あらすじ
後宮の奥深く、妃でありながら夜伽をすることのない、「烏妃」と呼ばれる特別な妃が住んでいる。その姿を見た者は、老婆であると言う者もいれば、少女だったと言う者もいた。彼女は不思議な術を使い、呪殺から失せ物さがしまで、何でも引き受けてくれるという――。時の皇帝・高峻は、ある依頼のために烏妃のもとを訪れる。この巡り合わせが、歴史を覆す「禁忌」になると知らずに。 【目次】翡翠の耳飾り/花笛/雲雀公主/玻璃に祈る
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後宮の奥深くに住みながらも夜伽をしない特別な妃、「烏妃」。彼女は不思議な術の使い手で、頼まれれば依頼者の差し出す代償と引き換えに、呪殺、祈祷、失せ物探しと何でも引き受けてくれるという。そんな彼女のもとへ、あるとき皇帝がやってくるところから始まる、中華風ファンタジー兼ライトミステリー小説。
コバルト文庫出身の作家だからなのか、少女小説のような雰囲気もあってとても読みやすいです。硬質な烏妃の姿と言葉が非常に印象的で、美しい表紙イラストと相まって、あっという間に本の世界に引き込まれます。また、どの巻も連作の短編で構成されており、いずれのお話も謎解き短編として充分楽しめますが、共通して描かれる烏妃と皇帝のささやかな交流が二人の孤独をかえって際立たせているようで、大きな伏線と思われる二人の関係とそれにまつわるさまざまな謎とともに、先が気になってつい読み進めてしまいます。個人的には、衣装や風景を表現する作家の文章力を強くアピールしたい! ぜひ読んでみてください。
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Posted by ブクログ
王宮ミステリー
古の中国文化を味わっているようで楽しめた。
話の中に出てくる花や物が素敵…
帝がなぜ烏妃にこだわるんだろうなと思ったら、一人を強いられている理由を知りたかったからだったんだ。
心根は優しいけれどちょっと不器用な寿雪、感情を表に出すことがないけれど思いやりのある高峻、ひょんなことから烏妃の侍女となった九九…人間性豊かな登場人物達の関係性が微笑ましかった。
一番印象に残っているのは高峻のあげた象牙の櫛を寿雪が侍女の九九にあげようとしたところかな(笑)その話を寿雪が高峻に話しているとこが面白かった(笑)
寿雪「象牙の櫛をやろうとしたら、怒ってしまった」
高峻「私がそなたにやったものではないか」
寿雪「いらなければ捨ててよいと言ったであろう。いらぬから、九九にやろうと思ったのだ」
一中略一
高峻「ひとの贈り物を、勝手にやるやつがあるか」
寿雪「捨ててもよいと言ったくせに」
高峻「捨ててよいとは言ったが、他人にやってもよいとは言っていない」
Posted by ブクログ
烏妃の役目、冬の王としての務め、独りで朽ちる定めを受け入れていた寿雪が、幽鬼を祓う仕事を請け負ううちに、独りではなくなっていくという流れが良かったです。後悔や未練を残して死んでいった幽鬼が紡ぐ人情に溢れた物語も良かったです。九九や高峻の不器用な優しさが滲みますね。心を知って変わっていく寿雪を追うことができて良かったです。
好きな世界観
人の名前読みが難しかった。
寿雪の人柄によって後宮の人々に慕われて、何代も続いた孤独な烏妃が救われて良かったです。本当に烏が勝てるのかハラハラしたけれど、誰も悲しい未来が来なかったのでそれぞれの新しい生活が続いている様子もわかって良かった。
Posted by ブクログ
後宮の烏シリーズ1作目。
普段中華系のものを読まないので最初世界観や人物名に慣れず入り込めなかった。慣れれば面白いし読みやすい。
下記4つの短編で構成されている。
1.翡翠の耳飾り
烏妃(寿雪)と高峻の出会い、それぞれの2人の過去の話。とにかく人物が多く読み難い。ここを我慢すればスッと物語に入れると思う。
2.花笛
3.雲雀公主(ひめ)
4.玻璃(はり)に祈る
Posted by ブクログ
大好きな中華幻想譚
アニメだけでは登場人物の背景や相関関係が理解できず原作を読むことにした。それで、アニメは原作に忠実に作られていることがわかった。
Posted by ブクログ
アニメ前に買ったのに積み続けて、アニメが終わってしまったけれどやっと読みました!
後宮ファンタジーのお話で世界観がとても素敵です。そしてとっても面白い…!
個人的には人物名の馴染みがあまりない上に、皆漢字なので「誰…?」となることもしばしば。
少し不穏な空気と後宮ものでよくある少しピリピリした空気感の中、「娘娘( にゃんにゃん )」って出てくるのが可愛くて癒されました。笑
亡くなった後もあるものに執着する幽霊や、寿雪の孤独、高峻の気持ち、九九の寿雪の役立ちたいと思う気持ちに人間らしさを感じてとっても素敵です。
1巻でわりとほとんどの謎は解けたのかな?と思ってしまいましたが、まだまだ奥が深そうなので読むのが楽しみです!
Posted by ブクログ
書店にてかなり山積みされていたので、読んでみました。
ライトノベルで、かつ最近流行りの中華風王朝ものですが、そこまで恋愛や安易なストーリー展開に頼らないのは良いと思いました。
雲雀公主が侍女のために薬草を積もうとして足を滑らし、池で溺れて…。愛されていた雲雀が公主を慕って、という逸話が好きでした。