あらすじ
現代日本の問題点を抉る社会派ドラマ。
「罪を犯してしまった」者や「道を踏み外した」者たち。
現代日本において再犯防止を考えるのは、必須の課題だ。
保護観察対象者の社会更生の支援をするのが、保護司である。
保護司は法務省が委嘱する非常勤で無報酬の国家公務員であり、ボランティアである。立場の弱い人間が抱える問題に、主人公である保護司・阿川佳代は真摯に対峙する。
保護司制度の存続が危ぶまれている今、保護司に求められている姿とは何であろうか?本作は現代日本が抱える問題を掘り下げる本格ヒューマンドラマです。今巻では、覚醒剤取締役法違反で逮捕後、佳代が担当になった田村多実子の苦悩。万引きを繰り返す児珠よしの閉ざされた心に佳代が丁寧に接していく。読み応えたっぷりの一冊です。
「おかえりなさい」
そう言って、あなたの帰りを待っていてくれる人はどれくらいいますか?
これは一度、罪を犯してしまった・道を踏み外してしまった「前科者」に
社会更生の橋渡しをする保護司のお話。
一度の過ちだけでも社会から煙たがられ、立場の弱くなってしまう現代社会構造。
0からのスタートではなく、マイナスから0にするために
彼ら保護司は奮闘する。一切の報酬なく、ボランティアで。
一銭にもならない仕事でも、怖いもの知らずだと言われても、
「きれいごとが言える間は、きれいなその部分で人と接したい」
という彼女に圧倒されます。
保護司制度の存続が危ぶまれている今、保護司に求められている姿とはなにか?
社会の在るべき姿を考えさせられる一作です。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
みどりの乱暴ぶりは今回も健在。
人を見る目があるって設定がなければ、やばすぎる爆弾の投げ方ばかりしている。
佳代も大分感化されてしまっている。
更生というけど、ここまで人生から歪んでしまった人が普通の生き方できるようになるとも思えないな……。
自分の歪み方なんて全然ましか。
あまりにも課題がでかすぎて途方に暮れそうだ。
匿名
シリアス
今巻でもなかなか重たいお話。
覚醒剤取締役法違反で逮捕された後に主人公が担当になった田村多実子の苦悩。万引きを繰り返す児珠よしの閉ざされた心に主人公が寄り添う。
シリアスな内容が心を締め付ける。
反省とは
虐待からクスリに手を出し、常識がないまま大人になった女性、
言葉で武装した元万引き犯の高齢者。初期の登場人物も出てくるので
だんだん複雑になってくる・・・。
薬物依存症と万引き犯と
コンビニ店長は相変わらず下衆で下劣で、まぁそういう立ち位置なのでしょう。自分が犯罪者になる可能性等々を想像する能力もないのでしょうし。
薬物依存の執行猶予中の女性、虐待(性虐待も含む)の被害者で義務教育でもきちんと履修できるような家庭環境ではなかったようです。なのでダルクっぽい組織にも行ったり。
極めて自己評価が低いのも典型でしょう。松本俊彦医師の記事を連想します。男にカラダを差し出すのも何ら躊躇しませんので。
あと、少年院上がりで担当保護司が雑魚すぎたケースとか、万引き犯で有罪・執行猶予判決を喰らった80歳の独身女性等も出てきて、前巻のみどりさんも引き続き顔を出していました。
作画は正直もうひとつなところもありますが、やはり読ませる作品なのは間違いないです。
いつもながら秀越
連載誌で断続的に読んではいましたが、購読して通して読むと、改めてこの作品の人物描き別けの秀越さを実感します。
主人公佳代の、一途な生き方と、危なっかしい程の初々しさが魅力的で、思わず「支えてやりたい」と感じて、感情移入してしまいます。
そして彼女を取り巻く人々の中で、断固として光り輝くのが、唯一の友たる、みどりです。
保護司の佳代の、対象「前科者」の一人でもあるみどりですが、実に佳代と真逆の性格で、佳代の求める「公正さ」や「人の幸せ」の実現の為に、強力な助っ人以上の働きをします。
様々な「前科者」やそれを取り巻く人々の、いや佳代自身を含めた登場人物が、みな何かしらの闇や、悩み、欠陥を晒す中で、みどりの飾らない正直さと明るさ、そして洞察力と行動は、本当に素晴らしいものがあります。
保護司と「前科者」の話なのですが、実は人間ドラマとしては、みどりが不動の安定主人公なのでは無いか?……と、感じております。