新型コロナウィルスの感染拡大で、改めて注目された本作。
自衛隊演習の爆音で主人公の女性が目を覚ます1ページ目からしばらく彼女の日常が描写され、彼女が横走中央病院に勤める医師であること、その横走中央病院があるS県横走市は富士山麓に位置し、冒頭の演習が行われた自衛隊の駐屯地と病院とは近いことが示されます。そして、駐屯地に所属する隊員と思われる男性が吐血して病院の敷地内で倒れているのを発見されるところから、怒涛のようにストーリーが展開していくのですが、まるで新型コロナウィルスのような感染症が日本でも猛威を振るうことを想定していたかのように、どこかで最近見たような描写が次々と現れ、その合間合間にふとした日常生活の描写が挟まれることでかえってリアルさが増して、正直に言うと気が滅入るところもあるかもしれません。
情報統制、緊急事態宣言、都市封鎖、感染者や感染者が多い地域に対する差別や誹謗中傷などはまるで予言の書のようにも感じられますが、改めて読み直してみると、人間の本質はいつまで経っても変わらないということなのかもしれないと思わされたりもします。
タイトルにある「リウー」は、本作と同様にパンデミックを描いたアルベール・カミュの代表作『ペスト』の中で病と格闘する医師の名です。私たちは果たして、リウーのように、そして主人公のように振る舞うことができるのでしょうか。
本作は全3巻ですので、一気読みもできると思います。未読の方はぜひ読んで、いろいろと考えてみてください。テレビドラマ化もされた同じ作者の作品『インハンド』も、非常におもしろい医療マンガですので、あわせておすすめします。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ 2017年11月07日
【もし本当にアウトブレイクが起こったら…】
リアルじゃないけど現実に起こったらと考えると、今が本当に幸せなんだなと感じます。
「ペスト」と言うあまり馴染みの無い病原菌。それが「サルモネラ菌」と一緒に人から人へ観戦を続け、1日~2日で人を死に追いやる。
この横走地域に対する反応、対応が非情に描かれ...続きを読むていました。
政府は隔離して、外部とは接触させない
他の地域の人間は、その地域の人間を恐れ、そこの出身者と言うだけで病人扱い。
悲しくはなるけど、ある意味リアルなのかな。
人が次々と死んでいく恐怖。現実には今だペスト菌は存在するものの、感染してない今の世界はある意味幸せなんだと思いました。
カルロスが良いアクセントになっていて
暗い雰囲気を明るくしてくれてた存在だったのに
まさか脱柵、脱走を手助けしてる人間だったとは…
続きが非常に楽しみです。
絵に少しクセがありますが、それだけで読まないってのは勿体ない作品です
連載当初はスルーしていた作品なのですが、掲載終了が近づくにしたがってその作品世界にグイグイ引き込まれて行きました。
ありふれた日常、退屈な毎日。
それがある日ほんの小さなきっかけでどんどん壊れてゆきます。
次第に広がってゆく恐怖と絶望。
その中で運命を受け入れる者。使命感を持って抗う者。
...続きを読むもうラストは何度読み返してもたまりません。
昨今の景気浮揚策の切り札として盛んに喧伝されているインバウンドの影にある
かつてないパンデミック現象。
本当にそれでいいのかニッポン!
でもねこれ読んでまた人が好きになりましたよ。
タイトルの「リウーを待ちながら」ですが、おそらくサミュエル・ベケットの戯曲「ゴドーを待ちながら」から来てるんだろうなぁ。
文学の授業で取り上げられたカミュ(最初は昔ハマったカフカかと思ったけど、キーワードとなっているカミュのこの作品はカフカの「審判」に影響を受けたとされるから納得かも)が作品の重要なキーワードとなっていてまた感動。
(おそらく「リウー」とは、カミュの作品に出てくる医師ベルナールからだと思います。)
PS 最初のレビューから2年懸念されたパンデミックが現実の世界になってしまいました。改めて本作品を読み、そしてカミュの「ペスト」を読みました。
最近では少し緊張感が薄れてきた感がありますが、たくさんの方々がお亡くなりになり未だワクチンの開発がなされない世界で、愛する人のため何ができるかを深く考える毎日です。
Posted by ブクログ 2022年08月18日
未曾有のパンデミックで、これがコロナ禍よりも数年前に描かれているところがすごい。
こんなことが起きるなんて思ってなかったけれど、この物語と同じような状況に陥り、いまは致死率は下がったものの、コロナは継続中、、、。
簡単に平凡な日常は崩れるんだな、と物語と現実共に感じた。
医療従事者であるため、他人事...続きを読むに思えず、感情移入してしまい、メンタルバランスが安定している時にまた再読したい作品。
(再読での感想)
コロナの前に発売されていたことが驚き。
アウトブレイクは、映画や漫画で良く題材にされて描かれているけど、
その時、人としてどう生きるのか。
今だからこそ、読みたい作品。
コロナ禍の時節がら非常にタイムリーな作品ではある。しかし、レベルの高いストーリー内容は、時節を超えて人の心の奥底へ響く。パニック 危機になったときこそ、その人の実力、本性が現れるということをしみじみ感じた。絵柄はさほどうまいというわけではないが、極端にグロテスクにならず、読みやすい。
Posted by ブクログ 2021年06月27日
いわゆる「医師マンガもの」(スーパー技能もった医師が難病を治癒していく)とは隔絶して異なるアウトブレイクマンガ。
富士山麓の街で、いきなり自衛隊が登場するが、荒唐無稽なパターンに陥ることなく、リアリティを追求した描写がどんどん進む。
病原菌は肺ペスト。
致死率高く、伝染性も大きい難敵だ。
ペストとい...続きを読むえば、カミュの名作『ペスト』。
この作品も『ペスト』へのオマージュがたくさんでてくる。
そもそもタイトルからして『ペスト』の主人公からとっている。
しかしカミュの時代には無かった知見が現代はあるはず。
そこで感染症専門医が登場する。
彼は統計と調査データを駆使し、地図上に感染者をマッピングして感染経路を確定し、対策をとっていく。
その彼らの前に、抗生物質の効かない変異ペスト菌が登場する。
いやいや、
架空のこととは、とても思えない。
新型コロナのパンデミック禍にある現在、
ぜひ読まれるべきマンガ。
三年前に出版された本。ある日突然致死率の高い肺ペストが日本に持ち込まれた。空気感染し、次々と人が死んでいく。肺ペスト菌とコロナウイルスの違いはあるが、本の中で起こっていることは今世界中で起こっていることに類似していて興味深い。
Posted by ブクログ 2020年06月17日
自衛隊の演習場を抱える街で、一人の自衛官が病院の前で倒れたことから始まる感染症の恐ろしさを描いた作品。1巻では、最悪の方向へじわじわと事態が進んでいく。感染力、致死率の高い感染症ということが、徐々に判明していく。現実には起きてほしくない展開に、目が離せない。
Posted by ブクログ 2020年06月15日
イブニング連載を読んでいた。
新型コロナウイルス感染症の流行が始まったころ、この作品を思い出した。
あらゆる符丁が予言のように描かれている。
カミュのペストも併せて読みたい。
Posted by ブクログ 2018年06月19日
あらゆる天災に対して無力かもしれないが、事が起こってからでは遅いのかもしれないが、それでも何かせずにいられない、絶望に立ち止まってるだけでは嫌だ、と心を奮い立たせる事が出来るのも人間なんだなぁ…辛い苦しいと言いながらも生きるのが人間かも。
パンデミックもの。
自衛隊が舞台なので統制は取れているんだよなー。
病院医師・玉木、自衛隊病院医官・駒野、疫病研究所・原神という立場の違う3人とペストとの戦いが始まる。
はじめてパンデミックを読むので、全3巻の気楽さから購入
2巻の途中あたりから、
うーん?と思うことが増えはじめ
最終的には、プロット組み直してやりなおしてほしいなぁ〜
になった。
と、思ったら
パンデミックもので、同じ作者が描いている漫画が出ているようだ
そちらを読むかはまだ決...続きを読むめていないけれども、
どちらも未読の方の参考になれば。
全体的にはとても参考になることが多く
コロナ禍で人々がどのように動くのか、動くと良いのか等、思ってもなかった面もあり、読んでよかったなぁと思いました。
くどいですが、全3巻なのでサクッと読める上、内容が薄過ぎることもないという印象です。
最初はドラマみたいで面白そうと期待したんですが、どんどんその気持ちは萎えていきました。とにかくテンポが悪すぎる。ある意味で日本のドラマの悪いところに似てる。