あらすじ
何故、人を殺してはいけないのか…。語り合う生徒たち――。長い議論の末、見出した答えとは――? そして、また、別れの時期を迎える――。出会いと別れの意味を考える教師物語第7巻!!
皆さん、「倫理」の授業の記憶はお持ちでしょうか?
私は比較的鮮明で、当時ほどには無いにせよ、大まかに記憶はしています。私が教わった倫理の先生も、このマンガの高柳先生ほどでは無いですが印象的な人でした。
主人公は題名にある「倫理」を教える教師、高柳。クールで、特に目立った印象を受ける人物ではなく、生徒からの覚えも普通。そんな彼が、生徒と向き合い、問題を解決していくという作品。
高柳は熱血教師でもなく、また面白い授業をするタイプの教師でもありません。そんな彼ですが、きちんと芯を持っており、生徒に向き合って諭していきます。
個人的には、「合コン」のくだりの先生が人間くさくて魅力的。
「倫理」の記憶がある方も無い方も、今一度「倫理」の授業、受けてみませんか?
感情タグBEST3
何はなくとも。
対話型かぁ。まあるくイス寄せ合って座って、先生も教壇から離れて同じ目線で…やわらかい感じでいいですね。討論会とは違う和やかな雰囲気。だれかれ問わずにひとつのテーマを脱線しながら引き戻しながら探究する。こんな世界をつくりあげる先生と未来を模索するくもりなき心のいまどきの生徒達。学園ドラマ…青年群像…何はなくともアツい時代です。
Posted by ブクログ
「なぜ人を殺してはいけないのか」
語る生徒たちを、見守る高柳先生の目が優しすぎる。
教科書には載っていない、生きていくために大切なことを教えてくれる。
Posted by ブクログ
受け持ちクラスの2組目が終了。”なぜ殺してはいけないか”って、本作でも最後の討論内容として選ばれているけど、難しい。色んな意見を読みながら、自分的にもそれに対して思うところを感じつつ、みたいな読書体験がなかなかに刺激的。先生のまとめのように、この討論そのものを忘れないで、ってことなんだな。
Posted by ブクログ
娯楽漫画でない漫画だからか、発売後すぐ読むわけでなく、新刊で買ったのに昨日まで読まずにいました。
実際読んだら、読み進んでしまい、寝る時間の十二時を過ぎた読み進めてしまった。
今の自分の行いが、人からどう見えるか?恥ずかしい行いわしていないか考えさせられました。
漫画の内容なそのような所があった訳では無いが、読んで一息ついた時に、ふと自分はどうだろう?と考える漫画。
私は、こういうのを定期的に読まないと、自己中心的な、嫌な人間になるなぁと思いました。
読んだ今が良い人間になった訳ではないですが…
今日のあの態度は無かったなぁ、と思うくらいには出来ます。
Posted by ブクログ
悩める生徒に倫理・哲学の言葉でもってアドバイスしたり一緒に悩んだりする漫画の第7巻。
今巻は授業で「なぜ人を殺してはいけないのか」を生徒たちに話し合わせるのがみどころ。
「法律で決まっているから」という点を皮切りに、なぜ法律で決まっているのか、昔の時代はどうだったのか、戦争で人を殺すほど称賛されるのはなぜか、自分が殺したいと思うときはあるか、あるならなぜしないのか、殺し合いが続いたら国が成り立たないといったさまざまなトピックが展開されていく。
最終的に「良心の呵責」というキーワードから、殺人にかぎらず悪いことをした心の痛み、罪悪感を感じるように人間はできている。殺したくない、だから殺さない。そういう世界がいいという方向に話が進んでいく。そしてまとまったきれいな答えに整える前に授業は終了する。
哲学の原点たる「対話」を、高校生なりの言葉を使って、それもバカっぽい生徒から賢しらな生徒までを織り交ぜた、いかにも現実にいそうなキャラクターでもって描いているのが出色。
たとえ倫理で学んだ用語や人名を忘れてしまっても、ここで語ったことは生徒たちの心に残り続けるのだろう。自分もこういう授業を受けてみたかった。
作中では「良心」の存在を重要ワードとしてあげているけれど、個人的にはなぜ人間は良心という機能をもつに至ったのかについても突っ込んでみてほしかった。まあしかしそれは生物学の範疇になるだろうか。
自分について照らし合わせてみると、自分は父親に早く死んでほしいと願っているが、死ぬ「べき」であるとは思わないし、殺したいとまでは思わない。
それは、父親はとっちゃん坊やではあるが彼なりに家族のことを思っているのは疑っていないし、温和な家族に育てられた自分が争い事を好まない性格であるから。もちろん法律だってある。平和な世の中で暴力を使うことの後ろめたさだってあるだろう。
そういったもろもろの、いわば愛とか規則とか環境だとかの総体が、良心として自分の衝動的な行動に歯止めをかけているのではないだろうか。