あらすじ
【電子限定!雑誌掲載時のカラー原画&25話のネーム特別収録!】《人生の本棚に入る本》としてあなたの心の奥地に届く物語!人見知りの小説家(35) と 姉の遺児(15)がおくる手さぐり年の差同居譚。「姉がさ、日記を遺してたの朝宛だった」朝の亡き母・実里は日記を遺していた。20歳になったら渡す、という娘への手紙のような日記を。槙生にとっては高圧的な姉で、朝にとっては唯一無二の“母親”だった実里。彼女は本当は、どんな人生を生きている女性だったのか?母の日記を槙生が持っていると知った朝は―――。槙生と笠町の“新しい関係”もはじまる――扉が開く第5巻。
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人間はいつから「大人」になるのだろう?
両親の死によって、独身の叔母・槙生に引き取られた中学生・朝。
家にこもりきりの小説家である槙生は、独特な感性の女性。
一方で、朝は両親が死んだことに対して現実感を持てない、大人びた少女。
似ているようで正反対の二人が、日々の暮らしの中でやがて心の距離を近づけていく作品。
槙生が仕事に熱中するのを、さりげなくサポートするしっかり者の朝。その姿はお互いの年齢を鑑みると、ちぐはぐな風景でちょっとおもしろい。
けれど、家の外側や、人間関係のこととなると、槙生は迷いながらも、母性というよりは理性によって、的確な言葉で朝を導く。
15歳の朝にとって、それらの言葉はすぐに理解できないこともある。けれど、現実と照らし合わせながらじわじわと納得していく健気な姿がとても印象的。
では30歳を手前にした自分は槙生と朝、どちらに近い地点にいるのだろう?と考える。
「自分はまだまだ子供」だと思う。けれど、朝が戸惑っている幼い姿を見ると「こうしたらいいよ」と言ってあげたくなることが多々あった。
どんなに大人びていても15歳の朝が大人ではないように、アラサーの私も着実に大人になっているのか、と気づかされる。
槙生を「違国」と感じながらも、朝も確実に「大人」へ近づいている様子を、そっと見守っていきたい。
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
約束通りえみりのお母さんと会ってくれる槙生ちゃん、すごい。自分なら会う理由がないと思ってしまいそうだ。
えみりのお母さんの話を聞いて、彼女は彼女で朝の両親と付き合いがあり、亡くなったことで影響を受けているということに気がつけた。
序盤では嫌な人かと思っていたが、
卒業式にも入学式にも来てくれないなんて大丈夫なの?と思うのは、それは彼女が母親であり、
槙生も朝の母親代わりになると決めたと思っていたからだろう。
笠町くんがクラウドで記録しておくのを提案してくれるの、とても頼りになる。槙生ちゃんの性格や合理性をきちんと考えてくれている。
朝は槙生ちゃんを片付けられないというが、一人で暮らしていてずっと家にいる仕事で仕事も忙しくて、となれば部屋は散らかるし片付けなくても死なないから、掃除なんて二の次になりがちだと思う。
えみりが「発達障害じゃないの」と言うのが無遠慮だ。
朝は朝で、親の前で恋愛話を始めるのも怖い。
朝の立場のことを槙生ちゃんが
「彼女が親から受け取るはずだったものはどうしたって得られない」
「孤独を絶望を表す言葉をまだ知らないというのは一体どんな苦しみだろう」
「今までもらったものでやりくりしていくしかない」
と言っているのが、どの言葉も美しく哀しく
本当に朝の親になって育てることはできないけれど
なんとか守りたいと思ってくれているのだ。
多分朝は自分では気づいていないけれど、母親から
普通普通と”洗脳”されてきて、自分の思う普通からはみ出した人を「変」と悪気なく断罪してしまうのだろう。
えみりのお母さんは本当は仕事を続けたい人だったというが
「どの選択をしてもきっと後悔はしたしいいの」
と言うのがなんだか良いなと思った。
笠町くんが鬱になって、泣いて動けなくなるような
辛い時期を過ごしていたとは。
そういうことも槙生ちゃんに話せたというのは安心した。
自分の惚れた女は誰からもモテると思いこんでいるところが可愛いし、
それについて
「あんなめんどくせーやつ一部の好事家しか惚れねーよ」
と言う醍醐さんの愛に溢れた突っ込みも面白かった。
あの珍獣はめったなことではなつかない、好事家の自覚を持てには笑った。
手書きのものを読むのにはエネルギーがいる。
すごくわかるなと思った。
あとは隠してないのに「隠してるけど桜でんぶが好物」
なんていう母親の勘違いが微笑ましい。
自分も里帰りしたとき必ず「あんた好物やろ」
と唐揚げを作ってくれて、私唐揚げ好物だったんだ。笑と思ったものだ。
活字中毒なので、目の前にあると読んじゃうというのも共感。
姉が朝宛の手紙のように日記を書いていたことについて
「書くのはとても孤独な作業だから」
「これから5年も生きていたら、渡すつもりで書いていても20歳になったとき渡さない選択肢もあったと思う」
と思っているところが槙生ちゃんらしいし
本当にそのとおりだと思う。
そうなると、故人の為にどうしてあげるのが正解なのか。
いつ朝ちゃんに教えるべきなのか。
真摯に考えてくれているとしか思えないのだが
隠し事をされてむかつくと朝が思ってしまうのは、
子供扱いされた気持ちがするからだろうか。
朝のお母さんが内縁の妻だったことを知ってしまうと
朝の名前に込めた願いもまた違った印象を持つ。
勝手に部屋に忍び込んで日記を探し当て、読んでしまう朝。
母は母という存在ではなく自分と同じひとりの女で
不安や迷い、悩みも当然あるというのは子供の時には気が付きにくいことだと思う。
朝ちゃんを探すの手伝って、と言われて駆けつけてくれた笠町くんが
思ったより簡単だったろ、人に頼るのと言うのがさりげなくて良い。
弁護士の先生も来てくれて、大事になって恐縮する槙生ちゃんに「大事にした方が良い」と言うのも、
笠町くんが舌打ちされた話を聞いて丁寧な口調で
父親に抗議したい、対話すべきところなのに
と怒ってくれるところがすごく良かった。
子供と言うのはたびたび大人を試したがるから、
何度もやっているならまた違うかもしれないけれど
初めてのことだし大事にして心配しないと
それはまた新しい傷になってしまう。
それに槙生ちゃんも言っているが、親の悪口は中々言ってもらえない。毒親に悩まされて育った人にとって、親の悪口を言ってくれる人は救いだと思う。
朝の憎まれ口に、大事な友人だと思ってる
そう思われるのは悲しいと言う笠町くんの対応が大人で恰好良い。
私は朝みたいに我儘も言えないし、槙生ちゃんみたいに冷静な対応もできない気がする。
「ここで私を傷つけようとしても何にもならない」
と怒らずに言い、
「あなたの有り様を見ているとあなたは愛されて育ったのだろうなと私は思う
もしそうなら姉も幸福だったんじゃないか」
と言えるところが、本当に槙生ちゃん素敵な人だ。
言葉選びがとても素敵で、彼女の書いた本を読んでみたくなる。
何故朝が怒っているのかわからず、
八つ当たりのように思えていたのだが、
槙生ちゃんの小説を読んで
なぜ誰も無くしたことがないのにこんなものを書くのだろう
こんなものを書くのになぜわたしを真に理解しないのだろう
なぜわたしの欲しい嘘を知っているのにたとえその場しのぎでも決してくれないのだろう
と思うところで、あぁそうだったのかと思えた。
悲しみを共有できない、一人一人違うから
100%同じものを分かち合えないのだから、
槙生ちゃんの態度はどこまでも誠実だと思う。
朝ちゃんがやっと泣くことができてよかった。
Posted by ブクログ
感情を爆発させたい時期に槙生さんの冷静すぎる考え方はかえって朝を苦しめてしまってたんだな‥
朝ちゃん、偉い、本当毎日生きてるだけで偉い!
Posted by ブクログ
2023.03.01.ピッコマ
朝はやっと感情が追いついて来たんだね。
朝がお母さんはどう言う人だったのか
それを問うのは辛いなぁと思った。
普通の家族の間でも、本当の自分を出してないでしょ。
さらに亡くなった人の事、どう言う人だったか考えるのは辛いなぁ。
私は母親なので、母親として立場で考えちゃうな。
結婚してなければ、
子供がいなければ、
仕事してれば、
逆に仕事してなければ、
その時の環境や、その時のたまたま何かの影響で、強く思って、それがどこかに、誰かに残ってしまうかもしれないけど、
それだけが真実ではない。
特に亡くなった人は、なにも言えないからね。
子供は親の葛藤や孤独は知りたくないよね。
親も、たとえ絶えず持っていたとしても、
死んでしまってから子供に知られたくはないだろうな。
もしかしたら、一緒に生きている時はちょっと理解してほしいと思う時があるかもしれないけど、
死んでからは知らないで欲しいかな。
朝の不登校がわかった時、
車で来てくれた男の人(誰だ?朝の後ろ盾?のような人)
が、
朝がいなくなったことを、
大ごとにした方がいい
と言ったのは、なるほど!と思った。
今はまだ朝は思えないだろうけど、
下手に同調してこない槙生と一緒にいる朝はラッキーだ。
話しの続きが楽しみ
朝の涙腺崩壊とともに自分の涙腺も崩壊…
って心にずしーんと重みを感じた直後の塔野の休日についふきました。かわいいかよ。
大人3人が朝を探しに行くシーンよかった。
Posted by ブクログ
やっと泣けた朝ちゃんにつられて涙。
「わたしは」そう思う、という考え方の大切さ。
この物語の感想は、どうしても箇条書きになってしまう。
最後まで読み通したときに、私の中でもまとまっていくものがあるんだと思える。
こういう読書体験ができているのは幸せだ。
Posted by ブクログ
事実を受け入れてこれなかった朝の慟哭とその涙が切ない。
槙生は、真実を受け入れる準備ができたのだと語る。物書きであるが故に、文章を書き残すことの重みを語る。でも、浅の母の名づけの想いは、まだ、届かない。
母の日記?にある、母と父の結婚の事実が意外にエグい。両親の死には何か理由があったのではないか?とかちょっと深読みしすぎか?
さて、一部の好事家とされた笠町クン、そっちはそっちでがんばれ(笑)
Posted by ブクログ
槇生が部屋に置いておいた母の日記を見つけた朝。とうとう両親が亡くなったことを受け止め始めたか。ほしい言葉をくれない槇生。自分の孤独は自分だけのもので、誰にも踏み入れさせない、という気持ちわかる。簡単な同情はいらないし、まったく同じように悲しんでくれる人はいない。
気持ちを書くことの難しさ。書いた言葉が文字になると本当ではない気がしてきてしまうの自分にもある。手書きの文字を読むのにエネルギーが要るのもわかる。
日記というのは本来とても私的なもので、人の日記を読むのはまさに自分の知らないその人の姿を知る行為だ。たとえ将来自分に渡されようとしていたものでも、朝が母の日記を読むのは大変なことだろう。しかも、母は既に亡く、書かれた言葉を確かめることができない。まさに深淵を覗く。
しかし槇生は手を出さない。あくまで孤独は朝自身が自分で噛み締め、歩くものなのだと。自分の孤独に寄り添うことも許さない槇生だから。
そんな槇生が笠町に頼れと言われたり、ちゃんと頼ってみたり、そして笠町の方は弁護士を気にして醍醐に探りを入れたり。ここら辺の大人のモゾモゾした動きもいい。笠町のアプローチは不器用なようでとてもまっすぐで、いい。ときめく。
Posted by ブクログ
21〜25話
笠町くんもいろいろあったんだな。確かに想像できない。
朝って名前の由来、すごくいいな。私も子どもにそう付ければよかった。
お姉さんは本当に単純に、まきおちゃんのことを思っていろいろ言ってたんか。お姉さんサイドの感情を知ると、まきおちゃんがより一層感情型に思えてしまうな。そしてお姉さんの旦那よ…。もうちょい突っ込んだ解説をお願いしたい。
お姉さんは思い通りにならない現状を受け入れてお姉さんのものとは思えない「あなたがあなたを好きでいられる人であればそれで十分だと思います」に至ったのかな。
しかし笠町くんいいな。特に薄情の話をしてるときに後部座席から助手席のヘッドレストに手を回してるまきおちゃんの手をぎゅって握るとこ。あと朝のこと心配してるってちゃんと叱るとこ。
あと朝は愛されて育って、もしそうなら姉も幸福だったと、そうだといいというところでとても泣けた。
まきおちゃんの悲しいことはなんだろな。それを誰かと共有するつもりはないってすごいな。
真実を欲しがる朝、もう分かりようがないからそういうものを頑なに示さないまきおちゃん。
朝の憤りと、初めて泣く朝に寄り添うまきおちゃん。泣ける。
てかまきおちゃんの言葉の使い方が本当に好きです。
Posted by ブクログ
今回もずっしりみっしりした内容でした。
泣いたよ、、、、そりゃもうわんわんと泣いた。
とりあえず胸にくる台詞を箇条書き
◉『自分が完璧を提出してたら まわりも同じようにできるはずだって思っちゃダメだよ』by笠町くん上司
◉『それは大きな穴を覗き込むような作業で その穴の底には本当は母はわたしを愛していなかったのではないか っという怪物めいた恐怖が潜んでいたのだった』朝
◉『孤独は彼女に寄り添うのに わたしにはちっとも優しくなかった わたしは絶対に正しい真実を欲しがったのに彼女は決してそういうものを示さなかった』朝
◉『なぜわたしの欲しい嘘を知っているのに たとえその場しのぎでも決してくれないのだろう なぜ?』朝
この最後の台詞で私の涙腺も崩壊、、、
ファミレスでえみりと朝が話してるのを見て全体的に朝は(当然なんだけど)子供だなあと。
えみりにひつこく恋話をしてみたり、まきおのことを『変』と縛るのも悪気があるわけじゃないのはわかるけど、、特有の無知さというか。彼女のそういう雑さ無知さは強みにも勿論なるだろうけど、人を傷つけてしまうだろうな。
笠町くん上司の台詞『自分が完璧を〜』は、頭をガツンとやられた、、。ショックだった。
後半は朝が母親の日記を読んでザワザワしとるんだけど
自分に足りない欠けたものにふわっと気づき始めてムシャクシャしよる。やっとやな…
まきおちゃんと話し合いをするもどうにもおさまらんけど、やっとやっと両親の死を体に落とし込めたように見えた。
毎回ハッとする台詞と展開で圧倒される、、、
あー、、感想書いてても重たいわ