とお猿との最終戦争。お猿たちは狡猾でスパイなんかも送り込んでいたけど意外と単純なところもあり、参謀となった雪哉の作戦で殲滅されてしまった。全く容赦がなく、全体的にシリアスな展開が続きました。だけど、今回も大変楽しませてもらいました。
Posted by ブクログ
薄々そうじゃないかと予想はしていたけど、『玉依姫』の対になる話でした。
ひたすらに辛い…。『玉依姫』のエピソードの裏で八咫烏たちがどのように思案し、対策を練り、そしてあの悲しい出来事が……。
冒頭、すっかり頼もしく成長した雪哉や、思いがけないラブの予感にまだ気持ちは落ち着いていました。(むしろやや浮足立ってた)
ところがどっこい。
突如として『空棺の烏』でも予告されていた大地震が山内に発生。みるみるうちに山内に甚大な被害が。
きっかけは山神がゴクを喰べたこと。
ここからは『玉依姫』と同様の時間軸で物語は進行していく。目を背けたい事実が刻々と迫りつつ。
そして起こってしまう悲劇。
茂丸嘘でしょ……一番信じたくない予感が当たってしまい、雪哉といっしょに信じたくないと何回も文面を読み返しました。
そして、一命は取り留めるも重症を負った八咫烏、澄尾だったんですね…片腕片足を切り落とすシーンは武人としてもうどうあっても元には戻れなく、本当に辛かった。
ここで我々の気持ちを代弁するかのごとく、まるで主人公のように活躍してくれるのが真赭の薄。
彼女の成長が素晴らしい。『単』時から信念の強さや正義感、思いやりの心は見せていたが、貴族のお姫さま然とした考え方は拭いきれず…それはやはり本編でも指摘されてしまう。それでも山内を、八咫烏を想う強い信念がどんどんと彼女を変えていく描写は読んでいるこちらも同時に勇気を与えられているかのごとく、この作品における大切な心の支えとなりました。
それに相対するかのように読み手をどんどんと不安に陥れる雪哉…。茂丸が亡くなって以降、細い一本の糸だけが辛うじて雪哉を正しい道に留めているかのようで、いつその糸が切れてもおかしくないような状況にも関わらず、参謀としての手腕をこれでもかと発揮していく雪哉。
多分、茂丸がいたら「お前はお前の幸せを選んでいいんだぞ」と言ってくれていたような気がする(泣)
金烏を、山内を守ると明言しているその裏に大きな私怨が見て取れたのは他のキャラクターも同様だったのか…。
そして今作なによりも重要だったのが猿と烏の過去の因縁。
『玉依姫』から今作のラストまでずっと得体のしれない不気味さを放っていた大猿がなにを思い、なにを願ってきたか、純粋とまで思えるその狂気とラストは顔をしかめずにはいられなかった。
ここで一旦第一章は終了。
山内にはいっときの平和と、雪哉に一縷の希望となりそうな姫宮の誕生。今後山内と金烏、雪哉たちがどのような先へ向かっていくのか怖くもありまだまだ楽しみです。
とりあえず第二章に移る前に外伝を読んで山神のごとく荒ぶった心を静めようと思います(笑)
Posted by ブクログ
前巻の『玉依姫』とあわせて、第一部完結編になっている作品。
ただ、烏と猿、人間たちそれぞれの世界があいまみえる大きな着想に対して、物語の終着点が今ひとつ落ち着かない。第二部を想定した宿題を置いていったということ?
個人的には、真赭の薄の活躍がうれしかった。
Posted by ブクログ
前の巻『玉依姫』の対の巻といえると思います。『玉依姫』が人間側からみた物語で、今巻は八咫烏、山内側からみた話です。
山神の怒りをかって殺されたのは茂丸でした。雪哉のショックたるや、絶句…。
雪哉にとって茂丸を亡くした影響は大きいでしょうね。
ラストでようやく泣けた雪哉にこちらまで泣きそうになりました。
匿名
「玉依姫」の烏視点だが、1巻に対しての2巻と違って展開が同じため、あまり読みごたえがなかった。
ただ、最終章は「玉依姫」の後の話なので、山内の成り立ちが明らかになったりと面白かった
烏側が勝手につれてきた神様を途中で放棄するって、それは勝手が過ぎますよ前回の金烏さん。。。
Posted by ブクログ
八咫烏シリーズ6作目は5作目の「玉依姫」の視点を変えた対の物語。
六章からなる本作、四章までは前作の玉依姫と全く同じ内容の話を視点を変えただけで、さすがに結末の分かっている同じ内容の本を読むのはドキドキ感がまるでなかった。
残り二章はそれなりに楽しめたが玉依姫と本作両方出す必要ってあったのか?
人間、山神、烏それぞれの目線で描きたかったのだろうがそれは欲張りってもんじゃないかな。
一冊で書ききれない心情など作者の気持ちはわかるがタネのわかってるマジックを見せられる読者はたまったもんじゃない。
2冊をページ増やしてでも1冊にまとめてたらものすごく面白い本だったと思う。