あらすじ
明治44年12月、虎三郎が英国から帰還して、まもなく一年となる頃。 華族の娘、未和との縁談を断った事の重大さにおののく虎三郎…。多くの難題を抱え、年の瀬を迎える三つ星に追い打ちをかける鳩成の企みが…。
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時は明治末期。傾きかけた老舗呉服屋を、英国帰りの三男・星乃虎三郎が立て直す!というお話ですが、これがめちゃくちゃ面白かった!
競合の呉服屋が近代化の波に乗り、どんどん先へ進んでいくのに、虎三郎の店「三つ星」は依然として旧体制のまま。客足も遠のき、これでは未来がないと、虎三郎は英国で知り合った実業家の青年・鷹頭と二人で「三つ星」の改革を始めます。
従業員たちは、最初こそ反発するものの、虎三郎の商才と人心掌握術の上手さにほだされていきます。
初めての女性店員、下足番の廃止など、改革の内容がまた「明治」という時代をよく表していて、「ああ~これが文明開化!」という気分にさせられます。
打算か、友情か、虎三郎と鷹頭の関係も気になるところ(このあたりの描写は、さすがBLで人気の日高ショーコ先生という感じ)。
お仕事漫画が好きな人には、ぜひ読んでいただきたい。丁寧に織り込まれた時代背景と、痛快なストーリー描写に引き込まれる良作です。
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
話の展開はハラハラが続く。
作中で「徳川幕府の瓦解」という言葉が出てきて、
改めて信頼できる物語だなと思った。
あれを維新だと言えるのは薩長側だけだし
江戸に住んでいた人たちは瓦解としか思えなかった。
実際多摩地方でも瓦解と呼んでいた訳で、
登場人物たちの背景や東京者としての矜持を感じる。
日本の芸術品を海外に流出させることは良くないというのも
明治維新後これまでの日本文化を壊してきた政府の元
金銭的にも困窮する中国内に残していても大事はされない
それくらいなら海外に「預けておく」というのも
どちらも間違いではないと感じた。
難しい問題だ。
ただ、敵ではないのだ。
だから流言で扱き下ろすようなことは否定する訳だ。
カメオのブローチのくだりが良かった。
購入したお客様も素敵な人だ。
自立のエピソードも素敵だし、分かる人だけ分かればいい、と購入するのが恰好良い。
どうしようもないことが多い時にこそ、心を助けるものが必要。
コロナ禍で散々不要不急とやり込められたことこそ
本当は必要なものだったのにと考えたことを思い出す。
正面入り口に女性客を意識した売り場を作ろうという案、
今でこそ一階入口は香水やアクセサリーなど女性用なのが大抵の百貨店で当たり前の作りだと思うと不思議な気持ちだ。
牛島さんのことは残念だし、新宿へも行かないのが
離れてしまう気がして寂しいが、きっと悪いようにはならないし
いつか戻ってきてくれると期待したい。