あらすじ
寿雪は千里と之季の安否を知り、烏の半身をさがすため、界島へと向かった。が、対岸の港まで到着すると、海底火山の噴火で島へは渡れなくなっていた。海が荒れていたのも噴火も、烏の半身や鼇の神が海神を刺激したせいだ。そこで出会った花娘の父である海商・知徳は、噴火さえ収まれば舟と水手を貸すと約束してくれる。一方、界島では白雷や海燕子に助けられた千里と之季、楪が海商・序家の屋敷で介抱されていた。千里はまだ意識を取り戻さないものの、昭氏の薬草で快方に向かっている。白雷は烏の半身である黒刀を前に考え込んでいる…。特別な妃が誘う圧倒的中華幻想譚、ここに完結!
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後宮の奥深くに住みながらも夜伽をしない特別な妃、「烏妃」。彼女は不思議な術の使い手で、頼まれれば依頼者の差し出す代償と引き換えに、呪殺、祈祷、失せ物探しと何でも引き受けてくれるという。そんな彼女のもとへ、あるとき皇帝がやってくるところから始まる、中華風ファンタジー兼ライトミステリー小説。
コバルト文庫出身の作家だからなのか、少女小説のような雰囲気もあってとても読みやすいです。硬質な烏妃の姿と言葉が非常に印象的で、美しい表紙イラストと相まって、あっという間に本の世界に引き込まれます。また、どの巻も連作の短編で構成されており、いずれのお話も謎解き短編として充分楽しめますが、共通して描かれる烏妃と皇帝のささやかな交流が二人の孤独をかえって際立たせているようで、大きな伏線と思われる二人の関係とそれにまつわるさまざまな謎とともに、先が気になってつい読み進めてしまいます。個人的には、衣装や風景を表現する作家の文章力を強くアピールしたい! ぜひ読んでみてください。
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Posted by ブクログ
後宮ファンタジーという枠を超え、ミステリー要素やバトル要素も一部含んだ内容だった。
主人公の寿雪が親しみをもてる人間性であり、そんな寿雪の力になりたいと集う仲間たちも皆温かく、ストーリー全体を通して優しさに溢れていたと感じた。
一方、終盤では圧巻のバトルが繰り広げられ、とても緩急のある展開が広げられた。
物語の後日譚もさまざまな想像が膨らむ描写がされ、後味の良い終わり方だったと思う。面白かった。満足。
Posted by ブクログ
もし10代~20代前半の時に読んだなら、この終わり方に納得いかなかったと思う。
なんで? なんでよ、って。
実際、買ってすぐ最後のページを読んだ時はああ、高峻と寿雪は結ばれなかったのか……って寂しく思ったのも事実。それでなんとなく積読にしたまま今日まで時間が経ってしまった。
でも、意を決して読んだら、すんなりとこの終わり方を受け入れられた。
だって高峻と寿雪は、どちらも互いに大切な存在だということを痛いほどわかっていた。だったらそれでいいじゃないかって。
高峻は寿雪にかつて「そなたの友になりたい」と言った。だから、ふたりは友であり続けた。ただそれだけのことだ。
男女が想い合っているのなら、結ばれるものだと思いがちだが、時としてそうすることができない場合もあるのだと今ならわかる。
ラストは二人がずっと交流を続けていたのだろうということがわかって嬉しかった。
Posted by ブクログ
最初は霊障を解決するお話だったのが、囚われた烏、鼇の神の闘いまで、描かれるとは思わなかった。
全て解決して最後の最後のシーンに、心から良かったなと思えた。
希望
終わってしまったということが寂しくて寂しくて…
この結末は本当に美しくて素晴らしいですし見事に完結していますけれど、でもわたしは勝手に続編の望みを持っています。
それは、寿雪が海商となったということ。海商は海を渡って雨果、花陀、花勒にも行き、そこは巫の国で巫の女王がいるということ。
そしてこの巻の最後ではずっと時を飛ばして碁を指すふたりは描かれていてもその間にことは詳しくは書かれていないことから、ではその間の寿雪はどうしていたのか?烏は離れたとしても幽鬼や神の世界と全く通じなくなったという記述もないし、温蛍、淡海、九九も共にいて…そしてその間にも高峻との交流があったとしてもおかしくはないのでは??
タイトルはもう後宮も烏もかたれないですから、例えば「南海の雪」とか…?w
という、あれこれをつなぎ集めて淡い期待にすがりついています。
…それほど、今は寿雪ロスです。。。
匿名
完結おめでとうございます!!
完結おめでとうございます!
1人ぼっちだった寿雪が色んな人と関わることで多くの人に囲まれたっていう幸せなお話だったと感じた。
ちょっと残念に思ったのが陛下との恋愛模様はないのかと…。でも恋愛というよりももっと違う信頼感や思いやりのある2人だったなと思った
Posted by ブクログ
読み終わった。一気に読んでしまった。
楽しかったけど、ちょっと物足りなかったかな?
神さま同士の戦いも色々あったのだろうけど、描写としては呆気なく終了してしまったし…寿雪と高峻の関係も進まなかった。お互い半身であると認めていたからこそ、別々の場所で生きながら文を交わし、最後のときはゆるりと二人の時間を楽しんだ…ってのも悪くはないけど!もうちょっと恋が絡むような話があっても良かったのに…と思わないでもない。
でも、後宮を出た寿雪の周りに九九、オンケイ、淡海がいてくれたのはよかった。
番外編のような、間を埋めるような短編がいつか読めることを期待したいです。
おもしろかった
烏妃という存在をなくすために様々な人を味方につけ、長年の呪縛から解き放たれるのは爽快です。世界観が好きです。その後もそれぞれの未来が描かれていて安心しました。
Posted by ブクログ
読んでいて「えっこれ本当に完結巻なの?」って感じなくらい寿雪が出てこない巻だった。主人公はサナメ兄妹かな?って感じ。北辺山脈の話が主軸になっていた様に思う。ずっと恐れられていた鼇の神と烏漣娘娘との闘いも思っていたよりもあっさりと勝負がついてしまって物足りない。寿雪は最後海商になっていったし、九九、温螢、淡海がそれに着いていっているのも良いのだがその状態になるまでの経緯ややり取りが見たかった。。衛青と温螢のやり取りとか。。そして結局冬の王とはなんだったのだろう。寿雪は自由になれたが高峻はずっとあの世界にいたのかと思うと心苦しい。寿雪がいた時はあんなに夜明宮に通っていたのに。。前半のスケールを考えるとなんだかもう少し別の終わり方があっても良い様な気がする。
全体的にはとても面白かったし、初めて中華物を読んだけど世界観が美しくて圧倒された。これを機に他の作品も読んでみたい。
Posted by ブクログ
最後は壮大、神々の闘い。2人の最後はあれで良かったと思う反面、少しさみしさも。それでも唯一無二に変わりはない、綺麗な終わり方でした。
Posted by ブクログ
とても綺麗にまとまったなという印象。
ラスト寿雪と花娘の最後のやりとり、高峻とのやりとり、衛青とのやりとりは涙が出てきた…
温螢も淡海も九九も寿雪と同じ道を選んだことにちょっと安心…
神々の戦いは散々煽ってた割にはあっさり終わったな…
ラスト1ページの老後の高峻と寿雪のシーンはちょっと駆け足すぎたかな…結ばれないにしてももう少し書いて欲しかった。
烏
前巻までめちゃくちゃ面白かったのに、最終巻のそこはかとなく漂う残念感…
あくまで個人的な好みですけど、寿雪と高峻の別れがあっさりしすぎてて受け止めきれないし、サナメサイドが盛り上がりすぎてて、そこにもついていけない。
ラストも、そんな老後素敵だよね~とは思うけど、そこに至るまでのすったもんだも読みたいし、なんかモヤつく。
面白くて期待してただけに、ちょっと残念でした。
終わり良ければ全て良し?
紙の本の方で読みました。初めて手に取った時あまりの薄さに、あの壮大になった話がこの薄さで本当に終わるのか?と不安になりました。
一応読み終わりましたが、神々の戦いと沙那賣一族メインの印象が強く、主人公2人は何処へ…?という気持ちばかりが残りました。沙那賣必要あった??沙那賣をここまで掘り下げるなら、寿雪と高峻の関係をもう少し深く書いて欲しかったというのが正直な気持ちです。
最終的にみんな無事でそれぞれの道を歩んでる描写があり、そこは安心しました。
寿雪と高峻の関係は少し寂しいような、でも納得できるような、そんな関係で終わりましたね。あのラストに至るまでの話が読みたいです。
Posted by ブクログ
「縛るもの」から解き放たれて。
烏の半身が戻り、神々の戦いに決着が付いた。そのことによって寿雪は烏妃ではなくなり、王宮を出る。寿雪が海商になったのは想像していなかったが、好奇心は旺盛で度胸もあるから似合うと思った。九九や温螢、淡海が一緒にいるのもいい。晨に関しては、暗いエピローグとなり亘や亮と一緒に心配したが、甥に当たる皇太子との出会いで心が救われたようでよかった。ところでやっぱり亮は愛すべき奴である。奥さんとのエピソードがかわいい。亘も幸せそうでよかった。
まだまだ彼ら彼女らの話を読んでいたいが、これで完結である。ラストがちょっと駆け足に感じてもったいない。でも勢いのままにハッピーエンドでまとまったのでよいと思う。
Posted by ブクログ
すごく好きな話だった。好きだったからこそっていうのをつらつら書きたいと思う。
まずは何より寿雪と高峻の関係。友とゆうには深く愛というにはそれもまた正しくない、魂の伴侶という言葉が一番あっているのか。人生においてこの人は私の半身だなぁと思う人と出会うことはなかなかに稀だと思う。だからこそその特殊な関係をもっと掘り下げて欲しかった。他の妃の懐妊や新しい妃がくることへの何とも言えないあの寿雪の気持ちや鵲妃が亡くなったとき、鵲妃の父親に手紙を書いてくれた寿雪への高峻の涙は、半身のようだと言うことでお互い納得してしまえたのだろうか。私の読み取り不足の可能性は大いにあるけれど。
そして物語の最初から言われ続けている烏妃の解放、自由について。自由になる=門の外に出るではないと思っていたけれど、切羽詰まった状況だったとはいえあまりにあっさりしすぎではないかと思ってしまった。そりゃあ寿雪は市政育ちで外に出たことがないというわけではないけれど、高峻が色々と手を尽くす中、それでもまだ本当に解放されるのかわからない、故に自由になれたとして何がしたいかどこに行きたいか考えられなかったところにわりとすっと旅立ってしまったなという印象だった。
あとは欲を言えば寿雪を解放してからの高峻の気持ちだったりそこら辺を知りたかったかな。
でも温螢や淡海、衛青など主人公を支える人物たちの丁寧な心理描写やさりげない台詞、そういうところがすごく好きだったので、また別のシリーズなどあれば読みたいなと思います。