あらすじ
少年・坂巻由太郎は坂巻泥努と成る…!!
双亡亭の主・坂巻泥努によって絵のモデルとして屋敷の深部に連れ去られた紅。
「お前は似ている」と語る泥努に見せられた姉の死の記憶は、あまりにも壮絶なものだった。
少年・由太郎が坂巻泥努に成るまでの深すぎる“闇”を知った紅は…!?
そんな紅を救出すべく、屋敷の深部に急ぐ凧葉達は「アンキョ」を掘る亡者達と衝突!
敵の主人格・しのや、支配された軍人達との苛烈な攻防が始まる…!!
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Posted by ブクログ
主たる謎はすべて明かされた12巻である。
泥努と紅の対話により、泥努の思い出が詳らかにされた。彼と姉の思い出は、個人的には想定した中で最も哀しい、誰一人とて救われないものだった。
人が生きていく上で、侵略者のような存在なくとも、ただただ悲しさだけで人は壊れ化け物になってしまう。この物語が突き立てる真理はあまりに重い。
それと同時に、ついに侵略者どもは真なる敵を見つけ、排撃することを決めている。
能力者をからめとり、将棋のようにむしろ彼らを戦力化する双亡亭にとって、そんな彼らの攻撃を無効化してしまう凧葉と緑朗の見せる勇気は何よりも致命的だ。
そんな彼らの反撃を受けながら、泥努が描く絵を壊す手段を見つけ出す一行。いよいよ物語は解決策を携え、最終局面に入ろうとしているように見える。
物語展開のテンポの良さと、前半で描かれた泥努の思い出の血の滲むような有様。
非常に面白く、心打つ一巻であった。星五つで評価したい。