【感想・ネタバレ】カササギ殺人事件 下のレビュー

あらすじ

名探偵アティカス・ピュントのシリーズ最新作『カササギ殺人事件』の原稿を結末部分まで読み進めた編集者のわたしは激怒する。ミステリを読んでいて、こんなに腹立たしいことってある? いったい何が起きているの? 勤務先の《クローヴァーリーフ・ブックス》の上司に連絡がとれずに憤りを募らせるわたしを待っていたのは、予想もしない事態だった――。ミステリ界のトップ・ランナーが贈る、全ミステリファンへの最高のプレゼント。夢中になって読むこと間違いなし、これがミステリの面白さの原点!/解説=川出正樹

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ネタバレ

■傑作
クソ面白い、まさに傑作と呼べる作品であった。
しかし敢えて弱点を挙げるなら、アラン・コンウェイの方の『カササギ殺人事件』の謎解きがちょっと弱いというか普通だな、と思えたこと。
納得できなくはないが、例えば「自転車停めてあったから借りよう」→「返り血ついちゃった」とか、「いや雑!」と思ったし、「裸体主義者です」は「知らんがなw」と思ったし、「本当に犬を殺したのは私だと思っているのか?」は「いやそんなこと言わんくない?w」と思ったり。

■1作品に2つのフーダニット
上巻のアラン・コンウェイの『カササギ殺人事件』内でのフーダニット、下巻のスーザン・ライランド編でのフーダニットという2つのフーダニットが1作品に織り込まれている作品で、読みごたえがありまくる。
ただし、それぞれ犯人については特に意外な人物というわけではなく、そこはやはり限界があるか、といった感じ。
賞を取りまくっている作品だから、「そんなに単純なはずはない」「作品自体を使った仕掛けがまだ何かあるはず」と思ったが、特にそういったものはなかった。
古典ばっかり読んでいて上下巻から成る作品をあまり読んだことがなかったが、なるほどこの形式というか内容なら上下巻でわかれているのも納得。

■アガサ・クリスティリスペクト
アガサ・クリスティへのリスペクトが非常に強く感じられる。
アラン・コンウェイの『カササギ殺人事件』はまさにアガサ・クリスティが書いたような作品であり、作中でも言及されているとおり、アガサ・クリスティ作品に関係する語が出てくるどころか、作り自体がアガサ・クリスティ作品(ポアロシリーズ)にそっくり。
事件が起き、細かい手がかりがバラ撒かれ、探偵は1人ずつに話を聞いて事件を解く。この感じがまさにアガサ・クリスティそのもの。
ただしアンソニー・ホロヴィッツの作品の方がアガサ・クリスティよりも丁寧で、謎解きとしては優しく感じられる。
例えば封筒と手紙のくだりは「封筒と手紙は一対のものじゃないってことね」といったことは簡単にわかるし、「毒薬を盗んだのはクラリッサか」とか、「最近外部から村にやってきた新参者はパターン的に別の事件の犯罪者であって本筋の犯人ではないな」とか。
元々アガサ・クリスティが好きな自分にとってはアラン・コンウェイの『カササギ殺人事件』自体も楽しく読むことができたため、上巻も下巻も共に面白い傑作と感じた。

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2026年04月21日

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ネタバレ

刊行されたときから読みたかったのをようやく読んだ。こんなに凝った構成だったとは想像していなかった。クラシカルな殺人事件小説が、小説内小説として登場して、それが未完のまま下巻へ。そこから、現実の物語へ移行しつつ、未完のままとなった小説内小説の方も進んでいく。その絡み方がすごいです、見たことない面白さ。

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2026年03月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

上下巻でストーリーが一変するのが面白すぎる。1作品で2度楽しめるお得感。上巻は名探偵アティカス・ピュントが殺人事件を推理し、解決しようとする。下巻は上巻の最後の文章で一気に次を読みたくさせる。下巻はアティカス・ピュントシリーズの編集担当者の「わたし」が作者のアランの自殺を追求していく。自殺ではなく殺人ではないかと自分なりに奔走している姿がハラハラさせてくれる。現代でもピュントの中の物語でも犯人探しが行われるという作品で、読んでいててドキドキさせられる。上巻の登場人物の多さに、海外文学に慣れていない私は非常に辟易してしまったが無事読み終わることができてよかった。

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2026年02月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ


「自分はこれがやりたいのに!なのになんでわかってくれないんだ!」

自分の恥部(一般的に隠すべきとされる部分)を、人に認めてもらいたい・受け入れてもらいたいって、表現活動をしている人なら一度は通る道なのでしょうか。
でもそのために書いた作品なんて、往々にして独りよがりの自慰的作品にしかならないんだよなぁ……
昔、読後胸糞になる小説を書いていたのを思い出し、きゅっと口をつむぎました。でも楽しかったんだよなぁ。

世の中ではハッピーエンドが好まれるように。幸せが見たい人が多い現実では、ひた隠したい闇の部分を魅せつけるには、余程の力量と、強い願いや祈りが必要なんだと、最近思うようになりました。


古典的な重厚さがありながら、とんでもお下劣が実は入り交じったこの独特の読後感。

どこまでも身勝手な男に振り回されたたくさんの人々(特に探偵役の彼女)は不憫だけど。
くそみたいなやつでも、愛くるしい所はあったんですよね、きっと。
それを見つけられた人はいたのに、最後には全てを拒絶してしまった。
でも最後ある人に向けられた手紙だけは、愛する人に向けられた本当の気持ちだったと信じてたいです!


現実なんて物語のように綺麗に出来てない。時々ほんのちょっと、重なる部分があるだけ。
でもそういう所も面白いんだよなー!って感じました!

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2026年06月01日

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ネタバレ

ミステリー要素よりも特に現代編の筋書きが面白く興味を引かれた。
周囲にヘイトを買いまくっていた余命僅かの作者が自らの著作の主人公で探偵のアティカス・ピュントも道連れにしてやろうとシリーズ最終作を執筆したが、これに納得の行かない編集に殺され結末も紛失させられるという。
確かに作者のアランは好感を抱く人物ではない。盗作はするし姉はタダ働きさせるし聞き分けもない。だがピュントさえ生きていれば作者が死んでもコンテンツ展開出来る、読者にエンタメを提供出来る、いや、あけすけに言えば金儲け出来るという編集者の打算と、実際に行動に移した狂気は度し難い。現代編主人公のスーザンが最後に私がやってた方がと吐露したことにも驚いた。正直、何だかんだ生き残って選択する余地もないままとは言え、婚約者とうまく行って良かったねと思っていただけに正気を疑った。
日本でこうした事件が実際に起きていたらどうなっただろう。社屋は炎上していたが、SNSも炎上していたに違いない。作品が作者の手を離れたが故に生まれた悲劇は多い。作者が自死に追い込まれた「セクシー田中さん」の事件は記憶にも新しい。既に作者が故人の国民的アニメも多いが、時代の変遷ですっかり色が変わってしまった作品もあれば、○年後を想定した実写化なんて展開のされ方まで存在している。正直、原作ファンの誰が熱狂的に喜ぶのだろうとファンでもないのに冷ややかに見ている。ピュントも作中で死ななければここに列をなしていたかも知れない。これをアランは迎合するだろうか。いや、しない。アランはピュントを憎んでいた。コイツのせいで作家人生コイツ一色になってしまったと恨みながら、ドラマ化の配役に拘ったり心中するくらい愛着を持っていたのだ。自分の死後にピュントが好き勝手されることなんて絶対に許さないだろう。
作品が溢れかえる現代では二番煎じ三番煎じも多い。それ故に人気の高い作品が擦られ続ける。ファンとしては嬉しい面もあるがそれだけとも言い難い。長期化する連載は作者の年齢とにらめっこしてヤキモキする。だがそれもこれも作者あっての話である。作者の死後に第三者の手で新たに展開され続けるコンテンツは読者が真に望むものだろうか。未完のまま旅立たなかったアランの評価は高いのではないだろうか。例え作家本人に難があろうとも名作として語り継がれたに違いない。
IPの捉え方が日本と海外では違うのだろうか。それとも編集者という立場の人間が特異なのだろうか。そんなことを考えさせられた作品だった。

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2026年05月19日

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ストーリーインストーリーとなっていた上巻の流れで、下巻は解決編のような感じかと思ったら、現実のストーリーに戻り、しかもそこでも事件が起こるという、複雑かつ緻密な構成に驚いた。原稿の最終章が行方不明となり、それが事件の鍵となっていて、解決後にしっかりと最終章も戻ってきて物語もしっかり完結するという、まさに構成の妙が光った作品だった。個人的には、小説の中の日本語独特の雰囲気や言い回しが好きなところもあるので、翻訳小説だとそこの風味が少し失われてしまうのが残念に感じた。

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2026年03月21日

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ネタバレ

カササギ殺人事件下
前回の続きから読めるかと思いきや現実のお話しせっかく登場人物覚えてわかってきたのに、また初めから登場人物覚え直さないといけない、まぁ最終的には前作の謎も回収され、楽しめた

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2026年03月20日

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ネタバレ

(とても良)これはすごいミステリーだ。上巻は主に作中作の謎解き犯人探し、下巻は作中作の結末の原稿探しと作中作者アランコンウェイの死についての謎解き。すごいの一言に尽きる。下巻は特に、作中作の結末の原稿がない!っていうところでさらに引き込まれた!気になりすぎるでしょう!みんな怪しくて疑ったけど、アンドレアスがカッコ良くて良かった。一番ホッとした。夢中になりすぎてお腹いっぱいです。

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2026年03月05日

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ネタバレ

キャラがたくさん。なのにまとまってる。
下巻読み始めて中巻あるんやっけ?間違えたかなと理解が最初できなかった。
謎解きは、解けるレベル。キャラ達の行動には納得できるから読んでてすっきり。

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2026年03月02日

ネタバレ 購入済み

面白かったです。ミステリーがふたつあって倍楽しめた気がします。始まりが不穏だったのでいろいろあったけど主人公の編集者さんがハッピーエンド?でよかったです。

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2023年09月08日

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上巻がアティカス・ピュントという探偵が主人公の作中作で、下巻はその小説を書いたアランや編集者の周囲を取り巻く事件の話、という作劇には驚かされた。
しかも解決編というべき章がなくなっていて、作者のアランが死んでいるときた。
そもそも作中の犯人は誰だったのか?アランは自殺なのか、他殺なのか?というダブルフーダニットが目玉。
真相に気づくきっかけとなる部分の手紙のトリックはなるほどなと思った。ただ、作中作の犯人に至る推理はだいぶ「こうじゃないと説明がつかない」というような内容で、これなら誰でも犯人にできてしまいそうだけどな……と思った。この人しかいない!というような真相ではなかったな、と思う。
読む前から帯文でかなり期待値を高められてしまったので、真相については「こんなもんか~」という感じだが、作中作を使ったダブルフーダニットという構成は面白いなと思った。
名前のアナグラムは死ぬほどくだらないなと思ったし、それが動機になるほどのことか?と思ったが、そういう物語なのでさもありなんかな……と感じた。

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2026年05月01日

Posted by ブクログ

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壮大な仕掛けのミステリー!上巻を読んだ時にはごく普通の推理小説に感じていたけど、その話は作中作で、下巻はなんと上巻の作品を書いた作者本人が殺害されてしまう!その予想外の展開には心踊ったけど、下巻は少し単調で解決編まで長く感じたのと、殺人の動機が不快なものだったのでやや満足度が低い。アランは結局人のアイデアを盗んでいたのだろうか。アティカス・ピュントの事件の方が余韻があって良かった。

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2026年02月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

上巻を読み終えた後、もう犯人わかるんじゃね?と思ったけど、なるほどこういう構成ですか。

正直言って、上巻の作風が好きだったので、そのまま1本のミステリーとしてもすごくよかったと思う。それを作中作としてさらにエンタメを追求したことを評価すべきか否かだけど、自分はギリギリ不可だった。

読み返せば「おぉ、これも作中のあの部分と繋がってるのか」という感動はあるかもしれないけど、ミステリーってこの作品でも書かれていた通り、読者が探偵と肩を並べて進む話と思うんですよ。だから初読の感動が大切だし、後から読んで上手いと思う構成を評価の中心に置くのはちょっと違和感があります。

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2026年01月20日

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