若く美しい母・静子から溺愛されている中学2年生の静一。
クラスの女子・吹石に淡い思いを寄せたり、従兄弟のしげると遊んだり
ごく普通の中学生として暮らしていた彼の日常は
夏休み中に両親としげる一家との登山中に起きた事故から明確に壊れ始めます。
事故当時に母が取った行動が信じられず、彼女の一挙手一投足に過敏になる静一。
静一の心境を知ってか知らずか、吹石と静一の関係の進展を露骨に阻み、抑圧する静子。
抑え込んでいた苦しみと狂気を解き放ち始めた母と、静一はどう闘っていくのでしょうか?
事故の真相が明らかになるかどうか、というサスペンス要素もあり、
とにかく緊張感がすさまじい一作です。
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母親の狂気
一見過保護で優しいが支配的な母親とその束縛に疑問を抱きつつある少年の静かで恐ろしい日常を描いたおはなしの第二巻。
静一のいとこであるしげるを崖から突き飛ばした静子。
突き飛ばした後に何事もなかったかのように崖下へしげるを探しに行く。
そんな母親のペースに巻き込まれてしまったのか、目の前で恐ろしいことが起こったにも関わらず母親を助けてあげなければというスイッチが入ってしまう。
その後叔母が転落したしげるを発見し、すぐ救助ヘリによって病院に運ばれる。
自分が突き飛ばしたにも関わらずそれを表に出さずにしげるに声をかける静子を見て声も出せなくなってしまう静一。
その後県警の人に事情を聴かれるがさらさら答える母親と対照的に言葉がなかなか出てこない。
その後家に帰るが山での出来事や昔のことを思い出してしまう。
次の日病院に行こうとする両親に行きたくないと告げ一人留守番をする静一。
声を出して泣いてしまうがそこにインターホンが鳴る。
会う約束をしていた吹石だった。
家に上がりたいという彼女にときめいてそれを受け入れてしまうがそこへ母親が帰ってくる。
表面上笑顔で接している静子に対して何かしらの不信感を感じた吹石は帰る。
その後静子は息子がもらったラブレターを見て泣きながら捨てていいかと聞く。
その尋常じゃない様子に引っ張られて静一も泣きながらそれを受け入れるしかなかった…。
悲しいや苦しいという感情を相手に見せることによってその場と相手をコントロールするやり方を静子は意識的なのか無意識なのかよく用いている。
そういった環境に幼少期から置かれている子供は疑問に思っていてもそれを受け入れざるを得ないのが見ていて辛い。
Posted by ブクログ
束縛が酷いとか、期待が重いとか、そんなテンプレな毒親を予想してたけど、少し違うみたいですね。過保護ではあるけど。
若く美しい母親と中学生の息子の平凡な日常の描写が続く。不穏さを孕みながら…。
母の異常性が露わになる巻末、親は選べないからなぁ、血縁は切りたくても切れないしなぁと息子の暗澹とした人生を想像して、恐ろしくなった。
怖い
怖くて先を読み進めるのがハラハラします。お話に非現実さを感じますが背景が生活感があってリアリティさもあるので不思議な雰囲気を醸し出していて心がざわざわしました。
Posted by ブクログ
こえええええええええええええ
押見先生の表現力が凄すぎてもはや芸術。
いとこを殺そうとしただけじゃなく、
静一の心も殺したんだなあ。
これは子どもに対する歪んだ愛でもないと思う。
子どものことを愛してすらいないよこれは。
いや、こええわあああ。
実は一巻にもそうだけど四十ページごとにページ数の横に血が点々。その血の轍の始まりか。静一がつい共犯者になる、色々と。ママから唇にキスされて、次々と「うわ」のオンパレード。
危うい共犯関係と……
母親の過干渉と、近親姦的な愛情もあるのでしょうかね。非常に危ういものを感じる作品で、母親の精神状態も極めて危ういです。
いわゆる代理ミュンヒハウゼン症候群的なものを感じますね、実際は主人公の母親がしげる君を崖から突き落としたわけですが……。
主人公はそんな母親と口裏を合わせてしまいますので、既にもう共犯関係が成立していますよね。
突き落とされた少年、手術して一命は取り留めましたが、予断を許さない状態ですしね。
主人公を好いている吹石さんも危ういのでは?としか思えませんよね。実際、精魂込めて書いた恋文、親子で破っているんですからね。
怖い!怖い!怖い!!
静一くんはどういう気持ちなの!?お母さんの言うことは正しいと思ってる?それとも付き合ってあげてるだけ??続きが気になります!!
先が気になる
息子を溺愛するお母さんは
息子を守るために極端な行動へ。。
しかし息子もこのまま異常性のあるお母さんを野放しにできないと庇ってしまう
親子はこのまま地獄へ堕ちて行くのか?という2巻だった
たまたま
母親がしげるを突き落とすところを目撃し、何事もなかったようにふるまう母親を前にし、警察にも嘘をつき、相当の心の負担がかかっていたであろう静一。
そんな時だからラブレーターも母親に言われるまま素直に差出したのだろうか。