【感想・ネタバレ】終物語 (上)のレビュー

強烈な個性を持つ登場人物たち、ドライブ感あふれる独特の文章、先の読めないストーリー展開、そして唯一無二の世界観。人気ライトノベル作家・西尾維新の魅力が全て詰まっているのが、本作「物語シリーズ」です。

ツンデレというよりツンドラって感じの毒舌ヒロイン・戦場ヶ原ひたぎをはじめとした、怪異と出会った少女たちと巻き込まれ型主人公・阿良々木暦が繰り広げる、不可解で不条理な物語群。独特な新房演出と物語世界がハマりすぎて、7シリーズ+2作の劇場版が制作されたアニメ版から入った人も多いのでは?(阿良々木くんのセリフが全てCV神谷浩史で再現される〜)
1冊あたりが分厚いうえに巻数も多く手を出しにくいイメージの西尾維新作品ですが、本シリーズは1話あたりがサクッと読みやすいボリュームになっているので、入門編にもぴったり。というか、サクサク読みやすすぎ、面白すぎで日常生活に支障をきたす……!

西尾作品らしいキャラクターのポップな破天荒さで読ませ、「人間の弱さが怪異を呼ぶ」というテーマで沼に引きずり込む――清く正しく読書を楽しんでいたはずなのに、いつの間にかぬかるみに足を取られたように心を囚われてしまっているだと……?
自分で自分がコントロールできなくなるほどに、猛烈に何かにハマりたい。そんな願望を持っている人なら読まない手はありません。めくるめく西尾維新ワールドに「蕩れ」ちゃってください!

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ネタバレ

阿良々木暦の高校三年の10月の物語

第一話「おうぎフォーミュラ」

阿良々木暦は神原駿河から、一年生女子
忍野扇(忍野メメは扇の叔父)を紹介される。
ある日、扇が校舎に謎の部屋を見つけたと言い、阿良々木と共に調査することに。
放課後、2人がその部屋に入ると、窓も扉も一切開かなくなり、完全に閉じ込められてしまう。
閉じ込められた原因を探る扇と阿良々木。
そこで阿良々木は昔の事件を思い出す。
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阿良々木が高校1年の時、数学の試験で不正があり、
その犯人を見つける学級裁判があった。
不正が発覚したのは、試験前に学校で予習してたグループが
勉強してた内容と試験問題がほぼ同じだったから。
予習グループの誰かが試験問題を盗んだのでは?
そう思い学級裁判を開いたのは、学級委員長であり、
予習グループの内の1人でもあった女子
老倉育(おいくらそだち)だった。
老倉は阿良々木のことを何故か一方的に嫌っていた。

そんな老倉は、犯人が見つかるまで誰も教室から出さないと宣言。
クラスメイトで話し合うも犯人は見つからず。
ついに老倉は『多数決』で犯人を決めようと言い出す!
そして多数決で出た結論は
老倉だった。
それ以降、老倉は登校拒否になった。
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その事件を思い出した阿良々木。
結局当時はうやむやのまま犯人は見つかっていなかった。
扇はその事件の犯人を指摘すれば教室から出れるのでは?と提案。
実は阿良々木は当時から犯人を知っていた。
でも阿良々木は犯人を指摘しなかった。
犯人は試験問題を作った『担任の先生』だったから。
学級裁判に参加していた担任。
予習グループの勉強を問題の参考にしたと告白しない担任。。
さらには多数決で老倉に対して手を挙げた担任。。。

阿良々木が犯人を指摘したことで教室の呪縛は解け
無事謎の部屋から出られたのだった。


第二話「そだちリドル」

謎の部屋から脱出後、現世の教室に戻ると、
2年前の事件以降登校拒否してた老倉育が登校していた。
老倉はちゃんと在籍していて阿良々木と同じクラスだった。
高1の事件のときの担任が産休でいないから登校してきたという。
そして阿良々木と出会うなり恨み辛みで罵る老倉。
そこにひたぎが現れ修羅場と化す。
老倉はひたぎにビンタ
ひたぎは老倉にグーパンチ
両者ダウンしその場はお開きとなる。

その日の放課後
阿良々木は老倉との過去を思い出すため再び扇と行動を共にする。
そして阿良々木が中学1年のとき苦手だった数学を
老倉から個人的に教えてもらっていたことを思い出す。
当時老倉は、数学を教えるけど見返りはいらないと言っていて、
阿良々木は毎日数学を老倉に習っていた。
そして数学が好きになった頃、老倉はいなくなった。

でも老倉はその時本当は、阿良々木に助けて欲しかったのだ。
老倉は父親からDVを受けていて、両親が警察官の阿良々木に
察してもらって助けてもらおうとしてたけど、
結局阿良々木は最後まで気付かなかったのだ。

中1と高1の事件で、老倉は阿良々木のことが嫌いになったのだ。


第三話「そだちロスト」

阿良々木は中1と高1のときの謝罪をしようと
羽川翼と共に老倉をお見舞いすることに。
老倉宅を訪ねると、老倉育1人だけだった。
阿良々木は過去のことを謝罪。老倉から今に至る経緯を聞く。

中1に阿良々木から助けてもらえなかった後、
両親はすぐに離婚し、母親と引越し2人暮らしを始める。
父からのDVはなくなったが、母は部屋に引きこもり、
老倉は母の世話をすることになる。
学業と母の世話の両立で家はゴミ屋敷になり、
成績も悪くなり、そして中3の終わり頃、
置手紙など何もなく突如母親がいなくなった。
しかも母親が引きこもっていた部屋は密室だったと。

老倉はゴミ屋敷を処分し、地元に帰り1人暮らしを始め
そして、高1に阿良々木と再開したのだった。

そこで老倉が阿良々木と羽川に
母親を見つけてくれたら学校に行く。と言う。

一旦老倉の家を出た阿良々木と羽川が、
密室から突如いなくなった母親の行方を考えていたとき、
またもや扇が登場。
扇はその謎を解明していて、その後羽川も解明。
2人のヒント合戦により阿良々木も解明する。
老倉の母親は
どこにも行っていないし、部屋から出てもいない。
老倉は約2年間、餓死した母の世話をしていたのだ。
死体が腐り朽ち果てて消えてなくなるまで・・・
ゴミ屋敷の処分のときにも気付かないほどの母を・・・


阿良々木は老倉に真相を報告。老倉はあっさりと受け取った。

そして役場からの要請で老倉は引越しすることになり、
もう学校で会うことはなくなった。


<?>
忍野扇がすべての謎解きに参加し、阿良々木の過去や両親のこととか色々なことを知りすぎているのは何故か?

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2014年06月07日

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ネタバレ

評価:☆4.5


阿良々木くんと扇ちゃんがあるはずのない教室に閉じ込めらるところから始まり、老倉育というキャラと阿良々木くんとの深い深い因縁が徐々に明らかとなる。
この老倉の過去が壮絶過ぎて読んでて辛かった・・・忘れてる阿良々木くんにも全く非がないわけではないが、この物語は誰が悪いというわけでもないんだよな。それ故にやりきれない。
最後に書かれていた言葉は「私はお前のことが嫌い」的な文なのかな。

ミステリーちっくな巻で楽しめましたが、やはり物語シリーズとしては怪異が絡んできて欲しかったかなというところ。

にしても扇ちゃんの不気味さが半端じゃないな。
阿良々木くんを誘導していたように思えるが、真意は一体どこにあるのやら・・・

「幸せを過大評価するな――あらゆる幸せは、お前にとってちょうどいいんだ」

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2015年08月22日

Posted by ブクログ

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最後に上巻。突っ込みどころいっぱいだった。。。
「忘れていた」ってことで、はじめ(オチ?)られていても、「そんなことあるか~」って。高校三年生にとって、高一、中一、小学生のことはある程度覚えてるよね。
最後の謎もちょっと。。。普通周りの人、腐乱臭に気づくと思うし。
そもそも、担任もそんな会議やらせんと思うよ。それも進学校の。
で、転校していくのもちょっと。。。
扇ちゃんの巻だよね。
でもまあ、いろんな要素楽しめたから、4つけてしまった。

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2015年04月05日

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忍野メメの姪『扇』との出逢いから広がるストーリー。
サブタイは、扇フォーミュラ、そだちリドル、そだちロストと対象者は老倉育。

学級裁判の犯人探し、数学に偏重した訳、母親失踪の謎。
怪異が絡まりようもなくミステリになってはいるが面白い。
起きた過去の因果を解明するだけだが、最後がリドルになっていたから『そだちリドル』が適しているのかもしれない。

『人間強度が下がるから』の因果も掘り下げられる。
忘却と謎を主題にした話は面白かった。

NHKのアブダクション話思い出す。
自己暗示から入る偽の記憶を真実の記憶としてしまう物語を。
記憶なんて捏造されることはしばしばあるものだが、聞かされる方にとって矛盾を聞いた日には堪らないこともある。
偽の記憶というより嘘だと思わざるを得ない事柄。

過去の話というのは過大に話がちだから気を付けてはいるが、オレ自身の側面でしか捉えていない真実もある。

この話でもあった。
過去への責任に囚われ続けることで未来に得られるものはあるかと。
向き合ってこそ未来が拓かれると。

森見登美彦を引用すれば...
『ただでさえ三つ子の魂百までと言うのに、当年とって二十と一つ、やがてこの世に生をうけて四半世紀になんなんとする立派な青年が、いまさら己の人格を変貌させようとむくつけき努力を重ねたところで何となろう。
すでにこちこちになって虚空に屹立している人格を無理にねじ曲げようとすれば、ぼっぎり折れるのが関の山だ。』

粉々に折れ曲がってるけどw
新しい人格育てるしかないのかな…ペルソナ。

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2015年03月14日

Posted by ブクログ

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おうぎフォーミュラ、いよいよ忍野扇が紐解かれていく物語だ!と思って読んでみたら、なんとなんと阿良々木くんの過去を読み解く物語?
そこからまた登場人物が増えていき、そだちリドル、そだちロストと続きますが、どちらも阿良々木くんにとって大事な過去を掘り下げていく内容でした。
表紙が扇ちゃんなのに。
たいてい、物語シリーズでは、表紙に描かれている子の何らかが明らかになるのだけれど、今回もまだ扇ちゃんは闇の中。羽川の知るところになったのは1歩前進なんでしょうか、それとも。
終物語もあと2冊、早速続きを読みます!

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2024年03月03日

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扇ちゃんに導かれて、暦が過去を思い出す話。暦の数学好きのルーツ、そだちの態度の理由、暦の生き方。今まで語られなかったことを丁寧に拾い上げてくれた。

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2024年02月06日

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扇ちゃんによる暦の過去にまつわる謎解きミステリー。

アニメを見ていたから正解を知っての読みとなったけど、
知らなかったら一応推理することも出来る内容でした。
いやあ、分からないと思うけどね。

扇ちゃんの正体は細かく覚えてないので読んでくのが楽しみ。
不気味ですねえ。

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2020年11月04日

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今回は、老倉育と阿良々木君の過去の話がメイン。特に怪異がらみの話はなく、(忍野扇が怪異っぽいような気もするが。)阿良々木君がどうして一時期友達を作ろうとしなかったのかという理由が明らかになる。阿良々木君ってまあ忘れっぽいというかある意味薄情だなと読んでいて感じる。今回の感想はそのぐらい。続きも買ってあるのであと3冊読んでいきたいと思う。

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2016年04月08日

Posted by ブクログ

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シリーズ15冊目。

暦の過去に絡んだ育との物語が三話で構成されている。
各話ミステリー仕立てになっているが、一話は納得、二話は?、三話の蒸発は納得できず。
普通骨まで形状がわからなくなるほどではなくて残ると思います。
物語的にはキスショットと出会う前の話なので外伝的ですが、扇ちゃんと現在を絡ませて真の終物語の序章てきな巻になっているのではないでしょうか。
で、扇ちゃんは何者で、どのように物語シリーズを収束させるのでしょうか、期待です。

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2016年01月06日

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