あらすじ
【電子限定!雑誌掲載時のカラー原画&20話のネーム特別収録!】漫画界話題沸騰!叔母と姪の年の差同居譚。「――わけあって犬のようなものと同居することになった」“小説家・こうだい槙生”のエッセイを見つけた朝は自分(=犬!?)との暮らしを、「不思議な感じだ」と語る槙生の文章を読んだ。慣れないものの、新生活を咀嚼する槙生の言葉は柔らかい。そんな折、槙生は朝を連れて5年ぶりに実家に帰ることになり――。不器用な槙生と、大型犬系元カレ・笠町の“友人関係”に異変あり――な心浮き立つ第4巻!
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人間はいつから「大人」になるのだろう?
両親の死によって、独身の叔母・槙生に引き取られた中学生・朝。
家にこもりきりの小説家である槙生は、独特な感性の女性。
一方で、朝は両親が死んだことに対して現実感を持てない、大人びた少女。
似ているようで正反対の二人が、日々の暮らしの中でやがて心の距離を近づけていく作品。
槙生が仕事に熱中するのを、さりげなくサポートするしっかり者の朝。その姿はお互いの年齢を鑑みると、ちぐはぐな風景でちょっとおもしろい。
けれど、家の外側や、人間関係のこととなると、槙生は迷いながらも、母性というよりは理性によって、的確な言葉で朝を導く。
15歳の朝にとって、それらの言葉はすぐに理解できないこともある。けれど、現実と照らし合わせながらじわじわと納得していく健気な姿がとても印象的。
では30歳を手前にした自分は槙生と朝、どちらに近い地点にいるのだろう?と考える。
「自分はまだまだ子供」だと思う。けれど、朝が戸惑っている幼い姿を見ると「こうしたらいいよ」と言ってあげたくなることが多々あった。
どんなに大人びていても15歳の朝が大人ではないように、アラサーの私も着実に大人になっているのか、と気づかされる。
槙生を「違国」と感じながらも、朝も確実に「大人」へ近づいている様子を、そっと見守っていきたい。
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最高
周りに比べて性的なことに関心がないことに悩んだりしたことを思い出しました。
朝は槙生と母を重ねてみるけれど、槙生は朝と姉を重ねてみたのではないかな。
笠町くんはえっろいです。
Posted by ブクログ
槙生ちゃんエッセイを連載し始める。
朝ちゃんのことを犬のような、として
これまで群を作らずに暮らしてきた自分の戸惑いを綴る。
若い犬に影響を与えてしまうことが怖い
というのが、槙生ちゃんの正直な気持ちだろう。
犬にたとえていて良いのだろかと思ったら
途中で「犬というのも悪いから」と文言が出てきて
ふふっとなった。
じっくり読んでいて、「これ私のこと?」と
相変わらずストレートな朝ちゃん。
別に犬に例えられたことは気にならない様子だ。
読むな、と言う槙生ちゃんの気持ちがわかる。
自分なら確認せずにツイッターをブロックすると思う。
朝ちゃんの母親の日記のシーンで、
「あなたが二十歳になったときにあげようと思って書き始めた」
という冒頭の文の引用があるのだが、正直気持ち悪い。
そんな物をもらって喜ぶ子供は希少だと思う。
母親の自己満足でしかない。
槙生ちゃんのお母さんが水素水や酵素を買いだめて
詐欺被害が出ているからと前に槙生ちゃんが話しても
「効くのよ」と聞く耳持たないところが
あるあるだけれどとてももやもやした。
槙生ちゃんが「いつからか鈍くずるい人になってしまった」
と母親のことを評しているところが、
共感もあるし悲しくもあった。
「実里は気配りがきいて槙生は自立している」
と言っていたのにそのうち
「実里は自主性がないし槙生は薄情だ」
と言い換えるというのがすごくリアルに感じる。
あるよなぁ、いるよなそういう親、という気持ち。
朝の両親が亡くなった時、自分が確認するのが嫌だからと
「あなたに両親の遺体を見せた。わたしはそれが絶対に許せない」
という槙生ちゃんがまっすぐでとても好きだ。
すごく泣いていたからおばあちゃんはお母さんが大事だったんだ、と思い
遺体の確認をさせられたことも気にしていない
朝ちゃんも朝ちゃんで、子供らしい素直さがあると思う。
お母さんはどんな人だったのだろうという朝ちゃんに
多分話そうと思えば槙生ちゃんはいくらでも話せる。
でも、
「あまりわたしの言うことに影響をうけないように。
おかあさんのことを好きなままでいなさい。
だからあなたにわたしの主観でしかない話はしない」
と決めている槙生ちゃんがとても恰好良い。
はっきりしていて素敵だ。
邪魔だから本当にいらないのに、持っていけといい
断ると「まったくあなたは」と怒る母親、本当にリアル。
朝ちゃんに槙生ちゃんが
「不思議だな。あなたは人から好かれることにてらいがないね」
と言うシーンが印象的。
ちょうど朝ちゃんがでかけている時にえみりちゃんがやってくる。
えみりちゃんも結構物怖じしない子だ。
今回は事前に聞いていて自分が忘れただけだから
ときっちりえみりの対応をする槙生ちゃんが好き。
むしゃくしゃしてケーキを焼くの、自分もよくやる。
お茶を出すのも、出せるものをすべて教えてどれが良いかえみりに選ばせる槙生。
えみりちゃんを子供扱いしていない感じがするし、
えみりにしたらそれに戸惑っているように思える。
結婚云々無邪気にプライベートな話に突っ込むのも子供の特権だろうか。
「してら普通、してなかったら変ってことはないですよ」
と敬語で誠実に回答するところが素敵だし、
今友達で彼の信頼をかつて自分が裏切った、
相手が優しいから友達でいられている
と笠町の話をするのが、やはり大人ぶっていないというか
ひとりの女性として対応しているのだろう。
弁護士の塔野との会話で、サクサク虐待とか、という言葉を自分から出す槙生ちゃんがすごく好きだ。
「物語を全然必要としない人っていうのもおいでなんですよね」
と言うところも、その後えみりに映画つまり物語を渡そうとするところも良い。
朝ちゃんは、槙生もお母さんも毎日家にいるから休み、
と言ってしまう無邪気さが幼い。
その感覚では、毎日他人が家にいる辛さも慮ることもないのだろう。
居候の分際で、お礼に片付けるくらいしても良いのに
それどころか「なんでこんなこともできないの」
と言ってしまうのも、悪い意味であの母の娘という感じ。
「ふつう」と言う言葉自体が押し付けだ。
怒り黙らせるのではなく、傷つき、かつ
「わたしが何に傷つくかはわたしが決めることだ」
と言う槙生ちゃんは本当に誠実な人だ。
子供だから仕方ないかもしれないが、「ふーんごめん、なんで?」という謝り方が軽すぎる。
自分が好きでやっている普通のことを「意識高い」と言われるのは、馬鹿にされている感じがする。
笠町くんの手を見てむらっとする槙生ちゃんの気持ち、なんだかわかる。
笠町くんのことを今でも嫌いではない槙生ちゃん。
それを聞いて焦りながらそりゃどうも、という笠町くんがなんだか好きだ。
好きと思うのは友人としての笠町くんとの関係を汚すことになる、自分は人に助けてもらう価値がない、と思う気持ちはちょっとわかる。
笠町くんがよかれと思ってしたことを拒まれて
それにずっと怒っていて、でも、やっぱり頼ってほしい。
「弱いきみを望んでるとかじゃなくて」という言葉を付け加えてくれるところが、やっぱり笠町くんも誠実だ。
価値がないという槙生に「なんでそんな悲しいこと言うんだ」と言う笠町くんも、
その笠町くんを見てごめん、と頭をわしわしする槙生ちゃんもとても愛おしい。
いろんな気持ちが混ざり合って、大切にするというだけのことが難しくなることは、残念だけれどよくある。
槙生ちゃんは笠町くんが良い匂いがすると言うが、遺伝子は自分と違うタイプを選ばせようとするから、好みの男性を良い匂いを思うという研究結果があったはず。
昔は若さやなんかが邪魔をしてうまくいかなかったかもしれないが、お似合いの2人に見えるのだが。
柔らかな感性ときっぱりとした強さを併せ持って生きていく槙生に憧れています。その2つを共存させるのは、なかなか難しいと思うから。
4巻で特に心に残ったこと。
物語、もういない人の幻影、ふつう、犬…笠町ぃぃぃ笑
話中にとある映画が登場するので、とっても見たくなったのですが、今は見る手段が少ないみたいで残念です。次巻も楽しみ。
Posted by ブクログ
16〜20話
まきおちゃんのエッセイすごくいいな。
えみりちゃんは同性愛者なのかなぁ。
19話深かったなぁ。
「わたしが何に傷つくかはわたしが決めることだ」からのまきおちゃんの話、全部メモっときたい。
20話はなにあれ///////
まきおちゃんが笠町くんにドキドキムラムラするように、笠町くんの勉強くんへの探りにわたしもめっちゃドキドキムラムラするんですけど。
しかしまきおちゃん、よく「めちゃしたい」って言ったな(笑)
Posted by ブクログ
槙生が、朝や笠町くんとの関係性を少し変えていく4巻。
槙生が自分のことを「…わたしは 頭の中がいつも忙しくて ものがすぐ見えなくなって 嘘が極端に苦手で …ひとりでいるのが心地好くて そういうふうになぜか生まれた」と言う場面。槙生自身、マイノリティな部分を欠点だと感じながらも「それは選ぶことも咎めることもできない」と言ってくれるところに、私は救いを感じた。同じように、恋愛や結婚に戸惑いを感じているえみりに対して「あなたが誰を好きになってもならなくても、それは罪ではない」と語りかける場面も印象的。
良き友人から再び距離を縮めた槙生と笠町がこれからどう進展していくのか、内面にまだ実里の面影が残る朝が高校生活のなかでどう変わっていくのか、今から5巻が待ち遠しいです。
Posted by ブクログ
「何の気なしに言ったことに傷ついたと言われた」ことは身に覚えがあるし、あやふやにごまかした罪悪感は今でもふとした瞬間によみがえる。どうしたらよかったのかな…とむつかしいことを考えようとしたところで最後の笠町くんのくだりに全部持ってかれるのでよろしく…!!!
食べるもの何でもおいしそう。「無水鍋つよい」は笑った!
Posted by ブクログ
もう少し何か借りたくてたまたまマンガ大賞に入っていたということを思い出し3巻までを借りました。面白くて自分で買って、待ち望んでいた4巻の発売。今回も面白かった。マキオと笠町くんの関係いいですね。笠町くんが少し切ないですが。近づいて行く朝と後ずさりしてしまいそうなマキオ。この漫画ご飯の描写が好きで何か作りたくなってしまいます。
Posted by ブクログ
朝のような人間がとても眩しい。
でも、時に槇生ちゃんと同じく彼女の言葉に傷ついてしまう。
「私が何に傷つくかは私が決める事だ。あなたが断ずることじゃない。」
朝やえみりに対等に接する槇生ちゃんはとてもステキだ。
ほんとはいっぱいいっぱいかもしれないけれど。
笠町君との関係もステキだった。
お互い、ただ大切にしたいだけ。
匿名
四巻目
田汲朝は中学卒業を迎える間近に両親を事故で亡くしてしまう。
その葬儀のなかで親戚が自分をたらいまわしにしているのをぼんやりと感じていると母方のおばである高代槙生に引き取られることになる。
人好きの朝に対して槙生は人とのかかわり方や普通の生活といわれるものがうまくできないこともあって共同生活はギクシャクすることもあるが、それでもお互い他者を尊重するということをなんとか続けていた。
軽音部に入った朝はおおむね楽しい部活生活を送っていたが一人あたりが強い先輩がいることが心にシミを作っている状態だった。
しかしちゃんと言い返すことができて少し気が晴れるのだった。
一方槙生は亡き姉の私物の一部を朝に返すことができないでいたのだった……。
子の親と自分の姉、同じ人物なのに違う顔を持つ人間の多面的な人物像に翻弄されるのがなんとなく共感できた。
Posted by ブクログ
朝の無邪気な暴力性にドキッとする。自分のわかるもの、つまり「普通」以外をおかしいと判断すること。そしてそれを口にすることに躊躇いがないこと。BUTTERの主人公にもちょっとそんな感じがあったが。大人だけど不器用で傷付きやすく、また小説家だけどそういうところに対しては説明下手な槇生の、生々しい対応。朝と一緒にいることで、思い出して考えてしまう、姉や母との関係。
自分が何に傷付くかは、自分が決めるのだ。人に、そんなことで傷付かないで、とか言われるものじゃない。まさに、そう。でもそれをわからない人もいるし、ついやってしまうこともある。人と関わるのってしんどいよな、大変だよな。
槇生ちゃんと笠町の関係にドキドキするとともに、えみりが朝だけでなく槇生と関わることで何か指標を持てるようになれれば、と思う。きっと親や同年代の友人からは得られないことばがある。
かくまってくれる友人。とても好きな表現だ。私は物語をかくまってくれる友人とした。だから物語が必要ない人にはびっくりするけど、新鮮に思って相手したい。できれば。