あらすじ
故郷の島ゴントで、妻テナー、顔に大やけどを負った養女テハヌーと、静かに余生を送るゲド。そこへハンノキというまじない師が訪れ、物語は再開する。ふたたび竜が暴れ出し、緊張が高まる。テハヌーは、レバンネン王に王宮へ呼び出され、重要な使命を与えられるが……。アースシー世界を救うのは、いったい誰か。
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Posted by ブクログ
読み終えて、テナーとゲドがこれから歩いていく森のことを思った。テハヌー、レバンネン、セセラク、アイリアン、ハンノキ、皆のことを思い、ほっと溜め息と涙がこぼれた。『ゲド戦記』この物語には、この世で最悪の悪(レイプなど)との闘い、この世でこの自分で成せる最善を成そうとする人々、強く"fierce" に生きる人々、その交流が描かれる。この6巻の物語に人生で出会えて良かった。生に限りはあれど、物語は逃げていかない。ゆっくり読みたい物語だ。巻末、訳者清水真砂子さんとアーシュラ・ル・グヴィンの交流も、この物語の一部だった。作者と訳者に感謝。
Posted by ブクログ
ゲド戦記最終作。
アスーシー全体の成り立ちや竜と人間の関係性等
1つ1つの謎が解き明かされていく。
常に物語の中心にあったはずのハード語圏が
そういう場所だったのかと、気づかされた時に
やられたなーと思った。
この話のあと、人は人として生きていくのか
すごく気になるところ。
Posted by ブクログ
アースシーの物語をぎゅぎゅっと詰め込んだような物語。竜たちの話にガルガド帝国に伝わる話、さらに不死についての話などいろんな物語が詰め込まれていた。
世界観を楽しんでる人にはたまらない物語なのだろうな。
でも私は、前作の『最後の書』もこの『アースシーの風』も『魔法より愛の方が深く様々なことを知っている』みたいなのには吐き気がしてしまうんだよな。どっちもいいところあるよではダメなのか。ここにきていきなり愛を知らないのは、何も知らないことだみたいなのは気持ち悪いんだよな。
『人は義務を負い、結婚し、この世のくびきにつながれるもの』245p
こういうのも正直、吐きそうになる。前作と同じく。いきなり何言ってるんだ?どうしたんだ?と思った。この、『家族っていいよね』の押し付け感が気持ち悪いんだよな。
『技があるということは、たどるべき道がわかっているのと似ている』258p
こういうの『西のはての年代記』もそうだったけど、普通に暮らしている人間の大半は『自分の技』なんて気が付くこともなく『毎日やるべきことだけをやる』ことの続きで生きていくしかないんだよな。そして、今は『やるべきことすらない』状態の貧困層もいる。なんていうか、持たざる者。何もない人間や奪われつくされた人たち……みたいなのは一切出てこないの平和だなと思う。その辺りをスルーして書く物語なら気にしないんだけど、テハヌー(テルー)を出してきてるせいで微妙に引っかかって転びそうになる。
三冊でやめておいた方がよかったのでは?と思うのはだめだろうか。
三冊で終わってたら『そういう物語』だと思えたけど、続きを読むと……違和感が膨らむ。
ごちそうさまでした。
Posted by ブクログ
面白かった〜!最後にふさわしい感じだった。ゲド戦記シリーズなんだけど、ゲドはもうクモを倒すのに力を使い果たしたからただのおじいさんで、今回こそ本当になんの活躍もないどころかほぼ話にも出てこなくてそれが悲しい。でも良い感じに完結してくれて満足感。テハヌーはようやく竜になり、レバンネンは最高の伴侶を見つけ、アイリアンも出てきたし、割と大集合な感じ。人と竜は昔ひとつであったが、それぞれ求めるものが異なり、やがて分かれていった。魔法使いという人と竜の中間的な力を持つ者が現れ、死から逃れたいと願い、石垣を作ってしまった。そこでは亡くなった人の魂は浄化されず、永遠に感情もなく彷徨い続けてしまう。
石垣は壊され、竜は西へ飛び、人と永遠に決別した。魔法はきっと、まだ生きてるのかな?
やがてまた、邪な考えを持つ人間、魔法使いが現れて繰り返すのでは?と思ったりもするし、次の大賢人は誰がなる?そもそも大賢人やロークの制度は続くのか?など疑問は残るけど、ひとまずゲドの冒険とゲドの周りの人たちのストーリーはめでたく完結、ということですね。
全体を通して、人の欲、男女間の性差やお互いに分かり合えない部分、愛、友情、魂の高潔さ、結構普遍的なテーマを感じられて考えさせられつつ、ストーリーに魅了された。大人向けファンタジーであることは間違いない。