【感想・ネタバレ】リウーを待ちながら(2)のレビュー

新型コロナウィルスの感染拡大で、改めて注目された本作。
自衛隊演習の爆音で主人公の女性が目を覚ます1ページ目からしばらく彼女の日常が描写され、彼女が横走中央病院に勤める医師であること、その横走中央病院があるS県横走市は富士山麓に位置し、冒頭の演習が行われた自衛隊の駐屯地と病院とは近いことが示されます。そして、駐屯地に所属する隊員と思われる男性が吐血して病院の敷地内で倒れているのを発見されるところから、怒涛のようにストーリーが展開していくのですが、まるで新型コロナウィルスのような感染症が日本でも猛威を振るうことを想定していたかのように、どこかで最近見たような描写が次々と現れ、その合間合間にふとした日常生活の描写が挟まれることでかえってリアルさが増して、正直に言うと気が滅入るところもあるかもしれません。
情報統制、緊急事態宣言、都市封鎖、感染者や感染者が多い地域に対する差別や誹謗中傷などはまるで予言の書のようにも感じられますが、改めて読み直してみると、人間の本質はいつまで経っても変わらないということなのかもしれないと思わされたりもします。
タイトルにある「リウー」は、本作と同様にパンデミックを描いたアルベール・カミュの代表作『ペスト』の中で病と格闘する医師の名です。私たちは果たして、リウーのように、そして主人公のように振る舞うことができるのでしょうか。
本作は全3巻ですので、一気読みもできると思います。未読の方はぜひ読んで、いろいろと考えてみてください。テレビドラマ化もされた同じ作者の作品『インハンド』も、非常におもしろい医療マンガですので、あわせておすすめします。

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ネタバレ

2020年06月29日

発売当初は話題に上らなかったのですが(私は大好きだったのですが)昨今の情勢下の中、書籍版の購入が困難になってしまいました。
事態はさらに深刻となり、タルバガン由来のペストはどんどん拡大し人々を窮地に陥れてゆきます。
そして疫研原神の画策によりついに緊急事態宣言が......。
絶望の中で必死に...続きを読むもがく人々を容赦なく疫病は襲い、さらに同じ人間による攻撃が始まってしまいます。
しかし悲しい事にここに描かれた世界観は私たちが生きる現代にも実際に起こってしまいました。

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Posted by ブクログ 2020年06月17日

ついに緊急事態宣言が発令され、都市封鎖された街。絶望的な状況の中、なんとか持ちこたえ、懸命に治療を続ける医療従事者たち。閉じ込められると、入りたくなったり出たくなったりする人たちが出てくる。人の行動を制することはとてもむずかしい。こうした、ほんの一時のほころびで封じ込めが無に帰することだってあるのだ...続きを読むろう。また、風評被害にあう人々も描かれる。同じ街出身であるだけで受けるひどい仕打ち。人間の恐ろしい一面も描いている。

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Posted by ブクログ 2018年03月30日

アウトブレイクものが何故か好きなんだよね…よくよく考えると、勃発し、死者が発生し、事件が発覚し、原因を突き止めようとする専門家が現れ、危機に必死で抗いながらも失われる命を留める事が出来ず、だが最後には原因を究明し、沈静するのを見届ける…ミステリの仕組に似てるからだと気付いた。
探偵(玉木)が居て、専...続きを読む門知識(原神)を持った助手が居て、情報屋(カルロ)が居て、と言う具合に、構成がミステリ小説に似ていて、3巻完結漫画として丁寧に描かれている。凄く好きな作品。

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