あらすじ
若手作家エリオット・クレイスが書き継いだ〈アティカス・ピュント〉シリーズの新作ミステリ『ピュント最後の事件』。編集者のわたし、スーザン・ライランドは、登場人物とエリオットやその家族との間に多くの類似点があるのを知る。エリオットは途中まで書かれたこの新作で何を企んでいるのか? 世界的な児童文学作家だった、彼の祖母の死にも何かがあったのだろうか? 調べを進めていると、なんとエリオットが……。『カササギ殺人事件』『ヨルガオ殺人事件』に並び立つ、犯人当てミステリの傑作登場!/解説=吉野仁
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Posted by ブクログ
ヨルガオのラストはあんな風になって今後の続編は歴史を遡るぐらいかなと思ったけど、正調の続編が書かれてほんと驚いた。このシリーズの特徴は、入れ子構造を巧く活かし、作中作の殺人事件と作品上の現実世界の事件が有機的に絡まりあうところだけど、今回はさらに一体化が進み、関連表の記載で作品の緻密な設計を感じ感動した。一体化したラストのカタルシスは素晴らしくすごく満足した。次回作も出るとのことで、ピュントがどうなるかだけどまずは期待が高まっている。
Posted by ブクログ
「ちっちゃな家族」心温まる大人気のベストセラー児童書シリーズ。
その著者が自分の家族にはとても酷い仕打ちをしていた事実。
様々な辛さを抱えていたエリオットの死は切なかったし、今作でピュントの事件が最後となっているのもやっぱり切ない。
ピュントとヴォルテールの間に生まれた絆が最高に良かったなー。
アンドレアスとの別れはちょっと悲しかったけどブレイク二ーとの出会いはスーザンにとって必要だったと思う。
やっぱりクレタ島でのホテル経営より編集者のスーザンの方が何倍も輝いてる✨
続編があるみたいで楽しみ⸜(*˙꒳˙*)⸝
Posted by ブクログ
文句なしに面白かった。エリオットの轢き逃げ犯をスーザンになすり付けようとしたのが誰なのかは、すぐにわかったけど、それ以外は当てられなかった。というか、一番の驚きはエリオットが途中で退場して、作中作が終わってない…と絶望したのに、まさか代打の代打が登場したこと!
Posted by ブクログ
下巻もニヤニヤしながら読み終えた。
スーザンの最後の台詞につっこんだ人、
めちゃくちゃいそう。
この複雑なスタイル、多すぎる登場人物、
そんなに何回も騙されませんよ!と用心しつつも、
オセロの盤がきれいにひっくり返されるように見事に騙され苦笑い。
あ、でも
現実世界でスーザンを陥れた人物は
わかりましたよ。
え、みんな気づいてたって?
うーん、自慢にならないか。。
物語の途中、事件が起こり
ああ、もうピュントの続き読めないのかー!
と思った場面で現れた救世主には拍手を送った。
読者を楽しませる術を知ってる
すごい作家さんだ。
Posted by ブクログ
2つの物語の人物比較とモノグラム。
いろいろな思惑が隠されていて、謎解きが楽しく進んだ。
しかし、禍根はここまで残るシリーズならではだ。
スーザンの人間臭さがいい味出してる。
なにより、ハッピーエンドで良かった。
第4弾もあるとのこと。スーザンは幸せなままでいられるのだろうか・・・ちょっと心配。
Posted by ブクログ
エリオットは作品の中に、自分の家族に関する秘密を入れていたのか、ベストセラー作家の祖母の死と重なる内容にしているのか。エリオットの担当編集者のスーザンの身に次々と危険がふりかかる。
そののちはブレイクニー警部がかなり助けになってくれる。そしてこの警部、プロ並みに小説を書くのがうまくて、エリオットの書いた続きを2日で書き上げる。警察の仕事もあるのに早すぎるでしょ!とツッコミたくなるが、そこはまあ良しとしよう。
結局のところ、『なぜ、余命わずかな老婦人を殺そうなどと思うのか』が最大のポイントだった。
Posted by ブクログ
下巻では殺人が発生してからテンポよく展開していき読みやすくとても楽しめた。エリオットが殺されて作中作は完結しないまま進めるのかと思ったら別人が続きを書いたというのも驚き。
ただ、全体としてとても面白かったし、決して本編の展開や結末が面白くなかったわけではないんだけど、自分の中では作中作の面白さが本編を上回ってしまい、その最終章がピークになってしまった。結末の意外性も動機の納得感も作中作の方が好みだった。
エレインのことは察しがついたが、クレイス家の方の犯人は分からなかった。エリオットはなんかかわいそうだなと感じた。猫が傷付くのが辛い。
続編も予定されているみたいなので楽しみ。
Posted by ブクログ
このシリーズ恒例で気分ではなく実際そうなのだけどひと作品なのに2作読んだ気分。上巻も面白かったが下巻からの展開は輪をかけて面白く一気読み。
物語の進行上しかたないとはいえ毎回スーザンは気の毒になと思うばかりである
Posted by ブクログ
マーブル館の殺人
作中作であるアディカス・ピュントの物語と現実に起きているスーザンの事件を同時並列的に体験する作品。過去作においても危ない橋を渡っていたスーザンだが、今回もかなりの危険を迎える。
少なからず、上巻で疑問に思う部分は多く、今回もエリオットとの契約を守る為かなりの危険に進んでいく。性格的な違いはあるかもしれないが、読者として見ていてヒヤヒヤする主人公であり、もしかすると国民性考え方が違う部分があるのかもしれない。ある意味前作で自身を殺害しようとした被害者の妻と改めてコミュニケーションを取ろうとは考えられないし、ましてや収監されているマイケルに会いに行くなど言語道断のような気がする。結局は予想通りにマイケルの妻の逆恨みに遭い、かなり悲惨な状況に追い込まれるわけだが、何とか危機を脱する。これが過去作カササギ事件の時のように若い人たちならわかるのだが、50過ぎた大人がこのような行動に出るのはナンセンスのような気がする。
作品のトリックについては、とても面白いものだった。アディカス・ピュントのシリーズは見事に完結し、とても面白いミステリーだったと思う。
現実世界のミステリーも、予想外の犯人をきちんと表現し、とても面白い内容だった。ただ結末も作中作と同じような真相になっていたら、さらに面白かったのかもしれない。今作はクレイス一族という、強大な影響力を持つ作品を生み出した、女性作家の一族がテーマだが、女性作家含めてろくな人間がおらず、犯人としては最適な一族だった。
ミステリにおいては、1番犯人ではないと思われる人物こそ犯人にしてほしいわけだが、加えて彼ないし、彼女が犯人であることに納得出来る事も重要だと思っている。なので、作中作の様に一族全員が実は結託していた、全員が犯人になったと言う落ちもかなり面白かったのではと感じてしまう。この部分は少し残念だった。
工作の主人公であるスーザンはあまり好きな主人公ではない。過去作の初見時の印象は忘れてしまったが知り合いにいたら、嫌なタイプと思ってしまうだろう。