あらすじ
名探偵アティカス・ピュントのシリーズ最新作『カササギ殺人事件』の原稿を結末部分まで読み進めた編集者のわたしは激怒する。ミステリを読んでいて、こんなに腹立たしいことってある? いったい何が起きているの? 勤務先の《クローヴァーリーフ・ブックス》の上司に連絡がとれずに憤りを募らせるわたしを待っていたのは、予想もしない事態だった――。ミステリ界のトップ・ランナーが贈る、全ミステリファンへの最高のプレゼント。夢中になって読むこと間違いなし、これがミステリの面白さの原点!/解説=川出正樹
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Posted by ブクログ
入れ子式のミステリは何度か読みましたが、こんなに驚いたのは初めてかも。
まず、上巻を読み終えてすぐに下巻を開いたら「あれ?本を間違えた?カバーはカササギ殺人事件の下巻だけど、中身は別の本?」とカバーを外したこと。
そして、解説の川出正樹さんも書いていらっしゃるけれど、当に自分も同じ行動を起こして、作者のしてやったりに上手く嵌められたこと。
次にビックリしたのが、『羅紗の幕が上がるとき』と『死の踊る舞台』を読み比べたとき。
ホロヴィッツのプロ作家と素人の文章の書き分けもさることながら、翻訳の山田蘭さんが素晴らしい。
ドナルドの作品は素人の私が読んでも「読みづらい上に荒いなぁ」と思ったほど。
このまま『羅紗の幕が上がるとき』を読ませてくれよ!と思うだけでなく、アティカス・ピュントシリーズを全部読んでみたいと思いましたもん。
なんでここで聖書のカインが出てくる?と感じた違和感や散りばめられた伏線が回収されていく快感、ここに来てる方たちは皆さん味わったんですよね笑
こりゃ全世界でベストセラーになるわと帯を見て首肯するしかありませんでした。
Posted by ブクログ
ここまで心惹かれて一気に読んだ作品はほかにはないかも…。上下巻というボリュームをあっという間に読んでしまった…。小説の中に小説が入ってるなんて、だれが最初に気付けるだろう…。下巻を60ページほど読み返したこと、全然後悔してない!感想を書いている今も、また上巻を開いてしまいそうな気がしている。
Posted by ブクログ
アティカス・ピュントシリーズ、一作目。
作中作という形式で描かれる斬新な構成。
上巻でアティカス・ピュントの物語にすっかり入り込んだ後、下巻を読み始めて思わずやきもきした人も多いだろう。
オールドミステリーの形式を取るアティカス・ピュントの物語と、それを取り巻くどろどろとした現実の物語。
チャールズが殺人を犯したのは果たしてお金のためだけだったんだろうか?物語を冒涜されることへの怒りだったのでは?
上巻は古典ミステリをゆっくりと楽しみ、下巻に入ってからは目まぐるしいストーリーを楽しむという一作で二度美味しい構成でした。
Posted by ブクログ
さて、下巻を読む段で私は一旦スローダウンしました。
劇中劇の外枠、アティカス・ピュントの最新作を扱う編集者の世界に戻って来ています。
早くアティカス・ピュントの事件の結末が知りたいのにとウズウズしていると、物語の展開は私の思いもよらない方向に展開していきます。
・・・
個人的には、結論はややしりすぼみ的に感じましたが、下巻の展開にはゾクゾクきました。この下巻の展開、まさか上巻と…という、ここですよ、ここ!!!
これは面白い。
・・・
ということで、2019年本屋大賞翻訳小説部門の第一位作品を堪能させて頂きました。
ちなみに、英語のオリジナルですが、分冊されておらず一冊です。翻訳に際して分冊したようですが、非常に良いアイディアであったと思います。
分量だけに限らず、入れ子構造が明示的になりますし、翻訳サイドの工夫を感じます。
推理小説好きは読むべき本ですね。分量的に数日、ひょっとすると一週間弱くらいかかるかもしれませんが、下巻の驚きを是非味わって欲しいなあと。
既読の方、下巻で驚きましたよね? ほかの方の意見も聞いてみたくなります。
Posted by ブクログ
ずっと読みたいと思っていた本。ようやく読めた。
作中作の殺人事件と現実の殺人事件の二重構造になっているのがミソ。上巻の冒頭で作中作であることは分かるが、それがどういう意味を持つのかは下巻でようやく明かされる。
多くのレッドヘリングに惑わされた。脅迫文の宛名に「サー」の尊称がおかしいということに気づけず悔しい。牧師の裸体信仰に気づくのは無理。
Posted by ブクログ
本を開いて登場人物のページを見た瞬間、驚いた。知った名前が全然ない、つまり上巻での登場人物と異なるのだ。本を間違えたと思った次の瞬間、上巻の冒頭に妙な前書きがあったのを思い出した。それを読んだとき、この小説はメタ構造になっているのかと思ってはいたのだが、その後の小説の面白さにすっかり忘れてしまっていた。読み進めるとやはり前書きの筆者が主人公となって、上巻は結末の失われた小説としての小道具となり、新たな殺人事件に挑むこととなる。今までに味わったことのない展開と上巻の物語の結末がおあずけ状態のせいで、暇があれば本を取り、ページをめくってしまう。巻末近くで上巻の真相が語られ、ようやく人心地つく。お腹いっぱい、ごちそうさまでした。上巻を読んで作者のサービス精神に感心したが、まだそれはこのコース料理の折り返し地点であって、下巻でまた前菜からメインまで出されてお腹ははちきれそうである。二つの物語の結末がどちらも後味の悪いものであること(特に下巻の殺人動機である”探偵の名にひそむ忌まわしい真実”が「たいした問題にならなかった」というオチは虚しさを増幅させる)と、下巻の主人公に主人公的な魅力が少ないことが私的な不満点だが、これだけのものを作りあげた作者には驚嘆と称賛を禁じ得ない。
あ
面白かったです。ミステリーがふたつあって倍楽しめた気がします。始まりが不穏だったのでいろいろあったけど主人公の編集者さんがハッピーエンド?でよかったです。
Posted by ブクログ
〇 総合評価 ★★★★☆
〇 サプライズ ★★★☆☆
〇 熱中度 ★★★★☆
〇 インパクト ★★★☆☆
〇 キャラクター★★★★☆
〇 読後感 ★★★☆☆
〇 希少価値 ★☆☆☆☆
作中作『カササギ殺人事件』は、1950年代半ばのイギリスの田舎町を舞台とした本格ミステリ。アガサ・クリスティへのオマージュを感じさせる作風であり、登場人物の多くが何らかの「秘密」を隠し持っているために、真相が隠されるという構成。作中作だけを見ると、ややサプライズ感は薄いが、丁寧に作られた良作。ロバートが14年前に弟であるトムを殺害した事件がベースとなる。メアリが事故死をしたが、彼女が死亡したことで、残した手紙からロバートの秘密がマグナスに知られてしまう。そのため、ロバートがマグナスを殺害する。このシンプルな構成を隠すためにさまざまなミスディレクションが仕掛けられている。ロバートは手紙を探すためにマグナスの屋敷に侵入し、その事実を隠すために銀製品を盗む。その途中で落とした銀のバックルをブレントが拾い、ホワイトヘッドが経営する骨董屋に売る。そのことからピュントは湖に銀製品が沈んでいることを推理する。
クラリッサ・パイは本当はマグナス・パイより先に生まれていたが、エドガー・レナード医師がマグナスの母に脅され、マグナスが先に生まれたという嘘の出生証明書を書いた。このこともミスディレクションとして描かれる。エミリアとアーサーの教会の牧師夫妻はヌーディスト。二人で森で裸でいる写真をメアリに知られてしまう。これもミスディレクションとして描かれている。
最大のミスディレクションはロバートの弟のトムの存在。トムの死の原因がロバートにあり、メアリはロバートがこれ以上犯罪しないように目が届くところに置いていた。ロバートとジョイの結婚に反対したのも、ロバートからジョイの家族を守るため。これをメアリはロバートを溺愛していると誤信させるような書き方がされている。これら多数のミスディレクションと隠された秘密から、シンプルな真相――メアリは事故死、マグナス殺害はロバート――が示される。作中作だけを見ると傑作とまではいえないが、丁寧に書かれた良作。
これを、編集者であるスーザンが『カササギ殺人事件』の結末部分を探しながら、その作者アラン・コンウェイを殺害した犯人を捜すという話が覆う形の構成となる。作中で、『カササギ殺人事件』の登場人物は、スーザンが取り組むアラン殺害事件の関係人物をモデルとしていることが分かる。また、アラン・コンウェイが書いてきたという架空のシリーズ「アティカス・ピュント」シリーズには、さまざまなアナグラムや名前の遊びが隠されていることが分かる。作中作『カササギ殺人事件』の登場人物に被せる形で、現実世界の登場人物が描かれる。
アラン・コンウェイには素人のアイデアを盗んだという疑惑が出てくる。不治の病で、殺害する意味もなさそうだが、殺害されたとすると容疑者は多い。同性愛の恋人であり、アランが数日生き残れば遺産のほとんどを相続できなかったジェイムズ・テイラー(作中作のジェイムズ・フレイザーのモデル)、アランの姉クレア・ジェンキンズ(クラリッサ・パイのモデル)、ピュントシリーズの映像化を計画しアランのわがままに振り回されていたレドモンド、アランから学生時代にひどい目に遭わされたロブスン牧師(オズボーン牧師はそのアナグラム)などが挙げられる。
現実世界の主人公=探偵役のスーザンは、恋人アンドレアスから結婚を迫られ、仕事を辞めてほしいと言われる。作中作『カササギ殺人事件』の結末部分の所在を探しながら、駅で偶然ジェマイマと出会うことなどからチャールズが犯人という真相に気付く。
現実世界の真犯人もそこまでサプライズはない。アランを恨む人間ばかりで、誰が犯人でもおかしくない構成。それだけに誰が犯人でもそこまでの意外性はない。チャールズが犯人でも大きな驚きはなかった。彼の動機――アティカス・ピュントは "a stupid cunt" という英語圏で非常に下品な言葉のアナグラムであり、アランがそれをマスコミにばらしてシリーズを潰そうとしたことを阻止するため――には説得力がない。そんなことで本当に売れなくなるとは思えない。この点は英語圏との文化差かもしれない。
二つのミステリを読むような構成のため、下巻の導入部分ではやや没入感が削がれる。この点は熱中度を割引せざるを得ない。下巻は下巻で面白いが、作中作の真犯人が下巻のラストまで分からないのはやや引っ張りすぎか。それでも作中作は良作であり、現実世界との絡みも良い。総合的に見ると、現実世界も作中作も丁寧に描かれている。読む前の期待が高すぎた分、損したような気持ちもある。欠点はフェアすぎて意外性が少ないこと(期待値が高すぎたのもある)と、アラン殺害の動機の弱さ。丁寧な作品だが、強烈なインパクトには欠ける。★4の評価で。
〇 メモ
★ 全体
上巻は作中作『カササギ殺人事件』についての描写。最後のセリフは「(マシュー・ブラキストンを示し)自分の妻を殺したのだ」という描写で終わる。
下巻はピュントの謎解きから始まるのではなく、スーザンによる容疑者の推理。ブレントについて「謎解きミステリ第一の法則『もっともあやしい容疑者はけっして真犯人ではない』に引っかかる。したがってブレントは犯人ではないのだろう。」というメタ的な発言まである。
アラン・コンウェイは下巻の序盤で死亡する。「遺書」と思われる手紙が届いていたことが分かる。手紙は手書きだが、封筒はタイプされていた。
スーザンは『カササギ殺人事件』の結末部分の原稿を探す。スーザンはジェイムズ、カーン、クレアに会って話を聞くが、『カササギ殺人事件』の原稿は見つからない。
スーザンはアランの死が自殺ではなく、殺人ではないかと疑う。アイヴィー・クラブのウェイターであるドナルド・リーから、アランが自分の作品のアイデアを盗んだという話を聞く。ドナルドから、アランとチャールズの会話を聞いた可能性がある人物がマシュー(アガサ・クリスティの孫)だと聞き、マシューの話を聞く。アランは「私は決して受け入れないぞ。そんな――」と言っていたという。
スーザンとチャールズはアランの葬儀に参加。牧師のロブスンに出会う。また、ピュントシリーズをドラマ化しようとしていたプロデューサーであるレドモンドに会い、アランとドラマの配役などで揉めていたことを知る。アランの姉、クレアがアランについての文章を書き、スーザンに渡す。スーザンは牧師のトム・ロブスンとも話をし、トム・ロブスンがアランにぞっとするような写真を撮られ、恨んでいたことを知る。
スーザンはジェイムズと酒を飲みながら話をし、アランがピュントのシリーズにアナグラムなどの言葉遊びを隠していたということを知る。スーザンとホワイトの会話。アランは投資の失敗からホワイトを訴えると言っていた。
スーザンのもとに、ドナルド・リーから原稿が届く。アランがドナルドの着想を盗んでいたのは間違いない。スーザンに封書が届く。それはジョン・ホワイトがアランを殺害しようとしている場面を写した写真が入っていた。
スーザンはアラン殺害の容疑者の一人と考えている、アランの元妻メリッサに会いに行く。メリッサから、かつてメリッサとアンドレアスが付き合っていたことを知る。アンドレアスにはアランを殺害する動機があるのか。
メリッサの話を聞いて帰る途中、スーザンはアランの作品に隠された秘密に気付く。アランのこれまで出した作品の頭文字を繋げると「アナグラム解けるか」というメッセージになるのだ。
スーザンは駅で偶然にチャールズの元秘書、ジェマイマに出会う。ジェマイマは自ら退職したのではなく、チャールズに解雇されていた。そして『カササギ殺人事件』の原稿は、スーザンが聞いているより早く届いていたという。
スーザンはクローヴァーリーフ・ブックスに行き、チャールズの机から『カササギ殺人事件』の結末部分の原稿を見つける。この原稿はアラン殺害の手掛かりになるので、チャールズに隠されていたのだ。
真相が明らかになる。アランを殺害したのはチャールズ。アランは自身が不治の病であることを知り、自らが作り出したアティカス・ピュントに隠されたアナグラム(a stupid cunt)をラジオなどで明らかにし、どうせ死ぬならアティカス・ピュントを道連れにしようとしていた。チャールズはそれを阻止するために、アランを殺害した。チャールズはアランが送ってきた手紙の三枚目に、『カササギ殺人事件』にあるピュントの手記を挟み込み、遺書に偽装した。そのため、『カササギ殺人事件』の結末部分を隠した。
スーザンから自首するように勧められたチャールズは、スーザンを殺害しようとする。スーザンはアンドレアスに助けられる。
クローヴァーリーフ・ブックスは倒産。スーザンはアンドレアスと結婚し、クレタ島でホテルの仕事に携わる。
★ 作中作「カササギ殺人事件」について
サクスビー・オン・エイヴォンという村を舞台にした古風なミステリ。メアリが階段から落ちて死亡。メアリの葬式から物語が始まる。謎の人物が葬式の途中で退席する。ジョイがピュントに、メアリの死がロバートの仕業でないことを証明してほしいと依頼するが、ピュントはその依頼を受けない。
サー・マグナス・パイが殺害される。これをきっかけとしてピュントが捜査を始める。サクスビー・オン・エイヴォンでのピュントの捜査。この村の人間は何か「秘密」を隠している人物が多いと感じさせる描写が続く。
メアリが書いた日記が見つかる。メアリは村中の人のあら探しをしていたような日記であり、特にブレントとホワイトヘッドに対して悪印象を抱いていた。ジョイについても、ロバートとジョイの結婚に反対する記載がある。
ブレントは道で拾った銀のバックルを、ホワイトヘッドの骨董品屋に売る。これはパイ屋敷から盗まれたと思われる銀製品の一部だった。
オズボーン牧師夫妻の尋問。夫妻が何か秘密を隠しているような描写。
ピュントによるジョイとロバートの尋問。メアリが死亡したときの二人の様子や、ロバートの子どもの頃のエピソードが描写される。
アーサーが描いたフランシス・パイの肖像画が処分された理由は、サー・マグナス・パイがフランシス・パイと喧嘩した際に怒って絵を切り刻んだからということが分かる。
クラリッサ・パイが本当はサー・マグナス・パイより先に生まれていたが、レナード医師が嘘の出生証明書を書いていたことを知る。また、エミリアの病院から毒を盗んでいたのはクラリッサ・パイだった。
ウィーヴァー夫人がサー・マグナス・パイに脅迫状を出していたことが分かる。
湖から、サー・マグナス・パイ屋敷から盗まれたはずの銀食器が見つかる。犯人はなぜ、せっかく盗んだ銀製品を湖に捨てたのか?
ロバートの弟であるトム・ブラキストンは、少年時代にパイ屋敷の庭の湖に落ちて死亡していた。
上巻は、メアリの夫マシュー・ブラキストンを示し、「あの男こそは、この事件のきっかけを作った人物なのだからね」「自分の妻を殺したのだ」というピュントのセリフで終わる。
下巻の最後で結末部分が見つかり、真相が明らかになる。メアリは事故死。マグナス・パイを殺害したのはロバート。ロバートは14歳のときに弟のトムを殺害していた。メアリはそのことを知っており、「世間」からロバートを守るためにロバートを見守っていた。メアリは自分がロバートに殺害されたときのために、マグナスにロバートのことを書いた手紙を残していた。ロバートはその手紙を取り戻すためにパイ屋敷に侵入し、見つからなかったため、偽装のために銀製品を盗み、池に沈める。
★ 登場人物
○ スーザン・ライランド
物語のヒロイン。上巻のプロローグから登場するが、名前が判明するのは下巻の18ページ目。
○ アンドレアス
52歳。ギリシャ語の教師で、学校の休暇中はギリシャに帰省する。
○ アラン・コンウェイ
ミステリ『アティカス・ピュント』シリーズの作者。下巻の冒頭で死亡が明かされる。
○ チャールズ・クローヴァー
スーザンが勤める出版社「クローヴァーリーフ・ブックス」の社長
○ ケイティ
スーザンの妹。アランをスーザンに紹介する。
○ ジェマイマ・ハンフリーズ
クローヴァーリーフ・ブックスの従業員。すでに退社している。
○ ジェイムズ・テイラー
アランの交際相手だった男性。作中作のジェイムズ・フレイザーのモデル
○ クレア・ジェンキンズ
アランの姉
○ サジッド・カーン
アランの顧問弁護士
○ ジョン・ホワイト
ヘッジファンド・マネージャー
○ ドナルド・リー
アイヴィー・クラブのウェイター。スーザンに対し、『羅紗の幕が下りるとき』は自分のアイデアを盗まれたと話す。
○ マシュー・プリチャード
アガサ・クリスティの孫。アイヴィー・クラブでのアランとチャールズの会話をスーザンに語る。
○ トム・ロブスン
牧師。アランの葬儀に参加
○ レドモンド
ピュントシリーズをテレビドラマ化しようと計画しているプロデューサー
○ メリッサ・コンウェイ
アランの元妻。スーザンの恋人アンドレアスと過去に交際していた。
★ 作中作『カササギ殺人事件』の登場人物
○ メアリ・エリザベス・ブラキストン
階段から落ちて死亡する。村の多くの人物の秘密を知っていた人物。
○ ロバート・ブラキストン
メアリの息子。ジョイ・サンダーリングと婚約している。過去に弟トムを殺害していた。マグナスを殺害した犯人
○ トム・ブラキストン
ロバートの弟。少年時代、パイ屋敷の庭の湖に落ちて死亡した。
○ マシュー・ブラキストン
メアリの夫。メアリの死後、サー・マグナス・パイを訪ねてパイ屋敷を訪れる。
○ ジョイ・サンダーリング
レッドウィング医師の病院で働く従業員。ロバートの婚約者。ピュントに捜査を依頼するが断られる。村の掲示板に、メアリ殺害の時間にロバートと一緒にいたという声明文を出す。
○ サー・マグナス・パイ
屋敷で殺害される。メアリに宛てた手紙を保管していた。作中作で2人目の被害者
○ レディ・フランシス・パイ
サー・マグナス・パイの妻。不倫していた。
○ クラリッサ・パイ
マグナスの妹。実は兄より先に生まれていたが、出生証明書を偽装された。エミリアの病院から毒を盗んでいた。
○ エミリア・レッドウィング医師
医師。フィゾスチグミンという毒を紛失した(盗難された)。そのことをメアリに相談した直後、メアリが死亡する。
○ アーサー・レッドウィング
エミリアの夫。画家であり、フランシス・パイの肖像画を描いた。
○ ロビン・オズボーン牧師
村の牧師。ディングル・デルという森が宅地開発で売られることを憎み、サー・マグナス・パイに敵意を抱いていた。夫妻でヌーディスト。これはミスディレクションとして描かれる。
○ ヘンリエッタ・オズボーン
ロビン・オズボーンの妻。夫婦そろって秘密を抱えている。
○ ブレント
パイ屋敷の管理人。道に落ちていた銀のバックルを拾い、ホワイトヘッドの骨董品店に売る。
○ ジョニー・ホワイトヘッド
ロンドンから引っ越してきた骨董品店の店主。ブレントから銀のバックルを買い取る。
○ ジェマ・ホワイトヘッド
ジョニー・ホワイトヘッドの妻
○ ウィーヴァー夫人
エミリアの病院やクラリッサの家の清掃をしていた老人。エミリアの病院のタイプライターを使うことができた人物。サー・マグナス・パイに脅迫状を送っていた。
○ ジェフ・ウィーヴァー
教会の庭の手入れをしていた老人
○ ジャック・ダートフォード
フランシス・パイの不倫相手
○ エドガー・レナード医師
元医師。エミリア・レッドウィングの父。マグナスとクラリッサの出生時に、マグナスが先に生まれたという嘘の出生証明書を作成した。
○ アティカス・ピュント
探偵。ヒトラーの強制収容所を生き延びた人物。末期がんを患い、あと2~3か月の命とされている。最後はクラリッサが盗み出していた毒=フィゾスチグミンで自殺する。
○ ジェイムズ・フレイザー
ピュントの秘書。現実世界のジェイムズ・テイラーのモデル
○ レイモンド・チャブ警部補
ピュントと旧知の警部補。メアリとマグナスが死亡した事件の捜査を行う。
Posted by ブクログ
むむむ確かに構成はスゴい、見事としか言いようがない。唯一無二ではあると思う。
だけどもだけど、おかげて上巻は地味でまじめなミステリーがひたすら進むんよな。まあ退屈ちゃ退屈。
ネタバレになるけど事件地味すぎん?
コードに足引っ掛けて死ぬとか…、天下のピュント最期の推理がコレで良いのか??
最期は遺灰を森に撒いてとか、異常に事件に愛着湧いてるし…。そんなたいそうな事件かね、この話…。
現代パートも原稿の隠し方甘くて人殴って火つけて逃げきろうって…。チャールズはん、そいつは犯罪としてあまりにもお粗末じゃないすかねえ…。
まあワタシがミステリーの教養不足でクリスティのオマージュなどさほど愉しめないのも悪いのだども。
二重構造の美しさに全フリした結果、肝心の事件やトリックが都合よいものになってしまった感が否めなーい、と感じてしまいました。
と云うわけで、総じて大作家の壮大なる挑戦作、といった感想です、はい。